わたしは詩人でありたい

 くずおれ 毀れ 掌から洩れる ことばたち
 魂の根より炎え わき昇る 音楽の律動
 遥かで照る 虚数としての 光 絶対は掠れ揺れるのみ
 わが身を戒める 固有の 「美と善」の様式──完了

 されば 崩壊して了った 嘗ての ことばたち
 打ち棄てられたゆえに 再び ことばの岸へ 還りつき
 昇り降り巻く 幾重の光と音楽に 結ばれ 綾織り
 詩人の様式の箱庭へ ひそやかに 容れられる

 わたしは詩人でありたい──昇るように 墜ち 瑕に剥く 魂
 瑕負い 砕け果てんと ひとすぢと曳きずり降ろされる 肉体
 わが肉を解体し 魂に照る詩に再構築し 虚空と重なる 海へ放て

 嗚 さながら詩作のうごきで さながら 詩作のうごきで!
 こうして ひとは詩のように生きられる 屹度 きっと…
 そう信仰し 幻へ投げつけるように歌う──赫う城へ 虚数の絶対へ

わたしは詩人でありたい

わたしは詩人でありたい

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-11-28

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted