命#1 ~忘れがたき過去~
苦しみ
美人でも可愛くもない。頭がいいわけでもない。
何の取り柄もないごく普通の女の子。
あたし、瀬川美優。
あたしの家族は優しい両親と一つ年上の兄、勇太。そして二つ年下の妹、有彩の5人家族。
父は休みの日は必ず、あたし達兄妹の行きたい所に連れてってくれた。
出かける日は、母が弁当作ってくれた。あたしは母が作る弁当が大好きだった。
兄はスポーツが好きで、小学校からサッカーをやっていた。あたしも一時期真似をしてやっていた。
妹は小さい頃から本が大好きでいつも本を読んでいた。
あたしはいつもクラスの男子とケンカして怒られていた。
兄はスポーツ万能。妹は成績優秀。
あたしは、スポーツだけしかできなかった。
そんなあたしでも両親は可愛がってくれた。
時が流れあたしは中学生になった。
「美優は私たちの宝物よ!!」
そう言ってくれた家族はもういない。
家族の絆なんてもろい物だとあたしはそう思った。
父と母は顔を合わせるたびにケンカしていた。その音であたし達は目が覚めてしまう。
でも、あたしはお姉ちゃんだからしっかりしないといけないと自分に言い聞かせた。
高校生の兄は友達の所へ行き帰ってくることもなかった。
そんな日が続きついに離婚する事になった。
あたしと有彩は母と一緒に引っ越した。
父と別居を始めてから、母は1日朝から夜遅くまで仕事をしていた。
そんな日々が続いていくうちにだんだんとあたし達に暴力を振るようになっていった・・・。
「あんた達が居たからこんな目にあったのよ!!」と毎日毎日言われ続けた。
そしてある日いつものように母が帰ってくるとあたしに暴言を吐いてきた。でも今日は父のことまで悪く言っていたのであたしはついに母に「あたしお父さんの事も大好きだから悪く言わないで!」と反論した。
すると、「はぁ?何くちごたえしてんだよ!!あんたなんて邪魔なだけなんだからこの家から出てけ!!!!」そう言われたあたしは、家を飛び出して行った。
でも、帰る家はもうない。あたしは、野原で泣いていた・・・
どれくらい泣いただろう、目が腫れてとても痛かった。
どこへも帰れない、あたしは町をさまよった。すると、一人の女性が声をかけてきた!見た目は高校生くらいで少し不良っぽかった。
「あんた、帰る家ないの??」彼女は優しく聞いてきた。あたしはただ小さく頷く事しかできなかった・・・。
「じゃあ、あたしの家においで!!」彼女はそう言ってあたしの腕を引っ張った。5分くらい歩いて着いた場所はとても大きい一軒家だった。「あんた名前は?」あたしは、「美優」と小さな声で言った。
「美優・・・いい名前じゃん!あたしは祐子、ヨロシク☆今日からここが美優の家だよ!!」その言葉にあたしは泣くことしかできなかった。
それから、あたしはタバコやお酒そんな物に手を染めて行った。
その時は罪悪感なんてどこにもなかった。あたしはきっともうくるっていたんだ・・・。
それでも、祐子がいる。祐子がいれば何でもいいやそう思っていた。
祐子からいろんな人を紹介された。その中でもお兄さん的存在の浅川春とはとても仲がよかった。
ある日、あたしは春に呼ばれ家に向かった。普通だったら男子の家に行くなら戸惑うかもしれない、でもお兄さん的存在の春なら大丈夫っと思い戸惑いなんてなかった。
家に着くと中はタバコの匂いが充満していた・・・
何時間か話している内にあたしはタバコの匂いに酔って行った。
すると、春はあたしをベットに倒した。あたしはそのまま服を脱がされ、体中を舐め回された。気持ち悪くて吐きそうだった・・・
「やめてよ!!」そう言ってあたしは春を蹴飛ばして逃げた。
あたしの体はタバコの匂いがして気持ち悪かったし、性器がヒリヒリした。急いで祐子に電話をした。「祐子あたし・・・。」まだ話し終わってなかったが祐子はしゃべり出した。「もぅ処女喪失できたぁ??」
あたしは祐子が何を言ってるのか分からなかった。
「えっ?あたしたち親友でしょ??」祐子を信じたいそう思いながらおそるそる聞いてみた。「は?お前バカ?友達とか笑える~」そう言って電話は切れてしまった・・・
あたしはその時地獄に落ちた気分だった。「これは悪いことしてきた天罰なのかな~」そう思った。
そしてあたしは自分で自分を傷つける『リストカット』を始めた。
最初は生きてる証が欲しかっただけだったけど、しだいに血を見たいからやっていた。
あたしは、パニックになったら気づくとリスカをやっていた。
でも、リスカをやると落ち着いた・・・。『血がきれい』って思ってやることも多かった。
『あたしって生きる価値あるのかな??』
そう思った中3の冬
命#1 ~忘れがたき過去~