うたかた
わたしたちは、どうして出逢ってしまったのだろう。
「出逢えて良かった」なんて、もの優しい言葉ではきっと
片付けられない。
「出逢わなければ良かった」なんて、
気安く言えない。
だけどきっと、ほんとうは。
〝出逢わなければ良かった〟。
わたしが追いかけていたものは夢うつつ。
信じていたものはまやかし、
追いかけていたのは幻想、
視ていたのは夢。
わたしはいったい、ここで何をしているのだろう。
何のために生まれて、何のために生きてきたのだろう。
どれだけ自分に問いかけても、答えなど返ってくるはずはなくて
見出せるものは何一つとしてなかった。
この世界は不公平だ。
天は二物を与えないとは言うけれど、この世界で生きる〝誰か〟に
振り当てられた幸と不幸はバランスよく成り立っているようで
微笑まれた者にしかその所有権は存在しない。
うたかた