クリスマスケーキを予約した日
わたしたち。だれかが叫ぶ、いのちをたいせつに。もうひとりのわたしが、やさしくない詩をうたい、夕方のニュースの全体的な憂鬱さに心が、ちいさな悲鳴をあげる。すぐそこにある、悪意。きれいな花があっというまに枯れて。散って。しんでいく。冬。
ソファに寝転がり、スマホで、クリスマスケーキを予約しようとしている、きみが、チーズケーキとチョコレートケーキの二択で悩んでいるあいだにも、世界はすこしだけ傾いて、もしかしたら上向いて、クリスマスまで平穏無事にまわるかどうかもわからない、不確定要素ばかりの世の中をわたしたち、生きていることを漠然と、ふあんに思う。十一月になり、どことなくにぎやかしく、そわそわしている街。きらきらまぶしい、テレビのなか。クリスマスは絶対的にケーキとチキンみたいな風潮。
(ねえ、わたし、ケーキはブッシュ・ド・ノエルがいいよ)
クリスマスケーキを予約した日