苦道

子どもの頃におばあちゃんの家に遊びに行った。

おばあちゃんが美味しいご飯を作ってくれた。

ひとしきり遊んだ後に、近くのコンビニ行きたくなった。

おばあちゃんはお金を持たせてくれた。

家からコンビニまでの道は田んぼばかりだ。

時折、道路に稲とそれについたタニシの卵があった。

ピンクで丸いつぶつぶの卵。

黒いタニシからどうやってこの色が出せるのだろうか。

そう思いながらもタニシの卵をよけて先へ進んだ。

コンビニの近くまで来た。

私はピタリと足を止めた。

コンビニの入り口近くには若いヤンキーが数人いた。

彼らは座ったり立ったりしたまま笑っている。

私は彼らに近づくのが怖かった。

パッと振り向き帰路につく。

おばあちゃんがお金を使っていないことに気づいたらどうしよう。

悶々としながら歩いていた。

知らぬ間にタニシの卵を踏みつぶしていた。

苦道

苦道

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-11-10

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted