IFな恩返し

私は赤ん坊である いつからか静かで寂れた村に私はいた

とある老夫婦に拾われたのだ おじいさんもおばあさんも優しかった

おばあさんが亡くなった時に おじいさんは泣いていた

私もそれに共感するように泣いた

おじいさんはオロオロして私を抱っこした

一緒に泣くはずがおじいさんを困らせてしまったみたいだ

そこからおじいさんは男手一つで私の面倒をみた

畑を耕し家事をして 私の世話をするのは大変だったと思う

おじいさんは時折仏壇を寂しそうな目で見ていた

私は何だか悲しくて泣いた

おじいさんはオロオロして私を抱っこする

またおじいさんを困らせてしまったみたいだ

やがておじいさんは布団で寝込むようになった

おじいさんは私を見て微笑んだ

もうすぐ近所の人が来るから安心しなさい、とおじいさんは言った

私はばあさんやお前さんのような賑やかで騒がしい人達が好きなんだ、と言った

ばあさんを亡くしてぽっかり心に開いた穴をお前さんが埋めてくれた、と言った

ありがとう、と最後に言い おじいさんは目を覚まさなくなった

その時に私の体は大人の女性となっていた

着物もいつの間にか着ていた

徐々に記憶が戻ってきた

ああ、あなた方ご夫婦は本当に良きお方達でございました

ケガをした私を救っていただいた恩は忘れません

ただ、どうやって恩を返せばいいのか私には分かりませんでした

食料には困っていなかったですし 金品も欲しい訳ではなかったのです

悩んだ末に私は赤ん坊となりました

子どもを育てることが あなた方の喜びなのではないかと思ったからです

赤ん坊の知能となっていた私のぼんやりとした記憶ですが

お二人とも毎日笑顔を向けてくれました

私はお世話になってばかりでした

これで恩返しになったのでしょうか?

女性は俯きながら考えた

女性は鶴となり その村を離れた

雪が降り始める時期になるとその鶴は村に戻ってきた

それも大勢の仲間を連れて来た

毎年毎年寒い季節になると その村に鶴の大群がやってきた

やがてその村にはたくさんの観光客が鶴を見に来るようになった

その歓声は村に響き

その土地を賑やかで騒がしくした

IFな恩返し

ご近所迷惑を考慮しない話となりました。
きれいなまとめ方が難しいです。

IFな恩返し

  • 小説
  • 掌編
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-11-04

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