究極美

 むくどり。ぼくらの眠りを妨げるみたいに、鳴いて。天使さま、だと思っていた、あのこが堕ちた、秋と冬のあいだの、冷え冷えとした月の夜に、好きだったひとがキッチンカーで買ったキャラメルクリームのクレープを頬張りながら、きょうはじぶんを甘やかす日、と宣言したときの、なんも感じない感じ。(いまはもう、好きなのはきみじゃないんだ)
 へやでまっている、あのひと。
 ぼくのベッドは、ちょっとせまいけれど、だいじょうぶ。
 いつか、ぼくらは、ひとつになる。肉体から精神。たましいまで。個体の連結、ではなく、かさなりあい、とけあい、そのまま、ひとつの個体、ぼくがあのひとになり、あのひとがぼくとなって。それで。
 永遠。

究極美

究極美

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-10-26

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted