彩香スペシャル~三姉妹監禁志願

彩香スペシャル~三姉妹監禁志願

 この小説は官能小説自動生成ソフト七度文庫が自動生成したシナリオを元に書き下ろした長編小説です

 有紀と彩香ちゃんと江実矢君そっくりのロボットを作ったけど故障で動かない。仕方なく三人がロボットの振りをして大騒動。タコイーカ財団に誘拐されてロボット実験場に閉じこめられて逃げられない。

あらすじ

 彩香ちゃんの家庭教師の勇二君に頼まれて、有紀と彩香ちゃんと江実矢君の三人は三次元スキャナーで体型を測定した。
 勇二君の研究室で三人にそっくりのロボットを作ってロボットダンスコンテストに出場させると見事優勝してしまった。
 テレビ局のディレクターの目に留まって、ロボット三人組を歌手デビューさせる事になった。だけどロボットは故障してしまったので、生身の人間の三人がロボットの代役をすることになった。
 テレビの生放送でメイド喫茶に出演したあと三人は、タコイーカ財団に誘拐されてしまう。タコイーカ財団は戦闘用のロボットを開発中で、三人がロボットだと思いこんでる。 地下のロボット実験場に閉じこめられた三人は、四つ葉学園で他のロボットの女の子と一緒に毎日授業を受けた。四つ葉学園には先生が一人しかいなくて、授業は毎日数学とパソコンの授業だけ。
 三人は何とか逃げ出そう試みたが地上に出たと思っても、地下のロボット実験場の別の場所に出るだけで地上にはなかなか戻れない。
 三人を探して地下のロボット実験場に降りてきた勇二君と協力してなんとか脱出して地上に戻った。だが地上にはもうタコイーカ財団からお追っ手が待ちかまえてる。怪しげな店に逃げ込んだ三人を女王様が鞭を持って待ちかまえてる。

登場人物

彩香ちゃん
 小学校では男の子に恐れられた必殺技「彩香スペシャル」の使い手。数学が苦手なので家庭教師の大学生の勇二君に習ってる。

有紀
 彩香ちゃんの親友で江実矢君とも小学校の時からの同級生。

江実矢君
 お爺ちゃんがロシア人で、肌の色も白くて眼も青い。小学校の時は虐められていて彩香ちゃんにいつも助けてもらっていたので、彩香ちゃんには頭が上がらない。バックフリップが得意なので無理矢理チアガールをやらされちゃう。

勇二君

 彩香ちゃんの家庭教師で大学の工学部の学生。三次元スキャナーで彩香ちゃんと江実矢くんと有紀三人そっくりのロボットを作る。

ピーチ

 彩香ちゃんの隣の家の犬。通風口からロボット実験場に迷い込む。

トンキーさん。
 人気お笑いトリオのモシモシ倶楽部のメンバー。エッチな事が大好き。江実矢君が好きらしい。

良一君

 ロボット実験場のロボット。ロボット実験場には男の子のロボットは良一君しかいない。
ロボットは男の子も女の子も全部同じボディーしかないので、良一君は体は女の子だ。
自分が女の子だと目覚めて勇二君を好きになる。

百合ちゃん
 ロボット実験場のロボット。四つ葉学園でチアリーダーをしてる。良一君と一緒に地下のロボット実験場から逃げ出す。

久美ちゃん
 ロボット実験場のロボット。百合ちゃんと仲が良い。良一君と百合ちゃんとの間は三角関係だけど、勇二君が割り込んできて四角関係になっちゃう。

鈴木先生

 ロボット実験場のロボット。四つ葉学園の先生。鞭の名手。胸に着けてるのは戦闘用ブラジャー

学園祭のお化け屋敷

あらすじ
 親友の彩香ちゃんに誘われて有紀は彩香ちゃんの家庭教師の大学生の勇二君の学園祭に出かけた。学園祭には江実矢君もチアガールの代役で来ていた。お化け屋敷にはロボットの秀美ちゃんもいて脅かされてびっくりしちゃった。

 五時間目の数学の授業のあと有紀は親友の彩香ちゃんと一緒いつものように区立北川中学校の裏門を出て二人でに帰り道を歩き始めた。
 今年から新しい数学の先生がきて新学期から有紀のクラスの数学の授業を受け持つようになった。
 まだ大学を出たばかりの女の先生で、いつも紺のスーツを着ていて服装がまるで就職の面接に行く時みたいだと彩香ちゃんが言っていた。
 授業も聞いていてさっぱり判らないし、めちゃめちゃ厳しくてその上無駄話も多くて困った先生だ。
 彩香ちゃんが数学の先生の悪口をしばらく続けた後、急に「ねえ、有紀ちゃんこんどの新しい家庭教師の人なんだけどね。勇二さんて言うの」と話しを切り出した。
 中学三年になってそろそろ高校受験の準備をしないといけないからと、彩香ちゃんのママが家庭教師の先生をつけてくれたと前にも聞いたことがある。
 新しい数学の先生の授業がさっぱり判らないという話しが彩香ちゃんのママの耳にも伝わったらしい。
 彩香ちゃんは数学が苦手だから、家庭教師の先生は凄い大学の電子工学部の大学生で頭もいいらしい。
 今度その大学で学園祭があるからとその家庭教師の先生に誘われたみたい。
 だけど相手は先生とは言え一応は男性だ。
「男の人と二人っきりになるなんてどう考えても危ないわよね」と彩香ちゃんが言うのでそれももっともだと有紀は思った。
 いくら大学生でも中学生の女の子が好きってことはあり得ない話しではない。
 とりわけ彩香ちゃんはまだ中学生だけど胸は自慢のFカップだ。
 人気の居ない場所で二人っきりになんかなったりしたら、男だったら変な気を起こしたりするかもしれない。
 当日は大学の近くの地下鉄の駅で、勇二君と待ち合わせをすることにした。
 彩香ちゃんの話では江実矢君も誘ったんだけど断られちゃったらしい。
 江実矢君は小学校の時からの同級生で今は同じ区立北川中学の三年生だ。
 江実矢君はお爺ちゃんがロシア人で、肌が白くて眼も青い。
 身体も小柄なので小学生の時は女の子みたいだといつも虐められていた。
 彩香ちゃんは小学校の時からちょっと大柄で胸も大きくて、男の子なんかより強かった。
 江実矢君がいじめられていると、いつも彩香ちゃんが助けていたので江実矢君は彩香ちゃんには頭が上がらない。
 彩香ちゃんの誕生会にも毎年かならず江実矢君は呼ばれていて一度も断ったことはない。
 中学生になってからはも時々彩香ちゃんと有紀と江実矢君の三人で原宿に買い物に行ってた。
 彩香ちゃんに誘わて江実矢君が断ったことなんか今までなかったんだけど、最近は理由をつけて断る事もあるので彩香ちゃんは不満顔だ。
 江実矢君は男の子だけど立志館学園の中等部のチアリーダーチームのラブファイターズに助っ人で参加してる。
 立志館学園は彩香ちゃんのお姉ちゃんの沙織ちゃんが通ってる学校で、中等部と高等部がある。
 来年は彩香ちゃんもお姉ちゃんと同じ立志館学園の高等部を受験する予定だ。
 それで彩香ちゃんは数学が苦手だから、家庭教師の先生をつけることなった。
 数学だったら江実矢君が得意だけど、江実矢君を彩香ちゃんの家庭教師にする訳にもいかない。
 学園祭に行く当日は彩香ちゃんがいつものように有紀の家まで迎えに来た。
 地下鉄に乗るのは春休みに原宿に行って以来なので有紀は気分がうきうきして胸が膨らんだ。
 地下鉄の駅を降りて階段を上がり駅前にでると、駅前には小さな広場がある。
 広場のベンチに座って待っていると、迎えに来たのはちょっと太めであまり背の高くない男の子。
 彩香ちゃんの話では、格好いくて素敵な男性という事だったけど随分話が違う。
 髪の毛も長くしていて、後ろ姿だけ見るとちょっと太めの女の子みたいだ。
 さっそく勇二君に案内されて大学まで行くことになった。
 大学なんて初めてだ。
 中学校よりはおっきい所らしいけど、どんだけ大きいかは見てみないと判らない。
 駅前の商店街を通り過ぎて、角の大通りを曲がると学園祭の大きな看板が目に入った。
 音楽が流れていて学園祭のために流してるらしい。
 正面の門も入る、大きな校舎が並んでいる。
 門のすぐ近く奥には模擬店が沢山ならんでいて、焼きそばやおでん、焼き鳥などまるで縁日の屋台みたい。
 店番をしてるのはみんな大学生らしい。
 だけど模擬店の周りには、お客らしい姿は誰もいない。
「まだ時間が早いんだ、お客さんが来るのは昼過ぎだからね」と勇二君が教えてくれた。
 模擬店の並んだ通路をしばらく進むと、右手に大きな噴水が見えた。
 噴水のすぐ横には机を並べて作った舞台があって大きな看板も見える。
 しばらく待ってるとヒップホップダンスクラブの女の子達が大勢舞台に並んだ。
 女の子達の背後には男の子も大勢居て、音楽が始まるとすぐに踊りが始まった。
 音楽が何曲か過ぎると、舞台に変な格好の男の子達が並んだ。
 まるでロボットみたいに、機械仕掛けみたいな衣装を付けていて踊りもまるでロボットみたい。
 変な格好で踊るので、彩香ちゃんは笑いが止まらない。
 ヒップホップのダンスが終わると今度はチアリーダーの女の子達が一列に並んだ。
 体つきは華奢で顔付きもまだ幼い。
 どう見ても中学生だ。
 大学のチアリーダー部ではないらしいので、有紀は舞台の横の看板を見てみた。
 立志館学院の中等部のラブファイターズの女の子達らしい。
 一番前で踊ってる子は見覚えがある。
 江実矢君とは幼なじみの希美ちゃんだ。
 幼稚園の時、転勤でお父さんと一緒にアメリカに行ってたはずだけど、戻ってきたらしい。
 真っ赤なチアリーディングの衣装の胸にはラブファイターズと英語の文字が見える。
 ピラミッドを組んで一番上の女の子が宙返りして地面に降りたのを見て、有紀はびっくりした。
 お化粧をして女の子の格好をしてるけど江実矢君だ。
 江実矢君が立志館学園の中等部のラブファイターズに助っ人をしてるのは前にも彩香ちゃんに聞いたことがある。
 チアリーディングのトップパーソンの女の子がたまたま怪我をしたので、代役で江実矢君がかり出されたって話しだ。
 トップパーソンは宙返りができないと勤まらないので、それには江実矢君がぴったしだ。
 だけどまさか女の子の格好をさせられてるなんて全然知らなかった。
 踊りを続けてる江実矢君の胸を見ると、何か詰めて膨らませてるらしくて女の子みたいに大きい。
 それに足を上げるたびにスカートの下から見えるのは真っ赤なアンダースコートだ。
 お化粧だってつけまつげをして髪をしっかり結ってどう見ても女の子。
 彩香ちゃんもびっくりして江実矢君が踊るのを見てた。
 彩香ちゃんが学園祭に江実矢君を誘っても断られたのはこのチアリーディングの公演があるからだと彩香ちゃんも気が付いたみたいだ。
 女の子の格好をさせられてチアリーディングの助っ人をしてるなんて事を江実矢君が彩香ちゃんに言えなかったのは確かに気持ちが分かる。
 チアリーディングの演技のあと、チアガールの女の子達が舞台の前で記念写真を撮ってる。
 希美ちゃんが江実矢君に抱きついてるのを見て、彩香ちゃんは口を膨らませて怒った顔。
 勇二君はなぜか江実矢君の事を気に入ったらしくて、しきりにデジカメで写真を撮りまくってる。
 彩香ちゃんは江実矢君が男の子だと教えようと思ったけど、目の前で可愛らしくポーズを取る江実矢君を見て何も言えなかった。
 チアリーディングの公演が終わった後、勇二君が学園祭の展示を一通り案内してくれた。
 大きな大学で、構内を歩いて回るだけでも大変だ。
 習字の展示や、写真の展示とか生け花とか、あとは研究発表とか中学の学園祭では見られないような出し物も一杯あった。
 一通り見て回ったあと、勇二君が特別に彩香ちゃんに見せたい物があると言って体育館の裏に連れて行こうとした。
 何だか心配な気がして有紀はちょうど通りがかった江実矢君に声を掛けた。
 江実矢君は他のチアガールの女の子達と一緒にチアガールの衣装を着たまま学園祭の見物をしてたらしい。
 女の子達はみな手にチョコバナナを持って歩きながら食べてる。
 有紀が江実矢君を誘うと一緒に来てくれる事になった。
 彩香ちゃんはお腹がすいてたらしくて、江実矢君の手からチョコバナナを取り上げたけど江実矢君は何も言わなかった。
 体育館の裏手に案内されると小さい小屋の前には、お化け屋敷と看板が出てるけど周りには誰もいない。
 入り口を入ると中は真っ暗で枯れ木を並べた狭い通路になってる。
 少し先で角を曲がると気持ち悪いお化けが一杯でてきてとても怖くて歩けない。
 もう少しで出口という所で急に天井からろくろっ首が舞い降りてきて、彩香ちゃんのおでこにぶつかった。
 彩香ちゃんはそのままの格好で後ろ向きに倒れてしばらく起きあがれない。
 床に頭を打ったらしい。
 勇二君が部屋の電気をつけると慌てて彩香ちゃんを抱き起こした。
 チョコバナナが半分彩香ちゃんの口のなかに入って息が苦しそうにしてる。
 勇二君が慌ててチョコバナナを口から取ると、彩香ちゃんの体を何度も揺すった。
 彩香ちゃんが眼を開けると、恐かったらしくて勇二君にしがみついて震えてる。
 お化け屋敷だと思っていた部屋は体育館裏のロッカールームだ。
 ロッカーのドアにその辺から取ってきた枯れ木の枝を飾っただけの部屋。
 暗いから怖かっただけで、電気がついてみると何でもな普通のロッカールームだった。
 部屋の中には小さな人形みたいな物がいくつか置いてある。
 中に人が入ってるのだとばかり思ってたけど、お化けはみんな小さな人形だった。
 勇二君が「秀美」と声を掛けると、小さな人形の顔がこっちを向いたので有紀はびっくりして腰を抜かしそうに成った。
 人形の目がくりくりと輝いて有紀の方を見ると「今日は、初めまして、私秀美です」と声が聞こえた。
 なんだか機械が出してるような声で、コンピューターが内蔵されていて喋るらしい。
「ここに置いてあるのはみんな、ロボットでね、内の研究室で開発してるんだ」と勇二君が話してくれた。
「凄いんですね、ホントに勇二さんて、頭いいんですね」と彩香ちゃんがちょっとお世辞を言うと勇二君も顔を綻ばせてる。

三次元スキャナーで身体測定

あらすじ
 勇二君に案内されて電子機械工学研究室を見学した。三次元スキャナーで身体測定をしたいと頼まれて声のサンプルも録音した。学園祭のロボットダンスコンテストでロボット三姉妹が録音したばかりの声を使って「虹色ラブソング」を歌って優勝しちゃた。

 お化け屋敷をでた後に「よかったら、ちょっと研究室見て行かないか。面白い物がいっぱいあるから」と勇二君に誘われて、体育館の裏から研究室の廊下に入った。
 大学の研究室を見せて貰うのは初めてなので有紀は研究室のドアを開けるとき胸がどきどきと高鳴った。
 ドアのすぐ上に「電子機械工学研究室」と小さな看板が出ていたけど名前だけ見てもな何の研究をしてるのかさっぱり判らない。
 それほど広くない部屋は中学校の理科室と同じような作りだけどテーブルが中学の理科室よりもかなり広い。
 天井も高くて部屋の壁は全部真っ白だ。
 電気のコンセントがあちこちにいっぱいあって太い電気のコードが足の踏み場も無いくらいに床に這い回ってる。
 研究室の中には機械がいっぱい並んでいて、勇二君が説明してくれたけど何がなんだか判らない。
 洗濯機を大きくしてアンテナを付けたような機械や、パソコンを沢山積み上げたような機械や、変な形のカメラみたいな機械とか難しい説明を聞いても意味が全然分からなかった。
 開発中のロボットも見せてくれたけど、まだ未完成で頭だけ別になってたり手足がバラバラだ。
 さっきお化け屋敷で見たロボットの秀美ちゃんの頭もあったけど頭だけテーブルの上に置いてあるのは気持ち悪くて見ていて怖くなるくらいだ。
 研究室には他にも男の子が大勢居て、機械を組み立てていたりコンピュータに向かって仕事をしたりとみな忙しそう。
 一番奥に洋服ダンスくらいの大きな機械があって「これは三次元スキャナーでね、これで身体の輪郭を測定してロボットを作るんだ」
「彩香ちゃんの身体を測定すると、彩香ちゃんそっくりのロボットが作れるんだ」と話してくれた。
 一通り研究室の説明が済むと、勇二君がコーヒーを入れてくれた。
 他の男の子達も一休みする時間だとかで、彩香ちゃんを取り囲んでおコーヒーを飲み始めた。
 真面目な顔で頭も良さそうな大学生に囲まれて彩香ちゃんは上機嫌だけど、江実矢君はさっきのチアリーディングの衣装を着たままだ。
 大学生の男の子達からは女の子だと思われてると判って居心地が悪そう。
 しばらくしてすぐ奥からかなり年上の白衣を着た男の人が出て来た。
 研究室の教授らしくて見た目も貫禄があって歩き方も偉そうだ。
 教授が勇二君とに何か話してる。
 相談がまとまったらしくて、勇二君が「頼みがあるんだけど」と彩香ちゃんに頭を下げた。
 彩香ちゃんの身体を今すぐに測定させて欲しいと言われて彩香ちゃんは何の事だか判らずに困ってる。
 三次元スキャナーと中に入って立ってるだけで測定はすぐ終わるからと勇二君が説明してくれた。
 だけど測定をするには下着も全部脱いで裸にならないといけないらしい。
 研究室には他にも男の子達も、ロボットを組み立てたりパソコンで仕事してたりする。
 みんなの前で中学生の女の子を裸にするなんてどう考えても変だ。
 機械の中で裸になるだけだから、男の子には絶対見られたりしないって勇二君が言うけどそんなこと信用できない。
 いくら頭のいい大学生でも男の子だ。
 中学生の女の子が目の前で裸になったりしたら見たくなるのは当たり前。
 覗き見したくなるに決まってる。
「彩香ちゃん判ってくれないかな、どうしてもこの研究にはね、女の子の身体の寸法をこの三次元スキャナーで測るのが必要なんだ」
「それもね、今日中に三人分のデーターが揃わないと絶対駄目なんだ」
「その為にはね、彩香ちゃんと有紀ちゃんと、この恵美ちゃんの三人しかいないんだ」
「本当にね、今君たちが裸になってもらわないと、僕たちは本当に困っちゃうんだよ」となんとか勇二君が説得しようとしてるけど、どう考えたって言ってることが変だ。
「判った、裸になるのがいやなら、僕たちもみんな裸になるよそれならいだろう」と勇二君が言い出したので有紀はびっくりした。
 なんで男の子達まで裸になんなきゃいけないのかさっぱり判らない。
 勇二君に言われて、男の子達がすぐにみんなで服を脱ぎだした。
 中学生の男の子の体だったら水泳の時間に見たこともあるけど、大学生の男の子の体なんて見るのは初めてだ。
 痩せて細い体の男の子もいるけど、胸板が厚くて体の大きな男の子の体は見ていて目が痛くなるほど刺激が強い。
 日焼けしてランニングシャツの模様が体に焼き付いた男の子の体は筋肉が盛り上がって逞しくてとても見ていられない。
 いったいどうしていいのか判らない。
 彩香ちゃんの周りの男の子が全員パンツ一枚になると、彩香ちゃんは困った顔で下を向いたきり顔が上げられない。
 このままだと男の子達はパンツも脱いで全裸になりそうな気配だ。
 どうして男の子の裸なんか見なければいけないのかまったく訳が分からない。
「だいじょうぶ、裸になっても僕たちには見えないんだ、ほらこの機械の中で裸になるだけなんだよ」と勇二君が慌てて彩香ちゃんを説得しようとした。
「この中で服を脱いでね、準備できましたと言ってくれたら、外から見えないんだ本当なんだよ」と勇二君に言われて彩香ちゃんはほっぺたを膨らませて怒った顔をした。
「じゃあ、僕がやります」と江実矢君が彩香ちゃんの横で小さな声で言った。
「あれ」と勇二君が江実矢君の顔をみた。
 江実矢君はさっきチアリーディングの公演をしたときのチアガールの衣装の格好のままだ。
 髪の毛も女の子みたいに結ってるし、お化粧もしてるから見た目は女の子。
 女の子が「僕」なんて言うはず無い。
 彩香ちゃんが慌てた顔で何か言おうとすると江実矢君もすぐに気がついて「私がやります」と今度は女の子らしい鼻声で言い直した。
 彩香ちゃんはっとして何か言おうとしたけど言葉が詰まって黙り込んでしまった。
 勇二君の視線が江実矢君のチアガールのスカートの下に伸びている細い足を辿ると目が虚ろになって口元におかしな笑みを浮かべた。
 江実矢君の足は色白で細くてしなやかで、女の子が見ても羨ましくなるくらいに可愛らしい足だ。
 男の子の勇二君が見たって魅力的で目が離せなくなるのも無理はない。
 他の男の子達の視線ももチアガールの衣装を着た江実矢君の足に一斉に集まった。
 有紀は江実矢君が男の子だと言おうとしたけど、すぐにいいアイデアが思いついた。
 江実矢君が裸になったら男の子だってすぐ判っちゃう。
 研究室の男の子達がこっそり覗き見してたら男の子だとすぐばれるはずだ。
「ねえ、彩香ちゃん、最初は恵美ちゃんにやってもらったら」と有紀が彩香ちゃんに声を掛けた。
 恵美ちゃんというのは江実矢君のあだ名で、小学校の時に同級生の男の子達に虐められて付けられた名前だ。
 彩香ちゃんが顔を上げて江実矢君を見つめると何度か頷いた。
 彩香ちゃんも江実矢君で試しに測定してもらったほうが都合が良いと気が付いたらしい。
「そうね、恵美ちゃんやってくれる」と彩香ちゃんが江実矢君に声を掛けた。
 さっそく話しがまとまって最初に江実矢君が測定して次に彩香ちゃん最後に有紀の順番が決まった。
 もしも江実矢君の測定をしたときに何か変な事でもあれば彩香ちゃんと有紀は測定を断って帰る算段だ。
 江実矢君が三次元スキャナーの扉を開けて、中にはいると勇二君が扉を閉めて厚手のカーテンで入り口を塞いだ。
 中で江実矢君がチアリーディングの衣装を脱いだらしくて、カーテンの下から床に真っ赤な生地が見えた。
 次に胸を膨らませる為に付けていた白いブラジャーがチアリーダーの衣装の上に置かれた。
 見た目には普通のジュニア用のブラジャーだけど、カップにパッドが入れてあって胸が大きく見えるブラだ。
 女の子だったら下着を脱いだら男の子に見えないようにチアリーダーの衣装の下に隠してしまうけど江実矢君は気が回らないらしい。
 最後にパンツも脱いだらしくて、ブラジャーの上に白いパンツを置く江実矢君の手が見えた。
 彩香ちゃんは江実矢君の脱いだパンツを見てびっくりして呆れた顔。
 女物のパンツだ。
 それもレースのヒラヒラ模様のついた可愛らしいパンツ。
 いくらチアリーダーで女の子の服を着るといってもパンツまで女物を履かなくても良いはず。
 きっと希美ちゃんが江実矢君に渡して着せたに違いない。
 だいたい江実矢君がチアリーダーの助っ人をしてる話しは聞いてるけどチアリーダーのチームに希美ちゃんも居るなんて事は聞いてない。
 彩香ちゃんに内緒にして江実矢君が希美ちゃんと会ってるなんてとんでもない話しだ。
 もしかしたら江実矢君は希美ちゃんとお揃いのブラジャーとパンツを付けてるのかもしれない。
 彩香ちゃんもそう思ったらしくて、腹を立てて口を膨らませると顔が赤くなった。
 彩香ちゃんの怒る顔をみて勇二君は自分が不味いことをしたと思ったらしい。
 勇二君は江実矢君のレース模様のパンツを見て恥ずかしそうにして眼をそらせた。
 大学生の男の子でも、女の子のパンツを見て喜んだりするのは恥ずかしい事には違いない。
 下着を脱ぐときは、見えないように服の下に隠して置けば良いのにと有紀は思った。
 男の子達は江実矢君が全裸になったと判ってるはずだけど、顔色一つ変えないで立ってるだけだ。
 誰かが江実矢君を覗き見していれば江実矢君が男の子だとすぐ判るはず。
 いくらお化粧をして髪も女の子みたいに結っていても、胸はブラジャーを取ったらペッタンコだし、股間にはちゃんと付いてる物が付いてる。
 誰も何も言わないと言うことは、覗き見してる男の子はいないと思って間違いなさそう。
「準備できたかな」と勇二君が声を掛けると江実矢君が鼻声で「はい」と女の子の声で返事をした。
 勇二君が機械のスイッチを入れると、急にカーテンの隙間から明るい光が漏れてきた。
 きらきらと光が漏れて部屋の壁が照らされてまるでミラーボールみたいに綺麗。
 すぐに測定は終わったらしくて「終わったから、もう出てもいいよ」と勇二君が江実矢君に声を掛けた。
 江実矢君が手早くさっきのチアリーディングの衣装を身につけるとカーテンを手で押しのけて外に出てきた。
 江実矢君が男の子だってことに誰も気がついてないみたいなので、有紀はほっとした顔で彩香ちゃんを見た。
 彩香ちゃんも有紀と目を合わせてこれなら大丈夫という顔。
 先に彩香ちゃんが三次元スキャナーに入ると勇二君がカーテンを閉めた。
 ブラウスとスカートを脱ぐと次にブラジャーとパンティーを脱いでこっそりとスカートの下に隠した。
 彩香ちゃんはまだ中学生だけど胸はFカップで特大だ。
 ブラジャーも大人用のお色気たっぷりのデザインで、お揃いのパンティーもレース模様のスケスケだ。
 大学生の男の子が見たら気絶しちゃいそうな代物たけど彩香ちゃんが上手く隠したので誰も気が付かなかったらしい。
「じゃあいいかな」と勇二君が声をかけると彩香ちゃんが「はい、いいです」と答える声が聞こえたがなんだか変だ。
 彩香ちゃんの声は震えてかすれたてる。
 カーテンで隠れてるとは言え、大学生の男の子達のすぐ目の前で裸になるのは恥ずかしくて体が震えてるらしい。
 さっきと同じようにカーテンの隙間から明るい光が漏れてくると測定はすぐに終わった。
「もう終わったから、出てきていいよ」と勇二君が声をかけると、彩香ちゃんは急いで服を着直して出てきた。
 次は有紀の番だ。
 勇二君が扉を開けてくれたので三次元スキャナーの中に入ると、機械の中は思ったよりは広い。
 有紀は最初にブラウスを脱いで、次にスカートも脱いだ。
 下着だけの姿になって、誰かに見られてるのではと心配な気がしたけど大丈夫みたい。
 すぐに済ませようと思って、急いでブラジャーとパンティーも脱いで全裸になった。
 さっき彩香ちゃんがしたように、床に置いたスカートを少し持ち上げてブラジャーとパンティーをスカートの下に隠した。
「準備出来たかな」と勇二君が声を掛けてくれたので有紀は「はい」と元気よく答えたつもりだが、声が震えてるのが自分でも判った。
「じゃあ動かないでね」と勇二君の声がまた聞こえると、機械がギュルギュルと音をだして動きだした。
 最初に頭の上に細い青い光が輝くと、グルグルと回りながら頭の上から足の先まで降りていく。
 有紀は目が回ってまるで体が宙に浮いて空を飛んでるような変な気分になった。
 光が足元にとどいたとき急に赤と青と緑色の光が繰り返し点滅した。
 いったい何が起こるんだろうと思ったらすぐに光は消えて機械の音も止まった。
「はい終了」と勇二君がまた声を掛けてくれた。
 思ったよりも簡単に済んで有紀は一安心した。
 服を着て三次元スキャナーの中から出ると、有紀は「これどうなってるんですか」と勇二君に聞いてみた。
「あ、これ、三次元スキャナーてね、ほらコピー機があるだろう、あれと同じなんだ」
「コピー機は二次元をコピーするけどね、この機械は三次元のコピーができるんだ」と得意顔で説明してくれた。
 だけど有紀には勇二君の言う言葉は難しすぎてよくは判らない。
 彩香ちゃんも理解できないらしくて不思議そうな顔をしてるだけ。
 江実矢君は数学が得意だから勇二君の説明を聞いて判ってるらしくて軽く頷いて成る程という顔をしてる。
 有紀も余計な事は聞かない方がいいと思って、頷いて判った振りをした。
 次に体重と身長を測ると、今度は音声のデータを取るからとマイクの前に連れてこられた。
 勇二君が紙に書いた文章を渡してくれた。
 紙に書いてある通りに読めばいいらしい。
「こんばんは、さんこんきくうでんか、のみたいじ」と訳の分からない言葉が並んでるけどともかく読めばいいらしい。
 最初に彩香ちゃんが録音して、次に有紀が録音を済ませた。
 最後に江実矢君が女の子らしい鼻声でマイクに向かって喋った。
 江実矢君の声を聞いて、勇二君はまるでクラシック音楽でも聴いてるようなうっとりとした顔をしてる。
 録音が終わると江実矢君は息が苦しそうにしてるけど、勇二君は江実矢君に歩み寄って顔を近づけた。
「いや、恵美ちゃん可愛いね」とだけ言うと勇二君は言葉に詰まった。
 勇二君はよっぽど江実矢君の事を気に入ったらしくて、江実矢君を見つめたままじっとして動かない。
 普通の男の子だったらナンパする時には、調子のいい台詞が次々に口から飛び出すんだけど勇二君はナンパなんかしたことないから何を言えばいいのか判らないらしい。
 彩香ちゃんが「今日はどうもありがとうございました」と勇二君に声をかけると、勇二君もはっとして我に返ったように彩香ちゃんに微笑み返した。

 録音が済むと後は勇二君がお礼に学園祭の模擬店でクレープを買ってくれることになった。
 大学の構内はさっきよりと随分人が多くて、模擬店の前には行列もできていて歩くのも大変だ。
 さっきの広場の横のクレープの模擬店で勇二君がクレープを買ってくれた。
 噴水の近くのベンチでクレープを食べているとテレビカメラを担いだ人が通りかかった。
 すぐ近くにはテレビ局の大きなワゴンが止まっていて取材に来てるらしい。
 この大学の学園祭で予選が行われてるロボットコンテストの取材だと勇二君が教えてくれた。
 今回からはロボットコンテストにダンス部門が新設されて、ダンス部門の競技が目の前で始まった。
 まず最初に登場してきたのはロボットのダンサーを見て彩香ちゃんはびっくりしてる。
 ついさっきヒップホップダンスクラブで見たロボット風のダンスをしてたダンサーと全く同じ格好だ。
 さっき見た時はロボットの真似をした踊りで、ロボットみたいな衣装を着てるんだと思ってたけどそうじゃなかったらしい。
 へんてこな動きのダンスを見ていると、どうみても中に人が入ってようにしか見えない。
 動きがぎくしゃくして見ていても面白いけど、実は中に人が入ってましたというイタズラをしてるのに違いないと有紀は思った
 カメラを持ったテレビ局のスタッフがステージに上がってロボットのすぐ前から撮影を始めた。
 カメラは左右に動きながらロボットの顔を見上げるように撮影をしてカメラのケーブルがステージの上で蛇のように動き回った。
 一番端で踊っていたロボットのダンサーがカメラのケーブルに足を引っかけて舞台から転げ落ちてしまった。
 ロボットが頭から真っ逆さまに地面に落ちると、頭が胴体からはずれて飛び上がった。
 髪の毛を振り乱してくるくると回りながらロボットの頭が彩香ちゃんの目の前まで飛んできた。
 彩香ちゃんがびっくりして悲鳴をあげて、失神しそうになったけど周りで見てる人は笑ってるだけ。
 生きてる人の頭がそんなに簡単に転がるわけがないと思ってよく見ると、人間の頭だと思ったのは縫いぐるみみたいな形で首から電線や支柱が取れてる。
 慌てた顔で舞台の後から男の子達が飛び出してくると、彩香ちゃんの目の前に転がった頭を抱え上げた。
 くるくると目が動いてまるで生きてるみたいだけどやっぱりロボット。
 ダンスをしてるのはロボットの扮装をしたダンサーじゃなくて、本当にロボットだったんだ。
 男の子達が慌てて壊れたロボットをかたづける彩香ちゃんもやっと一安心した顔でゆっくりと息をついた。
 次の出番になってステージの上に男の子達が大きな箱を運んできた。
 大きな音でロックの曲が始まると箱の正面に小さなドアが開いてそこから小さなロボットが沢山でてきた。
 ステージ一杯がロボットで溢れそうになると曲が止まった。
 音楽がクラッシックの曲に変わると今度は一斉にロボットが踊り出した。
 まるでディズニーランドのショーでも見てるみたいだ。
 曲が終わって男の子達が小さなロボットをかたづけると次に出てきたのはピンクのゴスロリのメイド服を着た三人のロボットだ。
 三人ともそっくり同じ作りのロボットでまるで三つ子の三姉妹みたい。
 顔は人形の顔みたいに人間そっくりに作ってあるけど動くのは目だけ。
 無表情で目だけがくるくると動くのはなんだか不気味な感じだ。
 頼りない足取りでステージの正面に並ぶと、聞き覚えのある曲が聞こえてきた。
 アイドルグループの虹色天使が歌ってる「虹色ラブソング」だ。
「ふんわか、ふわりん、ふんわか、ふわりん」とロボットが踊りながら歌い出したけど、その声を聞いて有紀はびっくりした。
 ロボットの声は彩香ちゃんと有紀と江実矢君の三人の声にそっくりだ。
 さっき研究室でマイクで録音したのは、この為だったんだ。
 彩香ちゃんもびっくりした顔で有紀の顔を見つめた。
 さっき録音したばかりなのにもうロボットのコンピューターにプログラムしちゃうなんて勇二君は凄い。
 なにが凄いのかは判らないけどともかく凄いと有紀は思った。
 ロボットの踊りはまるで機械が動いてみたいな動きで虹色天使の踊りと比べても随分とぎこちなかった。
 一応は虹色天使が歌うときの振り付けそっくりに踊ってるけど何だか見ていても不思議な感じがした。
 まるで虹色天使の女の子が操り糸で操られているのを見ているような感じだ。
 虹色天使と見分けが付かないくらいそっくりにロボットに踊らせるのは今のロボットの技術ではまだ難しいみたいだ。
 それでも最後までちゃんと踊れたというだけでも凄いと有紀は思った。
 他にも何組かの出場チームがステージに上がった。
 途中でロボット同士がぶつかって倒れてしまったり、止まったまま動かなくなったりするチームばかりだ。
 ロボットはちゃんと動かすだけで難しいんだと見ていて有紀にも判った。
 最後に審査員が集まって採点を集計している。
 優勝チームが決まったらしく審査委員長がメモ用紙を手に持ってマイクに近づいた。
「優勝チームを発表します。電子機械工学研究室」と聞いて勇二君が嬉しそうに両手を上げて万歳をした。
 他の電子機械工学研究室の男の子達も、両手を上げて万歳をしながら嬉しそうに走り回ってる。
 勇二君も一緒に男の子達の輪に加わって両手を振り回して踊り出した。
 嬉しくて気持ちが抑えられないらしい。
 いきな勇二君が江実矢君に向かって突進してきた。
 両手を広げて勇二君が江実矢君に抱きつこうとしたとき、とっさに江実矢君が身をかわして後ろ向きに空中回転した。
 江実矢君得意のバックフリップだ。
 勇二君が一瞬江実矢君の姿を見失って躓くとグランドにばたりと倒れ込んだ。
 江実矢君はすばやく逃げて彩香ちゃんの後に隠れた。
 勇二君は頭を上げて江実矢君を探してるけど目の前には江実矢君がいない。
 他の男の子達が勇二君を取り囲んで手足を掴んで抱え上げた。
「いっせーのせー」と声を合わせて、勇二君の体が空に舞った。
 テレビ局のカメラが勇二君の胴上げを撮そうとしてすぐ目の前まで近寄ってきた。
 次に江実矢君を胴上げしようと勇二君が言い出すに違いない。
 江実矢君はチアリーダーの衣装を着てるから胴上げするにはもってこいだ。
 だけど江実矢君がチアリーダーの女の子の格好をしてるのがテレビで紹介されたりしたら困ったことになる。
 これは逃げ出した方がいいと有紀は思った。
 彩香ちゃんも同じ事を思ったらしい。
「恵美ちゃん早く、逃げるのよ」と彩香ちゃんが江実矢君に声を掛けた。
 三人は大学の正門まで一斉に全速力で駆け出した。

ロボットダンスコンテスト

あらすじ
 ロボットダンスコンテストで勇二君の研究室が作ったロボットが優勝した。だけど記者会見の前に故障して動かない。彩香ちゃんと有紀と江実矢君がロボットの振りをして記者会見にでると大騒ぎに。

 次の日曜日に代々木に体育館でロボット大会の本戦があるというので、勇二君に誘われて見に行くことにした。
 彩香ちゃんと江実矢君と有紀の三人が地下鉄で渋谷駅まで行ってハチ公前で勇二君と待ち合わせをした。
 勇二君に案内されて大通りを登っていくと代々木公園にでた。
 広い公園の奥にあるちょっと変わった屋根の建物が代々木体育館だ。
 代々木公園の体育館に入るとなかはすごく広くて中学校の体育館の何十倍もある。
 中央の板張りの床の周りをぐるりと観客席が取り囲んでて数え切れないほどの座席だ。
 勇二君はロボットの準備があるので、他の研究室の男の子が居る場所に戻った。
 彩香ちゃんと有紀は江実矢君と観客席から応援することにした。
 何処に座ろうかと思ったが観客はまだ殆ど誰もいなくて何処でも好きな場所に座っていいみたい。
 中央の一番良い席に三人で座ると有紀は会場を見まわした。
 すぐ目の前のロボット大会の会場には大勢の学生が集まっていてみな真剣な顔付き。
 参加してるのは大学や高専などの研究室で開発してるロボットばかり。
 アルミの骨組みに、電線がいっぱい絡みついていてオモチャのロボットとは大違いだ。
 テレビ中継のカメラも会場内の様子を撮影してるのでうっかり欠伸もできない。
 しばらくしてテレビカメラのスタッフが忙しそうに動き始めた。
 会場の正面のマイクの前に司会のアナウンサーが立つといよいよ開会式だ。
 来賓の挨拶のあと開会宣言があってさっそく競技が始まった
 最初はロボット格闘技戦で、色んなロボットが対戦を始めた。
 中には動き出したと思ったらすぐ止まっちゃうロボットや、自分で勝手に転んで起きあがれないロボットも居る。
 次第に上位チームの対戦が始まるとどれも熱戦ばかり。
 どこのチームが勝ってもおかしくない大接戦だ。
 負けたチームはがっかりして悔しがってるけど、ちょうどテレビ番組では都合がいいシーンらしい。
 テレビのカメラが負けたチームをしつこく撮影してるので、中には怒り出すチームもいて随分と騒がしい。
 格闘技部門の決勝も終わったらしくて、次は正面のステージでダンス部門の競技が始まった。
 学生達はみなステージの横に集まって出場の順番を待ちながら準備に忙しい。
 ダンス部門は審査員がダンスの審査をして採点する方式で、ステージでロボットが演技を始めた。
 最初のチームは目玉がきょろきょろと動く変な顔のロボットだけど踊りは結構上手だ。
 まるで操り人形みたいに巧みに音楽に合わせて手足を動かしてる。
 その次にでてきたロボットは顔も形も本物の人間そっくりだけど、やっぱり動きがぎこちない。
 いよいよ勇二君の大学のロボットが登場してきて、彩香ちゃんはびっくりして目を丸くした。
 三人組で可愛らしいフリフリのピンクのゴスロリメイド服を着たロボットは、彩香ちゃんと有紀、それに江実矢君そっくりだ。
 彩香ちゃんと有紀のロボットがメイド服を着てるのは判るけど、江実矢君のロボットまでワンピースのメイド服なのを見て有紀はびっくりした。
 やっぱり勇二君は江実矢君の事をずっと女の子だと思いこんでるらしい。
 音楽が鳴り出すと最初にポーズを作って決めた後、「虹色ラブソング」を歌いながら踊り出した。
 口もちゃんと動いて、表情も歌いながら曲に合わせて笑顔を作ってる。
 手や足の動きもなめらかで、とてもロボットが踊ってるようには見えない。
 学園祭の時に見たロボットは顔の表情もないし動きもぎこちなくてロボットだとすぐ判ったけど今度のロボットは本当に人間そっくりの動きだ。
「ふんわか、ふわりん、ふんわか、ふわりん」と歌う声は、研究室で録音した三人の音声を使ってるはず。
 この間の学園祭で聞いたときの歌と比べても滑らかで自然な声になってる。
 彩香ちゃんのFカップの巨乳もそのままそっくりに再現されていて、踊るたびに上下に大きく弾んで揺れてる。
 彩香ちゃんは目を丸くしたままじっとロボットのダンスを見つめて動かない。
 三次元スキャナーで測定してからたった一週間しか経っていないのにこんなに凄いロボットを作っちゃうなんて勇二君の研究室は本当に凄い。
 広い代々木体育館の観客席からもびっくりして声にならないため息の音があちこちから聞こえてきた。
 ロボット三姉妹が最後まで歌を歌い終わるとシーンと静まり返っていた観客席から一斉に大きな拍手が沸き上がった。
 もしかしたらこの勇二君の研究室が作ったロボット三姉妹が優勝するかもしれないと有紀は胸が高鳴った。
 ようやく次のチームのロボットが登場すると彩香ちゃんは有紀に「凄いわね、もうびっくりしちゃって」と言うと大きく息を吐き出した。
 一通りロボットの踊りが済むと、審査委員が別室で協議をするために席を立った。
 有紀が見た限りでは勇二君の研究室が作ったロボットが一番凄かった。
 歌も踊りも本物の虹色天使そっくりで、そのままテレビの歌番組に出演できるくらい完璧だ。
 だけど審査員はまた別の視点から採点するかもしれないので、勇二君が賞を取れるかは判らない。
 しばらく待っていると勇二君が観客席の三人に向いて手を振ってる。
 席をたって勇二君の居る一階の競技会場に降りていくとロボットはもういない。
 勇二君が三人を奥の控え室に案内してくれた。
 倉庫みたいな薄暗い部屋には、競技に参加したロボットが運び込まれてきてすぐ裏手の駐車場から運び出す準備を始めてる。
 さっき「虹色ラブソング」を歌った三体のロボットは充電中で床に寝かされていた。
 彩香ちゃんは恐る恐る自分のロボットの顔を覗き込んだ。
 確かにロボットは彩香ちゃんそっくりで、どこが違うのか見ても判らないし本人でも区別が付かないくらい似てる。
 運営係の人が部屋に入ってくると勇二君にそっとなにか耳打ちした。
 勇二君は急に顔を綻ばせて嬉しそうな口調で「やったぜー」と叫んだ。
 ダンス部門で優勝したのは勇二君の研究室で作った三人姉妹のロボットだと決まったらしい。
 表彰式があるというので、彩香ちゃんと江実矢君と有紀は勇二君と一緒に会場に戻った。
 参加チームが一列に並んで整列をしてるので、三人も勇二君と一緒に並んだ。
「では審査結果の発表を行います」とアナウンスがあって最初は敢闘賞が発表された。
 受賞したチームは大喜びで飛び上がってはいるけど優勝を逃したとがっかりしてる。
 最後にダンス部門の優勝チームが発表された。
 優勝したのは勇二君のチームだ。
 優勝したと知っていたのは勇二君だけらしくて、他の電子機械工学研究室の学生達は大喜びで両手を上げて万歳してる。
 優勝のトロフィーを勇二君が受け取るとき、勇二君が彩香ちゃんと江実矢君と有紀に一緒に表彰台にあがるように薦めた。
 彩香ちゃんはきっとロボットのモデルが自分たち三人だからそれで一緒に表彰台にあがるんだと思ったみたい。
 三人が勇二君と並んで表彰台に上がると、会場から歓声とため息が沸き上がった。
 彩香ちゃんは嬉しそうな顔で微笑むとまた会場に驚きの歓声が沸き上がった。
 どうやら自分たちがさっきのロボット三姉妹だと思われてるらしいと有紀は気が付いた。
 表彰式が終わると、三人の周りに他の参加者が集まってきて身動きができなくなった。
 他の参加者も三人がロボットだと思ったらしくて、近くに寄ってよく見ようとして集まってきてるらしい。
 研究室の男の子達が慌てて「近寄らないで下さい」と大声をだして三人を取り囲んで控え室まで連れ戻った。
 ロボットを梱包し直して運び出そうと準備を始めたときしたとき頭にヘッドホンとマイクを付けた男性が勇二君に近づいてきた。
 男性はテレビ局のディレクターらしくてこれから急遽記者会見をすると勇二君と相談してる。
 ディレクターが「すぐ記者会見が始めるから、プレスルームにロボットを持ってきて」と言ってるのが聞こえて来た。
 テレビ番組でロボットダンスコンテストを取り上げるので、記者会見の場面も欲しいらしい。
 勇二君が慌ててロボットのスイッチを入れたけど動かない。
「いまロボット動かないんです、充電が上手くいかなかったらしくて、きっと電圧が足りないんですよ」と勇二君が言い訳をした。
「いや、すぐなんとかしてくれ、すぐ動かすんだ。記者会見で大評判。いや凄い番組になるよ」とディレクターが言い張って譲らない。
 勇二君がロボットのスイッチを何度も押したけど動く気配はない。
 彩香ちゃんが勇二君の側に近づいて「やっぱり動かないんですか」と心配そうに声をかけた。
 ディレクターが彩香ちゃんの方に振り向くと彩香ちゃんの顔とロボットを見比べてびっくりした顔をしてる。
「ロボットのモデルはこの子たちなんですよ、三次元スキャナーで測定したんです。そっくりでしょう」と勇二君が自慢げに説明した。
 ディレクターは彩香ちゃんと江実矢君それに有紀の顔を何度もロボットの顔と見比べていたけど、なんだか納得できなくて不思議そうな顔をしている。
 急にディレクターが彩香ちゃんをモデルにしたロボットの胸を触りながら「胸の大きさもそっくり同じに作ってあるのかね、いやこれは凄い」と勇二君に聞いている。
「だから言ったじゃないですか、三次元スキャナーで測定したって、全身を三次元スキャナーで測定したから胸だって同じ大きさですよ」と勇二君が説明したけどディレクターは「三次元スキャナー」が何のことか判ってないらしい。
「それでどうやって、胸まで同じ大きさに作ったんだ、いや良くできてるね、手触りもそっくりだ」とロボットの胸を握りしめて撫で回し始めた。
 彩香ちゃんはまるで自分の胸を揉まれてるような気分になって「止めて下さい、セクハラですよ」と大声をだした。
 ディレクターは彩香ちゃんの方に振り返ると急に思い立ったように「そうだその三人に記者会見にでてもらおう、そう、それがいい。何でも良いからともかく記者会見に出てくれればいいんだ。そうしよう」と素っ頓狂な声をだした。
 勇二君もロボットのモデルになった三人が記者会見にでれば話しが丸く収まると思ったらしい。
「君たち記者会見にでてくれると、とってもありがたいんだけど、出てくれるよね」と勇二君にも言われて断れない。
 とりあえず記者会見に出るだけだからと、彩香ちゃんと有紀と江実矢君の三人は勇二君と一緒に部屋をでてテレビ局が用意したプレスルームのテーブルの前に座った。
 すぐ目の前には新聞記者やテレビの報道記者らしい姿が大勢並んでいてテレビカメラもある。
 カメラのフラッシュが続けて光るとまぶしくて目が開けていられない。
「受賞おめでとうございます」とアナウンサーのインタビューが始まった。
 勇二君が嬉しそう「ありがとうございます」と答えるとまずは受賞の感想や苦労話などのインタビューが続いた。
 三人は勇二君の横に座って話しを聞いているだけだったけど記者会見の雰囲気が変だ。
 彩香ちゃんが少し微笑んだり、手を組み替えたりするだけで驚きの声が会場から聞こえるのが判った。
「こっちを見て下さい」と誰かの声が聞こえたので彩香ちゃんは声のした方を見た。
 すると「すごい言葉が分かるんだ、こっち向いたぜ。言ってることが判るんだ」とすっかり感心しきった声が聞こえてきた。
「好きなタイプの男性は」とまた別の記者らしい声が聞こえた。
 彩香ちゃんは困った顔をしたけど「優しくて、男らしい人です」と答えた。
「おい、今の顔見たか、困ってるぜ、すごい表情だ。困った顔ができるロボットなんてのはまったく凄い」とまた誰か別の記者が言うのが聞こえた。
 三人ともロボットだと思われてるのに気がついたけどもう遅い。
 彩香ちゃんはすっかり調子に乗ってロボットらしい身振りで手を振った。
 記者の視線が一斉に彩香ちゃんの手の動きに注目してカメラのフラッシュが光った。
 彩香ちゃんが指先をゆっくりと動かすと記者の視線が今度は彩香ちゃんの指に集まった。
「すごい指が一本づつ動くぜ、これはすごい」とまた誰かが驚いた声で言うのが聞こえた。
「みなさん今日は」とロボットみたいな変な口調で彩香ちゃんが言うと「やっぱりロボットだぜ、これは本当に、すごいロボットだ」と誰かがもっともらし口調で呟いた。
 勇二君もいまさら三人がロボットのモデルになった生身の人間だとは言えなくて困った顔をしてる。
 記者会見も済んで会場から記者らしい人影がなくなると、さっきのディレクターが勇二君に近づいてきた。
 てっきり叱られるんだと思って勇二君は下を向いて眼をそらせた。
 記者会見で彩香ちゃんがふざけてロボットの真似をしたのが不味かったらしいと彩香ちゃんも浮かない顔で下を向いた。
 ディレクターには今度のテレビ局の番組にロボットを主演させて欲しいと言われて勇二君は困ってる様子だ。
 原因は分からないけど肝心のマイクロプロセッサーが壊れてしまったらしくて、ロボットが動かない。
 最新型のマイクロプロセッサーなのど、すぐには替わりの部品を手に入れるのはむりらしい。
 せっかくのチャンスなのに勇二君の研究室のロボットをテレビで宣伝する機会を見逃すなんて手はない。
 それならロボットの替わりに、彩香ちゃんと有紀と江実矢君の三人にテレビ番組に出たらいいとディレクターが提案した。
 さっきの記者会見で彩香ちゃんがロボットの振りをして大受けだった。
 テレビ番組でも三人ともロボットの振りをすればきっと大評判になるはず。
 ディレクターはすっかり乗り気になってるけど、そんな嘘を番組で放送するなんていいんだろうか。
 いきなり勇二君が彩香ちゃんの目の前で土下座して頭を下げて「お願いします、一生のお願いです、ロボットの真似をするだけでいいんです」と頼み込んだ。
 勇二君にそこまで頼まれたらしょうがないので三人はテレビ番組に出る事にした。
 だけどテレビ番組でインチキをするなんて本当にそれでいいんだろうか。
 彩香ちゃんが「本当にそれでいいんですか」とディレクターに食ってかかった。
 テレビ局のディレクターは顔色一つ変えずに平気な顔をしてる。
 番組作りではその位の嘘は演出の範囲で、全然問題ないというので有紀はびっくりした。
 テレビ番組は「将来の日本」という随分堅苦しい名前の番組で、放送は前もって全部録画しておくという話しだった。

テレビのドキュメンタリー番組に出演

あらすじ
 将来の日本というテレビのドキュメンタリー番組で彩香ちゃんと有紀の江実矢君の三人が新人のロボット歌手として取り上げられる事になった。ロボットの三人が原宿で買い物をしてる所をスカウトされるという設定で収録が始まった。だけど変なスカウトに捕まって怪しげな面接を受ける。

 収録の当日にテレビ局に行くとディレクターが番組の内容の説明してくれた。
 普通にロボットの紹介をしても仕方がないというので「これからデビューする新人歌手が実はロボットなんです」というストーリーでドキュメンタリー番組を作成するという話しだ。
 全部が全部作り話だけど、番組を面白くするためにはこの方が良いとかディレクターが勝手な言い分を並べてる。
 番組の司会役は人気のお笑いタレントの「モシモシ倶楽部」の三人だと楽屋で紹介された。
 三人ともテレビの番組で見るときと同じにニコニコしている。
 取りあえず「宜しくお願いします」と三人で頭を下げるとトンキーさんが「はじめまして、っぺ」と眼を大きく開いてぐるぐる廻した。
 テレビでいつも見てるギャグを目の前で見て、有紀は笑っていいのか判らずに顔が引きつった。
「いや、驚かして御免ね、っぺ」とまたトンキーさんが今度は顔の横に両手を広げて唇を尖らせた。
 笑わなければいけない所らしいと気が付いて有紀が仕方なく笑うと、彩香ちゃんと江実矢君も一緒にわらった。
 トンキーさんが彩香ちゃんに歩み寄ると「君たちロボットなんだってね」と言いながらいきなり彩香ちゃんの胸を掴んだ。
 彩香ちゃんが驚いて飛び跳ねると「止めて下さい」と大声でどなった。
 トンキーさんはあれっという顔で他のモシモシ倶楽部のメンバーの顔を見た。
「本当にロボットな分けないだろう」とディレクターが慌ててトンキーさんを叱りつけてる。
 トンキーさんは他のモシモシ倶楽部のメンバーから三人はロボットだとからかわれていたらしい。
「いや、御免冗談のつもりなんだ」とディレクターになだめられて彩香ちゃんも納得したようで俯いてトンキーさんから目をそらせた。
 その後は控え室で、着替えとお化粧をしてもらった。
 衣装はゴスロリ風のピンクのワンピースで随分と派手だ。
 ディレクターも江実矢君のことは最初から女の子だと思ってたらしい。
 江実矢君に用意された衣装もお揃いのワンピースだけど江実矢君は仕方ないと思ったのか着替えを始めた。
 彩香ちゃんも多分江実矢君が女の子の格好をさせられると思って、江実矢君用にパッド入りのブラジャーを用意ししてきた。
 江実矢君は諦めた顔で、彩香ちゃんに手伝ってもらってブラジャーを着けた。
 彩香ちゃんが女物のパンティーをバッグから取りだして江実矢君に渡したので有紀はびっくりした。
 ブラジャーとお揃いのパンティーは白いレース模様で女の子らしい可愛いデザインだ。
 希美ちゃんが江実矢君に女物のパンティーを履かせてるので、彩香ちゃんも希美ちゃんに負けたくないらしい。
 江実矢君が彩香ちゃんに逆らえるわけがない。
 パンティーを受け取ると江実矢君は大人しく着替えをすませた。
 お化粧はテレビ用の派手めのお化粧で、係の人がやってくれたけどすごい上手だ。
 三人とも普段とは別人みたいな美少女に見える。
 とりわけ江実矢君はテレビに出てるアイドル歌手みたいに可愛い。
 ディレクターも江実矢君の化粧をした顔をみて、満足そうな顔で頷いてる。
 準備も済んでまずは最初に芸能プロダクションにスカウトされるという場面の収録からすることになり、三人で原宿に行くことになった。
 放送局のワゴン車で原宿の駅前まで行くと、竹下通りのすぐ手前で車を降りた。
 隠し撮りの雰囲気で撮影したいというので、どこにテレビカメラを持った人がいるのか判らない。
 三人揃って竹下通りを歩いていると、大勢の女の子達が買い物に来てる。
 原宿ではゴスロリのワンピースなど珍しくないらしくて、三人に振り向くような女の子は居ないので彩香ちゃんはちょっとがっかりした顔をしてる。
 竹下通りを半分くらいまで歩くと、芸能プロダクションのスカウトらしい男性がやってくるのが見えた。
 すぐ後にはテレビカメラを隠し持ったテレビ局のスタッフらしい男ががこっそりと寄り添ってる。
 黒い背広をきてしゃれた感じの髪型は若く見せてるけど、そこそこの年の男性らしい。
「やあ、君たち可愛いね。学校はどこ」と男が話しかけてきた。
 ディレクターが言ってたスカウトの男に間違いなさそう。
 最初は不審そうな顔をして返事をしないようにとディレクターに言われて他ので、無視して歩き出そうと彩香ちゃんが一歩踏み出した。
 男は彩香ちゃんの前に立ちはだかると「可愛いねワンピースだね、とっても似合ってるよ」とまずは気軽な感じで話しかけてきた。
 彩香ちゃんは、前もってディレクターに言われてたとおりにわざと機械みたいなおかしな口調で「ワタシタチ、ハラジュクハジメテナンデス」と答えた。
 するとスカウトの男性は「いや、君、可愛いしゃべり方だね、もうすぐタレントさんになれるよ。テレビにでないか」と話しを向けてきた。
「いやもうそのしゃべり方は、タレントさんよりも歌手の方がいいね、いやバラエティー番組にもぴったしだ」と男は随分と調子が良い。
 彩香ちゃんがまたロボットの口調で「ホントウデスカ、ウレシイナ」と言うと男はも話しが着いたと思ったらしい。
「じゃあ、これから一緒に来てくれるかな、すぐ近くに事務所があるから詳しい話しはそこで」と言われて事務所に行くことになった。
 裏通りを歩いていくと細い小道を入ってマンションの部屋に連れて行かれた。
 手提げ鞄に隠しカメラを持ってる男がずっと後を付けてきてるので撮影に間違いない。
 マンションの部屋には表札がないけど、中は事務所みたいになっていて机や棚が並んでる。
 まずは面接をするからと奥の小部屋に入ってソファーに座るようにと指示された。
 彩香ちゃんがソファの中央に座ると左右に江実矢君と有紀が彩香ちゃんに体を寄せて座った。
 すぐ目の前にはテレビカメラが三脚に載せられていて撮影もやってるみたい。
 ミニ丈のゴスロリのワンピースでソファーに座ると、スカートの裾で腿がちょっと隠れるだけで前から見たらパンティーが丸見えになっちゃう。
 有紀は足をしっかりと閉じてスカートの裾を引っ張って腿を隠した。
 彩香ちゃんも落ち着かない様子でスカートの裾を直すと、正面のカメラを見つめた。
 江実矢君もちょこんとお尻をソファーの前の端に降ろしてからお尻を後にずらす女の子座りをしてる。
 座った後に足をしっかりと閉じてスカートの裾を気にしてる仕草は見ていても感心するくらいに上手。
 いつもチアガールの衣装を着せられてたのでミニスカートを履いた時の座り方にもだいぶ慣れてきたみたい。
 これなら江実矢君が男の子だとは判らないはずと彩香ちゃんも一安心した顔だ。
「じゃあ面接を始めるからね、面接に受かったらテレビに出て人気アイドルになれるんだ、もう君たちなら大人気」
「だからね。聞かれた事にはなんでも素直に答えてくれないと面接には受からないからね」とまず最初は面接の心構えから始まった。
「じゃあ、始めるよ、楽な気持ちで普段通りに答えれば良いからね」と言いながら男がカメラの横に座った。
 有紀は自分がテレビドラマの主人公になったような気がして気分が落ち着かない。
 彩香ちゃんも緊張して表情が硬くなってるけど、江実矢君は平気な顔だ。
「原宿にはよく来るの」と最初の質問が始まった。
 テレビカメラで撮影してるのでうっかり変な返事はできない。
 彩香ちゃんはさっきみたいにロボットの口調で「ヨクキマス」と答えたが、男が眉をしかめて「君いつもそんなしゃべり方してるの、それとも僕をからかってるのかな」と冷たい口調で叱りつけてきた。
 普通に喋ればいいらしいと気が付いて彩香ちゃんは「ごめんなさい」と少し拗ねた口調で呟いた。
「いいんだよその自然な喋り方が女優さんには大事なんだよ」と男に言われて彩香ちゃんは機嫌が直ったみたいで「はい」と返事をした。
「じゃあもう一度聞くからね。原宿にはよく来るのか」ともう一度聞かれて「よく来ます」と彩香ちゃんは精一杯可愛らしい口調で答えた。
「そんなに硬くならなくて良いんだよ」とまた男に注意されて彩香ちゃんはまた拗ねた顔で俯いた。
「可愛いワンピースだね、原宿で買ったのかな」と今度は彩香ちゃんの機嫌を取るような口調で男が話しかけてきた。
 そんな事はどうでもいい話しだけど最初は気持ちをほぐすために雑談から始めるらしい。
「将来は、君たち歌手になれるんだ、だけどその前にいろいろ話しを聞いておかないとね」と男が言うので成る程と思った。
「三人とも、彼氏いるのかな」と聞かれてどきっとした。
 やっぱり江実矢君の事を女の子だと思ってるらしい。
「どんな男の子がタイプかな、いますぐ好みのタイプの男の子が現れたら嬉しいよね」とか聞かれたけど何だか変だ。
「今までに付き合った男の子で一番よかったのはどんなタイプかな」と聞かれたけど中学生で男の子と付き合うはずなんかない。
 三人とも答えの仕様が無くて黙っていると「男の子にどんなことされると一番気持ちよかったのか体験を聞かせてくれないかな」とまた聞かれた。
「女の子だから気持ちよくなりたいよね」とまたおかしな事を聞かれて有紀はこの面接はなんだか変だと気が付いた。
「気持ちいいこといつもしてるよね、女の子が気持ちいい事ってどんなことなのか教えてくれないか」とエッチな話しばかり聞かれるのはやっぱり変だ。
 三人が返事をしないで黙っているだけなので、男は急に不機嫌な口調で「聞かれた事にはちゃんと答えないと面接には受からないよ」叱り飛ばしてきた。
 有紀は怖くて逃げ出したくなったけどテレビの収録中に逃げたりしたらディレクターに後で怒られるだけだ。
 男は急に態度を変えて猫なで声で「いや、君たちはインタビューは初めてだからね。最初は緊張して硬くなって上手く答えられないけど、いつも友達と話しをしてる気持ちになればいいんだよ。大きく息をすって体の力を抜いて楽にしてごらん」と優しく語りかけてきた。
 厳しく叱りつけたり甘い声でおだてたりするのがタレントを操る手口だと有紀にもなんとなく判ってきた。
「君たち、学校に行くとき痴漢によく会うよね、可愛い女の子はみんな毎朝痴漢に遭うのが当たり前だよね」と男がまた変なことを聞いてきた。
 中学校には歩いて通ってるから朝痴漢に遭うなんて事はない。
 彩香ちゃんが急に「よく知ってるんですね、私毎朝痴漢に遭うんです」と答えたので有紀はびっくりした。
「痴漢に遭うと気持ちいいよね、痴漢は触るの上手だから」と男に言われて「そうなんです、もう気持ちよくて感じちゃって」と彩香ちゃんが大げさに答えた。
「毎朝痴漢に遭うと、夜寝るときも痴漢の事を思い出しちゃうよね」と男にまた言われた。
 そう言えば彩香ちゃんのお姉さんの佐織ちゃんは朝痴漢に遭ってるとか彩香ちゃんが話してたのを思い出した。
 彩香ちゃんはお姉ちゃんの佐織ちゃんの話を自分の話だと嘘をついて答えてるらしい。
「タレントさんはね、演技もできないといけないんだ、たったいま痴漢に遭ってると想像して演技をしてごらん」と男が言い出したので彩香ちゃんは困った顔。
「じゃ、まずそこの恵美ちゃんから演技をしてもらおうかな、恵美ちゃんも毎日痴漢に遭ってるよね」と男に言われてさすがに江実矢君も困って返事ができなかった。
 江実矢君は今はゴスロリのワンピースを着てるけど普段は男の子だ。
 痴漢に遭う訳なんか無い。
「さあ、やってごらん、いま電車の中で痴漢にお尻を触られてるって想像するんだ」と男に言われて彩香ちゃんが「私やります」と言い出した。
 彩香ちゃんが顔を歪めて嫌な顔をすると、唇が震えて泣き出しそうな顔になった。
「いま痴漢に何処を触られてるのか言いなさい」と男に言われて「お尻を触られてます」と彩香ちゃん答えると眉毛を歪めて嫌がってる顔をした。
 いくら何でも普通のテレビ番組でこんな場面を撮影する訳がない。
 彩香ちゃんが急に顔を歪めて体を震わせて喘ぐように何度も息を吐き出した。
 いつの間にか彩香ちゃんの足が左右に開いて腰を前に突き出してる。
 有紀は目の前で何が起きてるのか訳が分からなくなった。
 彩香ちゃんが頭を仰け反らせて大きく体を震わせた。
 有紀が彩香ちゃんの手を握りしめると彩香ちゃんが強く握り返してきた。
 彩香ちゃんの苦しそうな喘ぎ声を聞いて有紀の体が熱く燃え上がった。
 目眩がしそうな気分で有紀は目を閉じると、自分が痴漢に遭ってるのを想像した。
 体中から汗が噴き出して、頭に血が上って気絶しそうになった。
 彩香ちゃんがいきなり江実矢君の股間に手のひらを押し当てた。
 ゴスロリのワンピースの下で盛り上がってるのを隠そうとしてるんだと有紀にもすぐ判った。
 いくら女物のパンティーを履いていたって、おっきくなっちゃったら盛り上がって隠しようがない。
 男はまだ江実矢君の事を女の子だと思ってるらしい。
「君たち仲が良いんだね、いつもそうやってるんんだね」
「気持ちいいこといつもしてるんだね」と男に言われて彩香ちゃんは今度はもう一方の手を有紀の股間に押し当ててきた。
 有紀は思わず「だめ、もうだめ」と言葉にならない声で呻いた。
「私も、もうだめ」と彩香ちゃんが有紀の耳元で呻き声を上げると有紀の体は一気に燃えあがった。
 有紀が体を仰け反らせて目を閉じるともう自分がどこに居るのか自分でも訳が分からなくなった。
 いつも彩香ちゃんの家でお泊まりしてるときしてるように、有紀は彩香ちゃんの腿をくすぐりながら手でなぞった。
 彩香ちゃんの手のひらが有紀の感じる所を押し回してくると、有紀は体中が震えてきた。
「そう、それだ、それだよ」と男の声が聞こえて有紀は目を開けた。
 男の視線が有紀の目を覗き込むように突き刺さって有紀は恥ずかしくなった。
 男が急に背筋を伸ばして座り直した。
 今度は何を言われるんだろうと思って有紀は体が強ばって息が詰まった。
「うん面接は合格」とまるで芝居の台詞みたいな口調で男が言い放った。
 こんなインチキな面接あるわけないと思ったけどテレビの収録だから適当にやってるに違いないと有紀は思った。
「内の事務所と契約すれば、芸能人になれてね、歌手でもタレントでも好きなようにしてあげる。そしたら素敵な男の子といますぐ出会えるんだホントだよ」と言われたけど意味がよく分からない。
 どう返事をしていいのか判らなくて彩香ちゃんが「ありがとうございます」と答えた。
 すると男がテーブルの上に書類を広げた。
「この契約書にサインすれば、今すぐ素敵な男の子と出会えるんだ」と訳の分からないことを言われた。
 男の視線が彩香ちゃんの股間を見つめているのに気が付いて有紀は彩香ちゃんの様子を確かめた。
 いつの間にか彩香ちゃんのミニのワンピース裾がめくれ上がってピンクのレース模様のパンティーが丸見えに成ってる。
 彩香ちゃんは慌ててミニのワンピースの裾を直した。
 次第に息が落ち着いてくると彩香ちゃんは契約書を見ようと立ち上がってテーブルの上に屈み込んだ。
 何が書いてあるかさっぱり判らないらしくて、彩香ちゃんは不思議そうな顔をしてるだけ。
 きっと中学生には読んでも判らない難しい事が書いてあるに違いない。
 男のすぐ横に大きな箱があって、扉にダイアルが幾つも付いてる。
 器用な手つきで男がダイアルを廻すと扉があいた。
 金庫の中に分厚い札束が沢山入ってるのをみて有紀はびっくりした。
 男がテーブルの上にお札の束を積んで「サインすれば今すぐこのお金を上げるから、サインしてね」と言われて、有紀は戸惑った。
 1万円札が何枚あるか判らないけど100万円くらいはありそう。
 テレビの収録だからきっと偽のお金だけど、もしかして本物のお金かもしれない。
 本当にこんな大金を貰える訳はないと思ったけど、もしかして将来はもっとすごい大金を貰えるのかもしれない。
 男は札束を手に取ると「これが契約金だよ」と言って見せびらかすように彩香ちゃんに渡した。
 彩香ちゃんが男から受け取った札束を数えようとしたけど手が震えてとてもだめ。
 彩香ちゃんが震えた手で有紀に札束を渡した。
 有紀だって札束の数え方なんか知らない。
 銀行の窓口で銀行員の女の子がお札を数えてるけどこんな大金を数えてるのなんか見たことはない。
 有紀が札束をテーブルの上に置くと、今度は男がボールペンを差し出した。
 ともかく今は契約書にサインすればいいらしい。
 履歴書もいるからと学校名を書くと「君達ね、身分証明書とか持ってたら見せてくれないか」と男に言われた。
 テレビの取材だったら身分証明書なんて見せろなんて今更言わないはず。
 変だと思ったけど彩香ちゃんが中学校の生徒手帳をだして見せた。
 男が「高校三年生と書いてくれないかそうすれば18歳だろう」に注文を付けられた。
 どうやら未成年だと都合が悪いらしい。
 三人が順に契約書にサインをすると、男は契約証を封筒に入れて大事そうに金庫の中にしまった。
 契約書にサインを済ませると「さっそく撮影するからね、いやこれは凄いビデオが撮れちゃうよ。いますぐ格好いい男の子を紹介するからね」と随分と調子のいい話しだけどなんだか変だ。
 男がインターホンで「譲治、出番だぜ」と言うとすぐにドアが開いてずんぐりした体つきの男が入ってきた。
「どうだい、男らしい男といったら、この譲治が一番だぜ、男らしくてほれぼれしちゃうぜ」と譲治さんを紹介すると、譲治さんは黙って頭を下げた。
 なんでこんな男に挨拶しなきゃいけないのか判らないけど、仕方なく三人も軽く頭を下げて会釈した。
「いや、撮影はすぐ済むからね」と言うとスカウトの男はすぐに部屋を出て行ってしまった。
 譲治さんは黒いズボンに黒いシャツを着ていて、肩幅が広くて胸板の厚みが凄くてお腹もでてる。
 顔付きは眉や顎がでこぼことしててどう見ても女の子にもてるような顔じゃない。
 どうみたって格好いい男の子じゃないけど男らしいと言えば確かに男らしい。
「君たちいつもどんなことして遊んでるのかな」と譲治さんが江実矢君に話しかけた。
 スカウトの男の調子の良い口調と違って、落ち着いた低い声なので有紀はなんだか怖くなった。
 さっきと同じ事を聞かれてるんだと彩香ちゃんも気が付いて「気持ちいいことしてます」と甘えた口調で答えた。
「男の子にどんなことされると気持ちいいのか言ってごらん、いますぐして上げる」と譲治さんに言われて彩香ちゃんはすぐには返事ができなかった。
 男の子にして貰うことと言えば最初に思いつくのはやっぱりキスだ。
 大好きな男の子と唇と唇を重ねるなんて、想像しただけでもドキドキしてきちゃう。
 だけど自分から男の人にキスしてなんて言えるわけないし、譲治さんにキスされるなんて考えただけでも気持ちが悪い。
 譲治さんは三人の顔を見比べてから、三人の体つきをいやらしい目つきで眺め回してる。
 有紀から見ても一番可愛らしい顔をしてるのはやっぱり江実矢君だ。
 だけど大人の男の人からみたら、女性の魅力は可愛らしいだけじゃないはず。
 譲治さんは彩香ちゃんのFカップの巨乳が気に入ったらしくて「気持ちよくしてやるぜ」と良いながらそっと彩香ちゃんの背後に立った。
 後から抱きかかえるようにして譲治さんは彩香ちゃんの脇腹をそっと撫で上げてきた。
 指先をくすぐるようにして震わせながらゆっくりと上下に動かす手つきは随分と手慣れてる。
 彩香ちゃんが思わずため息をついて体を震わせると、すぐに譲治さんの手が彩香ちゃんの胸を包み込んだ。
 やさしくそっと包み込むように胸を揉まれて彩香ちゃんは夢心地で目を閉じた。
 譲治さんの唇が彩香ちゃんの首筋に触れたとき彩香ちゃんの体がピクンと仰け反った。
「だめ、」と彩香ちゃんが叫ぶと譲治さんは彩香ちゃんの体から手を放した。
 本当にいやで「だめ」と言ってる訳じゃない。
 譲治さんもよく知っているはずなのに、わざと焦らしてるんだと有紀にも判った。
 彩香ちゃんは譲治さんの方に振り向いて「お願い」と半分言いかけたが、譲治さんは知らん顔。
 江実矢君が心配そうな顔で彩香ちゃんを見つめているのに気が付いて譲治さんは江実矢君に歩み寄った。
 譲治さんは「いや、君可愛いね、いますぐ遊びたいんだろう」と言いながら前屈みになって身体を江実矢君にすり寄せた。
 譲治さんが江実矢君の体をそっと抱きしめると江実矢君の体が押しつぶされて壊れちゃいそうになった。
 譲治さんの両手が江実矢君のワンピースの裾をたぐって腰まで捲りあげた。
 白いパンティーが丸見えになると、譲治さんは江実矢君のお尻をカメラの方に向けた。
 両手でゆっくりと手のひらを廻しながら譲治さんが江実矢くんのお尻を揉み始めると、江実矢君は堪らずに苦しそうな声をあげた。
 譲治さんは江実矢君の体をソファに押し倒すと、江実矢君の上にのし掛かった。
 なんだか変だと思ったけどやっぱりアダルトビデオの撮影みたいだ。
 譲治さんが腰を捻るように動かしたのを見てこれは大変な事になると彩香ちゃんの顔色が変わった。
 彩香ちゃんがすばやい動きで譲治さんのお尻を思い切り蹴飛ばした。
 譲治さんの大きな体は中学生の女の子に蹴られたくらいではびくともしない。
 譲治さんが振り返ると「何しやがるんだ」と凄い剣幕で怒鳴りつけてきた。
「お願い、なんで私じゃだめなの」と彩香ちゃんが甘えた声で体を捩らせた。
 彩香ちゃんがお尻を左右に振ると、胸も一緒に左右に大きく跳ねて揺れた。
 やっぱり譲治さんは巨乳が好きらしくて、譲治さんの口元がいやらしく歪んで目つきも変わった。
 譲治さんが体を起こすと「いや、御免、そうだったね」と言いながら彩香ちゃんに近づいてきた。
 彩香ちゃんが譲治さんに背を向けると、譲治さんが後から彩香ちゃんを抱きかかえようとして両手を広げた。
 後から譲治さんが彩香ちゃんを抱きしめて押さえつけようとしたとき、彩香ちゃんが膝を曲げて身体を屈めた。
 譲治さんの手が彩香ちゃんの頭の上で空を切ったのと同時に、彩香ちゃんは譲治さんの足首をしっかり掴んだ。
 そのまま彩香ちゃんが後ろ向きに頭を突き上げて身体を起こすと、譲治さんの身体が後向きに倒れ込んだ。
 彩香スペシャルだ、彩香ちゃんが譲治さんに彩香スペシャルを掛けたんだと有紀はとっさに思った。
 彩香スペシャルはあの電気アンマを彩香ちゃんが工夫して改良した技だ。
 仰向けになって横になった男の子のお腹にまたがって座って、両方の踵で男の急所を叩きつける恐怖の技。
 小学校の時は江実矢君がほかの男の子に虐められているのを見つけると、彩香ちゃんが男の子にこの彩香スペシャルをお見舞いした。
 それで男の子は彩香スペシャルを恐れて江実矢君を虐めなくなった。
 だけどそれは、女の子の方が男の子よりも体格がいい小学校の時に通用した技だ。
 大人の男の人になんか掛けたって通用するわけがない。
 有紀の見てる前で、彩香ちゃんが譲治さんの身体に後ろ向きにまたがって彩香スペシャルの体勢に持ち込んだ。
 譲治さんは背中を下にして寝ころんだまま、起きあがろうともしない。
 そのまま彩香ちゃんが踵を譲治さんの急所に叩きつけると、譲治さんはうめき声も出さない。
 あれっと思って彩香ちゃんが身体の向きを変えて譲治さんの顔をよく確かめてみた。
 気を失ってるらしくて、口が半分あいて変な顔。
 江実矢君は痛そうに膝頭をさすってる。
 どうやら譲治さんは倒れ込むときに、頭を江実矢君の膝にぶつけてしまったらしい。
 それで気を失ってしまったらしいけど、このままじゃ大変だ。
 逃げ出そうかとそれとも譲治さんを助けようかと迷ってると、彩香ちゃんの足がテレビカメラに繋がってるケーブルに引っかかってドスンと大きな音がしてカメラが倒れた。
 目の前にカメラが倒れると今度は照明のランプが一斉に消えてしまった。
 急にドアが開いた。
「おい譲治どうしたんだ」とさっきのスカウトの男が部屋に入ってきた。
「おい、なにやってるんだ」と男が譲治さんの身体を揺すると、譲治さんは気がついたみたい。
 彩香ちゃんはてっきり譲治さんが彩香スペシャルを食らって気絶したと思いこんでるのか「私のせいじゃないです、ほんとに私なにもしてないです」と慌てて言い訳してる。
「いや、急に気が遠くなって、ホントに何もないです、急に気が遠くなっただけで」と譲治さんも言ってくれたけど、彩香ちゃんをかばってる訳でも無さそう。
「おい、昨日徹マンしたんだろう」と男が譲治さんの身体を抱き起こしながら大声でいってる。
 徹マンなんて言葉聞いたことがなくて、有紀は彩香ちゃんの顔を見つめた。
 彩香ちゃんも知らないらしくて不思議そうな顔をしてる。
「昨日撮影のあと、徹マンして寝てないんだろう」とまた男に言われて「いや、やってませんホントにやってません」と譲治さんが言い訳してる。
 どうやら譲治さん昨日の夜から寝てないらしい。
 男はビデオカメラの三脚が倒れてるのを見て、カメラをよく調べてから急に立ち上がった。
「おいまたカメラ壊しやがったな、このカメラはレンタルなんだ。壊すと保証金とられるんだって何度いったら判るんだ」と男が譲治さんをしかりとばした。
 テレビカメラは倒れたとき故障したらしくてもう撮影はできないらしい。
「すいません、譲治さんのせいじゃないんです」と彩香ちゃんがうっかり譲治さんをかばおうとして言い訳をしてしまった。
 譲治さんは「いや、俺が悪いんです、俺のせいです」と今度は彩香ちゃんをかばってる。
 見た目はどうみても恐い雰囲気だけど譲治さんはそんなに悪い人でもないみたい。
 ともかく撮影はもうできないという事になって、譲治さんは頭を下げながら部屋を出て行った。
 これでもう帰れると思って有紀も彩香ちゃんと江実矢君の手を引っ張って部屋をでようとすると「君たち、まだ撮影してもらわないと困るんだよ」
「さっき契約書にサインしただろう、今日中に一本撮影してもらわないと困るんだ」とか男が言い出した。
 どうやら撮影の予定が狂ってしまったらしい。
「ちょっと来てくれないから、なんとか撮影するしかないだろう、何とか今日中に撮影を済ませないと困るんだ」と言われてすぐには帰れそうにない。
 男に案内されてともかく事務所を出た。

喫茶店でビデオチャット

あらすじ
 出会い系喫茶でビデオチャットしてる場面を撮影をする事になる。男の子は話しが上手くてビデオチャットセックスに誘われて断れない。江実矢君も女の子の振りをして男の子とビデオチャットしたけどエッチな話しを振られて危ない雰囲気。

 少し先の細い通りを曲がって、非常口らしい階段からビルの二階に上がった。
 裏口から中に入ると、細長い部屋に女の子の匂いが充満して鼻につんと来た。
 どこに連れて来られたんだろうと思って有紀は、部屋の中を眺めて確かめた。
 右手には漫画の本棚が沢山並んでいて、左手にはカウンターの席がずらっと並んでいる。
 中央のテーブルには飲み放題の飲み物がいっぱい並んでいてその横にはお菓子も置いてある。
 カウンターのテーブル席にはノートパソコンが一台づつ置いてあって、カウンターの前の壁は全面が鏡になってる。
 ちょっと見た感じは漫画喫茶みたいだけど、壁が全部鏡というのもなんだか変だ。
 カウンターの席には女子高生らしい女の子が数人座っていて、頭にヘッドホンマイクを付けてる。
 女の子のしゃべり声がとぎれとぎれに聞こえてくるけど、誰かと話してるにしては何だか雰囲気が変だ。
「だめ」とか「ううん」とか甘えた声で喋ってる。
「君たちね、ビデオチャットってやったことあるから」と男が彩香ちゃんに聞いて来た。
 ビデオチャットは、パソコンに付いてるカメラでお互いに相手の画像を見ながら知らない相手とおしゃべりする仕組みだ。
 彩香ちゃんの部屋にもパソコンが置いてあって、彩香ちゃんがビデオチャットするのを何度か見せてくれたことがある。
 友達とビデオチャットする事もあるけど、大抵はビデオチャットの相手は見知らぬ男性だ。
 パソコンを使ってるからなんだか上等な事をしてるみたいだけど男の人は女の子とエッチな会話をしたいだけ。
 彩香ちゃんもママからはビデオチャットは絶対に知らない人とやったらだめときつく言われてる。
「ビデオチャットならやったことあります」と彩香ちゃんが返事をすると「じゃあ、ちょっと試しにやってみてくれるかな。三人ともビデオチャットは大好きなんだろう」と空いてる席に案内された。
 きっと相手は男の人でエッチな会話をさせられるに決まってる。
 だけどこれはテレビのドキュメンタリー番組の収録のはず。
 少しくらいエッチな話しにはなっても、そんな大変な事にはならないはずだと有紀は思い直した。
 ちょうど空いてる席に三人でばらばらに座ってヘッドホンを頭に着けた。
 パソコンの画面には相手の男の子の一覧が出てるからログインしたあとは待ってるだけで言い。
 てっきりビデオチャットしてるのを横で撮影する物とばかり思ってたけど、撮影はビデオチャットに映ってる画面をそのまま録画して使うらしい。
 まず最初に声を掛けてきたのは、さっきの譲治さんだ。
「あ、きみ恵美ちゃんだったね、あいや彩香ちゃんだっけ」名前をちゃんと覚えていない。
「有紀です」と有紀が言い直すと「ああ、そうだったね、有紀ちゃんだね、可愛いね、その服可愛いね。やっぱり女の子はセーラー服だよね」と譲治さんが言ってるけどなんだか変だ。
 有紀が着てるのは撮影用にテレビ局で用意してくれたゴスロリ風のピンクのワンピースだ。
 譲治さんはパソコンの操作はあまり得意じゃないみたいで、他の女の子の画像と勘違いしてるみたい。
 しばらく返事をしないで黙っているとちゃんと画面が映ったらしくて「いや、さっきはごめんね」と最初の挨拶。
さっき彩香ちゃんに彩香スペシャルを食らったせいで譲治さんはまだ痛そうな顔をしてる。
「有紀ちゃん彼氏いるのかな」と譲治さんが聞いてきた。
「彼氏は居ません」と有紀が答えると「じゃあ寂しいね、最近エッチしてないんだね」と早速エッチな話題を振ってきた。
「そうですね、毎日寂しくて泣いてます」と有紀はわざと大げさに返事をした。
「じゃあ、彼氏すぐにでも欲しいよね。どんな男の子がタイプなのかな」と譲治さんに聞かれた。
 さっきスカウトの男にも同じ事を聞かれたを思い出して有紀は「男らしくて格好いい人です」と試しに答えてみた。
「どんな男の子が格好いいのかな、好きなタイプの男の子に出会えたら嬉しいよね」とまた譲治さんに聞かれて有紀はわざと「肩幅が広くって胸が厚くて、お腹の大きい人が格好いいです」と言ってみた。
 すると譲治さんは嬉しそうな顔をして「俺ならぴったしだぜ。有紀ちゃん俺と付き合いたいんだね」と勝手に一人合点してる。
「彼氏がいないと寂しいだろう。寂しいと気持ちいいことしたくなるよね」と途中まで言いかけて譲治さんの画面は消えてしまった。
 どうやら譲治さんはパソコンの操作は苦手らしい。
 すぐに別の男の子が「やあ、こんにちは」声をかけてきた。
 すぐ近くで「こんにちは」と挨拶する彩香ちゃんの声が聞こえてきた。
 彩香ちゃんも誰か他の男の子とビデオチャットを始めたらしい。
 江実矢君も仕方なく、女の子の声を作ってビデオチャットの相手をしてるみたい。
 有紀が相手の男の子に「こんにちは、初めまして」と返事をすると「今暇かな」と聞かれた。
 パソコンの画面に映ってるのは、まだ高校生くらいの男の子で見た目はお洒落だけど何だかちょっと雰囲気が恐い。
 変な事になるとやだと思ったけど、ビデオチャットで話してみるとそんなに危ない感じでもない。
 店にいる女の子達も皆パソコンの画面に向かっておしゃべりをしているので、この店はパソコンでビデオチャットをするのが目的の店らしい。
 男の子は話しが上手くて調子よく話しを続けるので、一度話し出すとなかなか止められない。
 世間話で話しが弾んで楽しい気分に成ってきたとき男の子が「学校に行くと、痴漢にあったりした事ない」と聞いてきた。
 何だか変だと思ったけどさっき面接で男にも痴漢の事を聞かれたのを有紀は思い出した。
「そうです、たまに遭います」と試しに答えてみると男の子がすぐに「痴漢に遭うと気持ちよくなっちゃうよね」とエッチな事を聞き出そうとしてきた。
 有紀は男の子はみな同じ事を聞くらしいと、男の子の意図に気がついた。
 エッチな話題をそれとなく振って、話している内に女の子が感じて来たらオナニーをさせるんだ。
 ビデオチャットしながら男の子の見てる前で女の子がオナニーするのをビデオチャットセックスと言うんだと聞いたことがある。
 有紀は今そのビデオチャットセックスに誘われてるんだと気が付いて胸がドキドキしてきた。
 不意に彩香ちゃんが「だめっ」と小声で叫ぶのが聞こえた。
 彩香ちゃんがビデオチャットセックスをもう始めてるんだ有紀はすぐ気が付いた。
 彩香ゃちんがしてるなら自分もしてもいいはずだと有紀は自分に言い訳をした。
 ビデオチャットでならお互いに相手が誰だかは判らない。
 普段友達と話せないようなエッチ話しだって、話しても全然構わない。
 そう思うと有紀はビデオチャットが止められなくなった。
「いつもやってることがあるだろう、気持ちいいことしてるよね」と男の子に言われて有紀は素直に「はい、してます」と答えた。
 男の子が次に何を言い出すのか有紀はドキドキして男の子の言葉を待った。
「指で膝頭を撫でてごらん、指先でくすぐるようにして膝頭を撫でるんだ」と男の子に言われて有紀はもう逆らえなかった。
 男の子に言われたとおりにそっと右手を膝頭の上に載せると軽く指先を震わせた。
「そう、気持ちよくなったら足を開くんだ」と言われて有紀は足を左右に開いた。
「可愛いパンティー履いてるんだね、丸見えだぜ」と男の子に言われて有紀ははっとした。
 ビデオチャットしてるだけなら、スカートの下のパンティーが見えるわけ無い。
 ビデオチャットのつもりだったけど、男の子はすぐ目の前にいるらしい。
 テーブルの下で有紀が足を開いてるのが丸見えになるってことは目の前の鏡がマジックミラーだってことだ。
 男の子からはビデオチャットの画面だけでなく有紀の姿が全部丸見えになってると判って有紀は急に体が震えてて来た。
「腿の内側を撫でるんだ、左右交互になでると気持ちいいよ」と男の子に言われて有紀はもう止められなくなった。
「パンティーの中に指を入れてごらん、一番感じる所を触るんだ」と男の子がまるで夢の中の声のように頭に響いてきた。
 急に体が引きつって頭を後に仰け反らすと有紀は思わず何度もかすれた声で喘いだ。
「気持ちいいんだね」と男の子の声がまた頭に響いてきた。
 有紀は体中が熱くなって自分が何をしてるのか訳が分からなくなった。
 随分時間がたってからパソコンの画面を確かめてみると、男の子の画像はもうない。
 いつの間にかビデオチャットは終わってたらしい。
 急に他の女の子達の喋る声が耳に入ってきて、有紀は慌ててめくれ上がったスカートを直した。
 どうなったのかと周りの様子を確かめてみると、彩香ちゃんが頭を仰け反らせて何度も体を震わせてるのが目に入った。
 有紀は席を立って彩香ちゃんの横に立って彩香ちゃんの様子を見た。
 彩香ちゃんはスカートを捲りあげて、足を左右に一杯広げてパンティーも半分ずらしてる。
 片方の手で自分の胸を握りしめて、もう一方の手は一番感じる所を押さえつけてる。
 男に指示されて指先を奥まで入れると、繰り返し出し入れしてるのがはっきり見えた。
「だめ、止めないで、止めちゃだめ」と彩香ちゃんが大声で叫んだ。
 言うとおりにしないとチャットを止めると男に脅されてるらしい。
 あまりの凄さに有紀は見ているだけで身震いがしてきた。
 彩香ちゃんのビデオチャットの相手はさっきのスカウトの男らしい。
 さっきの面接みたいに上手に誘われたら彩香ちゃんが逆らえるわけがない。
 彩香ちゃんの泣き叫ぶ声が有紀の耳に響いて有紀は耳を塞ぎたくなった。
 急に彩香ちゃんの声が静かになると、ビデオチャットの画面も消えた。
 彩香ちゃんは苦しそうな顔で喘ぐように息をしてしばらくは体が動かせない様子。
 有紀は彩香ちゃんの側に立って彩香ちゃんの肩をつっついた。
 彩香ちゃんは有紀に気が付いたけどすぐには体を動かせないみたい。
 しばらくして息が楽になってきた頃に有紀が「彩香ちゃん、丸見えになってるわよ」と彩香ちゃんに注意し。
 彩香ちゃんは慌てて半分脱ぎかけたパンティーを直すとスカートの裾を直して立ち上がった。
 有紀は目の前の鏡がマジックミラーだと彩香ちゃんに教えようかと思ったが、彩香ちゃんがきっとショックを受けると思って黙っている事にした。
 有紀は江実矢君の事が気になって、少し離れた江実矢君の席に行ってみた。
 江実矢君のビデオチャットの相手はさっきの譲治さんらしい。
 譲治さんがしきりに江実矢君を口説いてるけど、江実矢君は適当に話しをはぐらかしてる。
 彩香ちゃんも心配そうな顔付きで、江実矢君の様子を見に来た。
 有紀は彩香ちゃんの手をとって江実矢君の横でビデオチャットの様子をしばらく確かめた。
 江実矢君もさっき有紀がしたように膝頭をくすぐりながら腿の内側を交互に撫でてる。
 すこしづつ江実矢君の足が左右に開いていくので有紀はひやひやしながら彩香ちゃんの手を握った。
 スカートの下をマジックミラー越しに勇二さんに見られたら、江実矢君が男の子だってすぐにばれちゃうはず。
 江実矢君がスカートの裾をたくし上げたので、有紀はびっくりして江実矢君を止めようとしたけど彩香ちゃんが首を横に振った。
 江実矢君が男の子だと判れば勇二さんも諦めるはず。
 そのほうが江実矢君にとっても都合がいい。
 だけど勇二さんはこの店を出てどこかで二人っきりになろうとしきりに誘ってる。
 勇二さんは江実矢君の事を本当に女の子だと思って気に入ったらしい。
 確かに江実矢君はお化粧をすると、女の子が見ても羨ましいくらいに可愛らしい。
 勇二さんが江実矢君を気に入るのも無理のない話だ。
 だけどスカートの中で盛り上がってる物を見れば江実矢君が男の子だとすぐ判るはず。
 どうしてこんな事になっちゃうのか分けが判らない。
「恵美ちゃんは本当に可愛くて、将来はテレビで人気アイドルに成れるよ。本当だ。俺がいい事務所紹介してあげる」と何とか上手いこと言って江実矢君を騙して連れ出そうとしてるけど、そんな手に江実矢君が引っかかる訳がない。
 急に画面が変わって、さっきのスカウトの男が画面に映った。
 勇二さんが誘っても江実矢君がなかなかビデオチャットセックスを始めないのでしびれをきらしたらしい。
「恵美ちゃん、学校に行くとき痴漢に遭うよね、恵美ちゃん可愛いから」と男が話しを切り出した。
 江実矢君が「そうですね、はい」と曖昧に返事をすると、男は体を前に乗り出して得意顔で頷いた。
「痴漢にいつもどんな事されてるのか話してくれないか、痴漢は本当にやだよね」と男は上手くエッチな話しに江実矢君を誘い込もうとしてきた。
 江実矢君は何を言われても適当に話しをはぐらかすだけで、ちゃんとは返事をしない。
「最近痴漢にあったのはいつなのかな、昨日かなそれともおととい。もしかしたら今日も痴漢に遭ったんじゃないのかな」と男に言われて、江実矢君の顔が引きつった。
 有紀には思い当たることがあってはっとした。
 江実矢君はチアリーダーの練習に行くときチアガールの衣装を着てお化粧もしたまま電車に乗ったりすることが時々ある。
 そんな時は女の子と間違えられてよく痴漢に遭うらしい。
 きっと江実矢君はその時の事を思い出して、身震いしてるに違いない。
 彩香ちゃんも江実矢君が時々痴漢に遭ってるのは知ってるので不安そうな顔で江実矢君を見守っている。
「痴漢にあったときどんなことされたのか、よく思い出してごらん」と男に言われて江実矢君の顔色が変わった
 江実矢君の手が腿の内側を撫で上げながら指先が震えてるのが側で見ていても判った。
 緊張で張りつめた江実矢君の腿が左右に震えながら開いたのを男が見落とす分けがない。
「さあ、いつもやってる気持ちいいことしてごらん、パンティーの中に指を入れるんだ」と男がきつい口調で江実矢君に命じた。
 江実矢君の指先がスカートの奥に潜り込みそうになったとき側で彩香ちゃんが江実矢君の足をそっと蹴飛ばした。
 江実矢君はやっとそばで彩香ちゃんが見てるのに気が付いて恥ずかしそうにしてる。
「さあ、指を中にいれてごらん、気持ちいいことしてごらん」と今度は猫なで声で男が江実矢君をあやすような口調で囁いた。
 彩香ちゃんが側にいると判って江実矢君は男の顔をにらみ付けて返事をしない。
 男は怖い顔で江実矢君をにらみ返したが、もうそれ以上は何もできない。
 スカウトの男はもう諦めたのか、怒った顔で「おい、撮影はもう終わりだ」と横を向いて誰かに言ってるのが聞こえた。
 ビデオチャットの画面が消えて他の男の子達の一覧が画面に映った。
 もうこれでビデオの撮影は終わったらしい。
 店の様子を一回りして眺めてみると、女の子達は暇そうに漫画をみてるだけ。
 ビデオチャットセックスをしてたのは有紀と彩香ちゃんと江実矢君の三人だけだったみたい。
 変な店だと思ったけど、普通の漫画喫茶だったらしい。
 撮影も終わったしもう帰っていいのかと思って、出口を探すと入り組んだ通路の先に受け付けがあった。
 三人で店の受付の前を通って出ようとすると、店員らしい男の人に止められた。
「ちょっと君たち何処行くの」と言われて彩香ちゃんは「帰ります」と答えて店を出ようとした。
「勝手に帰ってもらったりしたら困るんだよ」と店員に言われてどうゆうことかすぐには判らなかった。
「男の人と会う約束をして迎えに来て貰わないとこの店からは出られないんだよ」と店員に言われてしまった。
 どうやら店からは勝手には出られないらしい。
 店に入ったときから変な店だと思ってたけど、やっぱりこの店普通の漫画喫茶ではなかったみたい。
 しかたなく戻ってもう一度店の中を眺めてみた。
 周りの女の子達を見てると、女子高生の制服を着てるけどどうみても変だ。
 お化粧も派手だししゃべり方も普通の女子高生なんかじゃない。
 水商売みたいな感じの女の子がセーラー服を着て女子高生の振りをしてるだけなんだ。
 誰かチャットの相手を見つけて待ち合わせの約束をして迎えに来てもらわないとこっからは出られないんだ。
 ビデオチャットで知り合った男の人と一緒に店を出るって事は、間違いなく援助交際ってこと。
 ラブホテルになんか連れ込まれたらどんな酷い目に遭うか判ったもんじゃない。
 困った事になったと有紀は思ったけどすぐに良い考えは思いつかない。

SM倶楽部で強制調教

あらすじ
 出会い系喫茶でビデオチャットしてるとモシモシ倶楽部のトンキーさんと偶然画面が繋がった。トンキーさんが居たのはSMクラブで女王様に鞭で打たれてる。モシモシ倶楽部の三人に助けられて間違えてスカウトされたとやっと判った。

 彩香ちゃんが席に付いてどうしようかと思案顔で上を向いて天井を見つめた。
 黒く塗られた天井には薄暗い蛍光灯の明かりが並んでるだけ。
 天井を見ただけでいい考えが思いつくはずもない。
 あらためてパソコンの画面を眺めてみると、男の子の顔が沢山映っている。
 ともかく今はビデオチャットの続きをするしかない。
 すぐに次の相手が声を掛けてきた。
 彩香ちゃんのパソコンの画面に映ったビデオチャットの相手は、白い服を着た中年の変なおじさんだ。
 今度もまたエッチなことをさせられると思うと、とても相手にする気なんか起きない。
 彩香ちゃんが「私たち本当はロボットなんです」と言って誤魔化してチャットを止めようとした。
 男はちょっと驚いた顔をしたが、何度か頷いた後に納得した顔で彩香ちゃんの見つめ返した。
 目を大きく開いてじっと彩香ちゃんの顔を見続けてまるでにらめっこでもしてるよう。
 男の眉毛が大きく上下に動いて、彩香ちゃんは思わず笑いそうになった。
 彩香ちゃんの反応を確かめるようにして、今度は男が目をくるくると回して動かした。
 面白がってからかってるらしいが、彩香ちゃんはどう反応していいのか判らずに今度は口をすぼめた。
 男はゆっくりと息を何度も吸い込むとゆっくりとした声で話しだした。
「本当のロボットなら何でもできるよね、人間そっくりのロボットなんだから。どんな事ができるのかな」と男は一つ一つ言葉を句切るようにゆっくりと喋った。
 男は彩香ちゃんが冗談を言ってるんだとは思ってるらしいと有紀は思った。
 ロボットがこんな所でビデオチャットの相手なんかしてるわけがない。
 彩香ちゃんはどう答えていいのか判らずに困ってる。
 どうせからかわれているだけだと思ったらしくて彩香ちゃんは「今日は良い天気ですね」と適当に返事をした。
「そうだね、今日はとっても良い天気だ、今日は何月何日だか判るかな」と男が聞いてきた。
 彩香ちゃんが「今日は6月4日です」と答えると、男の目がぱっと開いて驚いた顔をしている。
 ロボットだったら今日が何月何日か判るはずがないので、それで驚いたらしいと有紀にもなんとなく判った。
「それじゃあ、好きな食べ物は何かな」と聞かれて彩香ちゃんはどう答えていいのか判らないでまた困ってしまった。
 ロボットなんだから食べ物なんか食べるわけ無い。
 きっとからかわれてるのだと思って彩香ちゃんは「たこ焼きです」と答えてみた。
「そうだね、たこ焼きは美味しいね、どんな味のたこ焼きが好きなのかな」とまた変なことを聞かれた。
「ケチャップ味です」と答えると画面が変わって変な顔が映った。
 まるでお面を被ってるような顔はどう見てもロボットの顔。
 口や目も動くらしくて、彩香ちゃんの顔を見つめてじっとして動かない。
 しばらくして口が動くと「今晩は、今日はどんな気分かな」と話しかけて来た。
 まるでコンピューターが喋ってるような声だ。
 誰かがロボットの振りをしてチャットの相手をしてるのかも知れないけど、なんでそんな事をするのか判らない。
「彼氏いるのかな、好きなタイプはどんなかな」と男が言い出した。
 ナンパのつもりらしい。
「一人で歩いてるときなんか、声かけられちゃったことあるかな」とか聞かれたけど、うっかり答えられない。
「格好いい男の子に声を越えかけられたら、ついてっちゃいたくなるよね、行くならカラオケ、公園、マクドナルドのどれが良いかな」とか聞かれたけど、これじゃあまるでアンケート調査だ。
「公園にいったらすることは決まってるよね、ベンチに座ってキスするんだ」
「それも舌と舌を絡ませたディープキスをするのが決まりだよね」
「そのあとは公園の裏手にあるラブホテルに行くのが決まりだ」
「君たちいつも何処の公園に行ってるのかな」と一人で勝手に喋ってる
 エッチなチャットには違いないが質問を順に繰り返すだけで一向に話しが進まない。
 横から急に画面が開いて誰かがチャットに割り込んできた。
「いや、こんな所で油売ってちゃだめじゃん、ぺ」とかいきなり言われて有紀はびっくりしてしまった。
 お笑いタレントの「モシモシ倶楽部」のトンキーさんだ。
 将来の日本の番組でモシモシ倶楽部の三人がチャットを体験するシーンがあるらしい。
 それでトンキーさんがビデオチャットに来てるらしい。
 番組のスタッフが三人がどっかに行ってしまって困って探してるとトンキーさんが教えてくれた。
 ついさっき声を掛けてきたスカウトの人はテレビ局じゃなかったんだ。
 モシモシ倶楽部の三人に迎えに来てくれるというので、これでやっとこのビデオチャットの店から出られるので一安心だ。
 さっきの受付で待っているとなかなかトンキーさんが来ない。
 しばらく待ってると横のドアがあいて男が三人出てきた。
「いや、待たせたね」と男の一人が馴れ馴れしく声をかけてきた。
 ジャンパーを着た中年男で全然知らない顔。
 お腹がでっぷりと太っていて歳は有紀のお父さんくらいに見える。
 この店で他の女の子とビデオチャットしてた男達みたいだ。
「君たち、可愛いね、カラオケが好きなんだってね」と男に誘われた。
 モシモシ倶楽部の三人が来るまで待とうと思ったけどもしかしてモシモシ倶楽部の三人は店を間違えたのかもしれない。
 仕方なく目の前の男三人と一緒に店を出ることした。
 カラオケ店だと言われて入った店はなんだか変な感じだ。
 一応はカラオケボックスみたいな作りになってるけど正面が大きな鏡張りだ。
 この店では面白いショーが見られると男に言われた。
 男が壁際のスイッチで照明の明かりを消すと、鏡の向こうが透けてみえた。
 壁の鏡はマジックミラーになっていてるらしい。
 その向こうにも鏡があって、部屋の中は左右からマジックミラーで見える仕組になってる。
 マジックミラーの向こうで男の人が四つんばいになって「ワンワン」と声を出しながら部屋の中を四つんばいのまま動き回ってるのが見えた。
 それも女子高生のセーラー服をきて、プリーツスカートの下に青い男物のトランクスが見えてる。
 見たことのある顔だと思ったら、さっきビデオチャットで話しをしたモシモシ倶楽部のトンキーさんだ。
 トンキーさんのすぐ横に鞭を持った女の人らしい姿がある。
 背が高くて足も長くてすらりとしていてまるでモデルさんみたいな美人だ。
 黒い皮の衣装にはとがった鋲が沢山ついていて、鎧でも着てる見たいな感じ。
 黒いピンヒールは踵が高くて踏みつけられたらとても痛そうだ。
「生意気だぜ、こうしてくれる」と芝居じみた声で言いながら女王様は鞭を振り上げて、トンキーさんのお尻めがけて鞭を叩きつけた。
「ぎゃーー、ーーあああ」と鞭が打ち下ろされるたびにトンキーさんが大げさに身体を震わせて叫んでる。
 なんでこんなことになってるのか判らない。
 これもテレビかなんかの収録なんだろうか。
 有紀の隣に座った男が手にしたグラスを無理矢理に、有紀の口元に押しつけてきた。
 紫色の液体の入ったグラスは、強いお酒らしくて口に少し入っただけで舌が火傷しそう。
 江実矢君もお酒を飲まされそうになってるけど、左右から身体をしっかりと押さえ込まれてとても逆らえない。
 お酒を一口飲み込んだだけで、胃袋が燃えるように熱くて目眩がした。
 男の手が有紀の膝頭の上に載せられると、くすぐりながら撫で回してきた。
 ここちよい感触がしだいに体中を包み込むと、もう何をされても逆らえない。
 江実矢君の左右に座った男が江実矢君の膝を開かせると、腿の内側をそっと撫で回してるのが見えた。
 江実矢君は顔が引きつってるけど、男の大きな体に挟まれてどうにもならない。
 男の指先が有紀のスカートの下からパンティーの縁を探り当てると、指先をなぞるようにパンティーの縁にそって動かしてきた。
 男の指先は丸く円を描きながら、有紀の一番大事な所に少しづつ近づいてくる。
 このままじゃ大変なことになる。
 なんとかこっから逃げ出す方法を考えるしかないけどもうだめ。
 男が顔を近づけてくると、男の吐く息が有紀の頬をくすぐった。
 耳元にそっと息を吐きかけられるとくすぐったいような心地よさが有紀の体中に広がった。
「痴漢に遭うと気持ちよくなっちゃうよね」とさっきビデオチャットで男に言われた言葉が有紀の耳元でよみがえってきた。
 痴漢に遭うよりもっと気持ちいいことしてもらってるんだと思うと嬉しくて堪らない。
 有紀は男の指が動きやすいように、足を左右にゆっくりと広げた。
 男の指先が今度は有紀の大きく開いた腿を左右にくすぐりながら往復した。
 もっと気持ちよくして欲しいと願う気持ちが有紀の体中を包み込んだ。
 指先がパンティーの上から敏感な所を軽く触れて通り過ぎると有紀は思わず体を震わせた。
 息を吐き出すたびに小さな喘ぎ声が喉の奥からこみ上げてくるのが自分でも判った。
 もう何をされてもいいと覚悟を決めて有紀は男の方に顔を向けた。
 男の唇が有紀の唇にそっと近づいてくると有紀は期待で胸がいっぱいになった。
「あぁ、う」とすぐ近くでうめき声が聞こえた。
 彩香ちゃんの声だと思って声の方をみると、呻いたのは江実矢君だ。
 江実矢君の腿が男に左右に無理やり開かせられている。
 男の指先が江実矢君の腿をさすりながらスカートの下に伸びてきた。
 これは大変だ江実矢君が男性に男の子の大事な所を触られたらお嫁に行けなくなっちゃうと有紀は思った。
 とっさに彩香ちゃんが「私も鞭でぶって欲しいんです」と男に大きな声で叫んだ。
 江実矢君の足を撫で回していた男は彩香ちゃんの方に向き直ると彩香ちゃんのFカップの巨乳を見て口元を歪めた。
「ぶたれるのが好きなんだ。それは、いい。面白いぜ」と男が言ってくれたのでこれはなんとかなると有紀は思った。
「そうです、私もぶたれるの大好きなんです」と有紀も調子を合わせた。
「思い通りにしてやるぜ」と男の一人が言うと、他の二人も納得した顔で頷いた。
 カラオケルームを出て隣の部屋に案内されると女王様が鞭をしならせ三人の顔を見た。
 真横から明るい照明が床と天井から女王様の顔を照らしてる。
 照明の向こうは奥を客席風の作りでテーブルが並んでいて客らしい男の姿が見えた。
 客席の反対側の壁は古びたレンガ造りで、中世の古城みたいな雰囲気。
 斜めにバッテンになった変な形の十字架が壁に組み込んである。
 十字架の両側に女の人が裸で縛られている大きな絵が飾ってある。
 モシモシ倶楽部のトンキーさんが居るはずだと思って見回してみたけど何処にも見当たらない。
「さあ、そこに四つんばいになるのよ、お尻をこっちに向けてね」と女王様が鞭をしならせて言った。
「さっさとやるんだよ、痛い目に遭いたくないだろう」と女王様に言われて有紀は訳が分からなくなった。
 四つんばいになれば鞭でお尻を叩かれて痛い目に遭わされちゃう。
 それなのに痛い目に遭いたくないだろうなんて言うのは、何を言ってるのか判らない。
 客席から「早くしろ」と男の声が聞こえた。
 すぐその後から「真面目にやれー」とまた別の男の声が部屋に響いた。
 急に彩香ちゃんは舞台の中央ですくっと立つといきなり踊りながら「アルプス一万尺」を歌い出した。
 なんとか誤魔化そうとしてとっさに思いついたらしい。
 江実矢君もすばやく彩香ちゃんの隣で変な格好で踊り出した。
 こうなったら有紀もやるしかないと思って、彩香ちゃんの隣で一緒に声を合わせた。
「バカヤロー、ふざけんじゃねえ、金返せ」とまた客席から大声でどなる声が聞こえたけど、彩香ちゃんは一生懸命踊り続けてる。
 有紀のすぐ頭の上をぴしゃりと鋭い音がして、有紀は首をすくめた。
「四つんばいになれっていってんだろ」と女王様が乱暴な口調でわめき立てた。
「ここに四つんばいになるんだよ、さっさとやれ」と女王様が鞭を振ると、ピューと空気を引き裂く音が有紀の顔のすぐ前に鳴り響いた。
 彩香ちゃんが女王様の前に一歩出ようとしたとき、江実矢君が彩香ちゃんを引き留めた。
「叩くなら、僕を叩いて」と言って江実矢君はそのまますぐ女王様の目の前に両手をついた。
 彩香ちゃんは巨乳だし、有紀だって中学生にしては大きすぎるくらいの胸がある。
 だけど江実矢君は男の子だから、胸はぺちゃんこだし足だって細い。
 どうみたって見せ物になるようなお色気たっぷりの体じゃない。
 女王様が江実矢君のスカートを捲りあげようとした時に、彩香ちゃんが必死で女王様にしがみついた。
「お願い、私をぶって下さい、鞭で叩いて」と彩香ちゃんは自慢のFカップの巨乳を女王様の胸に押しつけて叫んだ。
「だめ、ぶつなら私にして」と大声で叫ぶと有紀も彩香ちゃんの反対側から女王様にしがみついた。
 女王様は誰から叩いていいのか決めかねてる様子で「ちいっ」と舌を鳴らして顔を歪めた。
「いいからどきな」と女王様が鞭を左右にふると、鞭の先が彩香ちゃんと有紀の身体にぴしゃりと跳ねた。
 痛くて飛び上がりそうになって女王様から二人が身体を離すと、女王様は四つんばいになった江実矢君のスカートを捲りあげた。
 スカートの下にはフリルのいっぱいついたアンダースコートが見えたので、彩香ちゃんはびっくりした顔。
 着替えのとき彩香ちゃんが渡したのは女物のパンティーだったはず。
 江実矢君はいつも前の膨らみを隠すためにアンダースコートを履いてるらしい。
 アンダースコートを履くと前がきつくて苦しいから慣れるようにいつも履かされてるんだ。
 男の子だから女の子の下着なんか履いたら、じゃまに成る物があるけどアンダースコートだったら少しぐらい邪魔な物があっても確かに隠せる。
 だけどこんなフリルがいっぱいついた超可愛いアンダースコートなんて中学生だって滅多にいない。
「ちょっと、あんた年幾つなの」と女王様が怪訝な顔で聞いた。
「私達中学二年です」と彩香ちゃんが大声で答えた。
 女王様は何度も江実矢君のお尻を鞭の先でつついたが、すぐには男の子だとは気がつかないみたい。
 細い足と小さな体つきは女の子だったら中学生になったばかりくらいの体型だ。
 中学生だと判ったらきっと帰してもらえると思って有紀は女王様の答えをまった。
「それは、ちょうどいい、中学生ならいい商売になるってもんよ」と女王様が口元をにやりとさせた。
「さっさと床に四つんばいになるんだ」と女王様が言うと鞭の先を三人の目の前につきだした。
 鞭でお尻をぶたれるのはいやだけど、逆らったりするともっと大変な事になりそう。
 彩香ちゃんが仕方なく江実矢君の横で床に膝を付いた。
 有紀も彩香ちゃんの隣で膝を付いて四つんばいになった。
「さあ、生意気な中学生を懲らしめてやる」と女王様が大声で怒鳴り声を上げて、鞭をしならせた。
 有紀は耳元に響く鞭の音が怖くて体ががたがた震えてきた。
 女王様が振り上げた鞭を有紀のお尻に思い切り強く叩きつけてきた。
 鞭の先が有紀のお尻にぶつかったとき、有紀は思わず身震いをした。
 その次の瞬間にあれっと思って有紀は思わず女王様の方に顔を向けた。
 思った程痛くない。
 女王様も相手が中学生だから手加減してくれてるらしい。
 つぎに女王様が鞭を振り上げて、江実矢君のお尻を叩いた。
「ぐえっ」と江実矢君が声にならないうめき声を上げると、四つんばいの体が床に倒れ込んだ。
 鞭でお尻を軽く叩かれただけでそんなに痛がる分けがない。
 男の子の急所に鞭の先が当たっちゃったらしい。
 女王様もそんな強く叩いていないのに江実矢君がどうしてこんなに痛がってるのか不思議そうな顔をして鞭の先を確かめてる。
 次に彩香ちゃんが鞭で叩かれる番だ。
 彩香ちゃんは大声で「お願いタスケテー」と叫ぶと四つんばいのまま這って逃げようとした。
 女王様が彩香ちゃんの背中に馬乗りになると、思い切り強く鞭を振り上げた。
 その時いきなり客席からセーラー服を着た女子高生が三人舞台に駆け上がってきた。
 三人は女王様の目の前で「シュワー」と叫ぶと変な格好で踊り出した。
 映画で見る空手の格闘シーンの真似をしてるらしい。
 よくみるとモシモシ倶楽部の三人だ。
 三人とも女子高生のセーラー服をきてるけど、スカートから出た足にはすね毛が見えてる。
 三人はヘンテコナ踊りを続けて彩香ちゃんと有紀と江実矢君の周りを取り囲んだ。
 女王様が鞭を振り上げてモシモシ倶楽部の三人に叩きつけてきた。
 鞭に叩かれるのはよっぽど痛いらしくてモシモシ倶楽部の三人は今度は彩香ちゃんの後に隠れた。
 男の癖に女の子の後に隠れるなんて、よっぽどの弱虫だ。
 女王様もセーラー服を着た三人がテレビでよく見るお笑いタレントのモシモシ倶楽部だと気が付いたみたい。
「あんた達、もう良いから帰って。ショーの邪魔しないでくれる」と女王様が呆れた顔をして吐き捨てるようにいった。
 女王様の気分が変わる前に逃げ出すのが一番だ。
 みんなで一緒に店をでると大あわてで大通りを駆け抜けた。
 彩香ちゃんが一息つこうと立ち止まるとトンキーさんがすぐに彩香ちゃんの手を取って引っ張った。
「収録が遅れて大変なんだ、すぐ来て、駆け足」とトンキーさんに言われて急いで原宿の竹下通りまで駆け足で戻った。
 テレビ局のディレクターがちょうど竹下通りの一番奥で待ち構えていた。
「いや、なんでもいいから、すぐ撮影するから」とディレクターが困った顔でスタッフに指図してる。
「最初に、スカウト役の俳優さん紹介しときゃよかったんだ、いや俺のせいです、ほんとにスンマセン」とディレクターが頭を下げたけど、本気で自分が悪いと思ってるのじゃあないみたい。
 本当は「何してやがる、馬鹿ヤロー」と言いたい所だけど、素人の中学生が相手なのでじっと我慢してる様子。
 撮影は予定を大幅に超過してしまって、もうとても時間がない。
 彩香ちゃんと有紀と江実矢君の三人が居ないので仕方なく代役でモシモシ倶楽部の三人がセーラー服を着せられて撮影してたらしい。
 すぐにスカウト役の俳優さんが呼ばれて、声を掛けられる場面を撮影した。
 スカウトの場面はもうそれでいいとディレクターのオッケーが出たのでさっそく近くに止まっている放送局の車に局に戻った。
 次はタレントの事務所のセットでの収録だ。
 最初は簡単な面接の後契約書にサインして、そのあと写真撮影。
 タレント事務所が三人を歌手デビューさせるというストーリーなので、会議の様子なども再現ドラマ風に収録した。
 もちろんタレント事務所なんか全部嘘で会議なんか適当にそれらしくやってるだけで、本当に歌手デビューの会議なんかじゃない。
 あとは三人でデビュー曲を歌うということになって、新しく作ってもらった歌を教えてもらった。
 最後に衣装をつけて振り付け師の先生にその場で適当に踊りを教えてもらって踊りの練習をしてる場面を撮って収録は終了した。

メイド喫茶でアルバイト

あらすじ
 テレビの生放送でメイド喫茶でバイトしてる三人が紹介されると、男の子達がいつのまにか喫茶店の周りに集まってきた。逃げようとしてメイド喫茶から出たけど男の子達に囲まれて逃げられない。

 収録も終わって次の週の日曜日に、有紀は江実矢君と一緒に彩香ちゃんの家でテレビの番組を見る事になった。
 彩香ちゃんの部屋は女の子の部屋にしてはちょっと広めで、小学校の頃は毎年お誕生会をしてた。
 お誕生会には彩香ちゃんの幼馴染みの女の子達がいつも来てたけど、特別に男の子の江実矢君も毎年呼ばれていた。
 お誕生会のパーティーが済んだ後は、いつも江実矢君に女の子の服を着せてみんなで江実矢君の顔にお化粧して遊んだ。
 江実矢君は体も小柄で、顔付きも女の子みたいに可愛らしいのでお化粧をするとまるでお人形さんみたいだった。
 女の子の服を着せるときは、もちろん下着だって全部女物だ。
 女の子の可愛らしいイチゴ模様のパンティーやお揃いのブラジャーを着せられても江実矢君はひたすらじっとして我慢してた。
 パンティーを履かせるときはもちろん女の子達の前で男の子の大事なものが丸見えになっちゃう。
 それでも江実矢君はいやがる素振りも見せなかった。
 女の子達は江実矢君が女装させられるのが好きだと思ってたみたいだけど、本当の所は有紀には判らない。
 江実矢君はもう中学生になったので、お誕生会で女の子の服を着せるのは止めたけど、江実矢君はまだ小学校の頃の事をよく覚えているらしい。
 部屋の壁際に掛けてある、彩香ちゃんの花柄のワンピースを見てわざとらしく視線をそらせてる。
 彩香ちゃんのママがコーヒーを用意してくれたので、コーヒーを飲みながら番組が始まるのを待った。
 ニュース番組のあと「将来の日本」の司会役のニコニコ倶楽部の三人が画面に映った。
 有紀はテレビに映ってるタレントさんとついこの間、収録で会ったばかりなので得意な気分になった。
 テレビを見ながら彩香ちゃんがわざとロボットみたいな口調で喋ったり、ロボットみたいな仕草で歩くのを見てみんなで大笑い。
 有紀が飲みかけたコーヒーを彩香ちゃんの大事なエプロンにこぼしたので彩香ちゃんは怒ってる。
 三人が歌手デビューする話しのあとに急に戦争のシーンが映し出された。
 機関銃の音がテレビのスピーカから大きな音で響くと、アナウンサーの女性が真面目な顔で解説を始めた。
「皆さんタコイーカ財団というのをご存じですか」と言ってるけど、もちろんそんなの知るわけ無い。
「いま大変な事が起きてるんです、ロボットの兵士を開発して、ロボットに戦争をやらせる時代がもう目の前に出きてるんです」とアナウンサーがちょっと脅かすような口調で話してる。
「こんなの嘘よね、そうよ全部嘘よ、バッカみたい」と彩香ちゃんが大声で叫んだ。
 タコイーカ財団が開発中のロボットがテレビ画面に映って、彩香ちゃんはびっくりして飲みかけたコーヒーをこぼしてしまった。
 見覚えのある顔は、あの時ビデオチャットの店で彩香ちゃんが相手をしたロボットみたいな男だ。
 あのときロボットがみたいな男は本当にタコイーカ財団の開発中のロボットだったらしい。
 どうりであの時ビデオチャットで変なしゃべり方をしたはずだ。
 話す話題もエッチな割には的はずれな質問ばかりだった。
 彩香ちゃんも不思議そうな顔をしてタコイーカ財団の作ったロボットを見てる。
 でも戦争なんて有紀にも彩香ちゃんにも関係のない話しだ。
 番組が終わると、江実矢君は宿題をするからと言って先に帰ろうとした。
 彩香ちゃんが江実矢君を引き留めると「ねえ恵美ちゃん痴漢にあったことあるの」といきなり聞いた。
「チアガールの格好をして電車に乗るとよく痴漢に遭うって聞いたけど、本当なの」と彩香ちゃんに追求されても江実矢君は答えようとはしない。
「答えないと、彩香スペシャルでお仕置きよ」と彩香ちゃんが江実矢君を脅かすと江実矢君の顔色が変わった。
 彩香スペシャルは彩香ちゃんの得意技で電気アンマを改良した凄い技だ。
 小学校のとき江実矢君が彩香ちゃんのブルマーを盗んだと疑われて彩香ちゃんにその彩香スペシャルを掛けられたことがある。
 その時以来、江実矢君は彩香ちゃんには絶対に逆らわない。
「ねえ痴漢にどんなことされてたの」と彩香ちゃんに問いつめられて江実矢君は「お尻を触られたりしちゃうの」とやっと小さな声で答えた。
 彩香ちゃんはふうんと納得した顔で頷きながら「こんな風に触られてるのかしら」と江実矢君のお尻をそっと撫で上げた。
 江実矢君は思わず身震いしたけど、彩香ちゃんに逆らえるわけがない。
 彩香ちゃんの手が江実矢君のお尻をくすぐるようにして何度も撫で回した。
 彩香ちゃんは江実矢君のズボンの前をじっと見て不思議そうな顔をしてる。
「変ねえ、そんなはずないわよね」と言いながら、今度は彩香ちゃんの手が江実矢君のズボンの前をそっと撫でた。
 そんなことされたら男の子だったら大変なことになっちゃう。
 有紀が心配そうに江実矢君の顔色を伺うと、江実矢君は口もとをギュッと噛みしめて必死で我慢してる。
 彩香ちゃんはあれっという顔で、手のひらを彩香ちゃんのズボンの前に押しつけてる。
 江実矢君は必死で何か我慢してらしくて、苦しそうに顔が歪んだ。
「恵美ちゃん、ズボン脱いでくれるかな、今すぐ脱ぐのよ」と彩香ちゃんに言われて江実矢君は返事をしない。
 彩香ちゃんが江実矢君のズボンを脱がそうとすると江実矢君が必死で抵抗した。
「言うこと聞かないと、彩香スペシャルでお仕置きするわよ」と彩香ちゃんにまた脅されて江実矢君は諦めたらしい。
 彩香ちゃんの見てる前で江実矢君は自分からズボンを膝まで降ろした。
 江実矢君が履いていたのはやっぱりアンダースコートだ。
 それもレース模様の可愛らしいデザインのチアガールの履くアンダースコート。
 アンダースコートがきついらしくて、それで江実矢君は苦しそうな顔をしてるんだ。
 彩香ちゃんは江実矢君のアンダースコートを見て、なるほどという顔をしてる。
「痴漢に遭う時は、男の子だったらアンダースコート履いてないと困ったことに成っちゃうわよね」と彩香ちゃんが言うので有紀も成る程と気が付いた。
 男の子の大事な物が大きく成っちゃうのを防ぐにはピッチピチのアンダースコートが役に立つ。
 彩香ちゃんはアンダースコートの上から江実矢君の大事な所に手のひらをそっと押しつけた。
 江実矢君は顔を真っ赤にして苦しそうな顔をしてる。
 彩香ちゃんがアンダースコートから手を離すと今度は顔を寄せてほっぺたをそっとすり寄せた。
「もう止めて」と江実矢君が泣き出しそうな声を上げたので、彩香ちゃんは顔を離したけど不満そうな顔。
 江実矢君は慌ててズボンを直すと「宿題しないとママに叱られるから、御免なさい」と言って逃げ出すように出て行ってしまった。
 江実矢君が帰った後、彩香ちゃんはしばらく黙ったまま何か物思いにふけってる様子で何も言わなかった。
「有紀ちゃん今日はお泊まりしてくわよね」と彩香ちゃんが急に思い立ったように有紀に言った。
 有紀もそのつもりだったので彩香ちゃんの部屋でお泊まりをする事にした。
 お布団を敷いてパジャマに着替えると、彩香ちゃんのFカップの巨乳は凄い迫力。
「もしかしたら私達、本当に歌手でデビューしちゃうかもしれないわね」と彩香ちゃんが言い出した。
「そんなの夢よ、本当にあるわけないわよね」と有紀が言うと彩香ちゃんも「そうよね、あるわけ無いわよね」と言って頷いた。
 彩香ちゃんはしばらく黙り込んでから「ねえ、有紀ちゃんも電車で痴漢に遭ったことあるんでしょう」と甘えた声で聞いてきた。
「痴漢に遭うと気持ちよく成っちゃうの女の子なら誰でもそうよね」と彩香ちゃんに言われて有紀この間のビデオチャットの事を思い出した。
 男の子とあんなエッチな話しをしたのは初めてだけど、一度体験したらもう止められなくなる。
「知らない男の子と痴漢の話しをすると感じて来ちゃうわよね」と有紀はそれとなく話しを向けた。
「ねえ、有紀ちゃんビデオチャットしたいなら、そこのパソコンで今すぐできるわよ」と彩香ちゃんが勉強机の上に置いてあるパソコンを指さした。
「有紀ちゃんもこの間のビデオチャットで気も良かったんでしょう」と彩香ちゃんに言われて有紀は「彩香ちゃんだってそうでしょう」と言い返した。
「だけどママにビデオチャットはしちゃいけないって言われてるの」と彩香ちゃんが残念そうな顔で口をすぼめた。
 ビデオチャットでエッチな話しをしてるのママに見つかっちゃったらしいと有紀にもなんとなく見当がついた。
 彩香ちゃんの事だからこの間のビデオチャットよりもっと凄いことをしてたに違いない。
「ビデオチャットより気持ちいいこと教えてあげましょうか」と彩香ちゃんが思わせぶりに呟いた。
 有紀は彩香ちゃんが何をいいたいのかすぐに判って体が熱くなった。
「彩香ちゃん、私彩香ちゃんが大好き」と有紀は彩香ちゃんの目を見ながらゆっくりと言った。
 彩香ちゃんは嬉しそうな顔で有紀の目をじっと見つめて微笑んだ。
 彩香ちゃんも有紀が誘っているんだとすぐに判った見たい。
「有紀ちゃんのこと私が気持ちよくしてあげる、だからビデオチャットなんかしないでね」と彩香ちゃんに言われて有紀は頷いて答えた。
 彩香ちゃんがそっと顔を近づけてくると、有紀は手を伸ばして彩香ちゃんの脇腹をそっと撫で上げた。
「私と恵美ちゃんとどっちが好きか教えて」と有紀は彩香ちゃんに聞いてみた。
 彩香ちゃんは少し返事をためらっていたけど「恵美ちゃんが本当に女の子だったらいいのにね」と有紀に告白した。
「やっぱり私より恵美ちゃんが好きなのね」と有紀が口をとがらかせて拗ねて見せた。
 彩香ちゃんが首を横に振ると、顎を突き出して顔を近づけてきた。
 彩香ちゃんの唇が有紀の唇に重なったとき夢みたいな心地で有紀の体は宙に舞い上がった。
 彩香ちゃんの舌先が有紀の口の中で有紀の舌に絡みついてきた。
 有紀もお返しに彩香ちゃんの一番感じる所を指先でくすぐった。
 彩香ちゃんが体をくねらせて有紀の胸に彩香ちゃんのFカップの巨乳を押しつけてきた。
 有紀が彩香ちゃんの胸を手のひらで押し回すと、彩香ちゃんの喘ぐ息が有紀の口に吹き込んできた。
 ゆっくりとした時間が、繰り返す波のように朝まで続いた。

 放送の次の日にディレクターから連絡があった。
「将来の日本」で取り上げたロボットの特集が大評判なので、お昼の番組で生中継で三人の紹介をするって話しが決まったらしい。
 おまけに彩香ちゃんと有紀と江実矢君の三人で「ピンクタイフーン」という芸名で歌手デビューも正式にきまったというのでこれまたびっくり。
 夢だとばかり思ってた事が本当になるなんてとても信じられない。
 さっそくお昼の番組「昼の街角」の収録という事になったけど場所は秋葉原。
 メイド喫茶のメイドさんが実はロボットでお客さんも気がつかないという設定だ。
 ピンクタイフーンの三人がデビュー前はメイド喫茶でアルバイトしてたという事にするらしい。
 そんな馬鹿な話しはあるわけ無いけど、テレビ番組はストーリーがないと視聴者が満足しないとかディレクターが言い張る。
 番組が始まるちょっと前に、秋葉原のメイド喫茶に案内された。
 メイド喫茶なんて一度も行ったことがないけど、店の前まで来ると見た目は普通の喫茶店。
 中に入るとき入り口で「おかえりなさいませ、ご主人様」とメイド服を着た女の子に挨拶された。
 なんでそんな挨拶するのか意味が分からないけど、メイド喫茶ではそれが決まりらしい。
 店の中に入ると天井は真っ白で、壁紙は全部ピンクの花柄でまるで女の子の部屋みたい。
 テーブルの上にコミックが置いてあったり、フィギュアが飾りで置いてあるだけでそれほど変わった所があるわけでもなかった。
 メイドさん達はみな高校生くらいの年頃でお揃いの可愛らしいメイド服を着てる。
 みな真面目そうな顔で、お化粧も全然してない子もいる。
 店のお客は場所が秋葉原だけあって、髪が中途半端に長くて一目でオタクと分かる人ばかり。
 だけどお客さんは全部が全部前もって仕込んでおいたヤラセの客だ。
 リハーサルでテレビカメラが回っても何も知らない顔でお茶を飲んだりおしゃべりしてる。
 彩香ちゃんと有紀と江実矢君は三人揃ってピンクのゴスロリ風のワンピースにエプロンをしてメイドさんの格好でしばらく店の奥で待たされた。
 お化粧もばっちりで、どこから見ても秋葉原のメイドさんだ。
 店には他のメイドさん達は、撮影前だというのでわざとらしく注文をとったり店の中を歩き回っている。
 ディレクターが合図すると、ちょうど店の前からレポーターの長沢さんが店の中を覗き込んでる。
 長沢さんは人気の女子アナウンサーで髪の毛が長くてスタイルもいい。
 ちょっと長めのワンピースを着てるけど、まるでどこかのお嬢様かお姫様みたいだ。
 長沢さんがもう一人のレポーターの男性と店の中に入るとすぐ席に着いた。
 彩香ちゃんはディレクターに合図されて、さっそく用意してあったお盆を持って長沢さんの座ってる席まで歩きはじめた。
 彩香ちゃんはロボットの振りをしておかしな格好で得意顔で歩いてるけど、ディレクターは渋い顔。
 撮影の時間は決まってるから、ゆっくりと歩かれたら困るらしい。
 彩香ちゃんは長沢さんのテーブルの目の前にチョコレートパフェを置くきながら「おいちくなあれ、ふわふわ、じゅるじるる、ぱんぼこりん」とアドリブでおまじないの言葉を言いながら踊り出した。
 長沢さんはびっくりした顔で彩香ちゃんの顔を見上げて言葉が出ない。
 彩香ちゃんが踊りながらテーブルにチョコレートパフェを置いた瞬間に手が滑って上に乗ったチョコレートが長沢さんのワンピースの胸の谷間に飛び込んだ。
 チョコレートパフェのチョコレートが胸の谷間から溢れてワンピースは台無しだ。
 今度は彩香ちゃんがびっくりして眼を丸くした。
 テレビのカメラは慌てて、店の奥に撮す方向を変えた。
 有紀はディレクターの顔を横目でちらっと見たけど、怒った顔で唇が震えてる。
 いそいで長沢さんが手元にあった紙ナプキンでワンピースの上から胸の谷間を拭いてる。
 チョコレートの跡がまだ残ってるけど、今は本番中でそんなこと気になんかしてらんない。
 すぐにまたおしゃべりを続けながら長沢さんは店を出て大通りを歩き始めた。
 生放送はまだつづいてるらしくて、番組のスタッフはディレクターと一緒にすぐ長沢さんを追いかけて店を出て行ってしまった。
 店にいるヤラセの客もみな席に座ったままじっとして動こうとはしない。
 番組が終わるまでは、このままじっとしていないといけないらしい。
 仕方なく有紀はさっきまで長沢さんが座っていた席に座ると、江実矢君と彩香ちゃんも席についた。
 テーブルの上に置いたままになってるチョコレートパフェを彩香ちゃんが手に取るとスプーンで一口食べた。
 有紀が「私も食べたいな」と言うと彩香ちゃんは食べたばかりのスプーンを舌で嘗めてから有紀にスプーンを渡してくれた。
 彩香ちゃんが口にしたスプーンで同じチョコレートパフェを食べるなんてまるで間接キスしてるみたい。
 なんとなく浮き浮きした気分で、有紀は口の中でチョコレートパフェのクリームが溶けるのを味わった。
 有紀が一口食べると彩香ちゃんが「恵美ちゃんも食べるわよね」言い出した。
 一口食べる毎にスプーンを廻しながら三人でチョコレートパフェを食べていると何だか不思議な気がしてきた。
 恋人同士だったら同じスプーンでチョコレートパフェを食べたりしたらラブラブで幸せ一杯だけど、三人でラブラブってどうゆうことなんだろうと有紀は思った。
 彩香ちゃんがふとテーブルの上に置いてある雑誌を手にした。
「ケロロ軍曹」の新刊らしい。
 ぱらぱらとページをめくっていると急に彩香ちゃんの手が止まった。
 困ったような、驚いたような顔付きは何だか変。
 有紀が彩香ちゃんの手にした雑誌の表紙をよくよく確かめると「ケロロ軍曹」じゃなくて「エロロ軍曹」だ。
 そういえばここは秋葉原だ。
 エッチな同人雑誌とかいっぱい売ってる所だ。
「エロロ軍曹」なんて題名の雑誌が、まともなはずはない。
 いったいどんな漫画なんだろうと思って有紀は彩香ちゃんから雑誌を奪うとページを捲ってみた。
 最初に目にはいったのはエロロ軍曹が電車で痴漢をしてるシーン。
 あの丸顔のエロロ軍曹が電車にのってるだけでも変な絵だけど、そのエロロ軍曹が女子高生の後に立ってる姿は不気味だ。
 他のページを捲ってみると、もっと凄い絵が目に飛び込んできた。
 一目で痴漢と分かる中年のお腹の出っ張った男が、女子高生の上からのしかかってる。
 男の子の大事な所がちゃんとそのまま本物そっくりに書いてある。
 見たこともない形の物を目の前にして有紀は急に体が熱くなった。
「ぁ、」と小さく喘ぐ声が聞こえて目を上げると彩香ちゃんは別のコミック雑誌を読んでる。
 よっぽど過激な絵が描いてあるらしくて、彩香ちゃんの目が虚ろだ。
 江実矢君が困った顔で有紀になにか言いたげな様子。
 彩香ちゃんの手が江実矢君のスカートの上から太股に触ってる。
 なんだか怪しげな雰囲気だけど、どうしていいのか判らない。
 有紀がふと窓の外に視線を向けると、メイド喫茶の前の大通りの様子が変。
 男の子達が大勢立ち止まって、有紀の座っている方向に携帯を向けてる。
 彩香ちゃんも有紀の視線に気が付いて窓の外を見たけど、なんで男の子達が大勢いるのか訳が分からない。
 きっとアイドルタレントのサイン会でもあるんだと思ってチョコレートパフェを食べていると男の子はあちらこちらから集まってきて大通りが歩けないくらいの大混雑。
 彩香ちゃんの携帯が鳴って勇二君からかかってきたらしい。
「大変なことになってる」と勇二君に言われて、有紀も事の成り行きに気が付いた。
 すぐ目の前にいる男の子達のお目当ては彩香ちゃんと有紀と江実矢君の三人なんだ。
 ついさっきテレビの生放送をしたばかりで、それを見ていた男の子達がこのメイド喫茶めがけて集まってきてるらしい。
 彩香ちゃんが慌てた様子で携帯の画面を操作して有紀に見せた。
 誰が作ったのか知らないけどインターネットに「ピンクタイフーン」とサイトがもう出来ていて、さっきの生放送の番組がそっくりビデオで掲載されてる。
 テレビには映らなかったはずの、チョコレートパフェを拭いてる長沢さんの胸の谷間もビデオで掲載してある。
 それに三人がチョコレートパフェを食べてるシーンもすぐ近くで誰かが撮してるらしい。
 彩香ちゃんの手が江実矢君のスカートの上から太股を触ってるのも写ってる。
 有紀は店の中をぐるりと見回してみたけどそれらしいカメラは見あたらない。
 最近の盗撮カメラは、針の穴からでも盗撮できると勇二君も言ってた。
 隠しカメラが何処にあるなんか探しても見つかるわけはない。
 有紀は窓の外を見て、携帯で隠し撮りしてるらしいと気が付いた。
 テレビで生放送なんかすれば秋葉原中の男の子がこの店の前に集まってきたって不思議じゃい。
 放送も終わったらしくて、ディレクターや長沢さんの姿は何処にも見あたらない。
 このままではとても店から出られない。
 勇二君がすぐ近くまで車できてるというので、ともかく勇二君の車の置いてある場所まで行こうと話しがまとまった。
 メイド喫茶から出ようとしたが男の子達が大勢立ちふさがっていて一歩もあるけない。
 ずっと先まで大通りが男の子で埋め尽くされてる。
 必死になって男の子達の間をかき分けて、先に進もうとしたが男の子達が三人の周りに集まってきてもうとてもだめ。
 彩香ちゃんがとっさに変な格好で歌いながら踊りを始めた。
 ロボットみたいな動きで、へんてこりんな踊りは誰がみたって可笑しくて笑っちゃいそう。
 この間ダンスの先生に教えて貰った振りをロボットみたいな仕草で踊ってるんだ。
「ふわふわ、くるくる、ぽんぽこりん」と彩香ちゃんが適当に頭に浮かんだ歌詞を大声で歌っていると「おい、見えないぞどけ」と遠くから声が聞こえた。
 これは都合が良いと有紀が彩香ちゃんの側で踊り出すと男の子達の輪が少しづつ遠くなっていく。
「恵美ちゃんもはやく、踊るのよ」と彩香ちゃんにせかされて三人で並んで踊を続けた。
 男の子達は携帯を撮りだして、三人が踊る姿を撮影して近づいては来ない。
 歌って踊りながらすこしづつ大通りの抜けて勇二君の車を目指して進むとそれらしいワゴン車が見えた。
 とてももう踊ってなんか居られないと、彩香ちゃんが駆け出すと周りから男の子達が後を追いかけてきた。

タコイーカ財団に拉致される

あらすじ
 タコイーカ財団に誘拐されてタコイーカ財団のロボット研究所に連れてこられた。生身の人間だとは信じて貰えない。いろんな検査を受けて最新型の生体進化型ロボットだと判定された。

 すぐ目の前にワゴンが止まっていて誰かが窓から手をだして手招きで合図してる。
 てっきり勇二君だと思って駆け寄った。
 車から急に数人の男が飛び出してきた。
 作業服みたいな制服を着ていて、胸には変なマークもついてる。
 勇二君の車じゃないと気が付いたときはもう遅い。
 手足を掴まれると、すぐ三人ともワゴン車の中に連れ込まれた。
「おい、すぐやるんだ」と男の声が聞こえると、彩香ちゃんの身体に細いひもが巻き付けられた。
 口にもタオルが押し当てられて、声が出せない。
 何がなんだか判らなくて、有紀は恐くて身体が震えてきた。
 すぐに車が動き出した。
 急に止まったり曲がったりを何度も繰り返すと、今度は勢いよく加速して猛スピードで走り出した。
 彩香ちゃんが縛られたまま有紀の手を握ってきた。
 恐くて震えてる彩香ちゃんの手をしっかりと握り返すと、今度は有紀の手も震えが止まらなくなった。
 車が止まったのは山の中で、どこだか判らない。
 車が地下道に降りていくと、周りは真っ暗で何も見えない。
 縛られたまま江実矢君が携帯のGPSで場所を調べて見たけど、何処に居るのか判らない。
 しばらくして車から降ろされると大きな建物に中に連れ込まれた。
 天井も壁も真っ白で真新しく、機械が沢山ならんでいる部屋は勇二君の研究室に良く似た雰囲気だ。
 すぐ目の前に白衣を着た背の低い男が現れて彩香ちゃんと有紀と江実矢君の顔を順にじっとにらみ付けるように眺めてる。
「所長、連れてきました」と誰かの声がした。
 この男どっかで見た顔だと思ったら、あの変な店でビデオチャットの相手をした男だ。
 タコイーカ財団の開発したロボットを開発したのはこの所長らしい。
 てことは此処はタコイーカ財団の研究所かなにかってことになる。
 タコイーカ財団がどんな財団なの全然知らないけど、こんな山奥に研究所があるってことは凄い財団らしい。
 いったいどうして有紀と彩香ちゃんの江実矢君の三人を誘拐してこの研究所に連れてきたのか理由はさっぱり思いつかない。
 所長は腕を組んだまま、三人の目を睨みつけながら何度も行ったり来たりを繰り返してるだけ。
 なんだか変な気がしたけど、うっかり逆らうとどんな目に遭わされるか判らない。
「おい、縄を外すんだ。いや気が付かなくて失敬した」と所長が言うとすぐに三人を縛った縄が外された。
「いや、これは炭素繊維の縄でね、細いけど丈夫でね。もちろんこの研究所で開発したんだ」と所長が得意そうに自慢してる。
 なんだか判らないけど、彩香ちゃんは「凄いんですね」と頭を上下に揺すって頷いた。
 所長は機嫌良さそうな顔で「もちろん、凄いんだよ」と独り言のように呟いた。
「こんな所に、なんで私達を連れてきたんですか」と彩香ちゃんが今度は大声で叱りつけるような口調で所長に怒鳴った。
 所長はちょっと面食らった顔をしたけど、すぐに作り笑いを浮かべて彩香ちゃんの目の前に立ちはだかった。
「君たち元気がいいんだね、いや元気がいいってのはとっても良いことなんだよ」と所長が変な事を言い出した。
「元気がよくなるには、よく運動してよく食べて、ロボットだって同じなんだ」と所長がまた訳の分からないことを言ってる。
「君たち、たこ焼きが好きなんだってね、ケチャップ味だったね」と所長が急にたこ焼きの話しを始めた。
 あの時のチャットではデタラメで言っただけで本当にケチャップ味のたこ焼きが好きな訳じゃない。
 所長はテーブルから小さい赤い色のパックを持ち上げて「どうだいこれを飲んでみてくれないか」と差し出した。
 赤い色のパックはちょうど疲れたときに飲む栄養ドリンクのパックみたいな大きさで、真ん中にストローみたいな吸い口が着いてる。
 江実矢君の鼻先に突き出されたパックはガソリンみたいな匂いがして江実矢君が顔を背けた。
 所長は別の黄色い色のパックを今度は有紀のすぐ口元に押しつけてきた。
 舌先が軽く触れただけで火傷しそうな感触で有紀はすぐに舌を引っ込めた。
 まるで強い酒みたいな味で、とても中学生の女の子が飲めるわけがない。
 今度は彩香ちゃんの口元に所長が銀色のパックを押しつけた。
 最初はいやがって顔をしかめてたけど、一口味わうとそんなに不味い味でもなかったみたい。
 彩香ちゃんが美味しそうにパックの液体を口に含んだので有紀はあれっと思った。
 有紀の顔見て彩香ちゃんが「有紀ちゃんも飲んでみたら、結構美味しいのこれ」と言って半分飲みかけのパックを有紀に渡した。
 ちょっと不安な気持ちだったけど有紀が試しに味見をしてみるとたこ焼きとケチャップが混ざったような味で確かに結構美味しい。
 甘みもあって口に入れると元気がでそうなくらい美味しい味だ。
 有紀はお昼御飯をまだ食べていないし、さっき逃げるとき走ったのでお腹がすいてた。
 ちょうどいいと思って有紀は残りのパックを全部飲んでしまった。
 有紀が銀色のパックに入った液体を飲み込むのを見て所長は「やっぱりタイプスリーか、まだ開発中だと思って他が、もう完成してたのか」と頷きながら一人で呟いた。
 なんの事か判らないけど、彩香ちゃんと有紀が飲んだのは普通の栄養剤みたいなパックだったらしい。
 所長が「すぐ、はじめろ」とあごでしゃくるような仕草で合図すると白衣を着た男の人達が大勢で三人の身体を調べ始めた。
 服の上から変な機械を軽く押さえて当てられたけど、まるで飛行機に乗るときの身体検査みたいだ。
「金属反応ありません」と男の一人が所長に報告すると「やっぱりか」と所長が大きく頷いた。
「つぎはあれだ」と所長が命じると、三人はすぐ隣の研究室に連れて行かれた。
 さっきの部屋よりは随分と広くて壁際に大きなプラズマディスプレーが置いてある。
 中央に大きくて細長い機械がどんと置かれてるけど、なんの機械なのか判らない。
「だいじょうぶ、これは核磁気共鳴スキャン装置といってね」
「ほら、病院に置いてあるだろうCTスキャンというでっかい装置を」
「あれをもっと高級にした機械でね、いや凄い機械なんだ」と所長がまた自慢話を始めた。
 スイッチが入ったらしくてキューンと機械が変な音を立ててうなり始めた。
「大丈夫恐くないからね、試しに僕が機械に入ってみようか、いやホント大丈夫」
「こんな凄い機械の中に入れちゃうんだからね、もうみんなに自慢できるよ」と言いながら所長が服を脱ぎ始めた。
 上着を脱いでネクタイを外すとワイシャツのボタンを外し始めて有紀はびっくりした。
 こんな所で中年男のみっともない裸なんか見たくなんか無い。
「僕がやります」と江実矢君が言いかけて慌てて「私がやります」と女の子の声を作って言い直した。
「いや、君たち女の子だからね、脱がなくてもいいんだよ、なにしろ僕は紳士だからね」
「この研究所は女の子に手荒い真似するようなみっともない恥ずかしい研究所じゃないからね」と所長は大声で機嫌良く笑った。
 心配しなくても良さそうなので、ひとまず江実矢君がゴスロリのワンピースのまま核磁気共鳴スキャン装置に入った。
 キューンとまた大きな音がして、機械のランプが点滅を始めた。
 しばらくして測定が終わったらしく江実矢君は何事も無かったような顔で出てきた。
 機械の中には大きなベッドがあるらしくて、そこに寝てればいいだけらしい。
 すぐに有紀が機械の中に入ると、中央の真っ白なベッドに横になった。
 両手と両足を固定するバンドを巻き付けるとベッドがすっと動き出した。
 中央の丸いリングの中を通りすぎるとそれで測定は終わりらしい。
 彩香ちゃんも安心した顔でベッドに横になると測定を済ませた。
 核磁気共鳴スキャン装置のすぐ横の大きなディスプレーに、測定結果がすぐに表示された。
 三次元の立体画像で三人の身体が透き通って映し出されてる。
 服のまま核磁気共鳴スキャン装置にかかったのに、表示されてる画像は丸裸で内蔵まで透き通って見える。
 江実矢君の腰の前の男の子の大事な物もはっきりと見えていて彩香ちゃんは恥ずかしそう目をそらせた。
「これは」と所長が思わず息を飲むと、他の所員もディスプレーの前に集まって画像を覗き込んでる。
 女の子の裸をみんなで見るなんてまったく酷い人達だと思ったけど何も言えない
「こんなことあり得ない、まるで本物の人間そのままだ」と研究所の所長が呟いた。
 そんなの当たり前だ、三人とも生身の人間。
 テレビ番組でロボットだと紹介されたって、そんなのはディレクターが勝手に考えたインチキだ。
「あの私達」と彩香ちゃんが半分言いかけた。
 三人とも生身の人間で普通の中学生だと言おうとしたんだと有紀にも判った。
 だけど彩香ちゃんはその後の言葉を言わずに口をつぐんでしまった。
 もう三人が生身の人間だとばれたらこっから生きて帰して貰えるかとうか心配してるらしい。
 このタコイーカ財団のロボット研究所の秘密を知った以上、素直に帰して貰えるはずなんか無い。
 一生この研究所に閉じこめられちゃうなんてのは絶対嫌だ。
 そうよ毎日研究所の掃除や、洗濯や炊事をさせられて女中みたいにこき使われて学校にも行けないなんていやだ。
 有紀は本当の事を言おうかどうか迷って、黙ったまま所長の様子を見た。
 所長がジョイスティックを操作すると、江実矢君の裸体がゆっくりと一回転して画面に映った。
「こんなはずはない」と所長が呻くような声をだすと、ジョイスティックを慎重に倒した。
 今度は江実矢君がゴスロリのワンピースを着た姿がディスプレーに大写しになった。
 所長がジョイスティックを少し傾けるとワンピースが消えて、ブラジャーとアンダースコートを着た江実矢君の姿が映った。
 江実矢君の体は胸はぺったんこだけど、小柄でウエストが細くて肩幅もない。
 見た目はまだ胸が大きくなる前の女の子の体とそっくりだ。
 所長がジョイスティックをまた少し動かすと、アンダースコートが消えて女物のレース模様のパンティーが映った。
 まるで着せ替え人形でもしてるみたいで、所長が何をしてるのか見ていてもさっぱり判らない。
「いや、すごい、絶対ありえない」と所長が大げさな仕草でため息をついた。
「三人とも女の子のはずだ。女の子なのにあそこだけ男の子の部品をつけるなんて、いったい何考えてるんだ」と所長が言い出したけど、もともと江実矢君は男の子だから当たり前だ。
「こんな設計をするなんて、きっとどっかで設計を間違えたにちがいない。いや違う。組み立ての途中で間違えた可能性もある」と所長があれこれ言うのを聞いていて有紀は馬鹿らしくて笑いそうになった。
「もしかしてこのロボット、生体進化型ロボットかもしれません、それなら話しが合います」と助手らしい男が所長に声を掛けた。
「たしかに、それしかあり得ない、だとすれば、子供が出来るはずだ」と所長がまた独り言みたいに天井を見上げながら呟いた。
「おい、実験するんだ、条件を満たす雰囲気を作れば、プログラムされた行動をするはずだ」と所長が言うと壁際の大きなスイッチを入れた。
 部屋が暗くなると、天井から大きなガラス張りの箱が降りてきた。
 上からも下からも丸見えの箱は、実験室の真ん中に宙に浮いた位置で止まった。
 移動式の階段がするすると床を動いてくると、箱に登る位置で止まった。
「君たちこの階段から中に入ってくれるかな、いやすぐ済むから、中のベッドに寝てるだけでいいんだ」と所長が言いながら笑みを浮かべた。
 何をされるのか判らないけど、ともかく中に入ればいいらしい。
 階段を上がって箱に入ると、すぐ中央に大きなベッドが置いてある。
 ベッドの周りは全部鏡で、マジックミラーになってるらしい。
 ベッドの上でやってることが、全部外から丸見えになっちゃう仕掛けだ。
 女の子の格好をしてるとはいえ江実矢君は男の子だ。
 女の子二人と男の子一人をベッドに寝かせていったいどうするつもりなんだろう。
 大人だったら男と女がベッドの上でやることと言えば決まってる。
 それをみんなで部屋の外から観察するなんてまったととんでもない実験だ。
 江実矢君は疲れが出たのか、スカートの裾を気にしながらベッドに横になった。
 有紀もベッドに寝るだけならいいと思って江実矢君の隣に寝た。
 彩香ちゃんも同じ事を考えたらしくて、ゴスロリのワンピースの裾を直しながら有紀の横に寝た。
 いったい何が始まるんだろうと有紀は不安な気持ちになった。
 ここから生きて帰して貰えるんだろうか、それとも一生この研究室に閉じこめられちゃうんだろうか。
 不安な気持ちがこみ上げてくると有紀は胸が痛くなった。
 急に部屋全体ががくっと揺れるとゆっくりと回り始めた。
 天井からピンクの照明がきらめくと、青色、紫色と替わりながら点滅を繰り返してまるで虹色の蛍でも見ているよう。
 部屋の周りのマジックミラーで照明が反射されて部屋の中は、まるで光の中で夢でも見てる見たいな幻想的な雰囲気だ。
 有紀は次第に気持がゆったりとして胸の痛みもだんだんと楽になってきた。
 きらめく照明の光にみとれているとベッドがゆっくりと震えながら上下に動き始めた。
 不意に「ぁ、ぁ、ぁ、」と女の人の喘ぎ声らしい音色が部屋全体に響き始めた。
 喉の奥から押し殺したような声は、裏ビデオで見たことがあるけどあの時の声だ。
 もしかしたら隣で寝てる彩香ちゃんの声かと思ったけどスピーカーから聞こえて来る音らしい。
 ベッドの動きも、上下に揺れたり波打ったりといろんな動きを組み合わせて動き出した。
 有紀はなんだか変な気分になって、身体が熱くなってきた。
 江実矢君もなんだか居心地がわるそうな顔で必死に堪えてる。
 男の子なんだからこんな女性の声を聞いたら変な気持ちになっちゃうのは当たり前。
 だけど彩香ちゃんや有紀の前で、変な気持ちになんかなるわけ行かないので必死で堪えてるんだ。
 しばらくして急に泣き出すような声がつづくと、今度は何度も大きなため息を繰り返した。
 急にスピーカから聞こえる声とは別の声がすぐ耳の横から聞こえてきた。
 息苦しそうに喘ぐ声は彩香ちゃんの声だ。
「あ、ぁ、ぁ」と彩香ちゃんの喘ぐ声が、スピーカーから聞こえて来る声と重なって有紀の耳に入ってきた。
 彩香ちゃんが今どんな気持なんだろうと思っただけで有紀は急に心臓がドキドキしてきた。
 そっと横を見ると彩香ちゃんは自分で胸を揉みながら、手を一番感じるところにあてがって押し回してる。
 照明の明かりやスピーカーの声のせいでエッチな気分が盛り上がってきて我慢できなくなったらしい。
 彩香ちゃんの喘ぎ声が次第に大きくなると有紀も我慢しきれなくなった。
 彩香ちゃんがやってるんだから有紀だってしても良いはず。
 自分で胸を揉みながら、一番感じる所に手を押し当てた。
 気持ちが高まると自然と足が開いて腰が上下に勝手に動き出した。
「有紀ちゃん大好きよ」と彩香ちゃんが叫ぶといきなり有紀に抱きついてきた。
 みんなの見てる前で彩香ちゃんが大胆な行動に出たので有紀はびっくりして体が震えだした。
 彩香ちゃんのFカップの巨乳が有紀の胸に潰れるくらい強く押しつけられてきた。
 有紀がたまらずに彩香ちゃんの唇を吸うと、彩香ちゃんもすぐ舌を入れてきた。
 甘い香りが有紀の口のなかに広がると、有紀は夢の中にいるような気分で頭が熱くなった。
 マジックミラーの向こうで所長や他の男の人達に見られてると判っていたけど、気持ちが高ぶってもうどうにもならない。
 有紀が彩香ちゃんの胸を握りつぶすように押し回すと、彩香ちゃんが苦しそうに呻いた。
 彩香ちゃんも気持ちいいらしくて、体を震わせてよがりだした。
 ベッドが上下に激しく動くと彩香ちゃんの足が有紀の足に絡みついてきた。
 スピーカーからまた大きな女性の声が聞こえてくると急に声が静かになった。
 しばらくすすり泣きのような弱々しい声が続くと、照明の明かりのきらめきが次第にゆっくりした間隔になった。
 ベッドの動きが止まるって静かになると部屋の外の照明がまた明るくなった。
 有紀は隣で寝ている江実矢君の顔を横目で見たけど、ずっと我慢してたらしくて緊張で顔が強ばってる。
 有紀が江実矢君の手を握ると江実矢君は微かに微笑んだ。
 もう実験はすんだらしくて実験室が明るくなり所長が箱の外でこちらを見てるのが目にはいった。
 階段が箱に取り付けられて、箱のドアがあいた。
 もう箱からはでていいらしい。
 江実矢君が階段を降りようと足を踏み出したが、なんだか様子が変。
 男の子の大事な所がアンダースコートで押さえつけられて痛くて足を動かすのが大変らしい。
 有紀が階段を降りた後、最後に彩香ちゃんが階段を降りたが彩香ちゃんの顔付きがなんだか変だ。
 口元がだらしなく半分開いて涎がでてるし、眉も変な形に歪んでいて目つきも変だ。
 三人が床に降りると、すぐに所長が目の前まで来て三人の様子を確かめてる。
 江実矢君はやっぱりアンダースコートの前が痛いらしくて顔を歪めてる。
 彩香ちゃんの顔はなんだか変な感じでいつもの彩香ちゃんとは全然違う。
 何度も三人の顔つきを確かめた後に所長が助手と何やら相談をしている。
 聞いていてもよくは判らないけど実験の結果が気に入らないらしい。
「やっぱり生体進化型か。だが変だな反応がX-Xだ。生体進化型なら反応はX-Yのはずだ。条件設定を間違えたかな、いやそんなはずはない」
「まだきっとバグがあるに違いない。まだ未完成でテストが済んでないんだ」と所長が言うのが聞こえた。
「いや、もしかして最初からX-Xタイプなのかも知れません」と助手が反論した。
「X-Xタイプは別の用途を考えると一番適切なはずです」との助手の意見に「なるほどそうかもしれない。それは確かにあり得る話しだ」と所長も頷いてる。
 いったい何の話しをしてるのかは聞いていても判らないけど、実験の結果は予想とは違っていたらしい。
「X-XとかX-Yとかなんの話しですか」と有紀が恐る恐る所長に聞いてみた。
「あ、XとYはね、性染色体のタイプなんだ。Xが女性でYが男性でね」
「X-Yはね、男の子と女の子が仲が良いって事。X-Xは女同士が仲が良いって事でね」
「普通はX-Yなんだけど、君たちはX-Xでね、普通とちょっと違うからね。生体進化型のロボットならX-Yのはずだからね」と所長が説明してくれたけど有紀が聞いても全然理解できなかった。
「君たち女の子だよね、こんなこと聞くのは大変失礼なんだけど、援助交際って知ってるかな」といきなり所長がエッチな話しを始めたので有紀は戸惑った。
 この間スカウトに声を掛けられて、変なビデオを撮られたし、変な店でビデオチャットでエッチな事もしたし、変な店で鞭で叩かれたりもした。
 普通の中学生の女の子がするような事じゃないし、援助交際だと言われたら確かにそうかもしれない。
「援助交際してたらどうだっていうんですか、そんなの勝手でしょう」と彩香ちゃんが強い口調で言い返した。
「なんでそんなこと答えなきゃいけないんですか」と彩香ちゃんが怒った顔で言ったけど、所長は顔色一つ変えない。
「いや、もしかして君たち援助交際してるかと思ってね、X-Xタイプだったら、援助交際するはずだ。いや、援助交際したくなるはずだ」と所長に言われたけどやっぱり意味が分からない。
「それに僕は援助交際が悪いなんて言ってないからね、気持ちよくしてもらってその上お金まで貰えるんだからとっても良いことだよね、ちっとも悪い事じゃないよね」と所長がいうけどやっぱり何だか変だ。
「男の子に声をかけられたら、女の子だったら援助交際したくなるのは誰だってあたりまえだよね」と所長が言ってるけどそんなことある訳がない。
 もしかして所長も援助交際で女子高生と付き合った経験があるのかもしれないと有紀は思った。
 中学生の女の子から見たらお父さんくらいの年上の男性はそれなりに魅力を感じるのが普通だ。
 いつも同じ年頃の同級生の男の子と比べたら年上の男性は男らしくて頼りがいがあってそれにお金だってある。
 援助交際したくなる女の子の気持ちは有紀にだって分からない訳でもない。
 だけどいま目の前にいる所長と援助交際する女の子が居るのかと思うとやっぱり変な気がする。
 どう見たって格好良くなんかないし、偉そうにしてるだけで男らしいとも思えない。
 有紀はこの所長に抱きしめられてキスされてる自分を想像してみた。
 所長の手が有紀の体を撫で回しながら舌を口の中に入れて来るんだと思うとやっぱり寒気がする。
「今すぐに、援助交際しないといけないんれすか」と突然彩香ちゃんが所長に歩み寄って問いただした。
 彩香ちゃんの目つきはさっきより眉が歪んで口も半分開いたままで話す口調もろれつが回らない。。
 きっと彩香ちゃんも所長に抱きしめれるのを想像して興奮してきちゃったんだと有紀は思った。
「私何でもします、今すぐやらせて下さいませ」と彩香ちゃんが言うので、有紀は成る程と彩香ちゃんの考えてる事が判った。
 この所長と援助交際したら、こっから帰して貰えるなら援助交際したほうがよっぽどいい。
「私も何でもします」と有紀が所長に詰め寄ると所長は少し困った顔をして江実矢君を見つめた。
 江実矢君は男の子だから自分から援助交際したいなんて言い出すはず無い。
 それにさっきの核磁気共鳴スキャンで江実矢君が男の子だというのは判ってるはず。
 もしかして所長に変な趣味があるのかもしれないと有紀は心配な気持になった。
 彩香ちゃんが所長の目の前で膝をついて所長のズボンのすぐ前に顔を近づけた。
 有紀は彩香ちゃんが何をしようとしてるのかすぐに気が付いた。
 援助交際で男が女の子にやらせることと言えばもう決まってる。
「私いつも上手らって男の子に褒められてるんれす。大好きなんれす」と彩香ちゃんがたどたどしい口調で言いながら所長を見上げると、所長のズボンの前が膨らむのが見えた。
 所長の口元が変な形に歪んで、いやらしく笑ってるような顔つきになった。
 こんな所長の大事な物を舌で嘗めるなんて絶対やだけどここから出るためには仕方がない。
 江実矢君も彩香ちゃんと有紀が何のために所長の前にひざまずいてるのか理由が判ったらしい。
 ここから出して貰うにはそれしかないかならするしかない。
 江実矢君は男の子だから女の子を助けるにはどんなことでもする覚悟はあるはず。
 思い詰めた表情で江実矢君は唇をぎゅっと噛みしめて所長を睨みつけたが、すぐに下を向いて目をそらせた。
 江実矢君は決心がついたらしくて何回か大きく息をしてから口を半分あけて舌先で自分の唇を嘗め始めた。
 所長は江実矢君の舌の動きをみて、戸惑った顔で彩香ちゃんの顔と江実矢君の顔を見比べてる。
 彩香ちゃんが江実矢君に何か言おうとしたとき、江実矢君は女の子らしいゆっくりとした身のこなしでスカートの裾を摘んで彩香ちゃんのすぐ横にひざまずいた。
「私にもやらせて下さい」と江実矢君が震えた声で言う声が聞こえて有紀はなんとも痛ましい気分になった。
 いくら何でも江実矢君にまでこんな事させる訳にはいかない。
 彩香ちゃんが所長のすぐ目の前でスカートの裾を捲りあげると、パンティーの上から大事な所を指で押さえつけて動かし始めた。
「早くしゃぶらせて、お願い」と彩香ちゃんが所長を見上げながら甘えた声でお願いした。
 江実矢君が可愛そうなので自分がやるしかないと心を決めたらしい。
 彩香ちゃんがもう一方の手で胸を下から持ち上げて揺さぶると、Fカップの巨乳が大きく揺れた。
 大げさな仕草で指を使いながら彩香ちゃんが「あ、ぁ」と呻く声が有紀の耳にも聞こえてきた。
 所長の視線が彩香ちゃんの指の動きに釘付けになると、彩香ちゃんは指の動きを強くして体を仰け反らせた。
 所長はだまったまましばらく彩香ちゃんの様子を見つめていた。
 有紀も彩香ちゃんと同じ事をしなければいけないと思い、スカートを捲ってパンティーの中に指を入れた。
 有紀が半分開いた口から繰り返し息を吐き出すのを見て所長が「やっぱりX-Xか」が納得した口調で呟やいた。
 だが側にいた助手が「そんなはずはありません、X-Xタイプなら、絶対拒絶反応があるはずです」と異論を唱えた。
「確かにそうだ、いや違う」と所長が訳の分からない言葉を繰り返した。
 所長と助手がなにやら言い争ってるけど聞いていてもさっぱり判らない
 どうやら江実矢君が所長の前にひざまずいて彩香ちゃんや有紀と同じ事をやろうとしたのが変だと二人で議論してるらしい。
 所長はしばらく思案顔で天井を見上げたり床をみたりしていたが「うんそうだ。ロボット実験場のベータテスト、明日からだったよね」と助手に聞いた。
「準備の方はどうなんだ」と所長に聞かれて「順調に予定通りに進んでます」と助手が答えた。
 所長はそれを聞いてもう一度彩香ちゃんと有紀と江実矢君の三人の顔をゆっくりと何度も見比べた。
 口をへの字に曲げて大きく目を開けると所長は大きく頷いてからもう一度目を大きく見開いた。
「ロボット実験場でテストするのが一番いい、それなら結果もはっきりでるから。援助交際するかどうか確かめるにはちょうどいい。うんそれがいい」と所長が助手に指示してる。
 話しはそれで済んだらしくて、助手がさっそく三人を部屋から連れ出した。
 廊下を歩いて突き当たりの奥のエレベーターらしい機械の前にでた。
 助手がスイッチを押すとドアが開いた。
 エレベータは奥まで細長くて、普通のエレベーターではないみたい。
 助手がスイッチを押すと、エレベーターが動き始めた。
 ふうっと体が浮き上がるような感触があって、有紀は軽い目眩を感じた。
 だけどなんだか変だ。
 エレベータは下に下がってるはずなのに、エレベータの階の表示はどんどん上に上がってる。

ロボット実験場に監禁

あらすじ
 地下のロボット実験場に放り込まれたけど、どこへ行けばいいのか判らない。学校らしい建物の中に入るとチアガールの女の子がダンスの練習をしてる。近くの家に案内されるとパソコンでビデオチャットができる。やってみたけどインターネットには繋がらない。

 295階で表示が止まると、エレベータのドアが開いて変な部屋に通された。
 小さな部屋にテーブルと、椅子だけが置いてある。
 三人を連れてきた助手が部屋から出て行くと、エレベータのドアがガシャンと閉まってもう動かない。
 江実矢君がドアの周りを調べてみたけど、スイッチらしいものは見あたらない。
 エレベータのドアは簡単には開かない仕組みらしい。
 大きな窓から部屋の外が見えるけど、何だか変な風景だ。
 薄暗くて紫色の街灯が所々に見える。
 彩香ちゃんが恐る恐る、部屋のドアを開けてみた。
 冷たい空気がドアの外から流れ込んできたけど、風でもないみたい。
 ドアの外に見える灰色がかった街角には人影が見あたらない。
 耳を澄ませてみてもシーンと静まりかえって物音もしない。
 彩香ちゃんがまず先に外にでてみたけど、町並みが続いてるだけでどこなのか判らない。
 広い通りには横断歩道があるけど車は一台も走っていない。
 喫茶店らしいガラス張りの建物が見えたけど客は誰もいない。
 大通りのすぐ正面に大きなネオンの看板が見えた。
「歌舞伎町」と大きなピンクのネオンサインが輝いてる。
 看板の通りだとするとここは新宿の歌舞伎町なはず。
 新宿の歌舞伎町には行ったことはないけど、真夜中でも大変な人が歩いてる繁華街だとお父さんが言ってた。
 夜の歌舞伎町に人が誰もいないなんてはずはない。
 ともかく駅にまで行けば、電車に乗れるはずだと彩香ちゃんが言い出した。
 たしかに電車の駅があればそこからの帰り道は判る。
 だけど歌舞伎町なんて行ったことがないから、どっちが駅なんだか判らない。
 ともかく歩いて行けるところまで行ってみるしかない。
 歌舞伎町の看板の下を通ってしばらく歩いてみたけどやっぱり様子が変だ。
 両脇に並んだ建物は、ベニヤ板にペンキで描いたような壁でできてる。
 洋服屋らしい店もあるけど、棚は全部空でスカートやブラウスのポスターが壁に貼ってあるだけだ。
 しばらく道を歩くと十字路の先は行き止まりで高い壁が左右に広がってる。
 左手も行き止まりなので、右手に進んでみると角にコンビニがある。
 コンビニで店の人に聞けばここがどこだか判るはずと思って有紀はコンビニのドアを開けた。
 店にいるはずの店員の姿はない。
 それにこの店どう見たって変だ。
 陳列してある商品はみんな、ポスターみたいに絵が描いてあるだけ。
 週刊誌の棚も、飲み物の入った冷蔵庫もみな紙に書いた絵だけだ。
 これって映画の撮影のセットなのかもしれないと有紀は思った。
 コンビニの店を出てもう少し先まで行ってみると、今度はファミレスがあってその先には交番もある。
 交番の隣はお寿司屋さん。
 だけど誰も人はいない。
 すぐ先にいってみるとストリップ劇場の看板が見えた。
 男の人らしい姿が、ストリップ劇場の入り口から出てくるのが見えた。
 服装は普通のサラリーマン風で、特に変な雰囲気ではないけど歩き方が随分とぎこちない。
 きっとお酒でも飲んでるのに違いない。
「あの、すみません」と彩香ちゃんが男に声をかけた。
「はい、こんばんは、今日は良い天気ですね。俺、良一って言うんだ」と男が彩香ちゃんに顔を向けて返事をした。
 こんな薄暗いのに良い天気だなんて変だと思って、彩香ちゃんは空の方向を見上げてみた。
 夜空をよく見ると夜の町みたいだけど本物の空なんかじゃない。
 少し高くなったドームがみたいな天井があって青く塗ってあるだけ。
 所々に星らしい電球がついてる。
 良一君が急にがしゃんと音をたてると、そのまま動かなくなった。
「どうしたんですか」と彩香ちゃんが心配そうに声を掛けたが返事がない。
 下を向いた良一君の顔を見上げようとして、彩香ちゃんがしゃがみ込んだ。
 すると今度は急に「あ、こんばんは、今日は良い天気ですね。俺、良一って言うんだ」とまたさっきと同じ台詞。
「これから一緒にお茶でも飲みませんか、いや、近くにケーキの美味しい店があるんだけど」
 そう言うとまた良一君の身体がぴたりと止まって、今度は顔を上げて彩香ちゃんの顔を眺めてる様子。
「君可愛いね、長い髪がとてもチャーミングだし、それにスタイルも抜群だね、モデルさんみたい」と良一君が彩香ちゃんに話しかけてきた。
「彼氏いるのかな、よかったら僕と付き合わないか、お小遣い欲しいだろう」とまるでナンパみたいだ。
 だけどまたぴたりと動きが止まると、今度は横を向いて有紀の方を向き直った。
「君も可愛いね、長い髪がとてもチャーミングだし、それにスタイルも抜群だね、モデルさんみたい」と同じ台詞を繰り返してる。
「あの、この町には、他に誰か居ないんですか」と彩香ちゃんが恐る恐る良一君に聞いてみた。
「他に誰か居る、他に誰かいない、他に誰か居る、他に誰か」と良一君が言い続けて止まらなくなった。
 これはしょうがないと有紀が彩香ちゃんの手を引くと、江実矢君も彩香ちゃんの手を取った。
 良一君からゆっくりと後ずさりしながら、離れると良一君はその場に立ち止まったまま動かない。
「ロボットだよ、きっと故障してるんだ」と江実矢君が彩香ちゃんに言うと彩香ちゃんも頷いて納得した顔。
「ロボットにナンパされるなんて、私初めてだわ」と彩香ちゃんがぽつりと言った。
 確かにさっきの良一君はナンパするつもりで話しかけてきたのだと有紀も思った。
「ロボットと援助交際するなんて、できるのかしらね」と彩香ちゃんがまた呟いた。
 ナンパロボットなんてあるわけ無いけどこの怪しげなタコイーカ財団だったら作ってるかもしれない。
 ナンパロボットが居るなら援助交際ロボットだって作ってるはず。
 ロボットが上手く動くかどうか、ここでテストしてるんだと有紀はなんとなく思った。
 所長が言っていたロボット実験場というのは此処のことだったんだ。
 コンビニの棚に絵の書いた紙が貼ってあるのはそのせいらしい。
 エレベータで随分下まで降りたからよっぽど深い地下にあるはず。
 簡単には逃げ出せそうにない。
 此処でこれからどうすればいいのか見当もつかない。
 改めて町並みをよく見てみると電信柱には電線がないし、公園の木はお芝居の書き割りみたいにベニヤ板を切り抜いて絵を描いてあるだけ。
 どうみても手抜きだ。
 予算が足りなくて仕方なく手抜きをしたのかもしれないと思うと有紀はなんだかおかしくなって微笑みを浮かべた。
 江実矢君も有紀に釣られて微笑んだけど、彩香ちゃんはまだ心配そうな顔付きのままだった。
 もう少し先まで行ってみようと歩きだすと大きな壁にぶつかった。
 この歌舞伎町は四方が壁で囲まれていて、それほど広い街ではないらしい。
 壁一面にビルの絵が描いてあるけど門の絵もある、門の扉には取っ手がついてる。
 試しに取っ手を廻して扉を押してみると、扉が動いた。
 扉を押し開けてくぐり抜けると、こんどは目の前が急に明るくなった。
 土色のグランドの先には時計台のあるレンガ造りの校舎らしい建物が見える。
 右手には小さな教会みたいな建物があって、左手は体育館みたいな建物もある。
 ともかく校舎に行ってみようと思って、グランドを横切って中庭に出てみるとすぐ近くから音楽が聞こえてきた。
 軽快なリズムの演奏はまるでディスコかなんかのユーロビート風に聞こえる。
 体育館の中から聞こえてくるみたいなので、三人で体育館の方に行ってみた。
 入り口を入るとバスケットボールのコートが一面あって左手にちょっとだけ床が高くなった舞台が見える。
 舞台の中央では真っ赤なチアリーディングの衣装を付けた女の子が、チアのダンスを繰り返してる。
 音楽に合わせて、手と足を動かしてるだけでまるでロボットみたいな動き。
 さっき歌舞伎町で出会った男はロボットみたいだったけど、この女の子もロボットに違いない。
 不意に女の子が踊りを止めて、じっとしたまま三人を見つめた。
 やや小柄で小さな顔は見た感じは江実矢君の幼友達の希美ちゃんによく似てる。
 だけど希美ちゃんがこんな所にいる訳がない。
「あなたたち、新入生ね」と女の子が口を開いた。
 なんて答えていいのか判らずに、三人は黙ったまま仕方なく軽く頷いた。
「入学式は明日よ」と女の子がまた話しかけてきた。
「そうなんですか」と彩香ちゃんが仕方なく答えると「間違えたのね、そうそう、あなた達はいるクラブはもう決めたの」と女の子が聞いてきた。
「まだですけど」と今度は有紀が答えると「じゃあ、チアリーディング部にしなさい、部員が足りなくて困ってたの」と女の子がまた言った。
 もしかして他にもこの学校には女の子が居るのかもしれない。
「今部員は何人いるんですか」と有紀が聞いてみると「私一人なの」と女の子がちょっと寂しそうな顔をした。
 江実矢君は話しの合間にも、女の子の横のラジカセが気になってるらしい。
 さっきから音がうるさくて、近くで話しをしていてもとても聞こえないくらい。
 江実矢君がラジカセを止めようとして指でスイッチを押そうとしたが動かない。
 スイッチは絵が描いてあるだけで、どのボタンを押してもなにも起こらない。
 女の子が江実矢君に気がついたのか、不意に江実矢君に駆け寄ってラジカセのボタンを押した。
 江実矢君の手の上に、女の子の手がかさなると江実矢君が驚いて振り返ろうとした。
 不意に江実矢君のほっぺたが、女の子の唇に触れて江実矢君は身体が震えちゃってる。
 ラジカセのボタンは紙で出来ていて押しても動かない。
 だけど女の子が軽く触っただけで不思議と音楽が止まると、急に体育館の中が静かになった。
 女の子は江実矢君を後から抱きかかえたような格好で身体が凍りついたように動きが止まった。
 彩香ちゃんが江実矢君に駆け寄ろうとしたとき、また不意に女の子の身体が動いた。
 江実矢君はちょっと恥ずかしそうな顔で女の子から身体を離した。
 女の子は何事も無かったみたいにがラジカセを掴んで持ち上げたけど、まるで紙で出来てるみたいに軽そう。
「そうだ、学校案内してあげるね、見たいでしょう」と女の子がまた口を開いた。
「私ね、沢田百合っていうの、みんな百合ちゃんて呼んでるのよ」と女の子が自己紹介をした。
 百合ちゃんがラジカセをもって体育館のから校舎に三人を案内してくれたけどやっぱり変だ。
 校舎の正面の時計台は絵に描いてあるだけで、針は動かないみたいだし、校庭の前の花壇もまるでお芝居の舞台みたいに花の絵を描いてある板を置いてあるだけ。
 百合ちゃんに案内されて、教室に入ると正面に大きな黒板があって花文字で絵が描いてある。
「これ私が書いたのよ」と百合ちゃんが嬉しそうな顔で指さしたけど丸い花は見事に円形で手でなんかとても書けないほど正確な丸の形だ。
 教室を見た後は、階段を上がって図書館に案内された。
 図書館の入り口には大きな掲示板があってチアリーダー募集のポスターも貼ってある。
「ラブエンジェルズ」というのがチームの名前らしい。
「これも私が書いたのよ」と百合ちゃんがちょっと恥ずかしそうな顔をしてポスターの前を通り過ぎた。
 手書きの文字は、わざと曲げて書いてあるらしくて何だか変な格好でloveのオーの文字がハート形になってる。
 図書館には書架が左右二列に並んでいて、閲覧用の机も置いてある。
「ここで、何でも好きな本が読めるのよ」と百合ちゃんが嬉しそうな顔で言ったけどやっぱり変だ。
 遠くから見ると確かに本が並んでるけど、近くで見ると本の絵が大きな板に貼ってあるだけ。
 これじゃあ、読める訳がない。
 図書館の隣はパソコンルームになってるけどやっぱりここも段ボールで作ったような箱にパソコンの絵が描いてあるだけ。
 階段を降りて今度は隣の建物にいくと、しゃれた感じのカフェテリアになってる。
 自動販売機も置いてあるけど、やはり箱に絵が描いてあるだけで飲み物は買えそうにない。
 校舎の中を大体一回りして正面の玄関に戻ると「そうだ、みんなこれから私の家に遊びに来ない」と百合ちゃんが誘った。
「ね、いいでしょう、私の家すぐ近くだから」と百合ちゃんが言うので、他にいく場所もないので百合ちゃんの家にみんなで行くことになった。
 百合ちゃんに案内されて校舎の裏手にある小さな門を出ると目の前は大きな公園。
 大きな木がいっぱいあるけど、どれも芝居の大道具みたいに絵で描いてあるだけ。
 中央に噴水があって、その周りにベンチが並んでる。
 公園の出口をくぐると目の前に大通りがあって、左右に家が並んでる。
 どの家もそっくり同じ作りで、壁の色が違うだけ。
 一番手前にある家が百合ちゃんの家らしくて、百合ちゃんがドアを開けた。
 家の中は結構広くて、廊下の先にリビングルームがある。
 まるで新築の家みたいに家具らしい物はなにもない。
「こっちが私部屋なの」と百合ちゃんに案内されて玄関のすぐ横にあるドアを入った。
 中は結構広くて、窓の外から大通りが見える。
 百合ちゃんの部屋には大きなベッドが置いてあって、その隣は勉強机があって、横には本棚がある。
 見た目は普通の女の子の勉強部屋みたい。
 本棚はさっき図書館で見たのと同じに本の絵がポスターみたいに貼り付けてあるだけで、実際に本が置いてある訳じゃない。
 百合ちゃんが勉強机の引き出しを開けると中からノートパソコンが出てきた。
 勉強机に備え付けになってるらしくて、引き出しを開けるとそのまま使えるようになってる。
 百合ちゃんがパソコンのスイッチを入れるとパソコンが起動した。
 体育館で見たハリボテのラジカセと違って本物のパソコンだ。
「ねえ、友達紹介するね、私ねいつもここのビデオチャットで友達と話ししてるの」と言いながら百合ちゃんがパソコンの画面を見せてくれた。
「ねえ、友達できたんだ、今度の新入生でね、今日学校にきたのを偶然見つけたの」と百合ちゃんがマイクに向かってしゃべり出した。
「あ、ホント、凄いのね」とスピーカーから声が聞こえてきたけど、なんだか変だ。
 パソコンの画面に映ってるのはテレビゲームの主人公みたいな女の子の絵。
 しゃべりながら口が動いてるけど、パソコンに表示されてるグラフィックのアニメみたいな絵だ。
「この子ね、久美ちゃんていうの、チャットで知り合ったのよ、この子ね今度転校してくるの」と百合ちゃんが嬉しそうな顔で紹介してくれた。
 テレビカメラの前に彩香ちゃんが顔をだして「初めまして、よろしくお願いします」と挨拶するとパソコンの画面の久美ちゃんの顔が微笑んだ。
「明日入学式で会いましょうね」と久美ちゃんに言われたけど、何て答えていいのか判らない。
「久美ちゃんね、お父さんがアメリカに仕事で行っていてね、今年やっと日本に帰ってきたの」と百合ちゃんが話してくれたけどそんな話しが本当の訳がない。
 百合ちゃんはここで暮らしてるロボットらしくて、百合ちゃんからはたいした話しは聞けそうにない。
 ともかくこっからどうやって出られるか調べるのが先だ。
 もしかしてこのパソコンインターネットで繋がってるのかもしれない。
 それなら、インターネットのメールで勇二君に知らせる事だってできるはず。
 勇二君は時々ビデオチャットをしてるから運が良ければビデオチャットで勇二君と話しが出来るかもしれない。
「私にもビデオチャットやらせて貰えませんか」と彩香ちゃんが恐る恐る百合ちゃんに聞いてみた。
「うん、久美ちゃんも彩香ちゃんと話しがしたいらしいの」と百合ちゃんに言われて彩香ちゃんはびっくりした顔をしてる。
 まだ三人の名前は知らせてないはずなのに百合ちゃんは知ってるみたい。
 ロボットだからデータが最初からいれてあるらしい。
 彩香ちゃんが最初にパソコンに向かうと久美ちゃんといろいろ話しをしながらインターネットのビデオチャットのサイトに繋ごうといろいろやってみた。
 やっぱりこのパソコンは外の世界とは繋がっていないらしくて、しばらくやってみたけど結局彩香ちゃんは諦めたみたい。
 パソコンの得意な江実矢君が彩香ちゃんと席を替わっていろいろやってみたけどやっぱり上手くいかない。
「ビデオチャットのやり方知らないなら私が教えて上げる」と百合ちゃんが言ってくれたので、江実矢君が百合ちゃんと席を替わった。
「久美ちゃんの他に誰かチャットの相手してくれる人が居ると良いんだけど、誰か男の人と話をしたいな」と彩香ちゃんがそれとなく話しを向けてみた。
 すると百合ちゃんが「男の人とビデオチャットで何の話しがしたいのかしら。本当はナンパされたいんでしょう」と言い出したので有紀はびっくりした。
 さっき歌舞伎町で男のロボットにナンパされたけど、今度はビデオチャットでナンパされたいとか百合ちゃんが言ってる。
 このロボット実験場はロボット同士でナンパする場所なのかしらと有紀は呆れてしまった。
「ねえ久美ちゃんビデオチャットで男の人にナンパされたことある」と百合ちゃんが久美ちゃんとビデオチャットで話しを始めた。
「ううん、まだだけど、百合ちゃんは」と久美ちゃんが返事をしてきた。
「私もまだだけど、誰かいい男の人居たら紹介してね、私背が高くて格好いいひとがいいな。久美ちゃんはどう」と百合ちゃんが嬉しそうに答えてる。
 ロボットの女の子同士でも恋バナは大好きらしい。
 さっそく話しが盛り上がってるけど話題は男の子の話とナンパの話しばかり
 百合ちゃんは久美ちゃんとのビデオチャットに夢中でもう三人の事は気にかけていない様子。
「ねえ、私達そろそろ帰りますね」と彩香ちゃんが百合ちゃんに声を掛けた。
 百合ちゃんは彩香ちゃんの声に気が付かないらしくてパソコンの画面に向かったまま動かない。
 彩香ちゃんが有紀に目で合図すると有紀は江実矢君の手を引っ張った。
 気づかれないように静かに後ずさりすると、足音を立てないように静か百合ちゃんの部屋を出た。
 大通りに出てみると、大きな家が何件か建ってるのが見えた。
 どの家も無人らしくて、人の気配はない。
 しばらく大通りを先に進んでみると、大きな壁にぶち当たった。
 街の絵が描いてあるだけで、その先には進めない。
 右手に進んでしばらくいくとまた突き当たり。
 また右手に曲がってしばらく行くと、今度は学校の正門の前に出た。
「入学式」と書いた大きな立て看板が門の前に出ていて明日が入学式らしい。
 通りの先はまた行き止まりになってるけど、壁に大きな門がある。
 さっき歌舞伎町からこっちに来るときに通った門らしい。
 ためしに門を開けてみると、暗い町並みが見えた。
 門をくぐって辺りの様子を確かめてみると、やっぱりさっきの歌舞伎町だ。
 この歌舞伎町は空全体がドーム型の天井になってるから、そんなに広いはずはない。
 周りの壁にそってぐるっと一回りすれば一番最初に居た場所に戻れるはず。
 ともかく最初にエレベータから出たときの部屋に戻ろうと三人で話しがまとまった。

良一君はセックス専用ロボット

あらすじ
 歌舞伎町で出会い系喫茶を見つけて奥のベッドルームで三人で寝ているとカラオケの音が聞こえる。歌ってるのはロボットの良一君。良一君はセックス専用のロボットでテクニックが抜群。

 門をくぐってしばらく大通りを歩いていくと「ラブエンジェル」という看板が目に入った。
 書いてある文字には見覚えがある。
 さっき学校の図書館に掲示してあったチアリーダーのクラブの「ラブエンジェルズ」と文字の書き方がそっくり同じだ。
 看板には「喫茶店、女の子は飲み物無料」と書いてある。
 もしかしたら何か飲み物が置いてあるのかもしれない。
 このロボット実験場に来てから何も食べてないので、飲み物があるならとっても助かる話しだ。
 さきに彩香ちゃんが店に入ってみると、正面の受付には誰もいない。
 階段を上がって店の奥に入ると、細長い店の中央にテーブルがあって銀色のパックに入った飲み物らしい物が置いてある。
 彩香ちゃんが駆け寄って確かめてみると、研究所で渡されたのと同じ飲み物みたいだ。
 さっそく彩香ちゃんが試しに飲んでみると大丈夫らしい。
 研究所で所長に渡されたのと同じ「たこ焼きのケチャップ味」だと彩香ちゃんが言うので有紀も飲んでみた。
 たっぷりと濃い味は、栄養剤らしくてお腹に入ると気持ちがすっと楽になった。
 少しずつ口に入れながら全部飲み終わると、飲み物の容器に書いてある文字を読んでみた。
 銀色の四角いパックには真っ赤な文字で「ラブエネルギー」と書いてある。
 誰かがイタズラで書いたのかと思ったけど、どの容器にも同じ文字が印刷してある。
 ソファに座って一息休んでから部屋の中を見回してみた。
 細長い部屋は片側がコミックの本棚になっていて、反対側の壁は全部が鏡ばり。
 本棚はさっきの図書館と同じに、本の絵が描いてあるポスターが貼ってあるだけ。
 鏡の前に細長いカウンターがあってその前に丸椅子がずっと並んでる。
 この店いつか来たことがあるような気がして有紀は店の中を眺め回した。
 原宿で間違ってスカウトされたとき連れてこられたビデオチャットの店によく似てる。
 カウンターの上にはパソコンが並んでいて、パソコンの画面には何かが映ってる。
 パソコンからは小さな声がずっと聞こえてくるのも何だか変な気がした。
 彩香ちゃんがパソコンに近づいてみると「ねえ、これビデオチャットよね、さっき百合ちゃんがやってたやつ」と有紀に聞いた。
 確かにさっき百合ちゃんが勉強机のパソコンでやってたのと同じ画面で、女の子が一人で喋ってる。
 話してる相手はまた誰か別の人らしい。
 画面には他にも何人かの顔が小さく映っていて、女の子の顔や男の子の顔が見えるけどどれもグラフィックで描いた絵だ。
 チャットの相手は好きな人を画面から選ぶ仕組みらしい。
 これってきっとチャットのシミュレーターで、パソコンが勝手におしゃべりをする仕組みに違いない。
 コンピュータの中で仮想空間を作ってアバターで遊ぶゲームとよく似てると有紀は思った。
 彩香ちゃんがパソコンのスピーカーのボリュームを上げてみた。
 大きな声で「私ですか、彼氏ですか、いま居ません」と女の子の声が部屋に響いた。
 すると今度は男の声で「じゃあ、さみしいだろう、彼氏がいないとさみしくてしょうがないよね」となだめるような声で女の子に話しかけてる。
 普通の男の子と女の子がこんな会話をするわけ無い。
 これって出会い系のチャットのシミュレータらしいと判って彩香ちゃんは呆れた顔。
 これもあの研究所の所長が作らせたソフトに違いない。
 まったく何の研究をしてるんだか、ふざけた話しで腹が立ってくる。
 こんな所にいつまでも居たら何が起きるか判らない。
 有紀はテーブルの上から銀色のラブエネルギーのパックを何個か取るとポケットに入れた。
 彩香ちゃんと江実矢君もポケットに入るだけさっきのラブエネルギーを詰め込むと、店から出ようと階段を降りた。
 受付の前まで来ると彩香ちゃんが「ねえ、私この店って知ってる」と言い出した。
 有紀はすぐには彩香ちゃんの言ってる事がわからなくてきょとんとして彩香ちゃんの顔を見つめた。
「テレビでみたことあるの、これって出会い系喫茶よ。きっとそうよ確かめて見れば判るから」と言うと彩香ちゃんは受付の横のドアを開けた。
 薄暗い廊下みたいな部屋は、さっきの部屋より床が一段低くなっている。
 壁際は全部鏡になっていて、さっきの女の子の部屋と向かい合わせになってるらしい。
 女の子が座ってる椅子のちょうど目の前に男の子が座れる椅子がある。
 これがあの女子高生の間でも噂になってる出会い系喫茶だと有紀にもピンときた。
 女の子のスカートの中をマジックミラーで覗き見できる仕掛けになってるとテレビでやってたけどやっぱりその通りだ。
 出会い系喫茶がなんでこんな変な街にあるのか判らないけど、きっとそれはそれでなにか目的があるに違いない。
「もしかして、誰か居るかもしれないわよね。私達誰かに覗き見されてたのかもしれないわよ」と彩香ちゃんが言い出した。
 確かにそれもそうだ。
 江実矢君がひとまず一番前になって、ゆっくりと様子を確かめながら廊下を奥まで進んでみた。
 ちょうど女の子の部屋をぐるりと一回りする配置で、男の子用の部屋が作ってある。
 女の子との部屋の境は全部マジックミラーで、女の子のしてることは全部丸見えだ。
 一回りして一番奥まで行くと、突き当たりの壁にはカーテンが掛かってる。
 何だか変だと思ってカーテンを開けてみると、小さなドアがある。
 彩香ちゃんがドアを開けてみると、細長い通路が続いてる。
「私、これ知ってる」と急に彩香ちゃんがまた思い出したように声を上げた。
「きっとそうよ、行ってみれば判るわ」と彩香ちゃんが言うので、また江実矢君を先頭にしてドアの先の通路を進んだ。
 少し先で左手に曲がると、廊下にそってドアがいくつも並んでる。
 彩香ちゃんがドアの取っ手を廻して、ドアを開けてみた。
 薄暗い部屋の中には誰もいないみたい。
 彩香ちゃんが先に部屋に入ったので有紀は「彩香ちゃん大丈夫?」と声を掛けて後から続いた。
 部屋の中にはベッドがあって、その横にはソファーもある。
 薄暗い部屋の電気を付けてみると、中はホテルの部屋みたいな作りで結構広い。
 出会い系喫茶でナンパした女の子を連れ込むための部屋らしい。
 一通り部屋の中を確かめてみたが、正面に大きな鏡がある他には特に怪しい感じもない。
「ねえ、今夜はここで休みましょう」と彩香ちゃんが言い出した。
 確かにこの部屋は、ベッドもあるしドアを閉めれば誰も入ってこない。
 それにこのロボット実験場にはロボットしか居ないんだから、危ない事なんか起きるはずはない。
 一休みするにはもってこいだ。
「そうね、それしかないわよね」と有紀も答えた。
「ねえ、有紀ちゃんは私とベッドで寝ようね、江実矢君はそこのソファでいいわよね」と彩香ちゃんに言われて江実矢君もソファに寝そべった。
 有紀が先にベッドに横になると、彩香ちゃんも電気を消してすぐ有紀の隣に寝ころんだ。
 ふかふかのベッドに身体を沈めると、急に疲れが出てすぐに半分眠り込んで気が遠くなった。
 今日一日の出来事が頭に浮かんできて、次から次へと思い出した。
 いったい何が起きたのか、なんでこんな事になっちゃったのかさっぱり訳が分からない。
 次第に頭が重くなると、彩香ちゃんの寝息がすぐ耳の横で聞こえてきた。
 すこし離れたソファからも江実矢君が微かな寝息を立てているのがぼんやりと聞こえた。
 ともかく眠ろう、そうすれば明日の朝起きたときは、きっと自分の部屋の自分のベッドの中で目を覚ますはず。
 そうよ私は今夢の中にいるのよ、今日の出来事は全部夢なのよと思うとな気分がすっと楽になった。
 気が遠くなって眠りに入りかけた時、急に大きな音が有紀の耳に飛び込んできた。
 がんがんと耳に響く大きな音は誰かが近くでカラオケをやってるらしい。
 彩香ちゃんもベッドから身体を起こすと、とても寝ていられない様子で有紀の顔をみた。
 この近くに誰かいるらしい。
 そうなるととても安心して寝てなんか居られない。
 耳を澄ませて大きな音をよく確かめてみると、やっぱりカラオケで誰かが大声で歌ってる音に間違いなさそう。
 部屋を見回してみると確かにカラオケのセットと、それに大きなプラズマテレビも置いてある。
 他の部屋に誰か男の人がいて、カラオケをやってるって事しらい。
 彩香ちゃんが先に部屋を出ると、音のしてる方向を頼りに廊下を進んでみた。
 少し先のドアから明かりが漏れるのが見えた。
 中からはうるさいカラオケの音ががんがん響いてくる。
 ドアをそっと開けて中を覗いてみると、さっき三人がいた部屋よりもかなり広い部屋だ。
 部屋の中央で男がカラオケのマイクをもって踊りながら歌ってる。
 とんでもなく下手な歌なので、聞いているだけで頭が痛くなっちゃう。
 どっかで見覚えのある男だとおもったら、最初にこの歌舞伎町に来たとき話しかけられたロボットの良一君だ。
 このロボットはどこか調子が悪いらしくて、最初に会った時もまともに会話が通じなかった。
 今度もやっぱりどっかの具合が悪くて、カラオケをやり出して止まらなくなったみたいだ。
 どうせどっか壊れたロボットなんだから、話しかけてもたいした事にはならないと彩香ちゃんは思ったみたい。
「あの、静かにしてくれませんか」とへんてこな格好で踊ってる良一君に声を掛けた。
 良一君は急に踊りを止めてこちらに振り返ると「いやあ、一緒に歌おうじゃないか、いや楽しいな」と相変わらず歌を止めない。
「あの、眠れないんです、眠れないの、カラオケ止めてくれませんか」と彩香ちゃんは大声で良一君に怒鳴った。
「眠れない、眠れないんだ。あ、じゃあここで一緒に寝ようね」と良一君が大きなベッドを指さした。
 部屋の奥に大きなベッドがあるのが見えて彩香ちゃんはちょっとびびったみたい。
「あの、一緒じゃなくても良いでしょう、別にその」と今度は小声でささやくような声で良一君に言い返した。
「女は、良一君と一緒に寝るんだよ、決まってるだろ、女三人に男一人、いやこりゃサイコーだぜ」と良一君が言うので、これは不味いことになりそうだと有紀は思った。
「まず有紀ちゃんが一番奥に寝て、次が恵美ちゃん、そして次が彩香ちゃんの順で寝るんだ」と良一君が言い出した。
 なんで私達の名前をしってるんだろうと有紀は思ったけど、ロボットのコンピュータにデータが入ってるらしい。
「俺は、好きな所に順に寝られるだろ、いやサイコーだ」と良一君が言うと有紀の手を引っ張った。
 下手に逆らうとどうなるか判らない。
 有紀が大きなベッドの奥に横になると、次に江実矢君が寝かされた。
 最後に残った彩香ちゃんの手を取って良一君がベッドに引き寄せようとしたとき、彩香ちゃんが良一君に背を向けた。
「私、いや」と甘えた声で彩香ちゃんは良一君にささやかな抵抗の仕草をしてみせた。
 大声で彩香ちゃんが「嫌」と叫んだりすれば、無理矢理ベッドに押し倒されるのは判ってる。
 だけど女の子に甘えた仕草で拗ねられたら普通の男だったら、優しくしてくれるはず。
 ロボットの良一君がどうするのかと思って有紀が見ていると、さすがにロボットにはどうしていいのか判らないらしい。
 ロボットの動きがしばらく止まった後、ロボットの手が左右から彩香ちゃんを抱きしめようとして巻き付いてきた。
 不意に彩香ちゃんの身体が目の前から消えた。
 彩香ちゃんがすばやい動きでしゃがみ込んだのだ。
 彩香ちゃんの得意技だ。
 後から抱きつかれたとき、しゃがみ込んで後ろ手に相手の両足を掴んでそのまま後ろ向きに倒れ込むという大技。
 そのあとすぐに彩香ちゃんの得意技の彩香スペシャルに持ち込む連続技だ。
 小学校の時は、彩香ちゃんのこの大技に恐れをなして彩香ちゃんに逆らう男の子は一人もいなかった。
 彩香ちゃんが良一君の両足を掴んで、立ち上がりながら後に反り返った。
 普通の男の子だったら後にそのまま倒れ込むはずだ。
 だが有紀の目の前で飛んでもない事が起きちゃった。
 良一君の足首がまるで丸いバネ仕掛けみたいに有紀の目の前で伸びた。
 はじき飛ばされたように良一君の身体が後に飛んだけど彩香ちゃんを抱きしめたままだ。
 良一君の体は彩香ちゃんを抱え込んだまま宙を飛んで、そのまま一緒にベッドに背中から倒れ込んだ。
 彩香ちゃんの位置がベッドに近すぎたらしいくてこれじゃあ彩香スペシャルの体勢に入れない。
 おまけに彩香ちゃんは良一君に抱きかかえられたままで動くに動けない。
 良一君の指先が彩香ちゃんの胸を握りしめようとしてきた。
 ロボットだけあって、指の力は普通に人間とは比べ物にならないくらい強い。
 こうなったら彩香ちゃんの力ではとても良一君には逆らえない。
 彩香ちゃんが諦めて身体の力を抜いて良一君に身体を預けた。
 良一君の指先が彩香ちゃんの胸を掴んでゆっくりと押し回してきた。
 彩香ちゃんは苦しそうに顔を歪めたけど、苦しいだけでも無いみたい。
 良一君の指先が小刻みに震えながら彩香ちゃんの胸の先端に押しつけられてくると彩香ちゃんが「だめ」と小さく叫んだ。
「何がだめなの」と良一君が彩香ちゃんの耳元で意地悪そうな口調で呟いた。
「止めちゃだめ」と彩香ちゃんが返事をしたので有紀はびっくりして彩香ちゃんの顔を見つめた。
 何だかよく判らないけど、気持ちよさそうにうっとりとした彩香ちゃんの表情はいままで見たこともないような顔だ。
 良一君が下から腰を突き上げるようにしてゆっくりと動かし始めた。
 男の子が腰を上下に動かすのが何の為なのか有紀だってよく知ってる。
 彩香ちゃんが自分から足を左右に開くと、膝を立てて良一君の動きに合わせて腰を上下に ゆすり始めた。
 有紀は目の前で起きていることが信じられなくて、何も言えずにじっと彩香ちゃんを見つめた。
「もうだめ、お願い」と彩香ちゃんが苦しそうな声で喘いだ。
 良一君が低い声で「すぐ気持ちよくしてやるぜ」と彩香ちゃんの耳元で囁くのが聞こえた。
 この良一君はロボットと言っても普通のロボットではないらしい。
 普通の男性よりも男と女の事が上手にできる特別製のロボットだとしか思えない。
 だいたいロボットの実験場に出会い系喫茶店なんてのが有る事自体が変な話しだ。
 このロボット実験場は援助交際をロボットを相手にさらせれる場所らしい。
 このままじゃ彩香ちゃんがどんな目に遭うのか判らないけど、いったいどうしたらいいのか判らない。
「私もうだめ、もうどうにでもして、もうなんでもいいから」と彩香ちゃんが叫んだ時、良一君が不意に体を起こすと彩香ちゃんのすぐ隣に寝ていた江実矢君の上に覆い被さった。
 良一君の手が江実矢君の胸を揉み始めたけど、江実矢君の胸はブラジャーに入れたパッドで膨らませてあるだけ。
 いくら良一君のテクニックが上手でも江実矢君が気持ちよく成るわけがない。
 江実矢君が何の反応もしないのを見て、良一君の手が今度は江実矢君のスカートの下に伸びてきた。
 これはまずいと有紀はとっさに思った。
 男の子の大事な物を良一君が探り当てたら、どんなことに成っちゃうのか想像もつかない。
 もしかして江実矢君が気持ちよくなっちゃったりしたら大変だ。
 有紀は必死で良一君にしがみつくと、体を捩らせて良一君に抱きついた。
 良一君は江実矢君から手を離すと有紀の体を抱きしめながら撫で回してきた。
 くすぐったい感触が有紀の脇腹をそっと撫で回してくると有紀は思わず体を仰け反らせた。
 良一君は有紀の体を抱きかかえると体をベッドの上で一回転させた。
 有紀の体が彩香ちゃんの体の上に乗っかると、彩香ちゃんの胸と有紀の胸が重なりあって押しつぶされた。
 彩香ちゃんが苦しそうに息を吐き出すと、有紀の耳元をくすぐるように吐息がかすめた。
 良一君の手が有紀の脇腹をそっと撫でながら脇の下まで届いてきた。
 くすぐったい感触が次第に燃え上がるような快感に変わって行くのを有紀はもう止められなかった。
 良一君の指先は今度は有紀の背中をくすぐり始めた。
 少しづつ場所を変えながらゆっくりとした動きで有紀のお尻まで良一君の指先が届いてくると有紀は我慢できなくて何度も大きく息を吐き出した。
 有紀のお尻をそっと包み込むようにして押し回してくる良一君のテクニックはロボットとは思えないほど完璧だ。
 有紀は何度も大きく息を吐き出して喘ぎながらこのあと良一君に何をされるんだろうと不安な気持ちがよぎった。
 ロボットだって男の子の大事なものが付いてるはず。
 良一君がその男の子の大事な物を上手に使ったら、有紀の体はいったいどうなっちゃうんだろう。
 男の子だったら一回満足すれば、そのあと何回も続けてできるはずがない。
 だけどロボットだったら一回で済むわけがない、何時間でも一晩中でもやり続けて終わらないはず。
 そんな事になったら有紀も彩香ちゃんもとても生きてここから逃げられる訳がない。
 なんとかしなきゃいけないと思っても、有紀の体はもう快感の虜だ。
 気持ちよくなれるならもう何だっていいと有紀は諦めた気持で目をつむった。
 良一君は彩香ちゃんと有紀が体を重ねたその足元にしゃがみ込んだ 。
 有紀の足を左右に広げさせて、良一君がスカートの奥に手をいれて一番感じるところを指先で探り当ててきた。
 指先が震えながら電流が流しこまれて痺れるような感触が有紀の体を捕らえた。
 なんでロボットの良一君の指先が触れただけどこんな事になるのか訳が分からない。
 良一君の指先にはなにか特別な仕掛けがあるらしくて、普通に男の人にさわられる感触とはまるで別だ。
 小刻みに強くなったり弱くなったりを繰り返しながら、ぴりっとするような電流が肌の上を流れると筋肉が勝手に震えだして止まらない。
 特別に感じるツボがあるらしくて、良一君に指先を押しつけられると頭のてっぺんまで電流が突き抜けて通る。
 巧みに指先の位置をずらしながら有紀の弱い所を責めるテクニックはとてもロボットだとは信じられない。
 さっき彩香ちゃんが「私もうだめ」と叫んだ理由が有紀にもすぐ判った。
 渦を巻くような快感が有紀の体中を駆けめぐるともうとても逆らえない。
 このまま良一君に征服されたいという欲望が熱い噴流になって体の中心から沸き上がってきた。
 この良一君に本気で責められたら、どんなに気持よくなるのか思っただけでもう我慢できない。
 このロボット実験場で毎晩この良一君に責められ続けられるんだと思うと気が遠くなって気絶しちゃいそう。
 彩香ちゃんが急に力いっぱい有紀の体に抱きついてきた。
 頭を仰け反らせて体を震わせると「いやん、もうらめー、有紀ちゃん許して」と彩香ちゃんが大声で叫んだ。
 良一君が指を使って有紀と彩香ちゃんを同時に責めてるんだと判って有紀も堪らずに「彩香ちゃん大好き」と叫んだ。
 良一君が指先を奥まで差し入れてくるともう死にそうなくらい気持がいい。
 引きつったような痙攣が奥まで沸き起こると、ぴくぴくと震えて止まらない。
「お願い、はやくして、もうやー、やーけて」と有紀が訳の分からない言葉を口走ると急に良一君が上半身を起こした。
 良一君は天井を見上げると「ゆうやーけ、こやけーの」と大声で歌い始めた。
 何がなんだか判らないけど、ともかくカラオケなんだからと有紀が「あかとーんぼ」と次の歌詞を繋げて歌った。
 すると良一君は有紀の体から指を離して横に寝そべると「おわれーてみたのーは」と歌い始めた。
 今度は彩香ちゃんが「いつのーひーか」と歌うと良一君は急に静かになって動かなくなった。
 これはちょうどいいと思って彩香ちゃんが身体を起こして良一君から離れようとするとまた良一君が「ゆうやーけこやけーの」と彩香ちゃんを抱きしめて歌い出した。
 これじゃあ、いくらやっても終わらない。
 彩香ちゃんが試しに「わたしサウスポー」と歌ってみると良一君が「きりきりまいよ」と歌を続けた。
「一本足が相手」と彩香ちゃんが歌うと、良一君が急にベッドの上で立ち上がり踊り出した。
 こうなったら有紀も隣で調子を合わせて踊るしかない。
 良一君が一本足でバットを振る踊りをしたので、有紀もそれに合わせて片足を上げた。
 だけどふかふかのベッドの上で片足でなんかたったら、足元が危ないのは分かり切ったこと。
 ベッドが沈み込んで、有紀の身体のバランスが崩れると、良一君の足元も沈み込んだ。
 良一君が有紀に抱きつこうとしたので、有紀は慌てて良一君を突き飛ばした。
 良一君はベッドの上で身体ごと真横に倒れると、ベッドの上をくるくると転がって床にドスンと落ちた。
 良一君の体は床の上に仰向けの姿勢で倒れ込んだ。
 チャンスは今しかないこの隙に逃げなきゃと有紀は思ったが、体の震えが止まらなくて起きあがれない。
 江実矢君が彩香ちゃんを抱きかかえてベッドから降ろそうとしてるけど、彩香ちゃんも体の震えが止まらないらしい。
 彩香ちゃんが江実矢君に抱きつくと、二人でベッドに倒れ込んでしまって起きあがれない。
 有紀はゆっくりと息を何度も吐き出すと、次第に体が楽になってきた。
 良一君は仰向けに寝ころんだまま、上半身を起こそうとして身体を持ち上げるけどすぐにまた元の姿勢に戻ってしまうだけ。
 ロボットには仰向けに起きあがる動作が難しいらしい。
 何度も繰り返して身体を起こそうとしては元に戻る動作を繰り返すと次第に動きが弱くなってとうとう動かなくなった。

盗撮カメラで覗かれて

あらすじ
 彩香ちゃんが江実矢君にフェラチオしようとした時、ベッドルームの天井に盗撮用のカメラが設置してあるのを見つけた。ベッドルームでの出来事は全部盗撮されていたらしい。どこか他に休める場所を探すしかない。

 しばらくして彩香ちゃんもやっと気持が落ち着いてきたみたい。
 江実矢君に抱きかかえられて彩香ちゃんがやっとベッドから起きあがると有紀は良一君の様子を確かめてみた。
 良一君は床に寝たまま動く様子もない。
 これはちょうどいいと思って有紀は足音を立てないようにそっとドアまで歩いた。
 彩香ちゃんも江実矢君と一緒に忍び足で部屋から逃げ出すとドアを閉めようとした。
「ギィー」とドアの軋む音がしたとき部屋の中から「たすけてくれー」と弱々しい声が聞こえてきた。
 良一君が助けを呼んでるんだは判ったけど、そんなこと知った事じゃない。
「どっか打ち所が悪かったんじゃないの」彩香ちゃんが言うので、有紀もたぶんそうだと思って廊下を歩き始めた。。
「エネルギーが切れたんだ、死んじまう、お願いだ助けてくれ」と良一君はか細い声で言い続けてる。
 ドアを少し開けて部屋の中を覗いて見ると「死ぬのはやだ、死にたくない」と良一君が呟いて頭を振った。
 もしかして本当にこのロボット死んでしまうのかもしれない。
 このロボット実験場で見かけたのはこの良一君とさっきの百合ちゃんだけだ。
 本当にこのロボットに死なれたらこの世界のことをいろいろと聞き出すこともできなくなっちゃう。
 これはひとまず良一君を助けて恩を売るのが得策かもしれない。
「エネルギーってなんのことよ」と彩香ちゃんが有紀に聞いたけど、有紀にも判らない。
「この事じゃないかな」と江実矢君がポケットからさっきのドリンク剤のパックを取りだして彩香ちゃんと有紀に見せた。
 確かにパックにはラブエネルギーと書いてある。
 部屋の中にもどって良一君の様子を確かめると、良一君はもう何も言わない。
 動かなくなった良一君の口にエネルギーパックの先を突っ込んで中身を押し出してみると中身が口から吸い込まれていく。
 一パック全部中身がなくなって良一君がどうなるのか具合を見ていると何だかピーと音がした。
 急に良一君の顔が彩香ちゃんの方に向くと「いや、今晩は、君可愛いね、一緒にカラオケしないか」と誘った。
 元気になったのはいいけど、またカラオケに誘われちゃうってのも困ったもんだ。
「初めまして、私、カラオケ大好き」と急に部屋の隅から大声が聞こえてきて三人は声の方を振り返った。
 部屋の隅にパソコンが置いてあって、そこから声がしてきたらしい。
 彩香ちゃんがパソコンに近寄って確かめてみると、パソコンからビデオチャットができるらしい。
「そうだ良い考えがあるわ」と彩香ちゃんが急に両手を叩いて嬉しそうな顔をした。
 彩香ちゃんが両手を叩くのはだいたい、変なアイデアを思いついたときだけど今は変なアイデアでもなんでもいい。
「ね、あなたビデオチャットってやったことある」と彩香ちゃんが良一君の耳元で大声で聞いた。
「ビデオチャットなら、得意、カラオケも得意だけど、ビデオチャットも得意」と良一君が相変わらず陽気な口調で返事をした。
「じゃ、これからビデオチャットしましょうね、みんなで楽しくビデオチャットするの」と彩香ちゃんが言うと「さあ、連れてくのよ、さっきの女の子の部屋」と有紀に話しかけてきた。
 さっきの女の子の部屋というのはあの出会い系喫茶の女の子の部屋らしい。
 確かにあそこなら、ビデオチャットだろうが、カラオケだろうがいくら大声をだしても、ここまで聞こえてなんか来ない。
 さっそく有紀と彩香ちゃんが良一君の両方の腕を取って、江実矢君が良一君の背中を後から持ち上げた。
 良一君を立たせると、あとは両手をひっぱりながら「さあ、楽しいビデオチャット、みんなで楽しいビデオチャット」と彩香ちゃんがかけ声をかけながら良一君を歩かせた。
 良一君はまるでお酒にでもよっぱらったような千鳥足で「ビデオチャット大好き、得意なんだ」と声を上げながら歩き始めた。
 細い通路を通ってマジックミラーのある男の部屋を通り過ぎ、受付に戻ると良一君を手近なパソコンの前に座らせた。
 良一君はパソコンの扱いには慣れてる様子で、すぐにマウスを握るとメニュー画面から相手の女の子を選んでる。
「今晩は、初めまして」と女の子の声がスピーカーから聞こえてきた。
「今晩は初めまして、君、可愛いね、カラオケしないか」と良一君がさっそくビデオチャットを始めた。
 これでもう大丈夫と、三人はこっそり部屋からでた。
 受付の横を通ってマジックミラーのある男の部屋を通り過ぎると、良一君がビデオチャットしてる様子がマジックミラー越しに見える。
 良一君は足を大きく開いて、身体を左右に振りながら陽気な顔でビデオチャットをしてる。
 大声で歌ってるようだけど、マジックミラー越しには歌声は聞こえてこない。
「さあ、戻って寝ましょう、これなら大丈夫」と彩香ちゃんが言うので、さっそく三人はもとのベッドルームに戻ることにした。
 さっき寝ようとしていたベッドルームのドアまでくると「ねえ、あっちの部屋の方がベッド大きかったわよね」と彩香ちゃんが言いだした。
「三人で一緒に寝られるわよね」と彩香ちゃんに言われて有紀も成るほどと思った。
 三人一緒に手を繋いで寝れば江実矢君を一人ソファーで寝させるよりもずっと安心だ。
 さっそく奥の部屋に入ってみると、パソコンから声が聞こえてくる。
 さっきの良一君が誰か女の子とビデオチャットしてるらしい。
 ロボットの良一君がビデオチャットでどんな風に女の子を口説いてるのか有紀は気になった。
 彩香ちゃんも同じ事を思ったらしくて、パソコンを操作してスピーカーの音を大きくした。
「今付き合ってる男の子とか居るのかな」と良一君が女の子に話しかけてる声がスピーカーから聞こえてきた
「いま彼氏いないんです」と女の子が答えると「じゃあ、寂しいよね、寂しい時ってどうしてるの」と良一君が話しを続けた。
「寂しいときですか、ビデオチャットしてます」と女の子が答えると「寂しい時って一人でしたくなることがあるよね」と良一君がエッチな話題を向けた。
 女の子が黙っていると「気持ちいいこといつもしてるよね、いつもどうやってるの」と話しはどんどんエッチな方に続いていく。
 女の子が足を広げると、パソコンの画面に白いレース模様のパンティーが映った。
 テレビゲームのグラフィックみたいな画像は色気なんかありもしない。
 女の子が「あっ、あ、だめ、許して」と喘ぎながら小さく叫ぶ声が聞こえてきた。
「これって、ナンパよね」と彩香ちゃんが呆れた顔で呟くと有紀の手を握った。
 急に画面が変わると紫色の部屋の中に、女の子と良一君が裸で向かい合ってる画面が映った。
 グラフィック表示の画面はまるでテレビゲームでも見てるよう。
 二人とも体の大きさは同じくらいで、女の子は胸が大きく膨らんでる。
 良一君の股間には男の子の大事なものがくっきりと見える。
 大きくそそりたった形はとても信じられないくらいに立派で色も紫色だ。
 女の子が良一君の前に膝をついて座ると良一君の大事な物に口を近づけた。
 画像が急に大写しになると、良一君の大事な物が画面一杯に映った。
 良一君の大事なものが三次元の立体画像ですぐ目の前に飛び出して見えて有紀は思わず息を飲んだ。
 丸みを帯びた不思議な形の先端から繋がる、細くくびれた長い竿の根元には不気味な膨らみがある。
 本物が目の前にあるとしか思えないほど実物そっくりの画像を見て有紀は声も出なかった。
 良一君が腰を前後に動かすと、大事な物がピクンと目の前で何度も反り返った。
 女の子が口をいっぱいに開くと、舌先を突き出して男の子の大事な所の先端の膨らみを嘗め始めた。
 フェラチオをしてるんだと有紀にもすぐ判ったけど、これは大変だ。
 こんな画像を男の子の江実矢君になんかとても見せられない。
 彩香ちゃんがパソコンの画面を切り替えるといきなりスピーカーから「ああ、あ、イクー」という女性の絶叫が響いてきた。
 パソコンの画面になにが映っているのかすぐには判らなかったけど画面の中央に太い棒のような物が見える。
 紫色の太い棒は、激しく上下に動き続けて肌色をした物が震えながら一緒に動いてる。
 薄く灰色がかった影が、太い棒の先に見えてるけど一体なにがどうなってるのか判らない。
「ああ、、イクー、またイッちゃうー」とまた女性の叫ぶ声が部屋に響いた。
 有紀はやっと目の前のテレビに映ってるのが何なのか気が付いて体が震えてきた。
「彩香ちゃん。これ、」と有紀が半分言いかけると彩香ちゃんもパソコンの画面に映ってるのがなんだか判ったみたい。
 いそいで彩香ちゃんが画面を切り替えると、ビデオチャットのメニュー画面が映った。
 彩香ちゃんがパソコンの音を消すと、部屋の中はシーンと静かになって物音一つしない。
「私だってフェラチオ大好きなのよ、なんでこんな事になるの」と彩香ちゃんが呟くと急に涙を流して泣き出した。
 過激なビデオを見たショックで、気持が動転して何をいってるのか自分でも訳が分からなくなっちゃったみたい。
 有紀がそっと彩香ちゃんの背中を撫でると、少しづつ彩香ちゃんの息が落ち着いてきた。
 しばらくして彩香ちゃんがようやく泣きやむと、有紀はベッドに腰を掛けてみた。
 ふかふかのベッドは随分と広くて普通のベッドの三つ分くらいある。
 これならゆっくりと休めそうだと有紀は嬉しくなって彩香ちゃんに微笑んだ。
 彩香ちゃんもすぐベッドの上に横になると、ベッドの寝心地を確かめた。
 三人で一緒にベッドで寝ていれば、何かあっても安心だ。
 真ん中に体の大きな彩香ちゃんが寝て、その両脇に江実矢君と有紀が横になった。
 三人が両手を広げて、手を繋いでもまだ余るほどベッドは大きい。
 彩香ちゃんは安心したのか何度もベッドの上で身体を揺すると横に並んだ江実矢君と有紀の身体も一緒に揺れた。
 彩香ちゃんが手探りで枕元のスイッチを消すと、部屋全体が薄暗くなった。
 このまま三人でぐっすり眠って、朝になったら全部夢だったらいいのにと思いながら有紀は目をつぶった。
 江実矢君の寝息が聞こえてくると有紀は彩香ちゃんと二人っきりだったらもっと良いのにとふと思った。
 江実矢君のすやすや眠る寝息を聞いているとなんだか胸が一杯で不思議な気分。
 目をつぶって静かに寝ようとしているとベッドが上下に微かに揺れてる。
 何だろうと思って彩香ちゃんの様子をよく見ると、彩香ちゃんの手が彩香ちゃんの大事な所を指で探ってる。
 息を吐き出しながら腰を上下に動かす彩香ちゃんの仕草を見て、有紀なにをしてるんだろうと気になった。
 喉の奥からこみ上げてくる彩香ちゃんの吐息を聞いてやっと有紀にも彩香ちゃんがなにをしてるのか気が付いた。
 さっき良一君にあれだけ責められて気持ちよくなって、その上さっきはパソコンの画面で男の子の大事な所を大写しで見たら女の子だったら誰だって変な気分になっちゃう。
 気持ちいいことをしたくなるのは、女の子だったら当たり前の話しだ。
 だけど彩香ちゃんのすぐ隣で寝ているのは男の子の江実矢君だ。
 江実矢君に気づかれたら、興奮して何をしでかすか判らない。
 有紀はそっと彩香ちゃんの手を掴んで、パンティーの中から彩香ちゃんの手を引き抜いた。
 すると彩香ちゃんは今度は有紀のスカートの上からそっと有紀の感じる所をなで始めた。
 こうなると有紀の体はもう彩香ちゃんには逆らえない。
 ここちよい感触が有紀の体に広がると、有紀は何度もため息をついた。
 不意に江実矢君の寝息が呻くような声に変わった。
 いったい何が起きたんだろうと有紀は心配な気持で体を半分起こして江実矢君の様子を確かめた。
 彩香ちゃんの手が江実矢君のスカートの上から江実矢君の大事な所に載せられている。
 手のひらをゆっくりと押し回すように彩香ちゃんが江実矢君の大事な所を撫で回してるんだ。
 江実矢君は苦しそうにとぎれとぎれに息を吐き出してるけど、女の子が気持ちいい時の息の音とは全然違う。
「ねえ、恵美ちゃん、フェラチオって知ってる」と彩香ちゃんが江実矢君に小声で囁いてるのが聞こえた。
「男の子の大事な所を、女の子が口に入れて舌で嘗めるのよ、とっても気持がいいのよ」と彩香ちゃんが江実矢君を口説き始めた。
「私フェラチオ大好きなのよ、恵美ちゃんも私にフェラチオして欲しいでしょう」と彩香ちゃんの言うことは随分と大胆だ。
 いまさっきフェラチオの3D立体映像を見て、彩香ちゃんもフェラチオしたくて我慢できない気分になっちゃったらしい。
 いくらなんでもこんな所で彩香ちゃんが江実矢君にフェラチオさせてなんて言い出すのは普通じゃない。
 有紀は体を起こすと彩香ちゃんの体の上に自分の体を載せて抱きついた。
 彩香ちゃんの唇に有紀が唇を近づけると彩香ちゃんの舌と有紀の舌が重なった。
 女の子の甘ったるい味わいが有紀の舌に絡みついてくると有紀は頭の中が熱く燃え上がった。
 有紀が彩香ちゃんのFカップの巨乳を押し回すと、彩香ちゃんはお返しに有紀の脇腹をくすぐってきた。
 彩香ちゃんの手が江実矢君の大事な所から離れたので有紀はこれで一安心と思った。
 有紀が体をよじって彩香ちゃんにしがみつくと、彩香ちゃんの手がすぐに有紀の一番感じるところを探り当てた。
 有紀が思わず体を仰け反らすと、急に有紀のお尻になにかが押しつけられてきた。
 江実矢君がもう我慢しきなれくて、有紀の背後から男の子の大事なものを押しつけてきたんだと有紀にもすぐ判った。
 江実矢君はスカートを自分でたくし上げると、ぴっちぴちのアンダースコートをパンティーと一緒に膝まで降ろした。
 江実矢君が腰を前に押し出すと有紀のお尻に江実矢君の大事なものが触れた。
 江実矢君の腰が何度も震えると、大事な物がピクンと動いて有紀のお尻に押しつけられてきた。
 こうなったらもう止められない。
 有紀は自分でスカートの下に手を入れてパンティーを膝まで降ろした。
 江実矢君はまだ経験がないからどうしていいのか判らずにもどかしそうに腰を振るだけ。
 有紀がお尻を後に突き出して江実矢君がやりやすいように腰を高く持ち上げた。
 江実矢君が有紀の腰を両手で掴むと体の角度を何度か試しながら押し込もうとしてきた。
 慣れないせいか上手く奥に入れられずに先端を入り口にこすりつるだけだけど有紀は嬉しくて涙がでそうになった。
 不意に上手く角度が合って奥まで入ってきたとき、江実矢君は気持がいいのかすぐに腰を引いてしまった。
 奥まで入れてくれても良いのにと、有紀は自分から腰を後に突き出した。
 入り口にすっぽりはまる感触があって、有紀はもう一息だと嬉しくなった。
 江実矢君はやっと少し慣れてきたらしくてゆっくりとした腰の動きで次第に奥に届いてきた。
 なんだか凄いことになっちゃいそうと思ったときに、急にベッドが上下に揺れると江実矢君が転げるようにベッドに横向きに倒れた。
 ベッドが今度は左右に揺れると、有紀は彩香ちゃんの上から転げ落ちて江実矢君とは反対側に倒れ込んだ。
 なぜだか判らないけどベッドがだんだんと激しく揺れだしてるんだと有紀は気が付いた。
 またベッドが大きく揺れるとちょうど彩香ちゃんのすぐ顔の前に江実矢君の大事な物がぶつかりそうに成った。
 江実矢君の大事な物がすっかり大きくなってるのが有紀の目にも飛び込んできた。
 さっきパソコンの立体画像でみた凄い物とは比べ物に成らないくらいに小さくて、色も透明に近い肌色だ。
 それでも男の子の大事な物に変わりはない。
 彩香ちゃんはしばらく江実矢君の大事な物にうっとりと見とれていたけど、気持を決めたらしい。
 彩香ちゃんは大きく口を開いて、口の中に唾を溜めると舌で唇を嘗め回した。
 すぐ目の前で江実矢君が腰を突き出すと彩香ちゃんのすぐ目の前で何度も反り返った。
 眉がつり上がって歪んだ顔で彩香ちゃんが江実矢君を見上げた。
 江実矢君は今すぐにでもしゃぶって欲しいらしくて我慢できないらしく口をすぼめて目を細めた。
 彩香ちゃんが江実矢君の大事な物に口を寄せて、しゃぶろうとして舌先を伸ばした。
 江実矢君も腰の位置を動かして、大事な物の先端を彩香ちゃんの舌先に触れさせそうとした。
 ちょうど彩香ちゃんの舌先に触れそうになったとき急にベッドが横に大きく動いた。
「あっ」と彩香ちゃんが小さく呻いて、目を見開いた。
 彩香ちゃんの体が横にずれると、江実矢君の大事な物が彩香ちゃんの耳元をかすめた。
 ベッドが真横に動くなんて変だと思ってると、横に動いてるんじゃなくてぐるぐる回り出したんだと有紀は気が付いた。
 ガタガタと上下に震えながらベッドが回り続けると、彩香ちゃんの目の前に鏡の壁が迫ってきた。
 江実矢君の姿が鏡に映って、江実矢君は自分の大事な物を目の前にして恥ずかしそうに前を隠した。
 ちっとも恥ずかしくないのに、男の子だったら立派なことなのにと有紀は思ったけど江実矢君はやっぱり恥ずかしいらしい。
 慌ててアンダースコートをはき直そうとしたけど、おっきくなった物が邪魔しても上手くいかない。
 彩香ちゃんも江実矢君がアンダースコートのつかんで止めさせようとしたけど江実矢君は彩香ちゃんの手を払いのけた。
 彩香ちゃんの体が反動で横に倒れこんだとき照明のスイッチに頭をぶつけたらしい。
 部屋をうっすらと照らしていたナイトランプの明かりが消えた。
 あれっと有紀が思ったとき彩香ちゃんが「大変だわ、ちょっと何これ」と突然大声で叫んだ。
 何が起きたのだろうと思って見回しても薄暗い部屋には他に誰もいない。
「あれ何」と彩香ちゃんが指を向けた方向を見て有紀はびっくりして顎がはずれそうになった。
 鏡が半分透けて、鏡の向こう側にある隣の部屋がぼんやりと霞んで見える。
 さっきまで鏡だったと思っていたのはマジックミラーだったらしい。
 隣の部屋はレンガで囲まれていて、中央には大きな×印の十字架があって鎖で作った金具も付けてある。
 天井からは鎖が何本も垂れ下がっていて、どうみても変だ。
 そこにこちらから隣の部屋が透けて見えってことは、隣の部屋からもこっちが丸見えになっちゃうってことだ。
 他に誰か居るかもしれないと思うと、こんな所で寝ていられない。
「この部屋きっと何か秘密があるはずよ、きっとそうよ」と言うと彩香ちゃんがさっきのパソコンに駆け寄った。
 彩香ちゃんがパソコンを操作するとスピーカーからさっきと同じ「ああ、あ、イクー」と叫ぶ声が響いてきた。
 なんでさっきのビデオを見てるんだろうと思って有紀が彩香ちゃんの側に歩み寄った。
 女性がソファーに座って、隣に座った男性が女性のスカートの中に手をいれている場面が映った。
 話しの様子では出会い系サイトで知り合った男にナンパされている所らしい。
 彩香ちゃんがパソコンを操作すると、ビデオの画面が切り替わって大きな部屋のベッドが映し出された。
 ベッドの中央には女性が足を広げて寝そべって、その足元に男性らしい人影が見える。
 ベッドの真上にビデオカメラを設置して盗撮した画像らしい。
 この部屋のベッドによく似てるけどなんだか違う気がした。
 彩香ちゃんが「ちょっと恵美ちゃん、来てよ」と江実矢君を呼んだ。
 江実矢君はパソコンが得意だから彩香ちゃんの判らないことでも何でもできる。
 あれこれやってみると、パソコンの画面に大きなベッドを真上から撮した画像が映った。
「ねえ、有紀ちゃんちょっとそのベッドの上で横になってみてくれる」と彩香ちゃんに言われて有紀はベッドのちょうど真ん中で大の字になった。
「やっぱり、この部屋のベッドは盗撮されてるのよ」と彩香ちゃんに言われて有紀にもやっとこの部屋の仕掛けが判った。
 有紀がベッドを降りてもう一度パソコンの画面を見ると、そこには有紀と彩香ちゃんと江実矢君が三人で重なっている画像が映し出された。
 江実矢君がパソコンを操作すると、彩香ちゃんが良一君に責められて「いやん、もうらめー、有紀ちゃん許して」と叫んだ声が部屋一杯に響いた。
 さっき良一君と一緒に三人でしてたことが全部盗撮されてたんだ。
 この部屋で起きたことが全部が全部誰かに見られていたなんて、恥ずかしいだけで済む話しではない。
 彩香ちゃんはほっぺたを膨らませて怒った顔をしてる。
 江実矢君も自分のしてた事が全部盗撮されてると判って青ざめた顔。
 男の子の大事な物が大きくなっちゃったのを見られたんだから青ざめるのも無理はない。
「まったく」と彩香ちゃんが半分言いかけたが、そのまま言葉を飲み込んだ。
 この部屋で起きてることは全部見られてるんだから、怒っても損をするだけだ。
 彩香ちゃんが江実矢君に顔を寄せてひそひそ話しを始めた。
 盗撮されてるのだから大声では話しができないんだと有紀にもすぐ判った。
 こんなことになったら、この部屋で寝ている訳にはいかない。
 仕方がないのでこの部屋を出て他に寝られそうな場所を探す事にした。

名犬ピーチと出会う

あらすじ
 ロボット実験場の外には出られたけど、どうやって逃げ出せばいいのか判らない。ビデオチャットでオナニーしてる鈴木さんを見つけたが、鞭で叩かれて追い返された。彩香ちゃんの隣の家で飼っている犬のピーチを見つけたので、ピーチに逃げ道を探させると充電中のロボットが沢山並んでるのを見つけた。

 薄暗い廊下の先を進んでみると突き当たりだ。
 戻ろうと思って振り向くと、暗い廊下でチャリンと音がした。
 変だと思って床をよく見ると小さな金具が落ちてる。
 彩香ちゃんが拾って指先で触って確かめてみた。
 見た感じは細長い棒だけど取っ手も着いていて先が平らだから鍵に見えないこともない。
 もしかしてと思って、有紀は棒の先で壁を叩いてみた。
 壁のあちこちを棒の先で叩きながら押してみたが何事も起きない。
 だけど叩いたときの音が変わる場所があるのに有紀は気がついた。
 彩香ちゃんが棒を反対側に持ち替えて、棒の先を壁に押し込んで見ると急に壁が引っ込んだ。
 するっと奥まで壁が開くと小さなドアだったみたいで急に明るい光が差し込んできた。
 やっと身体がくぐれるくらいのドアだけどしゃがみ込んで覗いてみると、細長い通路の先には部屋があってさっき連れてこられた研究室みたいな感じだ。
 このドアからともかくこの変な世界から逃げ出して、所長のいる研究室に戻れるかもしれない。
 まず一番小柄な江実矢君が先にドアをくぐって中に入ってみた。
 狭い通路を四つんばいになって通り過ぎると江実矢君はすぐに立ち上がった。
  次に有紀が狭い通路を四つんばいで通り抜けると、つぎは彩香ちゃんの番だ。
 彩香ちゃんは背はそんなに高くないし体つきも中学生にしてはちょっと大柄なくらいだけど何しろ胸が大きい。
 四つんばいになると胸がじゃましてとても前に進めない。
 必死で胸を床に押しつけて背中を低くしても、身体が狭い入り口をなかなか通らない。
 江実矢君が必死になって彩香ちゃんの腕をひっぱってやっとの事で通路を抜け出した。
「いったい此処はどこなのかしら」と彩香ちゃんが辺りを見回しながら呟いた。
 細長い部屋の壁一面に小さなディスプレーが並んでいて、画面には何かが映っている。
 一つ一つディスプレーに映っている画像を確かめると、さっきまで居た出会い系喫茶の隠しカメラの画像らしい。
 この部屋で盗撮した画像を監視してるって事はもしかしてロボット実験場から上手く逃げ出せたのかもしれない。
 彩香ちゃんが部屋の天井を見回して「ねえ、此処で監視カメラを見てるってことは、ここには監視カメラが無いってことよね」と言い出した。
 言われてみると確かにそうだ。
「恵美ちゃん、大好き、私フェラチオ得意なのよ」と言うと彩香ちゃんが江実矢君にいきなり抱きついた。
 さっき江実矢君にフェラチオしようとして途中で止めたので、彩香ちゃんは気持が押さえられないらしい。
 彩香ちゃんが江実矢君のスカートをたくし上げて、アンダースコートを膝まで降ろそうとひっぱった。
 江実矢君が慌てて後に後ずさりすると彩香ちゃんは江実矢君に抱きついて離さない。
「恵美ちゃん、今すぐしゃぶらせて」と彩香ちゃんが江実矢君を壁に押しつけようとしたとき有紀は彩香ちゃんを後から抱きしめた。
 有紀が両手で、彩香ちゃんのFカップの巨乳をつかんで絞りあげるように押し回すと「有紀ちゃん、だめ」と彩香ちゃんが呻いた。
 有紀が必死になって彩香ちゃんの胸を揉み続けると彩香ちゃんは体を捩らせて「そんな、有紀ちゃんたら、らめ」と言葉にならない声で呟いた。
 彩香ちゃんが江実矢君から手を離すと、体の向きを変えて今度は有紀に抱きついてきた。
 しばらくして彩香ちゃんの気持ちがすこしづつ落ち着いてきたらしい。
「ここから逃げ出すのよ、今はそれが先よ」と有紀が彩香ちゃんをなだめると彩香ちゃんも納得した顔で頷いた。
 監視カメラの並んだ部屋のドアを開けると廊下が見える
 天井からの明るい照明が廊下の先までずっと伸びてる。
 廊下にはあちこちにドアや曲がり角があってここはロボット実験場の外の研究室らしい。
 誰か居るかもしれないと用心しながら歩いていくと、すぐ先に事務所らしい部屋が見えた。
 ピコピコと機械の音がして、誰かがパソコンの操作をしている気配がする。
 部屋のドアが半分開いているので、こっそりと中を覗いてみると黒い服を着た髪の長い女性がしきりにパソコンを操作してる。
 しばらく様子を見ていると女性は誰かとビデオチャットで喋ってるらしくて「こんにちは、初めまして」と話す声が聞こえてきた。
「彼氏ですか、今いないです」とか「最近エッチしてないです」とか何だか会話の雰囲気が変だ。
 ビデオチャットでナンパされてるらしいと気が付いて彩香ちゃんは口を半分あけて何か言いそうになったけど慌てて口をつぐんだ。
 パソコンの画面が3次元の立体表示に切り替わると、テレビの画面から飛び出すように太くて細長い物が飛び出してきた。
 さっき出会い系喫茶のパソコンのビデオチャットで見たのと同じで、男性の大事な物が立体画像で見えてるんだとすぐ判った。
 女性がその立体画像に顔を近づけると口を大きく開いて舌を突き出した。
 彩香ちゃんもびっくりした顔で目の前で起きてることが信じられなくて目を丸くしてる。
 三次元の立体画像を使ったビデオチャットでこんな事をするなんて、まったくこの研究所では何をやってるんだろう。
 馬鹿馬鹿しいけど、一度やってみたら癖になりそうな気がして考えただけでも頭が変になりそう。
「いやです、絶対だめ」と女性が大声を出すのが聞こえてきた。
 本当にいやがってる口調ではなく、わざといやがっている振りをしてるらしい。
「言うことを聞かないと、ビデオチャット止めるぞ」と男の声が微かに聞こえてきした。
「お願い許して」と女性が言ってるけど何を許して欲しいのか意味が分からない。
「お願い止めちゃだめ、ビデオチャット止めないで」と情けないくらい弱々しい口調で女性が男にお願いをしてる。
 ビデオチャットを止めるぞと男に脅されて逆らえないらしい。
 以前も出会い系喫茶で彩香ちゃんや有紀がビデオチャットしたときも男に同じ事をいわれた。
 ビデオチャットでは、言うことを聞かないとビデオチャットを止めるぞといって脅かすのもプレーの内らしい。
 女性は立ち上がってズボンを膝まで脱ぐと、下に履いた黒のレースのパンティーが丸見えになった。
 スケスケのパンティーは彩香ちゃんのお母さんだって履かないくらいにお色気たっぷりで、いかにも男が喜びそうな怪しげな雰囲気だ。
「お願い、許してこれ以上はだめ」と女性の声が聞こえたが、いやがってる口調ではない。
 無理矢理に男に命令されるのが快感らしくて、男が強い口調で怒鳴りつけられるのを待ってるらしい。
 男にまた何か言われると黒いレースのパンティーを膝までずらして股を大きく開いた。
 パソコンの座席の下にもテレビカメラがあって、相手の男にも三次元の立体画像が見える仕組みらしい。
 右手でパソコンのマウスを操作しながら左手を大きく開いた股の奥にあてがって指先を動かしてるのが遠くからでもはっきりと見えた。
「ああ、ん、気持ちいいの」と女性が喘ぎながら大きな声をだしてるのを聞いて有紀はもう呆れるしかなかった。
 男に指の使い方を指示されて、あれこれやってる内に女性の上半身が小刻みに揺れて震えだした。
「もうだめ、、許して、ああん、いくーーー」と女性が言いながら何度も頭を仰け反らせた。
 ビデオチャットで相手の画像を見ただけでそんなに気持良いはずはない。
 お互いに気持ちいい振りをして演技をしてるだけだと有紀は思った。
 だけど実際に目の前でやってるのを見てると、もしかして本当に病みつきに成る程気持ちいいのかもしれない。
「だめです今仕事中だから、出られません」と女性が言い訳してるのが聞こえてきた。
「だから、仕事中だから今すぐデートなんかできません、また今度にしてください」と女性が話すのを聞いてこれから会おうと男に誘われてるんだと判った。
 有紀はふと良いことに気が付いた。
 仕事中だからと言い訳をして男の誘いを断るって事は、仕事中じゃなければ男と待ち合わせして会ったりできるのかもしれない。
 だとすればこのタコイーカ財団の研究所からは、結構簡単に外にでられるって事になる。
 彩香ちゃんも同じ事を思ったらしくて、有紀の手を握りしめると嬉しそうな顔で何度も頷いた。
 しばらくして相手の男性の画面が消えると、女性はズボンをはき直して椅子に座り直した。
 肩を上下に震わせながらゆっくりと息を吐き出す様子は、とても演技でしてるとは思えない。
 しばらくして息が楽になってくると、女性は気を取り直したのかまたパソコンの操作を始めた。
 いったい何をしてるのかよく判らないけど、普通に表計算ソフトを使ってる見たい。
 一目見た感じは普通のオフィスで仕事をしてるようにしか見えない。
 仕事が一段落したらしくて、女性が戸棚の書類を取ろうとして横を向いた。
 有紀と女性の目が合うと「あれ、あなた達、どうしたの」と女性が三人を見つけて声を掛けてきた。
「こんな所で何してるのよ、何時来たの」と優しそうな口調で女性が聞いてきた。
 これでやっと助かったと彩香ちゃんは顔が綻んだ。
 とっさに「あの、すみません」と女性に返事をした。
 彩香ちゃんの声を聞くと女性の顔が恥ずかしそうに微笑んだ。
 さっきビデオチャットでしてたことを見られたと思ったらしい。
「お願い、内緒にしてくれるわよね」と女性に言われて彩香ちゃんも嬉しそうに微笑を返したした。
 彩香ちゃんの笑顔をみて、女性の顔が引きつったのを彩香ちゃんは見逃さなかった。
「仕事中ですよね、今、仕事中にビデオチャットしていいんですか」と彩香ちゃんが弱みをついて畳みかけた。
「あなたたち、いつから居たの」と女性に聞かれたけどわざとすぐには答えない。
少し間をおいてから「ずっと前から見てました」と彩香ちゃんが意地悪そうに答えた。
「お願い内緒にしてね、私悪いことなんかしてないから、ホントよ」と言ったあと女性の口元が震えるのがはっきり見えた。
 もしかしたらこの研究所に居るのは悪い人ばかりじゃないのかもしれない。
「どうすれば、ここから出られるんでしょうか」と彩香ちゃんが聞いてみると、女性が立ち上がってこちらに向き直った。
 真面目そうに眼鏡を掛けて、髪の毛の長い女性は黒のスーツを着てる。
 女子大生の女の子が就職活動の時よく着てるスーツだと有紀にもすぐ気がついた。
 新学期の4月の初めには、朝の電車にはよくこの真っ黒なスーツを着てる女の子が大勢乗り込んでくる。
 彩香ちゃんも以前から不思議に思ってたけど、家庭教師の勇二君が教えてくれたといって有紀にも理由を話してくれたことがある。
 就職活動をするときは女の子はみんな黒いスーツを着て、女の子は大抵がズボンを履くらしい。
 男の子のスーツは、たいてい上着もズボンもぶかぶかだけど、女の子のスーツは胸とお尻が目立つようにぴっちぴちに伸びる生地で作ってあるんだ。
 大きな胸がぴっちぴちの上着からつんと突き出してるのを見て、江実矢君は目のやり場に困った顔をしてる。
 そんなに巨乳という程でも無い大きさの胸だけど、身体が小柄なので随分と目立つ大きさだ。
 スーツの胸には「鈴木」と名札が着いてる。
「あなた達、いつからここに居るの」と鈴木さんがもう一度聞いてきた。
 上手く話しをもちかければきっとここから出る方法を聞き出せるに違いない。
 彩香ちゃんが「私もフェラチオ大好きなんです、黒いスケスケのレースのパンティーもとても素敵ですね」とわざと思わせぶりに話しを向けた。
 鈴木さんはどきっとした顔をしてしばらく黙ったまま彩香ちゃんの顔を見つめた。
「あなた、フェラチオ大好きなのね、誰にフェラチオ教えてもらったの」と鈴木さんに言われて今度は彩香ちゃんがドキッとした。
「フェラチオは女の子だったら誰でも大好きよね、だけど相手がいないと出来ないでしょう」と鈴木さんに言われて有紀も確かにそうだと思った。
「いつフェラチオしたのか言いなさい、最近フェラチオしたんでしょう、大好きなんだからいつもしてるんでしょう」と鈴木さんが今度は大声で怒鳴りつけてきた。
 彩香ちゃんはどう答えていいのか判らずに「そんなの関係ないでしょう」と怒鳴り返した。
「そんなの関係ないでしょう」と怒鳴るのは同級生の男の子と喧嘩する時の彩香ちゃんの口癖だ。
 これは不味いことになりそうだと有紀は心配な気がしたけどもう遅い。
「いいから答えなさい、私に逆らえると思ってるの」と女性が大きな声で怒鳴るとすぐ横に置いてある棒を手にした。
 棒の先は長い紐がついてるけど、何で紐なんか付いてるのか訳が分からない。
 鈴木さんが大きく手を振り上げると、ぴしゃっと紐が目の前で空気を切り裂く音がした。
 江実矢君がひらりと身をかわして、彩香ちゃんに抱きついてきた。
 彩香ちゃんのすぐ顔の前を紐先が鋭い音を立てて飛び跳ねた。
 彩香ちゃんの身体がピクンと引きつると、今度は有紀に倒れかかってきた。
 有紀は背中を壁に押しつけて仰け反った格好で立ってるのがやっとだ。
 鈴木さんが手にしているのは長い鞭だ。
 それも大きくて長くて、まるでサーカスで象の調教にでも使うようなおっきな鞭。
 こんな鞭で叩かれたりしたらたまったものじゃない。
 痛いなんてのを通り越して、気絶するどころか身体がちぎれて飛んで行っちゃいそうだ。
 もう一度鈴木さんが大きく手を振り上げて、鞭を叩きつける格好をした。
「ひいい、、」と彩香ちゃんが声にならない叫びを上げると「タスケテー」とまた喉の奥から絞り出すような声を出した。
「ベータテストは明日からよ、さっさと戻りなさい」と鈴木さんが言うと今度は鞭で床をぴしゃりと叩きつけた。
 床で跳ねた鞭の先が、飛び上がって天井を打つと幾重にも波打ってからまた床に落ちてきた。
 とても恐くて話しなんかしていられない、江実矢君が彩香ちゃんの手を引っ張った。
 彩香ちゃんは足が震えてとてもすぐには動けそうにない。
 有紀も慌てて彩香ちゃんのお尻を後から押しながらゆっくりと後ずさりをした。
「ちょっと待ちなさい」といきなり背後から鈴木さんの怒鳴る声が聞こえた。
 うっかり捕まったらまたどんな目に遭わされるのか判ったもんじゃない。
 有紀が慌てて彩香ちゃんのお尻を押して、逃げようとするといきなりぴしゃっと鈴木さんの鞭が飛んできた。
 鞭の先が彩香ちゃんの足首に絡みつくと、彩香ちゃんが前向きに倒れてFカップの胸が床にたたきつけられた。
 有紀は慌てて彩香ちゃんを抱き起こそうとしたが、すぐに鈴木さんが有紀の後まで近づいてきた。
 江実矢君が逃げようとして駆け出したとき、鈴木さんの鞭がまた跳ねて江実矢君の足首に絡みついた。
 スッテンコロリンと江実矢君が床に転ぶと、江実矢君のお尻に鈴木さんの鞭が叩きつけられた。
 江実矢君は体ごと飛び上がると声も出さずに床に倒れ込んだ。
 有紀は怖くて足がすくんで、逃げだそうにも体が凍り付いて動かなかった。
 鈴木さんが彩香ちゃんの足元に立つと「あなたさっき、『タスケテー』と言ったわよね。誰に助けて欲しいの」と聞いてきた。
 有紀には鈴木さんが何をいいたいのかさっぱり意味が分からなかった。
 鈴木さんが「誰が助けてくれるの、誰か助けてくれる人がいるから、フェラチオするんでしょう」とまた変なことを言い出した。
 助けてもらうんだったら一番頼りになるのは彩香ちゃんだったらママだ。
 だけどフェラチオは男の人を相手にするエッチな技で、ママを相手にフェラチオなんかできない。
 彩香ちゃんも鈴木が何を言ってるのか判らなくて、黙って鈴木さんから目をそらせた。
 鈴木さんが手にした鞭の先で彩香ちゃんのゴスロリのワンピースの裾をまくり上げた。
 鞭の柄を彩香ちゃんの真上に突き出すと、鞭の先が彩香ちゃんの股の間に蛇のようにとぐろを巻いて絡みついた。
 鈴木さんが鞭の柄をゆっくりと廻しながら揺すると、長い鞭が生き物のように動いて彩香ちゃんの腿も這い回った。
 鞭の先が彩香ちゃんの敏感な所を探りあてたらしくて、彩香ちゃんの体が仰け反って震えた。
 鈴木さんの巧みな手さばきで鞭の先が彩香ちゃんのパンティーの奥まで入ると回りながら狭い入り口をこじ開けた。
 不意に彩香ちゃんが腰を高く抱え上げると、彩香ちゃんの腰が上下に動き出した。
 有紀は目の前で何が起きているのか訳が分からなくて、目を見開いて彩香ちゃんの腰の動きを見つめた。
「あ、ああぁ、」と繰り返し彩香ちゃんの喉の奥から絞り出すような喘ぎ声が聞こえてきた。
「あなたタイプスリーなのね、やっぱり」と鈴木さんが大きな声で言うと鞭の先を彩香ちゃんの股間から離した。
「そっちの子もタイプスリーよね」と鈴木さんがまた言うと、江実矢君の腰の上に鞭の先を掲げた。
 これは大変だ。
 彩香ちゃんは女の子だから鞭で大事な所を責められたら気持いいけど、男の子の江実矢君が鞭で大事な所を責められたら痛くて死んじゃうはず。
 なんとか江実矢君を助けようとおもったけど、鈴木さんの鞭が怖くて有紀には何もできない。
「恵美ちゃんもタイプスリーです、そうなんです、私達みんなタイプスリーです」と彩香ちゃんが大声で叫んだ。
 鈴木さんは納得した顔で鞭を手元に引き寄せると江実矢君はやっとの事で体を半分起こした
「さっさと戻りなさい、ベータテストが始まるのは明日よ、あなた達まだ、検収テスト前でしょう」と鈴木さんがまた訳の分からないことを言ってる。
 ともかく今は逃げるのが先だと思って、有紀は彩香ちゃんを抱き起こした。
 江実矢君も必死で立ち上がると、鈴木さんに背を向けて逃げ出そうと歩き出した。
 もときた部屋に戻ると、監視カメラの画像が壁一面にまだ映し出されていた。
 一旦あのロボット実験場に戻ったほうがいいと思ってさっきの小さなドアを開けようとしてみたけど鍵がないと開かないらしい。
 さっきの鍵を探してみたが鈴木さんに鞭で脅されたとき落としてきちゃったみたい。
 他に行く場所もないので、他の部屋を探して廊下を他の方角に進んでみた。
 しばらく進むと行き止まりでこれ以上先には進めない。
 戻ればさっきの鈴木さんの居る部屋しかない。
 どうしようかと思っていると「くんくん」と鼻で匂いを嗅ぐような音がどこかから聞こえて来た。
 耳を澄ませると通路の奥から聞こえてくる。
 金網のような模様の付いた壁の向こうから聞こえてくるので、江実矢君が壁を押してみた。
 少し動いたので今度は引っ張ってみるとすっと壁が開いた。
 壁の奥から出てきたのは小さな犬だ。
 見覚えがある子犬は、彩香ちゃんの家の隣で飼ってるピーチだ。
 足の短い茶色の子犬は、目の上に眉毛みたいな模様があるのでピーチに間違いない。
 なんでピーチがこんな所にいるのか判らないけどどっかから迷い込んだに違いない。
 ここに迷い込んだと言うことはピーチが来た道を逆に辿ればここから出られるはず。
 江実矢君が奥の壁を押してみるとどこかに通じてるらしい。
 ピーチがくんくんと鼻を鳴らしてる。
 犬だから来た道は匂いで判るはず。
 ピーチを床におくとしっぽを振りながら壁に開いた穴の奥に先に進み始めた。
 四つんばいになってやっと通れるくらいの道を進むと、何度か角を曲がってどこを進んでいるのか判らない。
 しばらく進むと急に狭い通路から大きな地下道にでた。
 車が通れそうなくらいの広い道には、天井が円くなっていて床にはトラックの通った車輪の跡らしい物が見える。
 天井からも黄色いランプが照らされていて、まるで高速道路のトンネルみたい。
 地下道の両脇には大きな部屋が幾つもある。
 近くの部屋に入ってみると大きな箱の中に人らしい姿があって彩香ちゃんははっとして悲鳴を上げそうになった。
 大きな細長い箱は蓋が開けてあって、なかに中学生くらいの女の子の身体が入ってる。
 目を開けたまま、身動き一つしないその身体は不気味でとても正視できない。
 死んでると有紀も思ったが、それならピーチが匂いで判るはず。
 ピーチは箱の中身に気がついてる様子はない。
 よくみると肌色をした女の子の人形みたいな感じで、髪の毛や肌のきめも本物そっくりだ。
 箱がいくつも置いてありまだ蓋があいてない箱もある。
 箱にはあのタコイーカ財団のマークもついてる。
 伝票みたいな大きな紙切れが箱の横に貼り付けてあり英語で文字や番号が一杯書いてある。
 棺桶なら番号なんか書くわけない。
 なんだか薄気味悪くて部屋を出るとまた少し先に大きな広間に出た。
 体育館みたいに広い広間は、周囲が鉄骨で囲まれていて中央に変な物が置いてある。
 背の高い塔の周りにぐるりとさっき見た女の子の人形が並んでいる。
 小さなベッドに寝かされた人形は裸で足を広げて膝を立てている。
 女の子達は体つきは全部同じで、中学生くらいにしてはちょっと小柄。
 顔は一人一人みなちょっとだけ違うけど、とても見分けが着かない。
 塔からは細長いホースみたいな筒が沢山でていて、女の子の股の間に差し込まれている。
 いったい何をしてるのか判らないけど、女の子の目が赤く点滅してるのに有紀は気がついた。
 塔のてっぺんにも赤いランプがあって、点滅を続けている。
「ねえ、これきっと充電してるのよ」と彩香ちゃんが小声で呟いた。
 そう言えばケータイの充電をするときにも赤いランプがつくからそれと一緒みたい。
 江実矢君が人形の近くにいって、電極らしいホースに触ろうとしたので有紀は慌てて江実矢君を引き留めた。
 本当に電極だったら触っただけで感電しちゃうかもしれない。
 しばらく彩香ちゃんは不思議そうな顔をして広間の中を見まわしていたが、他になにもない。
 いつまでもこんな所にいてもしょうがないし、ともかくここから逃げ出すのが先決だ。
 地下通路にもどってしばらく進んでみたが、その先は行き止まりで茶色のレンガの壁があるだけ。
 その先にはもう進めない。
 ピーチはくんくん鼻を鳴らして上を見上げてるが天井は真っ暗で何も見えない。
 諦めてピーチの周りで三人で寝そべると疲れが出てもうとても動けない。
 目をつむるとすぐに眠くなっていつの間にか三人とも寝てしまった。

マンホールから地上にでる

あらすじ
 天井にマンホールの穴が開いてるのを見つけて登ってみると噴水のある街の中にでた。
近く家のパソコンでビデオチャットをして見ると中年男が出た。フェラチオをしての男に迎えにきてもう事になったが、待っても誰も来ない。空を見上げると太陽が全然まぶしくない。ロボット実験場に逆戻りしたと判ってがっかり。

 半分寝込んだ頃、有紀はピチャピチャという音に気が付いて少しづつ目が覚めた。
 きっとピーチが水溜まりでも見つけたんだろうと思ったけど何だか変だ。
 江実矢君が苦しそうに息を詰めて吐き出してる声も聞こえてくる。
 そっと目を開けてみると、彩香ちゃんが口をあけて江実矢君の大事な物をしゃぶってるのが目に入った。
 有紀は驚いて飛び起きそうになったけど、必死で自分の体を止めた。
 彩香ちゃんはフェラチオしたくて堪らない気持なんだって事は有紀にも痛いほどよく分かる。
 そんな彩香ちゃんにフェラチオしてもらって江実矢君だって気持がいいに違いない。
 彩香ちゃんが江実矢君の大事な物を喉の奥まで入れてるのが見えて、有紀は羨ましくなった。
 有紀はフェラチオのテクニックなんて全然しらないけど、彩香ちゃんはいろいろとやり方を知っていて上手らしい。
 舌先を震わせながら江実矢君の大事な所の先端を嘗め回したかと思うと、ほっぺたを膨らませて口の中で吸い込んだりしてる。
 こんなにいろいろやり方があるなんて、見ていても感心してしまう。
 江実矢君が腰を小刻みに振るわせてるのを見ると、よっぽど気持がいいらしい。
 アンダースコートを膝まで降ろした江実矢君の腰が繰り返し揺れて動くと江実矢君の着ているゴスロリのワンピースのスカートが目の前で大きな花の様に広がった。
 彩香ちゃんが舌先を江実矢君の大事な玉をしゃぶり始めると、江実矢君の大事な物が有紀の目の前でそそり立っているのがはっきりと見えた。
 くっきりと大きく反り返ってたその形は男の子そのもの。
 先端が少し細くなって、丸く膨らんだ形は見ているだけで嬉しくて涙が出てきちゃいそう。
 有紀は自分の口の中に江実矢君のおっきくなったものが入って来るのを想像した。
 彩香ちゃんは男の子の大事な物は硬くって太くってそれに舌が火傷しちゃいそうに熱いといっていた。
 先端がふっくらと柔らかくて、マシュマロを嘗めてる見たいに甘い味がするって彩香ちゃんが言ってたけど本当なんだろうか。
 女の子が男の子を好きになったら、フェラチオするのは当たり前と彩香ちゃんのママもいってたって彩香ちゃんが話してたことがある。
 有紀だって江実矢君の事を好きなら、フェラチオするのは当たり前で悪い事なんかじゃないはず。
 だけど江実矢君は有紀より彩香ちゃんの方が好きだと思うとなんだか悔しくなる。
 彩香ちゃんだって最初は上手にフェラチオはできなかったに違いない。
 いろいろ教えてもらったりして自分で工夫して江実矢君に喜んで貰えるくらい上手になったはず。
 有紀だって練習すればきっと彩香ちゃんよりフェラチオが上手にできるに違いない。
 そうすれば江実矢君だって有紀のことを好きになってくれにに違いない。
 有紀はどうやって舌を動かしたら良いんだろうと思って口の中で舌を上下に震わせてみた。
 舌先に江実矢君の大事な物の先端が微かに触れてると思うといっきに体中が熱くなった。
 有紀は自分も気持ちよくなりたいと思うともう止められなくなった。
 自分でスカートを捲ると、パンティーの中に指を差し込んで一番感じるところを押さえつけた。
 最初はすこしづつ軽く押さえつけるだけだけど、それだけで我慢出来る訳がない。
 大事な所を指で押し広げるようにしながら、少しづつ奥まで指を入れていくと今度は指を回しながらゆっくりと引き抜いていく。
 気持ちよい感触が急に襲いかかると、指先に濡れて湿った感触が絡みついてくる。
 そうなるともう指先を動かすのが止められない。
 息を何度も吐き出すと、少し休んでからまた指を奥まで入れて指先を震わせてこみ上げてくる快感を楽しんだ。
 何度も同じ事を繰り返す内に次第に体中が熱く燃え上がって、腿の内側が小刻みに震えてきた。
 もう止めようと思っても、もう一度だけと思って指を奥までいれて快感を楽しむのが止められない。
 一人で遊ぶ時間を楽しんでいる内に有紀はいつの間にか疲れてまた寝込んでしまった。
 気がついてみると朝らしく上の方から明るい光が差してきた。
 有紀はすぐには自分が何処に居るのか思い出せなかった。
 すぐ目の前に彩香ちゃんの大きなFカップの胸が目に入って最初はきっと彩香ちゃんの部屋で一緒にお泊まりをしてるんだと思った。
 だけどすぐ横には江実矢君も一緒だ。
 いくらなんでも彩香ちゃんと部屋で、江実矢君と彩香ちゃんと有紀の三人でお泊まりなんてするはず無い。
 それにお泊まりなら、彩香ちゃんが着ているのはパジャマのはず。
 目の前で寝ている彩香ちゃんはゴスロリのワンピースにエプロン姿だ。
 おまけに江実矢君まで彩香ちゃんとお揃いのゴスロリのワンピースにエプロンをしてる。
 何でゴスロリのワンピースを着てるのか思い出してみると、たしかテレビ番組の収録で秋葉原のメイド喫茶に行ったはず。
 そのあと変なワゴン車に連れ込まれて、実験室で身体を調べられたあとにエレベータに乗せられて変な場所に連れて来られたんだと思い出した。
 だけどどこまで本当で、どこまでが夢なのか判らない。
 いったい自分が何処にいるんだろうと、周りを見回すと茶色いレンガの壁が目に入った。
 すこしずつ昨夜起きた出来事を思い出してみると、有紀は自分が今大変な事になってると気がついた。
 昨日出会った鈴木さんが鞭を持っていつ三人を捕まえに来るか判らない。
 どうにかしてこの変な世界から逃げ出すしかない。
 明るい光で目が覚めたというのは今は朝だという事に間違いはない。
 朝と言ってもこんな所に本当の朝があるのか判らないけど、空が明るいから朝なのに違いない。
 見上げてみるとすぐ上に空が見えて、すぐ上に地上があるらしい。
 これなら助かったと有紀はほっとした。
 こっから出る方法がきっと何かあるはず。
 よく見ると天井に丸いマンホールみたいな丸い小さな穴が開いてる。
 高くてとても届かないが、ハシゴさえあれば何とかなる。
 辺りを見回してみたが、近くにはハシゴらしい物は見つからない。
 なにか台に成る物があれば、積み重ねればなんとかなると思ってその辺を探してみたけどやはり何も見つからない。
 どうしたらいいのか判らなくて彩香ちゃんも首を捻るばかり。
 どうしようかと悩んでいると江実矢君がいいアイデアを思いついた。
 チアリーディングで組むピラミッドをここで作れば天井まできっと届くに違いない。
 誰か一人でも外に出られれば後は助けを呼べばなんとかなる。
 三人の中で一番身が軽いのは江実矢君だ。
 江実矢君がピラミッドの一番上に登ればなんとかなるはず。
 彩香ちゃんと有紀が二人並んでしゃがみ込むとその両肩に江実矢君が膝を屈めた姿勢で乗った。
 彩香ちゃんと有紀がゆっくりと注意しながら立ち上がると、江実矢君は二人の肩に乗ったままバランスを取った。
 今度は江実矢君が立ち上がって、両手を伸ばしたがもう少しで天井の穴に届きそうだ。
 何とか腕を伸ばして穴に手を引っかけようとしたが何度やってもだめ。
「そうよ、飛び上がるのよそれしかないわよ」と彩香ちゃんが突然大声を上げた。
 江実矢君はチアリーディングのバックフリップの技が得意だ。
 いつもピラミッドの一番上で飛び上がって宙返りをして地面に落ちる。
 だけどそれは、下で受け止めてくれる女の子が居るからだ。
 江実矢君が落ちてくるのを下で女の子が四人手を組んで、待ちかまえていてその上に落ちるからちゃんと下に降りられる。
 今ここでジャンプしても、もし天井の穴に手が届かなかったらそのまま真下の地面に落ちるだけ。
 ここは床がコンクリートの丸出しだから落ちたら大怪我しちゃう。
 ここはひとまず江実矢君を降ろして、他になんとかする方法を考えた方が良さそうだと有紀は思った。
「江実矢くん大丈夫よ、飛んで」と彩香ちゃんがまた大声をだすと、有紀の肩を江実矢君の足が強く踏みつけた。
 あっと思う間もなく江実矢君の身体が真上の穴めがけて飛び上がると手を伸ばした。
 もうちょっとで指が届くと思ったけど駄目だ。
 江実矢君の身体が宙に舞うとそのまま真っ逆さまに頭から落ちてきた。
 このままコンクリートに頭からぶつかったら死んじゃうと有紀が思ったとき、江実矢君の身体が宙に浮いたまま止まった。
 ゴスロリのワンピースの裾が、ちょうど江実矢君の胸の辺りまでめくれて広がった。
 すぐには何が起きたのか判らなかったけど、江実矢君はすぐには落ちてこない。
 どうなってるのかと不思議な気がしてよく見ると、江実矢君の身体は宙に浮いたままだ。
 江実矢君は上手く宙返りをして足をマンホールの穴にひっかけたらしい。
 さすがに身の軽い江実矢君だけあって、見事なアイデアだ。
 彩香ちゃんもびっくりして目を大きく見開いた。
 するとすぐ上から彩香ちゃんの顔を見下ろしてる江実矢君と目が会った。
 彩香ちゃんは心配そうに江実矢君の目を覗き込むと、江実矢君は明るく微笑んで返した。
 江実矢君はすばやく身体を曲げて上半身を起こすと、器用にマンホールの穴を登った。
 ゴスロリのワンピースの裾が邪魔になって、引っかかってあちこちが破けちゃったけどそんなこと気にしてられない。
 江実矢君がマンホールの穴をでると、誰か呼びに行ったのかしばらく戻ってこない。
 いくら待っても誰も来る様子がない。
 もしかして置き去りにされちゃったのかしらと有紀は心配になった。
「恵美ちゃん」と彩香ちゃんが大声でどなったけどやっぱり返事がない。
 急に天井からするすると黄色と黒の縞模様の太い紐のような物が降りてきた。
 くねくねと曲がりながら降りてくるのは蛇に違いないと有紀はどきっとした。
 きっと江実矢君は蛇に食べられちゃったのよと思ったが、それだったらもっと太い蛇なはず。
 もしかして江実矢君は蛇に噛まれたのかと思ったけどよく見たら、紐には結び目が付いてる。
 すぐに江実矢君が穴から顔をだして「これに捕まって、ひっぱり上げるから」と呼んだ。
 江実矢君が上からロープを降ろしてくれたの判って一安心。
 だが話しはそう簡単ではない。
 ロープは長さがたりなくて背伸びして手を伸ばしてもやっと届く高さまでしかない。
 ロープの先につかまって上に登るなんて、まるでサーカスだ。
 彩香ちゃんにもとてもできないし、有紀だって無理だ。
 取りあえず彩香ちゃんを先に上に上げた方がよさそう。
 なにしろ彩香ちゃんはFカップの巨乳で身体も身長の割には大柄だ。
 有紀が彩香ちゃんを肩車して上に載せると、ロープをたぐり寄せて江実矢君が彩香ちゃんを上に引き上げた。
 それから江実矢君が両手で彩香ちゃんの手を掴んでひっぱりあげるとうまく彩香ちゃんは外に出られた。
 次に有紀がロープに飛び上がって捕まると、江実矢君と彩香ちゃんが二人で力を合わせてひっぱり上げてくれた。
 下にはピーチが一人で残されて悲しそうな声を上げてる。
 ピーチは犬だからロープで上に登るなんてできない。
 ピーチはあとで助けに来ればいいと思って、有紀は必死でロープにぶら下がった。
 とてもだめだと思ってたけど火事場の馬鹿力でなんとか頑張った。
 やっとのことで有紀も穴の上にでてみるとマンホールだと思ってたのは小さな噴水だ。
 水があるはずの所が小さい穴になっていて、穴にはめる子供プールみたいな池がすぐ横に置いてある。
 丸い池の周りは花壇で、目の前に大きなケヤキの木がある。
 本物のケヤキの木らしいので有紀は一安心した。
 昨日居た変な場所では、板に絵を描いて立ててある舞台の書き割りみたいな木しかなかった。
 他にも公園にはパンジーやチューリップが咲いていて、昨日みた公園とは違う。
 全部本物の花で、書き割りなんかじゃない。
 本物の世界にやっと戻れたんだと有紀は思った。
「有紀ちゃん、私達やっと助かったのよ」と彩香ちゃんが言うといきなり涙を浮かべて泣き出した。
 ロボット実験場から逃げ出してから大変なことばかりなので、彩香ちゃんもよっぽど嬉しかったに違いない。
 有紀が彩香ちゃんの背中を撫でて慰めていると、彩香ちゃんがいきなり振り向いて有紀に抱きついてきた。
 彩香ちゃんのFカップの巨乳が有紀の胸に押しつけられてきて、柔らかくて気持ちが良い。
 有紀も彩香ちゃんの背中に手を回してしがみつくようにして抱きしめた。
 彩香ちゃんの唇が有紀の唇に重なると、すぐに舌が入ってきた。
 あっと思う間もなく、有紀の口の中に男の子のあの香りが広がった。
 初めて味わう感触に有紀は最初は何がなんだか判らなかった。
 すこし苦みのある、甘酸っぱいような味は江実矢君の男の子の味だと気が付くと有紀は目眩がしそうになった。
 昨夜彩香ちゃんが江実矢君にフェラチオしてたのは、やっぱり夢じゃなかったのんだ。
 その大事な物が今有紀と、彩香ちゃんの口の中に有るんだと思うと急に有紀は嬉しくなって涙がこみ上げてきた。
 彩香ちゃんが夢中で有紀の体に抱きついてくるので、有紀も彩香ちゃんの体を撫で続けた。
 時間が止まったように時が過ぎると、有紀はいつまでも彩香ちゃんと抱き合っては居られないと気が付いた。
 有紀はすぐに誰か助けを呼ぼうとして辺りを見回したけど誰もいない。
 誰でもいいから誰か探そうとして周りにある建物をぐるりと見まわしてみた。
 公園の先には住宅街があり、小さな建物が並んでいる。
 少し先まで三人で歩いてみたけど、通りに人影はない。
「ねえ、ここの家に入ってみようよ、誰か居たらきっと助けて貰えるから」と彩香ちゃんが言うので有紀はすぐ目の前の家に入ってみた。
 玄関のチャイムを鳴らしても返事はない。
 中に入ってみたけど、居間にも台所にも人影がない。
 まるで新築の建て売り住宅の見本の家みたいに、綺麗に家具が並んでるけど人が住んでる気配はない。
 この家にはまだ誰も住んでいないんだと思って、隣の家に入ってみた。
 部屋の間取りがさっきの家と同じで置いてある家具も全部一緒だ。
「なんだか変ね」と彩香ちゃんが言うので有紀も不安な気持ちになった。
 彩香ちゃんが階段から二階に上がろうとしたので、有紀も一緒に二階に上がった。
 子供部屋が階段の両脇にあって、部屋にはパソコンが置いてあるのが見えた。
 彩香ちゃんが電源スイッチを押すとパソコンが起動して画面が映った。
「恵美ちゃんちょっと来て」と彩香ちゃんが江実矢君を呼んだ。
 江実矢君はパソコンが得意だ。
 江実矢君がいろいろやってみると、パソコンの画面に男の顔が映った。
 ビデオチャットの画面らしくて、有紀はこれでやっと助かったと思った。
「助けて下さい」と有紀が思わず言いそうになったとき彩香ちゃんが「ちょっと待って」と有紀を止めた。
 江実矢君も彩香ちゃんが何を言いたいのかすぐ判ったらしい。
 男の顔をよく見ると、口元がいやらしくて目つきも何だか怖い。
 援助交際で女子高生と付き合ってる中年男みたいな感じだ。
 うっかり相手をしたら、どんなことに成るか判らない。
 だけど今はともかくこっから逃げ出すのが先決だ。
「今日はいい天気ですね、気持ちいいですね」と江実矢君が女の子の声を作って男に話しかけた。
 もしかしてこの男はさっきの鈴木さんと同じにタコイーカ財団の職員かもしれない。
 そうだとしたら三人ともまたロボット研究所に連れ戻されちゃうだけだ。
「私ビデオチャットが大好きなんです」と江実矢君が男に話しを向けた。
「そうだね、ビデオチャットではいつもどんな話しをしてるのかな」と男が江実矢君に聞いてきた。
 薄ら笑いを浮かべた男の顔は見ているだけでも気持ち悪いが、ともかくビデオチャットを続けて様子を見るしかない。
「楽しい話しがしたいです、いつもビデオチャットが楽しくて」と江実矢君が適当にはぐらかして答えた。
「そうだね、エッチな話しなんかいつもしてるんじゃないのかな、エッチな話しは女の子なら大好きだよね」と男が言うのを聞いて有紀はこれなら助かると思った。
 タコイーカ財団の職員なら、女の子とビデオチャットでエッチな話しなんかするわけないはず。
「エッチな話しで盛り上がると、直接あってエッチなことしたくなっちゃうよね」と男が言うのを聞いて有紀は成る程とおもった。
 この男はやっぱり、援助交際が目的らしい。だとすれば話しをしても大丈夫なはず。
 江実矢君もこれなら上手く行きそうだと思ったらしい。
「これからお会いできますか、迎えに来てくれると嬉しいんですけど」と男を誘った。
「今どこにいるのかな」と男に聞かれて江実矢君は困った顔をした。
 さっきマンホールから逃げ出してきたばかりで何処にいるのかなんか判らない。
「近くに噴水があるので、そこで待ってます」と江実矢君が試しに言ってみると男が「あ、あそこの噴水だね、それならすぐ近くだ」と答えたのでこれで助かると思って有紀は気持が急に楽になった。
「だけど、その前にしてもらう事があるからね」と男が言い出した。
「君たち、男の子と会うといつも何してるのかな、大好きなことがあるだろう」と男に聞かれて有紀にも男が何を言いたいのか大体の見当がついた。
「女の子なら大好きなことがあるよね、男の子と一緒にいたらしたくなることがあるよね、いつもしてるんだろう」と男が言うと、彩香ちゃんが江実矢君の背中をつっついた。
 江実矢君も彩香ちゃんがなんで背中をつっついたのかすぐに判ったらしい。
「あの、私は口でするのが大好きなんです」と江実矢君が男に答えると、男の口元が歪んで笑みを浮かべた。
「口で何をするのかな、ちゃんと言わないと判らないよ、ちゃんと言いなさい」と男に責められて江実矢君は「フェラチオです」と小声でそっと呟いた。
「もっと大きい声で言わないと聞こえないよ、ちゃんと言いなさい」と男に言われて江実矢君は恥ずかしそうに「フェラチオです、私フェラチオ大好きなんです」と答えた。
「どうしてそんなにフェラチオが大好きなのかな、理由があるだろう」と男に問いつめられて江実矢君は困ってしまった。
 江実矢君は男の子だからフェラチオなんかしたことないし、だいたいフェラチオなんか好きな訳がない。
「男の人に気持よくなってもらうのが嬉しいんです」と江実矢君は女の子らしく答えてわざと口をすぼめて見せた。
 男は江実矢君の表情が可愛らしくて気に入ったらしい。
「その口でフェラチオしてもらったら、男は大喜びだよね、本当に気持ちよくなっちゃうよね」と相づちを打った。
「誰に教えて貰ったのかな、そんなに上手にフェラチオできるなんて、よっぽど色んな男と付き合わないと上手には慣れないよね」と男にまた問いつめられて江実矢君は「最初は下手だったけど自分で色々工夫してるうち、上手にできるように成ったんです」と嘘を付いた。
「今すぐしてもらおうかな、フェラチオが上手だったらこれから迎えに行って上げるよ」と男が言うと、急に画面が切り替わって江実矢君の目の前に三次元の立体画像が映った。
 大きくそそり立った男の物を見せられて江実矢君は思わず目をそらせた。
 紫色に反り返った大きな物は色も形も、江実矢君の可愛らしい物とは全然別物だ。
 女の子が見たらどきどきしちゃうくらいに立派だけど、江実矢君が見たって嬉しくなるはずはない。
 そのうえ今すぐフェラチオしろなんて言われても出来るはずはない。
 だけど今三人が助かるためには、他に方法はない。
 江実矢君は覚悟を決めて口を開くと舌先を伸ばした。
 男が腰を前に突き出すと、江実矢君の口のなかに先端がすっぽりと入る位置まで届いてきた。
 江実矢君は半分泣き出しそうな顔で、必死で舌先を震わせている。
 有紀も江実矢君を見ていて可愛そうで一緒に涙がこみ上げてきた。
「なかなか、上手いじゃないか、いつもやってるんだろう」と男に言われて江実矢君が泣きながら頷いて答えた。
「じゃあ、次は足を左右に広げてスカートをめくってごらん」と男が言い出した。
 これは大変だと有紀は思った。
 ワンピースのスカートを捲ってアンダースコートが丸見えになったら、江実矢君が男の子だってすぐばれちゃう。
 そんなことになったら、ここから逃げ出せない。
「私フェラチオ大好きなんです、私にもやらせて下さい」と彩香ちゃんが横から口を挟んだ。
 江実矢君の替わりに彩香ちゃんがパソコンの前に座ると口を大きく開いて舌を動かし始めた。
 唾を口の中にためて、ぴちゃぴちゃと音を立てるテクニックはさすがに彩香ちゃんだ。
「今すぐ、スカートを捲るんだ」と男が脅かすような低い声で命じてきた。
 彩香ちゃんがゴスロリのワンピースのスカートを膝の上までたくし上げるとパンティーが丸見えになった。
「指を使うんだ、いつもやってるだろう」と男に命令されて彩香ちゃんはパンティーの中に指を入れて押し回すように動かしはじめた。
 彩香ちゃんの声が次第に大きくなると「あ、あ、ぁ、いっちゃう」と大声で叫んだ。
 男は満足そうな顔で彩香ちゃんの顔を眺めると「じゃあ、これから迎えに行くから噴水の前で待ってろ」と言ってビデオチャットを切った。
 三人は家をでてさっきの噴水の前まで急いだ。
 さっきの噴水の前で男が迎えに来るのをまった。
 すぐ近くのはずだからそんなに待たなくても男が迎えに来るはずだ。
 そうすればこっからどこか別の所に連れてって貰えるはず。
 あの中年男が女の子を連れ込むとしたら、まず最初はきっとカラオケだ。
 もしかしたらそこでフェラチオさせられちゃうかもしれない。
 そのときは逃げ出せば良いだけ。
 もしも逃げられなくても、フェラチオさせて貰えるならそれはそれで嬉しい。
 あの立派な物を口に入れさせて貰えるなんて、嬉しくて泣き出しちゃうかもしれない。
 そう思うと早く迎えに来て欲しくて居ても立っても居られない気持だ。
 男の来そうな道をずっと眺めていたけど、いつまで待っても誰も来ない。
 なんですぐ来てくれないんだろうと有紀はだんだん不安な気持ちになった。
 彩香ちゃんがふと空を見上げるとしばらく空の雲を眺めたあと、有紀に向き直って「だめだわ」と言いながら首を横に振った。
 有紀はすぐには彩香ちゃんの言葉の意味が分からずに何がだめなのか聞き返そうとした。
 だが今度は江実矢君が黙ったまま真上を指さした。
 江実矢君の顔付きはがっかりして意気が消沈した雰囲気。
 江実矢君の指さした先を見て有紀にも彩香ちゃんがなんで「だめ」と言ったのかすぐに気がついた。
 空を見上げると、真っ赤な太陽が見えるけど太陽が全然まぶしくない。
 本物の太陽ならまぶしくて直視できないはず。
 まるで大きな電球みたいな太陽は、赤いことは赤いが本当の太陽ではないと一目で分かる色だ。
 それに青い空の色もなんだか変だし、雲も絵に描いたように変な感じだ。
 逃げ出したと一度はぬか喜びしたもの、まだあの変な世界に閉じこめられたままなんだと判って有紀は目眩がして気が遠く成りそうになった。
「有紀ちゃんしっかりして」と彩香ちゃんが有紀の身体を両手で引き寄せて揺さぶりながら声を掛けてきた。
「がんばらなくちゃ、なんとかしてこの世界からでなきゃいけないんだ」と有紀はもう一度自分に言い聞かせた。
 辺りを見回してみると、なんだか見覚えのある場所だと有紀は気がついた。
 昨日居た世界では木や草は全部書き割りだし、建物もベニヤ板に絵を描いたような建物ばかり。
 いま居る場所は木も本物だし、花も本物。
 近くに見える家も、昨日見たのとは違って本物の家に見える。
 だけどよくよく思い出してみると、昨日見た景色とほぼ同じだ。
 彩香ちゃんも同じ事に気がついてるらしくて辺りを見回して何度も頷いてる。
 昨日来たロボット実験場の公園にまた戻って来たのに間違いと有紀は確信した。
 だとすればこの先に学校があるはず。
 昨日会った女の子のロボットの百合ちゃんも探せばいるかもしれない。
 さっきの穴の下に残してきたピーチが気になったけど、今はそれどころじゃない。
 なんとかこの変な世界から出る方法をさがすのが先だ。
 三人で学校の方に歩き始めようとすると、公園の出口近くに縄が張ってあるのが見えた。
 縄の内側は花壇だけど、そこだけ花が昨日と同じ書き割りになってる。
 昨日鈴木さんがベータテストは今日からだといってたけど、昨夜の内に慌てて工事をして間に合わなかったらしい。
 黄色と黒の縄が途中まで張ってあり、さっき江実矢君が穴の上から垂らしてくれた縄と同じ色だ。
 江実矢君はこの工事用のロープを持ってきたらしい。

四つ葉学園に入学

あらすじ
 四つ葉学園で他の女の子達と一緒に授業を受けることになる。四つ葉学園の制服はセーラー服でスカートは超ミニだ。男の子の江実矢君も超ミニのスカートを履かされてなんだか落ち着かない様子。三人で一緒に居るには江実矢君にも女の子の格好をしてもらうしか方法はない。

 公園で出口を出ると少し先に大きな門が見えてきた。
 昨日はベニヤ板に書き割りだったけど、今日はちゃんと四つ葉学園という文字が見える。
 校舎も昨日と違って全部レンガ造りの堂々とした建物だ。
 大きな時計台もちゃんと時計の針が動いてる本物だ。
 昨日見た入学式の立て看板はもう見あたらない。
 正門から花壇の横を通って校舎の中に入ってみた。
 まだ真新しい校舎の中は、何処を見ても汚れ一つ無い。
 廊下の両脇には教室が並んでいて、曇りガラスの窓が続いてるすぐ先のドアの横に「さくら組」の表札が見えた。
 きっと誰か居るに違いないと思って有紀が教室のドアを開けてみると教室に座った女の子達が一斉に有紀を見つめた。
 睨みつけるような厳しい目つきに、有紀はびっくりして思わず足がすくんだ。
 後ずさりしようと片足を一歩後に引こうとしたが、彩香ちゃんに背中を押されて戻れない。
 せっかくこの世界に居る女の子を見つけたんだから、どんな女の子達なのかを確かめない事には逃げ出すわけにはいかない。
 勇気をだして有紀はドアの間から身体を半分乗り出すようにして教室の中を見回した。
 女の子達は皆お揃いのセーラー服を着ていてこの学校の生徒らしい。
「あらどうしたの、今ごろ、それに、その格好はどうしたの」と声が聞こえて有紀は教壇の方を向いた。
 黒いリクルート風のパンツスーツの背の高い女性がこちらを向いて、にこやかな笑顔で微笑んでる。
 無理に作り笑いを浮かべているのか、なんだかほっぺたが妙に引きつって変な感じだ。
 随分と高いハイヒールを履いてるので、教壇の上に立つと真上から見おろされてるみたいな感じ。
 黒いスーツから膨らんだ胸に鈴木と書いた名札を着けてる。
 どっかで見覚えがあると思ったけど、胸の大きさといい黒いリクルートスーツといい、昨日出会った会った鈴木さんらしい。
 鈴木さんは、この学校の先生だったんだ。
 だけどこの世界はもともと変な世界だから、先生といっても本当の先生かどうかなんて当てにはならない。
「変ねえ、あなた達、昨日居たわよね」と鈴木先生は三人の事を覚えてる様子だ。
「彩香ちゃんに有紀ちゃんに恵美ちゃんだったわよね」と鈴木先生が三人の名前を読み上げた。
 なんで鈴木先生が三人の名前を知ってるんだろうと思ったけどうっかり返事もできない。
「変ねえ、名簿にないのよね」と言いながら、鈴木先生は出席簿を確かめてる。
 出席簿を教壇の上に置き直すと、鈴木先生はあらためて三人の格好をつま先から頭の上まで視線を走らせた。
 三人ともゴスロリのワンピースのメイド姿でとても学校に来るような服装じゃない。
 その上さっきマンホールみたいな穴を登ったので、そこらじゅうで服が破けてレースもちぎれてる。
 彩香ちゃんはお尻の生地が破けていて、真っ赤なパンティーのレースが破れ目からはみ出してるのに気が付いて慌てて手で隠した。
 鈴木先生は机の上に置いた携帯を持つと「ちょっと、資材呼んでよ、制服を三着急いで送って」とどこかに連絡してる。
 彩香ちゃんも鈴木先生が携帯で話しをしているのを聞いて、不審な顔をして教室の中を眺め回した。
 鈴木先生は「制服を送って」と言ったけどどうやって送るんだろう。
 郵便か宅急便で送るんだったらすぐに届くはずはない。
 宅急便なら届くのは翌日だってママも言ってた。
 誰かにもって来させるなら「送って」なんて言い方は変だ。
 だいたいこの世界は変な事ばかりなので、いまさら変なんて言っても始まらない。
 急に鈴木先生の立ってる教壇の裏で「ゴトン」と大きな音がした。
 鈴木先生がポケットから鍵らしいものを取りだした。
 金色の細長い棒の先が平らになってる変な形の鍵だ。
 昨日の彩香ちゃんが拾った鍵と同じ物らしい。
 鈴木先生が鍵を後の壁に差し込むと、壁がストンと大きく開いてちょうど小包くらいの箱が出てきた。
 箱にはバーコードのマークが着いていて、英語の文字がいっぱい書いてある。
 大きな印も書いてあって、昨日ロボットらしい人の入った箱に書いてあったのと同じタコイーカ財団のマークだ。
 鈴木先生が教壇の上に箱を取り上げて蓋を開けると制服が出てきた。
 送るというのはこうゆうことだったらしい。
 壁の裏に空気で荷物を送るチューブが作りつけてあるらしくて、それで自由に荷物が運べる仕掛けらしい。
 昨日三人が通り抜けたのは、この荷物運搬用の通路だったらしい。
「更衣室はその先にあるから、着替えてきなさいね」と鈴木先生に制服を渡されて有紀は改めて自分の服装をよく見た。
 さっきマンホールの穴を登ったときに、スカートは泥で汚れてあちこちが破け所々に擦りむいた血の跡もある。
 彩香ちゃんのゴスロリのワンピースも泥だらけで破けた所から太股が見えちゃってる。
 江実矢君のワンピースも泥だらけで破けて、その上ブラジャーのカップがずれちゃって変な格好だ。
 教室にいる女の子達はさっきからずっときつい眼差しで三人の事を見つめていて恐いくらい。
 ゴスロリのワンピースが珍しくて見つめているらしいけどそれだけでも無いみたい。
 なんで服が破けて泥だらけなのか、理由が知りたくて三人の事を眺め廻してる気がした。
 ともかく着替えた方がよさそうだと思って、有紀は鈴木先生から渡された制服をよく見た。
 江実矢君が渡された分も女の子用のセーラー服だ。
 スカートは教室にいる他の女の子達と同じにチェックのプリーツスカートだ。
 女の子が着れば可愛らしいスカートだけど江実矢君は男の子だ。
 これはちょっと困ったことになったと有紀は思った。
 江実矢君は有紀と彩香ちゃんとお揃いのゴスロリのワンピースを着てるから女の子だと鈴木先生は思ったらしい。
 有紀は思わず「江実矢君は男の子なんです」と言いそうになった。
 だけどこの教室にいるのはみんな女の子だ。
 江実矢君が男の子だと判ったらもう三人が一緒にはいられなくなっちゃうかもしれない。
 そうなったら生きている内に逢えるのは今が最後になっちゃうかもしれないんだ。
 それを思ったら江実矢君がセーラー服を着せられるくらい我慢しなくちゃいけない。
 江実矢君も有紀と同じ事を思ったに違いない。
 大人しくセーラー服を受け取ると、大事そうに胸の前に抱えた。
「更衣室があるから、その先よ」と鈴木先生に言われて、三人は教室を出て更衣室の方向に歩き出した。
 少し先のドアに大きく更衣室と張り紙がしてある。
 ドアを開けると中はロッカールームになっていてロッカーが一列に並んでる。
 床は灰色のタイルで、汚れ一つ無く綺麗だ。
 彩香ちゃんはさっそく着替えようとセーラー服を床においた。
 有紀は気になって、ロッカーに書いてある名前を一つ一つ確かめてみた。
 百合ちゃんの名前もあるので、さっきの教室には百合ちゃんも居たみたい。
 だけど昨日見た百合ちゃんはどうみてもロボットだ。
 ロボットとは別に本物の百合ちゃんがいるってことなんだろうか。
 並んだロッカーの最後の方に、有紀と彩香ちゃんの名前もあるので有紀はびっくりした。
 その隣の恵美という名札は、江実矢君のロッカーらしい。
 彩香ちゃんもいつのまにか有紀の側に来ていて、驚いた顔をしてる。
「どうなってるのかしら」と呟きながら彩香ちゃんがロッカーのドアを開けてみると、教科書と筆記用具が入ってる。
「ともかく着替えた方がよさそうね」と彩香ちゃんが言うので有紀もその通りだと思った。
 今ここから逃げ出そうと思えば逃げられるけど逃げても行くところなんかない。
 すぐに捕まってしまうし、そうなったらどんな目に遭わされるか分かったものじゃない。
 それだったら、今は鈴木先生の言うとおりにしてしばらく様子を見た方がずっと安全だ。
 すぐに江実矢君が着ているゴスロリのワンピースを脱ぎだした。
 女の子が着替えるときは、スカートの下に新しく着替えるスカートを履いてから上のスカートを脱ぐんだけど、江実矢君は男の子だからそんなこと知るわけがない。
 ワンピースを脱ぐと、その下にブラジャーをしてパンティーの上にはテニス用のフリルのついたアンダースコートを履いてる。
 男の子の大事な物が目立たないようにするにはピッチピチのアンダースコートはちょうどいい。
 他に下着なんかないのでその上にそのままセーラー服を着るしかない。
 だけど江実矢君ちょっと困った顔をしてる。
 渡されたセーラー服は上着は普通にセーラー服だけど、下のスカートはタータンチェックのミニスカートだ。
 それも相当丈が短い。
 普通にはいたら、歩くたびにパンツが見えちゃうくらいの丈だ。
 女の子だったらそのくらい短いスカートなんか慣れてるからへいっちゃらだけど男の子は見られたら困る物がある。
 ともかく履くしかないので試しに履いてみると、スカートのウエストのサイズが大きすぎて江実矢君にはぶかぶかだ。
 鈴木先生が渡してくれた制服のセーラー服はサイズがみな同じだったらしい。
 江実矢君は出来るだけアンダースコートが隠れるようにと、スカートのベルトを腰一杯におろせるだけおろして履いてみた。
 なんだか随分と不格好に見えるけど、大事なものが見えちゃうよりはいい。
 スカートにはベルトもついてるけど、そのベルトの真ん中に短剣らしいものが付いてる。
 オモチャの短剣らしくて赤いルビーの飾りがついてるけどそれもプラスチックらしくて夏祭りの縁日で売ってるような代物だ。
 スカートを履いてみると、何処が前だか判らなくて江実矢君が困った顔をしてる。
 プリーツスカートは丸く縫ってあるけど、裾が左右にすこし広がったデザインだからどこが前だか女の子ならすぐ判る。
 だけどそうすると短剣が腰の前に来てしまうらしい。
 男の子は腰の前に邪魔なものがあるから、短剣が腰の前にあると都合が悪いらしいと判って彩香ちゃんは思わず吹き出して笑ってしまった。
 こんな時に笑ってなんかいられないはずだが、有紀を彩香ちゃんにつられて笑ってしまった。
 江実矢君はしかたなく短剣がうまく横に来るようにスカートの位置を直した。
 ちょっと見た目はみっともないけど仕方ない。
 とりあえず着替えが済んでから、ゴスロリのワンピースをしまおうと彩香ちゃんがロッカーのドアを開けた。
 すると大きなムカデが突然ロッカーの中から出てきて床を這い回りだした。
 彩香ちゃんは小さい時からムカデが大嫌いだ。
 びっくりした拍子に彩香ちゃんは思わず床に尻餅をついてスカートがめくれ上がった。
 真っ赤なパンティーが丸見えになって、今度は江実矢君が笑ってしまう番だ。
 彩香ちゃんは江実矢君に笑われてちょっとふくれっ面をして江実矢君を睨みつけた。
 尻餅をついて座り込んでしまうと、彩香ちゃんはお尻が重くてなかなか立ち上がれない。
 江実矢君が手をかして彩香ちゃんをひっぱり上げようとすると、彩香ちゃんはわざと江実矢君に抱きついた。
 そのままの格好で彩香ちゃんは目をつぶって、江実矢君の身体の感触を楽しむように両手でそっと抱きついた。
 江実矢君に抱きついている間は、何も考えなくていいから気持ちが楽になるみたい。
 江実矢君も彩香ちゃんを安心させようと、彩香ちゃんの背中を撫で続けてる。
 有紀はしばらくそのまま、二人が抱き合ってるのを横で見守った。
 随分時間がたってから、二人は身体を離すと彩香ちゃんは江実矢君がセーラー服を着てチェックのミニスカートをはいてるのをまじまじと見た。
 小学校の時から彩香ちゃんは江実矢君をお誕生会に呼んで、その時よく江実矢君に女の子の服を着せて遊んだ。
 彩香ちゃんの友達の女の子達も江実矢君にお化粧したり、つけまつげを着けたりして面白がってた。
 もう中学生だというのに江実矢君は顔の輪郭も小学生の時のままだ。
 きっともうすぐ大きくなればもう女の子の格好なんて恥ずかしくてやだと言い出すに違いない。
 だけど今はこの変な世界から逃げ出すためには、江実矢君には女の子の格好をしてもらうしかない。
 江実矢君もそれはよく判ってるらしくて、一生懸命笑顔を作って女の子らしくしてる。
 彩香ちゃんが床を見まわしてもうムカデが何処に行ったのか探してる。
 ムカデはもうどこかから部屋の外に出て行ったらしい。
「ムカデが居るって事は、僕たちは必ずここから出られるって事だよ」と江実矢君が彩香ちゃんを元気づけた。
 彩香ちゃんはすぐには江実矢君の言った言葉の意味が分からずにきょとんとした顔をしていた。
 ムカデはどこかからここに入ってきたはず、だからここから出ることもできるはず。
 そう思うと確かにここから出られるはずだと有紀も思った。
 ロッカーにゴスロリのワンピースをしまうと、教科書とノートそれに筆箱を持って三人は教室に戻った。
 教室の後には空いてる机が三つ用意してある。
 彩香ちゃんがさっそく席に座ろうとすると鈴木先生が「ちょっと恵美ちゃん」と江実矢君を呼び止めた。
「廊下にきなさい」と言って鈴木先生が江実矢君の手をひっぱって廊下に出た。
 彩香ちゃんは江実矢君の事が心配でドアの隙間から廊下の様子を覗き見した。
「ねえ、恵美ちゃん、女の子はねいつもきちんとした格好してないといけないのよ」
「そのスカートの履き方はだめでしょう、もっと腰の上でちゃんとベルトしないとみっともないでしょう」と鈴木先生が江実矢君のスカートを直してる。
 スカートの真後ろがあってないし、後と前の丈が違ってるのが気に入らないらしい。
 腰の高い位置でベルトをきちっと締めるように江実矢君のベルトを締め直してる。
 江実矢君は男の子だから女の子みたいにスカートをきちんと履けないのは当たり前。
 女の子だったら可愛く見えるようにとベルトをきつくしめるのはお洒落だからだ。
 可愛く見えるためにはちょっとやそっとの事くらいは我慢しちゃう。
 だけど男の子がそんなことしたら苦しくてとても大変だ。
 まったく余計なこと教えてくれてると彩香ちゃんは不満顔だが今は仕方ない。
 彩香ちゃんは席に戻ろうとしたけど、鈴木先生と江実矢君はなかなか廊下から戻って来ない。
 不意に江実矢君の「あ、ぁ」と呻く声が聞こえて彩香ちゃんはびっくりしもう一度ドアの隙間から廊下を覗き見した。
 鈴木先生が江実矢君の身体を後から抱きしめてるみたい。
 これはもう絶対江実矢君を助けなきゃと、彩香ちゃんが廊下に飛び出そうとしたので有紀は慌てて止めた。
 しばらく様子を見ていると、鈴木先生は「ねえ、ブラジャーのストラップはすこし短めにしてね、それでブラジャーの位置を上に上げるのね」
「そうすると、ブラジャーの横から脇の下の肉を左右からブラジャーのカップに寄せられるでしょう」
「それで、胸の谷間が大きく見えるのよ。その方が可愛いでしょう」と何やらおかしな事を教えてる。
 男の子に上手なブラジャーの付け方なんて教えたってまったくしょうがない話し。
 いくらブラジャーの付け方がみっともないからと言って、鈴木先生が江実矢君のブラジャーまで直しちゃうなんてとんでもない話しだ。
 だけど今は鈴木先生の機嫌を損ねたらどうなるのか判ったものじゃない。
 ともかく大人しくしてるしかないと有紀は必死で彩香ちゃんをなだめた。
 しばらくして江実矢君が教室に戻ってくると、やっぱりブラジャーを鈴木先生に直されたせいで、胸の膨らみの位置がさっきよりかなり高めに直ってる。
 ブラジャーの後の背中のホックを一番きつくしめられてしまったみたいで、ブラジャーが背中の肉に食い込んでるのがセーラー服の上からでもはっきり判る。
 スカートもさっきまでは、腰をゆるく履いてわざと長くしてたのに、今度はウエストの一番上できっちりときつくベルトを締めてる。
 女の子だったら普通に可愛らしく見えるはずだけど、男の子には随分と苦しい格好らしくて江実矢君は息苦しそうに口から息を何度も吐き出してる。
 おまけに腰のベルトからつり下げたオモチャの短剣がちょうど微妙な位置に来てしまって、江実矢君はちょっと歩きずらそうにしてる。
 江実矢君が机に教科書を置いて席に座ろうとしてるのを彩香ちゃんは心配そうな顔で見守ってる。
 短いスカートの時は女の子が椅子に座るにはちょっと工夫がいる。
 江実矢君が上手く座れたらいいけど、いつもの男の子の座り方だとまた鈴木先生に叱られちゃうに決まってる。
 江実矢君も彩香ちゃんが心配そうな顔で、見守ってる理由が判ってるらしくいて必死な顔で腰を屈めた。
 まず椅子のちょっと前に腰を降ろして、スカートの裾を椅子に押しつけながら腰を後にずらしてピンと背中を伸ばして足はぴったりと揃えるのが女の子座りだ。
 なんとか上手く出来たので彩香ちゃんはほっとした顔で鈴木先生の様子を確かめた。
 鈴木先生は何事もなかったように、ホームルームの時間を進めたので彩香ちゃんも一安心。

ホームルームの後は数学とパソコン実習

あらすじ
 ホームルームが終わると最初は数学の授業。それもいきなりテスト。四つ葉学園の女の子達は計算は得意だけど、応用問題は苦手だ。パソコンの授業はビデオチャットの体験学習。鈴木先生はまたビデオチャットでナンパされてる。

 有紀は教室に並んだ女の子達の後ろ姿を一通り眺め回して見た。
 見た感じはどう見ても普通の女の子達で、ロボットにはとても見えない。
 だけど背格好が全員同じというのも変だ。
 それに鈴木先生が行っていたベータテストというのは何のことなのかも判らない。
 鈴木先生は三人が来たので中断したホームルームの時間を進めて行った。
 学校生活の説明が済むと今度は、男女交際の注意事項の話しが始まった。
 男女交際は禁止という訳でもないけど、男の子と部屋で二人っきりになったりしないように。
 カラオケに誘われてもすぐには行かないようにとか。
 街を歩いていて男の子に声を掛けられても相手にしないようにとか。
 あれこれと注意されたけど、この変な世界で男の子に声を掛けられるなんて有るのかしらと有紀は不審な思いがした。
 昨日は歌舞伎町みたいな所で良一君に話しかけられたし、カラオケもしたのでナンパされるってのも無い訳じゃないみたい。
「男の人って、本当に自分勝手なの。最初は甘い言葉をいって、調子が良いけど、本当は遊びたいだけなのよ」
「見た目がかっこいいだけの男になんか騙されちゃ駄目」
「本当に素敵な男性に出会えたと思ったら、チャンスを逃したら絶対だめなのよ」
「だけど、それでも結局捨てられちゃうのよ、男なんてそうゆうもの。いつも泣くのは女なの」と鈴木先生は一人で興奮して話しが止まらない。
 自分の恋愛の経験を思い出して、気持ちが高ぶって自分でも何を話してるのかわからなくなってるみたい。
 女の子達は訳が分からくて黙って聞いてるだけ。
「それにね、キスはねすぐには許しちゃだめよ、もう絶対駄目」
「男ってね、キスを許したらもう、女は最後まで何でも許すと思いこんじゃうの」
 そこまで言って、鈴木先生はちょっと不味い事をいってしまったと思ったらしい「キスしたら結婚って決まってるの。そうよ、キスしたら結婚しなきゃいけないの、そう決まってるの男と女は」と随分と勝手な事を言い出した。
 鈴木先生もいろいろ男と女の事では苦労して、キスして最後まで許した後に捨てられた経験が一度や二度じゃないみたい。
 一通り話すだけ話すと気が済んだらしくて、鈴木先生は手元のプリントをちらっと見た。
 今日のホームルームの予定をメモしてあるらしい。
「じゃ、持ち物検査やります、それに服装検査」と言い出した。
 持ち物検査と聞いて彩香ちゃんはびっくりした顔。
 彩香ちゃんのお姉ちゃんの沙織ちゃんはいま立志館学園の高校三年生だ。
 高校生ともなると、いろいろと大人が持つような物を学校に持ってくる生徒がいるので、持ち物検査もよくやるとお姉ちゃんの沙織ちゃんが言ってた。
 とても他の生徒になんか見せられないとんでもない物を持ってる女の子も居て、先生も他の生徒に見られないようにして職員室に持ち帰っても他の先生にも見せられないんだとか。
 他の生徒になんか見せられない物と言えば、さっきみたあの大きなムカデを持ってきてるんだろうか。
 そうよ他の女の子を脅かして面白がるにはムカデはぴったしよ。
 だけどムカデは生きてるからもってくるのは大変。
 だったら猫が捕まえた鼠の死骸かもしれない。
 そうよ鼠の死骸だったら絶対みんな恐くて震え上がるから絶対そうよ。
 きっと誰かが鼠の死骸を学校にもってきてるのよと思うともう恐くて身体が震えて来ちゃう。
 鈴木先生はなんだか知らないけど急に機嫌がよくなって顔色が明るくなった。
「学校に来るときは、女の子らしい服装をしないといけません」
「胸が目立つ服装とか、スカートをわざと短くするとかして男の目を引くような格好は絶対に許しません」と鈴木先生がきっぱりとした口調で言うと教室はシーンと静まり返った。
 だいたい男の目を引くような目立つ格好をしてるのは、ここでは鈴木先生がダントツだ。
 まるで大砲の弾みたいに胸が突き出してる癖して、スーツの上着は身体にピッチピチでスケスケのブラウスは下のブラジャーが透けて見えちゃうくらいだ。
 生地の色が黒だから地味に見えるけど、パンツだって太股をぎゅっと絞り込んだようなスタイルはお色気そのまま。
 男の子だったら涎を流しちゃうくらいのお色気満点の足の太さだ。
 鈴木先生は自分の事は棚に上げて勝手なこと言ってると有紀は思ったけど、誰だってそう思う。
 教室の中をぐるりと見回しながら鈴木先生が「全員席を立って並びなさい」と大声をだした。
 女の子達は一斉に席を立つと、大人しく席の横に一列に並んだ。
 机の横に並んだ女の子達はみな髪型は違うけど、背の高さはみな一緒。
 胸の大きさも足の太さも全員一緒で、スカートの丈も超ミニで全員一緒。
 わざわざ同じ背格好の女の子を集めたみたいに揃ってる。
「スカートを腰で巻いて短くしてる人は、今すぐ直しなさい」と鈴木先生がまた大きな声を張り上げた。
 だけど女の子達は全員じっと立ったまま動かない。
 鈴木先生はもう一度「スカートを腰で巻いてる人、すぐ直しなさい」と大声を張り上げた。
 もともとこの四つ葉学園の制服は丈が短い。
 普通に履いても超ミニスカートだ。
 腰でスカートを丸めたりしたら、それこそパンツが見えちゃう。
 上着だって胸が目立つようにぴっちぴちのデザインでこれで男の子の目を引くなというほうが無理な話。
 鈴木先生も制服のスカートがもともと短いのに気がついたらしくて「持ち物を机の上に出して」と言って服装の検査はもう諦めたみたい。
 全員が机から教科書とノートそれに筆記用具を出した。
 持ってる物は全員同じだ。
 普通だったら学校に行くときは鞄をもってるはずだけど鞄なんか何処にもない。
 こうなると、持ち物検査なんかやりようがない。
 鈴木先生はちらっと教室の壁に掛けてある時計を見るとそのまま時計を見つめたまま動かない。
 時計の秒針が一回と半周すると「キンコンカーン」とチャイムの音が聞こえてきた。
 鈴木先生はチャイムの音が鳴り終わると「じゃ、持ち物検査終わり」と言って職員室に帰ってしまった。
 先生が帰った後は、全員席に着いたままみな黙ったまま教室の中はシーンとしている。
 みな今日初めて顔を合わせたばかりなので、何をしていいのか判らずに黙ってるんだ。
 彩香ちゃんは壁に貼ってある時間割を見て、憂鬱な顔をしてる。
 数学に理科に社会に、彩香ちゃんの嫌いな科目が沢山ならんでる。
 彩香ちゃんが好きな科目と言えば音楽と体育くらいだけど他の科目は教室で席に座ってるだけでも気分が重くてつらくなる。
 ホームルームの時間も終わって授業が始まると、最初の時間は数学だ。
 鈴木先生は「今日は試験をします」と言ってすぐにプリントを配った。
 プリントには足し算とかけ算の問題が一杯ならんでいてあとは応用問題だ。
 彩香ちゃんは数学は大嫌いだけど、しかたなく問題を解き始めた。
 計算問題は何回も検算するのがポイントだと家庭教師の勇二さんに教えてもらった。
 だけど検算しても答えが合わなければ、どこが違ってるのか判らない。
 何回も計算するたんびに答えが違うからいくらやってもなかなか先に進まない。
 他の女の子達はすらすらと計算問題を解いたけど、応用問題になるとぴたりと手が止まった。
 彩香ちゃんもやっと計算問題が終わって応用問題を見たけどやっぱり難しい。
 小学校でやった鶴亀算とか、植木算みたいなややっこしい問題ばかり。
 おまけに彩香ちゃんの苦手なあのユークリッド幾何の問題もある。
 ユークリッドというのはギリシャの古い時代の人だ。
 なんでそんな人の勉強をしないといけないのかそれが不思議だ。
 有紀が必死になって問題を解こうと下を向いているといきなり「びしっ」と大きな音が教室に響いた。
 何だろうと思って目を上げると「そこ、寝るんじゃない」と鈴木先生が大声を上げて、鞭を振り上げてる。
 鈴木先生の腕が素早く動くと、手に持った鞭の先がするっと伸びてすぐ近くの女の子の顔の真ん前で「びしゃっ」と大きな音を立てた。
 居眠りしてたらしい女の子は慌てて「済みません」と言い訳すると、問題用紙に何か書き込んでる振りをしてる。
 そうよロボットだったら居眠りなんかするわけ無いわ。
 やっぱりこの教室にいる女の子は本物の人間の女の子に違いないと判って有紀は一安心した。
 しばらくして鈴木先生が答え合わせをしますと言って一人づつ当てて行った。
 最初の計算問題は女の子達の答えはみなあっていたけど、応用問題は誰も答えられない。
「誰か答えられるひと居ますか」と鈴木先生が教室全体に届くように大声をだした。
 判る人は誰もいないみたいでみな下を向いて顔を上げようとしない。
 江実矢君が恐る恐る手を挙げると「ぼく」と半分言いかけてから慌てて「私、判ります」と小さな声で言い直した。
「じゃあ黒板の前に出てきてやってみて」と鈴木先生に言われて、江実矢君は席を立った。
 女の子は席を立った後は、スカートがしわになってめくれるのを直すために両手でお尻の裏をなぞってチェックするんだけど、江実矢君は男の子だからそんな事は知らない。
 後から見てるとタータンチェックのスカートが少しだけめくれ上がって、下に履いてるアンダースコートのレース模様が見えちゃってる。
 彩香ちゃんは慌てて江実矢君を注意しようとしたけど、江実矢君は何も知らずにスタスタと黒板の前まで進んじゃった。
 鈴木先生が江実矢君にチョークを渡してさっそく江実矢君が問題を解き始めた。
 この黒板なんだか変だと思ったら板が白くて文字の方が黒い。
 いったいどんな仕掛けになってるのか判らないけど普通の黒板とは色が逆だ。
 黒板拭きも普通のとは違っていて、軽くなぞっただけでチョークのかすも残さずにすっと文字が消えちゃう。
 江実矢君が問題をスラスラと解くのを見て鈴木先生はてっきり驚いて目を丸くするとばかり思ってたけど、どうゆう訳か鈴木先生は黙って見てるだけ。
 手に持ったプリントを見て答えが合ってるのを確かめてるだけだ。
 どうやら鈴木先生は数学が苦手で江実矢君を説明を聞いていて判らないらしい。
 一通り問題を解き終わると、江実矢君は彩香ちゃんの隣の席に戻ってきてきちんと座り直した。
 ちょうどチャイムがなって、数学の授業は終わりらしい。
 鈴木先生は教室を出るときに、黒板の横のスイッチをちょこっと押した。
 江実矢君が黒板に書いた文字が一瞬にして全部消えてしまったので、有紀はびっくりした。
 せっせと黒板をノートにうつしていた女の子達が、あれっと声をだしたけどもう遅い。
 鈴木先生はもう教室から出て行ってしまった。
 しばらくの間教室の女の子達は黙り込んだまま、席を動こうとはしなかった。
 少し経って前の席の女の子がゆっくりとした動作で周りを見回しながら席を立つと、江実矢君の目の前まで近寄ってきた。
「恵美ちゃんすごいのね、数学得意なのね」とやけに馴れ馴れしい口調で女の子が江実矢君に話しかけてきた。
 見覚えのある顔は昨日の百合ちゃんらしい。
 昨日であった百合ちゃんは一目でロボットだと分かる顔付きだけど、こっちは本物の人間の女の子に違いない。
 きっと昨日のロボットはこの百合ちゃんを三次元スキャナーで取り込んで作ったんだと有紀は思った。
 他の女の子達も席を立っておしゃべりを始めるとすぐにまたチャイムが鳴った。
 鈴木先生が教室に来る足音が聞こえてきたので、女の子達はまた慌てて席についた。
 鈴木先生はドアを開けて教室に入ると、すぐに教壇に座って「授業をはじめます、パソコン開いて」と大きな声で言った。
 女の子達が机を開けるとすぐそのままパソコンになる仕掛けになっている。
「じゃ、ビデオチャット始めますからね、ビデオチャット初めての人」と鈴木先生に言われたけど手を挙げる女の子は誰もいない。
「じゃあ、始め」とだけ言うと後は鈴木先生も自分でもビデオチャットを始めた。
 有紀もパソコンの画面を見てビデオチャットを始めた。
 チャットの相手は、パソコンの画面に映ってる男の子だけどずっと前に見た「将来の日本」という番組でやってたビデオチャットによく似てる。
 相手の男の子は何処の誰だか判らないけど、このロボット実験場には男の子も居るのかもしれない。
 なんのためにビデオチャットなんか授業でやるのか理由は判らないけど、これがベータテストなのかもしれない気がしてきた。
 しばらく教室が騒がしい女の子達の声でうるさかったけど急に静かになった。
「あ、そんなことないです」と聞こえる声の主は、教壇に座ってる鈴木先生だ。
「いつもですか、暇な時にチャットしてます、ホントですよ」とか話してるけどなんだか変だ。
「彼氏とかいま居なくて、ホントです」とか話してるけど、どうやら相手の男にナンパされてるらしい。
 ビデオチャットでナンパなんかされたらどっかで会う約束をするというのがお決まりだ。
「そうですね、それでもいいですけど、あ、やっぱり今日は駄目」とか鈴木先生は話しをはぐらかしてるけどしつこく誘われてるらしい。
 教室の中でビデオチャットしてるのはもう鈴木先生だけ。
 あとの女の子はみんな鈴木先生のビデオチャットに聞き耳を立ててるけど、鈴木先生はビデオチャットに夢中で気が付かないみたい。

チアリーダー部は戦闘集団

あらすじ
 授業のあとで百合ちゃんがチアリーダー部「ラブエンジェルズ」の部員を募集をして全員が参加した。チアリーダーの衣装に着替えてラブエンジェルズの部活が始まった。ダンスの練習だとばかり思ってたけど、実際は短剣を使った戦闘訓練だ。

 やがてチャイムの音が「ピンポンパーン」と鳴った。
 鈴木先生は慌ててパソコンをしまうと「今日はこれで終わりです」と言って教室から出て行ってしまった。
 女の子達は一斉に席を立つと、帰り支度を始めた。
 これで今日の授業は全部終わりって事らしい。
 百合ちゃんがラジカセを持って教壇の横にたつと「みなさーん、まだ帰らないで」大声をだした。
 いつの間にか百合ちゃんはチアリーダーの真っ赤な衣装に着替えてる。
「みなさーん、クラブはもう決めましたか、チアリーディングクラブがいま一番人気なんですよ」とさっそく百合ちゃんがクラブの宣伝を始めた。
「私達、ラブエンジェルズは新人部員募集中です」と叫ぶと百合ちゃんはラジカセのボタンを押した。
 教室に鳴り響いたテンポのいい音楽は昨日体育館で流れていたのと同じ曲。
 音楽に合わせてすぐに百合ちゃんがチアリーディングのダンスを始めた。
 チアリーディングのダンスは有紀も何度か見たことがあるけど、体育館や運動場で離れたところからしか見たことがない。
 すぐ目の前で踊ってるのを見ると、たった一人でもすごい迫力で見ていて感動しちゃう。
 一緒に踊り出したくなっちゃうくらい胸がわくわくしてきた。
 不意に百合ちゃんが踊りを止めるとラジカセのボタンを押して音楽も止めた。
 その次に大きく手を振りながら「ラブエンジェルズに入部希望のひと手を挙げて」と叫んだ。
 すぐに教室の女の子が全員手を挙げたけど彩香ちゃんと江実矢君は周りの様子を見るだけで手を挙げない。
 有紀もどうしていいのか判らずに黙ったまま百合ちゃんが次に何て言うのか待ってると百合ちゃんと目が合った。
 百合ちゃんはもう一度両手を振りながら「ラブエンジェルズに入部希望の人手を挙げて」と繰り返した。
 どうやら此処では全員ラブエンジェルズに入部しないといけないらしいと気が付いて有紀は恐る恐る手を挙げた。
 彩香ちゃんと江実矢君も仕方なく手を上げると「全員入部希望ですね」と百合ちゃんが嬉しそうに叫んだ。
 さっそくこれから最初の練習があるというので、百合ちゃんがチアリーダーの衣装を女の子達に配り始めた。
 衣装は真っ赤な生地で胸にラブエンジェルズと大きく文字が書いてある。
 有紀は百合ちゃんに渡された衣装を手に持って見たが、生地が薄くてまるでスクール水着みたい。
 江実矢君に渡された衣装も他の女の子と同じ、女の子用だ。
 江実矢君は立志館学園のチアリーダーチームで女物の衣装を着せられてるから慣れては居るはずだけどこんな生地の薄い衣装を着せられちゃうなんて可愛そう。
 スカートが付いてるから男の子の大事な物は隠れるけど、他の女の子と同じ格好だ。
 だけど今はそんな事は言ってられない。
 女の子達は衣装を受け取ると、すぐに着替えのために更衣室に駆け込んでる。
 彩香ちゃんも着替えをしようと更衣室に入ろうとしたが、江実矢君がもじもじして更衣室には入ろうとしない。
 江実矢君もやっぱり男の子だから他の女の子達が着替えをするのを見るのは恥ずかしいらしい。
 彩香ちゃんが更衣室の様子をちらっと覗いてみると女の子達の着替えが見えた。
 スカートの下からチアリーダーの衣装の襟に足をいれて、そのまま引っ張り上げてブラウスを脱ぎながらチアリーダーの衣装の袖に腕を通してる。
 まるで手品を見てるような早業で女の子達が着替えを済ませるのを見て、有紀もびっくり。
 あっという間に女の子達は全員着替えをすませて、体育館に駆け出していった。
 彩香ちゃんがもう更衣室に誰もいないのを確かめて江実矢君の手をひっぱった。
 江実矢君は男の子だから女の子がするような手早い着替えなんかできない。
 ブラウスも脱いでそれからスカートも脱いで下着だけの姿になった。
 彩香ちゃんもブラウスを脱ぐと、急に江実矢君に抱きついた。
 彩香ちゃんのFカップの巨乳が、江実矢君のブラジャーの膨らみに押しつけられた。
 有紀は一瞬何が起きてるのか判らなかったけど、彩香ちゃんは江実矢君の背中に手をまわしてブラジャーのホックを緩めようとしてるらしい。
 だけど彩香ちゃんが何度引っ張ってもブラジャーのホックがはずれない。
 鈴木先生がよっぽど強くブラジャーのホックを掛けたらしくて、ブラジャーの後のバンドが江実矢君の背中に食い込んでる。
 彩香ちゃんが諦めて身体を離すと、江実矢君はなんども大きく息を吐き出した。
 やっぱり江実矢君ブラジャーがきついせいで息が苦しいらしい。
 すぐに体育館からラジカセの音楽が聞こえてきた。
 急いで着替えないと叱られちゃうかもしれない。
 慌てて江実矢君がチアリーダーの衣装に着替え始めると、彩香ちゃんと有紀も急いで着替えた。
 着替えも済んで体育館まで急いで駆け出していくともう練習は始まっていて女の子達が横一列に並んでる。
 中央にたった百合ちゃんのダンスに合わせて、女の子達が一斉に同じ動きで踊ってるけど全員がぴったりとそろって気持ち悪いくらいだ。
 三人も女の子達の列に一緒に並んでダンスを踊ろうとしたがとてもだめ。
 百合ちゃんの動きが早すぎるし、それに彩香ちゃんは動くたびにFカップの巨乳が大きく揺れてとても踊ってないか居られない。
 江実矢君は立志館学園のチアリーダーチームでいつも練習してるから百合ちゃんのダンスの見本にも上手について行ってる。
 有紀もなんとか百合ちゃんの動きに合わせて身体を動かそうとしたが、百合ちゃんは次から次へとダンスの動きを替えていくので、どう踊っていいのか判らない。
 他の女の子達は皆一緒にぴったりと動きが合って踊ってるのに、彩香ちゃんと有紀だけはとても踊れない。
 諦めて彩香ちゃんがダンスを止めたとき、急に江実矢君がしゃがみ込むとそのまま床に倒れ込んだ。
 ブラジャーで胸をきつく締め付けられていて、息が苦しくて気を失ってしまったらしい。
 彩香ちゃんが慌てて江実矢君を抱き起こして「恵美ちゃん大丈夫、しっかりして」と背中をさすった。
「そこ何やってるの」と突然大きな声が聞こえて、有紀の目の前でぴしゃっと鞭の音がしたので有紀はびっくりした。
 いつのまにか鈴木先生がチアリーダーチームの練習の監督に来ていたんだ。
 このままじゃ江実矢君が大変なことになる。
「恵美ちゃんもう動けません」と彩香ちゃんが勇気を出して大声で鈴木先生に言い返した。
 鈴木先生は鞭を持った手を何度も上下に振りながら「しょうがないわね」とだけ言うと、唇をとんがらかせた。
「ちょうどいいわ、フォーメーションの練習しましょう。あなた達三人はそこで動かないこといいわね」と鈴木先生がいいながらラジカセの音楽を止めた。
 どうやら取りあえず助かったらしいと有紀はほっとした。
「フォーメーション、スターZ」と鈴木先生が号令を掛けると、女の子達が一斉に三人の周りを取り囲んだ。
 鈴木先生が「アン、ドー、トロワ」と号令をかけると、女の子達はくるくるとコマの用に回りながら、中心の三人から遠くなったり近づいたりを繰り返した。
 女の子達が一列に並んだ輪が大きくなったり小さくなったりを続けてるけど、まるでコンパスで書いたような正確な円だ。
 鈴木先生が「フォーメーション、サークルG」と号令をかけると、今度はグルグルと回りながら急に向きを変えると反対側に回り出した。
 何歩か進むと反対側に向きを変え逆方向に回転すると、また何歩かすすんで向きを変える動作を繰り返してる。
 腕を伸ばしたり曲げたりとダンスみたいな動きも一緒にしてるから見ていても何がなんだか判らない。
 まるで盆踊りの輪の中にいるみたいで、見ていても目が回りそう。
 ぴしゃっと鞭の音がして、有紀はびっくりして身体が縮こまった。
「そこ何やってんの」と鈴木先生の怒鳴る声が聞こえて有紀はもう息が詰まって気絶しそうになった。
 女の子の一人が動きを間違えたらしくて、鈴木先生が鞭の先を飛ばしたんだ。
 鞭で叩かれるのはさすがに恐いらしくて女の子達の顔付きは真剣そのものだ。
「フォーメーション、アタックB」と鈴木先生が号令を掛けると、女の子達が背中に右手を一斉に廻して短剣を取りだした。
 制服のセーラー服のベルトにつけていた短剣を今度はチアリーダーの衣装の背中に付けていたらしい。
 短くて少し幅の広い短剣は黒くてどうみてもオモチャだけど、なんでチアリーダーの演技に短剣を使うのか訳が分からない。
 不意に女の子達が全速力で駆け出すと、女の子達の輪が三人の目の前でぐるぐると回り出した。
「とう」と女の子の一人が大きなかけ声を出すと、女の子の身体がすぐ彩香ちゃんの目の前にくるくると回転しながら宙を飛んできた。
 彩香ちゃんの目の前に短剣が突き出されると、女の子の手元が狂ったのか彩香ちゃんのチアガールの衣装の襟元を切り裂いた。
「ひぃーーー」と彩香ちゃんが甲高い声で叫ぶと、そのまま江実矢君の上に尻餅を付いてしまった。
 次から次へと他の女の子もくるくると空中で宙返りをしながら有紀と彩香ちゃんの四方から短剣を突き出してくる。
 すぐ目の前に差し出される短剣は、真っ黒い色をしてるけど本物らしくて刃先が鋭い。
 まるで忍者のくのいちにでも襲われてるみたいでこれじゃ何の訓練なんだか判らない。
 有紀は目眩がしてもうとても立っていられなくて、彩香ちゃんの倒れた上に覆い被さった。
 有紀のすぐ頭の上に、女の子が宙返りをして飛び跳ねながら空気の引き裂かれるかすれた音が聞こえてきた。
「やめ」と鈴木先生が大きな声で号令を掛けた。
 女の子達はみな一斉に床に着地して整列すると体育館の中はやっと静かになった。
「今日はこのくらいでいいでしょう、じゃ解散」と鈴木先生が言うと女の子達の足音がして皆更衣室に着替えに戻ったみたい。
 しばらくして有紀が顔を上げると体育館の中にはもう誰もいない。
 彩香ちゃんはまだ江実矢君の上に覆い被さったまま身体が震えてる。
「もう大丈夫よ」と有紀が彩香ちゃんに声を掛けると、彩香ちゃんはやっとの事で立ち上がった。

本当の幸せは太陽の下

あらすじ
 百合ちゃんに誘われて歌舞伎町のラブエンジェルズにカラオケをしに行った。待っていたのは良一君。カラオケの最中に百合ちゃんが隣の調教部屋に気が付いた。気持ちよくさせてと百合ちゃんが良一君にせがむのを聞いて彩香ちゃんが必死で止めた。

 チアリーディングのラブエンジェルズの練習も終わったので取りあえず更衣室に戻って、四つ葉学園の制服に着替えることにした。
 彩香ちゃんがもう一度江実矢君のブラジャーを緩めようとしてみたが、やっぱり駄目だった。
 江実矢君は息苦しそうにしてるけど、当面は諦めるしかなさそう。
 教室に戻ってみたけど、女の子達はもう帰ったみたいで人影は見あたらない。
 四つ葉学園の裏門を出ようとしたときちょうど百合ちゃんが門の側から駆け寄ってきた。
 三人が着替えを済ませるのを待ってたらしい。
「あの、ちょっと聞きたいことが有るんだけど」と百合ちゃんが恐る恐る江実矢君に話しかけてきた。
 もしかして江実矢君が男の子だとばれちゃったんだろうか。
 それとも三人が他から連れて来れて、他の女の子達と違うってことがばれたんだろうか。
 有紀は急に心配になって、胸がぎゅっと締め付けられた。
「ねえ恵美ちゃん。歌舞伎町って行ったことある」と百合ちゃんに言われて有紀は百合ちゃんが江実矢君から何を聞き出したいんだろうかと不安で一杯になった。
「うん、知ってる」と江実矢君が仕方なく小さい声で返事をすると百合ちゃんは「ビデオチャットが出来る店があるって聞いたんだけど」と聞いてきた。
「ラブエンジェルって名前の店なんだけど」と百合ちゃんに言われて有紀も成る程と百合ちゃんが聞きたいことの見当が付いた。
「ラブエンジェル」というのは四つ葉学園のチアリーダーチームの名前だ。
 それと同じ「ラブエンジェル」という名前のビデオチャットの店があるなんて、なんだか不思議な気がするのは当たり前だ。
「ビデオチャットするほかに何ができるのか恵美ちゃん知ってたら教えて」と百合ちゃんに聞かれて江実矢君は困った顔。
 ラブエンジェルは出会い系喫茶で、女の子の部屋を覗き見する仕掛けになってる。
 それにラブホテルみたいなベッドがの有る部屋が奥にあるなんて、うっかり百合ちゃんには話せない。
 ラブエンジェルの有る歌舞伎町は書き割りで作った変な街で、この街と繋がってるかどうかも判らない。
「場所はしってるけど、入ったことがないから判らないの」と江実矢君が上手く誤魔化して答えた。
「じゃあ、これからみんなで言ってみましょうよ」と百合ちゃんが言い出した。
 百合ちゃんの様子ではこれから歌舞伎町の出会い軽喫茶「ラブエンジェル」にみんなで一緒に行きたいということらしい。
 どうやら百合ちゃんは一人で行くのが怖くて三人を誘ってるらしいと有紀にも見当がついた。
 本当はラブエンジェルがどんな店かも大体は知ってるに違いない。
 確かに女の子一人で行くような店でもないし出会い系喫茶に行きたいなんてなかなか言い出せる話しでもない。
 もしかして百合ちゃんが行こうと誘ってるのはこの変なロボット実験場じゃなくて本当の歌舞伎町にある店かもしれない。
 それなら百合ちゃんと一緒にこの世界から抜け出してもとの地上に戻れるかもしれない。
「いいわよ、みんなで一緒に行きましょう」と彩香ちゃんが提案すると、百合ちゃんは嬉しそうな顔をした。
 百合ちゃんに案内されて、四つ葉学園の裏手にでると大きな壁に門が見える。
 四つ葉学園からも歌舞伎町に通じる門があると判って有紀は急にまた不安な気持ちになった。
 この四つ葉学園は昨日は看板を並べただけの書き割りの学校だったのに今日になったら本物の建物に変わってた。
 もしかしてこの歌舞伎町に通じる裏門を通り抜けると、本物の地上の町に戻れるかもしれない。
 この世界はきっとディズニーランドみたいに大きな建物の中に作ってあって、外に出たら普通の街角が広がってるのかもしれない。
 もしかしてという僅かな期待だけど、絶対あり得ないことでも無いはず。
 不安な気持ちと期待する気持が入り交じって有紀は気持が落ち着かなくて息苦しくなった。
 彩香ちゃんが先に裏門を開けて、夜の歌舞伎町の町を確かめた。
 昨日と同じ夜の町の光景が広がってるけど、建物は昨日と違って本物らしい作りだ。
 もしかして本当の歌舞伎町に出たのかと思っては見たけど、辺りを見回してみるとやっぱり変だ。
 大通りには人通りはなく、どこを見ても静かで車も走ってない。
 本当の歌舞伎町なら、夜中にこんな静かな訳がない。
 そらを見上げてみたけど、夜空に見える星はやっぱり電球みたいな色だ。
 ともかくラブエンジェルズの店に行ってみるしかない。
 しばらく大通りを歩いて行くと、ラブエンジェルズの看板が見えてきた。
 ちょうど入り口を入ろうとしたときいきなり男の子が看板の影から出てきて「よく来たね」声を掛けられた。
 見覚えのある顔立ちは昨日出会った良一君に似ている。
 昨日は見かけたのはどっか故障してるロボットだったけど、今度は本物の良一君らしくて見た目は普通の男の子だ。
 百合ちゃんが「はじめまして」と良一君に挨拶してるけど初対面でもないらしい。
 良一君も「君が百合ちゃんだね」と百合ちゃんの名前を知ってる。
「じゃあ、みんなでカラオケしようか」と良一君が百合ちゃんに話しかけたので有紀にもようやく事情が見えてきた。
 良一君は百合ちゃんとビデオチャットで仲良くなって、それで良一君がこの歌舞伎町で一緒にカラオケをしようと誘ったらしい。
 百合ちゃんは歌舞伎町は来たことがないし、二人きりでカラオケをするのも不安なのでみんなで一緒に良一君に会いに来たという寸法だ。
「さあ、こっちだから」と良一君がラブエンジェルズの店に入ろうとしたけど、これはやっぱり危ないと有紀は思った。
 この店では奥の部屋でカラオケは出来るけど部屋にはベッドも置いてあって怪しげな店だ。
 うっかり良一君とカラオケなんかしたら、またこの間みたいな事になっちゃうかもしれない。
 だいたい良一君が百合ちゃんをカラオケに誘ったこと自体下心が丸見えだ。
 良一君が百合ちゃんの手をとってラブエンジェルの入り口を入ろうとしたとき彩香ちゃんが「あの、」と何か言おうとした。
「君たちは帰ってもいいよ」と良一君が振り返りながら彩香ちゃんに言葉を投げた。
 このまま良一君と百合ちゃんを二人っきりになんかしたら危ない事になる。
 しかたなく三人は良一君と百合ちゃんと一緒にラブエンジェルでカラオケをすることにした。
 店の受付の前で男の子の部屋の入り口に入ると、女の子の部屋がマジックミラー越しに見えた。
 百合ちゃんが「あれっ」と言う顔をして店の奥を見つめた。
 誰か居るのかと思って百合ちゃんの視線の先を確かめると、四つ葉学園の制服を着た女の子がマジックミラーの向こうに座ってる。
「久美ちゃん」と百合ちゃんが半分言いかけたけど、途中で言葉がとぎれた。
 百合ちゃんが良一君とこの店に来てるのがばれると都合が悪いらしい。
 良一君も慌てたようすで、すぐに奥のカラオケのある部屋に行こうとして百合ちゃんの手を引っ張った。
 カラオケルームに入ると中央に大きな丸いベッドが置いてある。
 普通の女の子だったらカラオケに誘われてベッドが置いてあるのを見たら尻込みするはずだけど百合ちゃんは平気な顔。
 百合ちゃんは男の子と付き合った経験がないらしい。
 男の子と二人っきりでベッドの置いてある部屋に入るってことは普通だったら何をされてもオッケーと言う事だ。
 さっそく百合ちゃんがマイクを取るとカラオケ装置のキーボードを叩いた。
 得意な曲の番号は暗記してるらしくて、すぐに伴奏の音楽が流れ出した。
 最近流行のAKBの曲だ。
 出だしのイントロのあと百合ちゃんが曲に合わせて歌い出したけどめちゃめちゃ上手だ。
 それに百合ちゃんはチアガールだから踊りだって完璧。
 次に良一君が歌ったけど良一君も完璧に上手。
 これじゃあ恥ずかしくて彩香ちゃんはとても歌えない。
 しょうがないから三人一緒に乃木坂の「おいでシャンプー」を歌うことにした。
 踊りなんかできないけど、三人で体を寄せ合って腰を振るとなんとなく乃木坂の歌振りに見える。
 彩香ちゃんが途中の間奏で乃木坂みたいにスカートを捲ろうとしたけど、そんなことしたらパンティーが丸見えになっちゃうので諦めたみたい。
 しばらくマイクの前で三人で体を寄せ合って歌ってると、ソファーに並んで座っていた良一君が百合ちゃんの耳元で何か囁いてる。
 どうもおかしいと思ってると、良一君の手が百合ちゃんの膝頭をくすぐるようになで始めた。
 良一君が百合ちゃんを口説いてるらしくて、百合ちゃんの耳元で良一君が「こんな可愛い娘と知り合えて最高に幸せだぜ」と小声で囁いてる。
 これは不味いことになったと思ったけど、百合ちゃんは嫌がる様子もない。
 良一君はすぐ百合ちゃんに唇を寄せてキスをしてる。
 せっかく百合ちゃんが良一君に口説かれてるのを邪魔するのも悪い気がした。
 女の子にとっては男の子に口説かれるのは最高に幸せなこと。
 それをじゃましたら百合ちゃんに一生恨まれちゃうかもしれない。
 歌が終わってしまいそうになって、彩香ちゃんはもう一度「おいでシャンプー」の歌を繰り返し歌い始めた。
 良一君は次第に大胆になって、百合ちゃんのスカートの奥に指を差し入れた。
 百合ちゃんの制服のタータンチェックのスカートがめくれ上がって、白いパンティーが丸見えだ。
 江実矢君もとても見ていられなくて下を向いて目をそらせてる。
「あ、ぁ」と小さく百合ちゃんの喘ぎ声が聞こえて有紀もとても見ていられなくて目をそらせた。
 良一君の手のひらが百合ちゃんの胸を押し回すと、百合ちゃんは体から力が抜けてもう逆らえない。
 こうなったら百合ちゃんは良一君の言いなりだ。
 目の前で良一君が百合ちゃんを抱きかかえてベッドに押し倒して体を重ねた。
 三人に見られてるのが判って居るのに良一君も百合ちゃんも全然恥ずかしいとも思わないらしい。
 良一君の舌が百合ちゃんの首筋を嘗めながら、脇腹をくすぐるようにして指先を震わせてるのが見えた。
 昨日のロボットの良一君もテクニックが抜群だけど、この本物の良一君もとんでもなくテクニックが上手い。
 あっという間に百合ちゃんが体を捩らせると、喉の奥から吐き出すような喘ぎ声を上げて首を左右に振り始めた。
 良一君が百合ちゃんの足を開かせて、腰を百合ちゃんの股の間に割り込ませた。
 ゆっくりとした動きで良一君の腰が上下に動き出すと、何度も腰を強く引きつらせた。
 良一君の腰の動きに合わせて百合ちゃんは自分から足を大きく開くと、腰を上下に振り始めた。
 不意に「あっ」と小さな声が有紀の耳元で聞こえた。
 振り向くと彩香ちゃんが江実矢君の体とぴったりと向き合って押しつけ合ってる。
 彩香ちゃんが良一君と百合ちゃんの濡れ場を見ていて我慢できなくなって江実矢君に抱きついたんだ。
 彩香ちゃんはFカップの巨乳を江実矢君の胸に押し付けて江実矢君を抱きしめながらそのままベッドに押し倒した。
 すぐ横では良一君と百合ちゃんが体を重ねて二人一緒に上下に腰を振ってる。
 江実矢君が揺れるベッドに背中を押しつけられて苦しそうにしている。
 ブラジャーがきついから息をするのが苦しいんだと見ていて有紀にも判った。
 江実矢君は彩香ちゃんを抱きかかえて体を一回転させた。
 彩香ちゃんも一緒に体を入れ替えると今度は江実矢君が彩香ちゃんの上に体を重ねる姿勢になった。
 江実矢君も男の子だから自分が何をしたらいいのか判ってるらしい。
 江実矢君がキスしながら彩香ちゃんの脇腹をくすぐると彩香ちゃんが頭を振って体を捩らせた。
 彩香ちゃんはもう我慢できなくて自分から足を開いて腰を振り始めてる。
 江実矢君はアンダースコートを履いたまま男の子の大事な物を彩香ちゃんの腰に押しつけてこすり始めた。
 彩香ちゃんは期待で胸が一杯になって夢中で江実矢君にしがみついた。
 江実矢君が彩香ちゃんの上から腰を一杯に押しつけるとベッドが大きく揺れた。
 すぐ横で百合ちゃんの体の上で腰を振っていた良一君の体が揺れてベッドから転げ落ちそうになった。
 良一君が横を向くと百合ちゃんも不思議な顔をして彩香ちゃんと江実矢君が抱き合ってる様子を見つめた。
 江実矢君は男の子だけど、今は四つ葉学園の制服を着ていて女の子の格好だ。
 男の子と女の子が恋をするのは当たり前だけど、女の子同士が抱き合って居るのを見て不思議がってるらしい。
 良一君は江実矢君のアンダースコートから伸びている足をじっと見つめていて何だか目つきが変だ。
 江実矢君の足は色白で細いから女の子から見ても女らしくて魅力的に見える。
 だけど成熟した大人の魅力とは違う、未熟な少女も思わせる魅力だ。
 それに比べたら百合ちゃんはダンスで鍛えた体は太股がしっかりと太くて大人の体だ。
 男の子の良一君が見たら百合ちゃんの方がずっと女らしいはず。
 百合ちゃんもなんで良一君が江実矢君の事をじっと見つめてるのか訳が分からずにじっとしてるだけ。
 急に良一君が体を起こすと彩香ちゃんの上に体を重ねている江実矢君の足元に膝を付いて屈み込んだ。
 百合ちゃんは何が起きてるのか判らずに、きょとんとした顔をしてる。
 良一君の指先が今度は彩香ちゃんの開いた腿の内側を撫で始めた。
 右の膝頭を指先でくすぐるように撫でてから、腿の内側を伝って左の膝頭まで指を動かしてくる。
 すぐに逆方向に腿の内側に軽く触れながら指先を動かすテクニックは見ていても感心してしまう。
 良一君の指先が彩香ちゃんの敏感な所を探り当てると彩香ちゃんは頭を左右に振りながら体を何度も仰け反らせた。
 指先の動かし方を少しづつ変えながら、敏感な所を巧みに責められて彩香ちゃんは自分から腰を振り始めた。
 良一君の指先が彩香ちゃんのパンティーの下に差し入れられると手首を震わせて彩香ちゃんの一番感じる所を責め始めた。
 すぐに彩香ちゃんが体を震わせて泣きじゃくる声が有紀の耳に届いてきた。
 よっぼど良一君のテクニックが上手いらしい。
 良一君は彩香ちゃんを責めると同時に江実矢君の腿の内側をそっと撫で始めた。
 女の子だったら腿の内側はくすぐられるとすぐに感じて来ちゃう敏感な所。
 上手にくすぐられたら体から力が抜けて男の子に何をされても逆らえない。
 だけど江実矢君は男の子だ。
 腿の内側を責められたって、女の子が感じるように気持良いはずがない。
 江実矢君は必死になって我慢してるけど、くすぐったいらしくて腰が小刻みに震えてる。
 良一君も江実矢君が普通の女の子とは反応が違うらしいと気づいたみたいだけど腿の内側を責めるのを止めようとはしない。
 江実矢君の腰がピクンピクンと痙攣を続けると、良一君は今度は江実矢君のお尻を手のひらで握りしめながら揉み始めた。
 アンダースコートの上からお尻を揉まれると、ピッチピチのアンダースコトがお尻に食い込んで男の子の大事な所が締め付けられるらしい。
 こうなると江実矢君は困ってどうしたらいいのか判らずに、体をくねらせて彩香ちゃんに抱きついた。
 きつく胸を締め付けるブラジャーのせいで江実矢君は息が苦しそう。
 江実矢君は気を失ないかけて体から力が抜けて彩香ちゃん上に覆い被さった。
 良一君は江実矢君が気持ちよくて失神したと思いこんでるらしい。
 江実矢君のアンダースコートを脱がそうとして良一君が指先をアンダースコートの腰に差し入れた。
 これは大変なことになると彩香ちゃんも気が付いたらしい。
 慌ててベッドの枕元にあるスイッチに手を伸ばして何でもいいから適当に押してる。
 ベッドが上下に揺れながらゆっくりと回り始めると、部屋の中が暗くなった。
 部屋の正面のマジックミラーが透明になると、隣の部屋が丸見えになった。
 薄暗いレンガ造りの壁で囲まれた部屋には大きな十字架が置いてある。
「なにこれ」と百合ちゃんが大声で叫んだのを聞いて、良一君が頭を上げてた。
「なんなのよこれ」ともう一度百合ちゃんが良一君に聞き直した。
 良一君はこの出会い系喫茶の事はよく知っているはず。
 この変な部屋を何に使うかも良一君は知ってるはずだが、どう説明していいのか言葉に困ってるみたい。
「その、つまり」と口ごもってから「女の子が気持ちよくなれる部屋なんだ」と適当に言葉を並べて言い逃れをした。
「気持ちよくなるって、どうゆうこと。私も気持ちよくなれるの」と百合ちゃんに言われて良一君は仕方なく「うん」と答えた。
「じゃあ、私を気持ちよくさせてよ、良一君なら出来るんでしょう」と百合ちゃんにせがまれて良一君は断れない。
 良一君がベッドの枕元のスイッチを入れると、マジックミラーの壁が左右に自動ドアみたいに開いた。
 カビ臭くてほこりっぽい空気がベッドルームに流れ込んできた。
 百合ちゃんがベッドから降りてレンガ造りの部屋の中央の十字架に歩み寄った。
 十字架はバッテン印に成っていて、手と足を縛り付ける皮の道具が四隅についてる。
 壁際には棚があって、鞭らしい道具が色々と置いてある。
 百合ちゃんは棚に歩み寄ると鞭の一つを手に持って確かめている。
 鈴木先生がいつも持っている鞭に似て、細長くて手元が太い。
「これ、どうするの」百合ちゃんが良一君に聞いた。
「これで叩くと気持ちよくなるんだよ、試してみようか」と良一君が言い出したのでこれは不味いことになりそうだと有紀は心配になった。
 男の人に女の子が鞭で叩かれて気持ちいいなんて、普通の女子高生のすることじゃない。
 よっぽどの変態でなければそんなことされて気持いいはずがない。
 だけどここは普通の世界じゃないから、何が起こるか判らない。
 鈴木先生が使っている鞭は叩かれると気持ちよくなる特別製の鞭だ。
 ここに置いてある鞭も、特別に女の子が気持ちよくなる仕掛けがしてあるに違いない。 百合ちゃんだってこの良一君に鞭で叩かれたらきっと気持ちよくなっちゃうはずだ。
 百合ちゃんは十字架に歩み寄ると、両手を広げて十字架に体を貼り付けて「これでいいの」と良一君に聞いた。
「うん、それでいい、じっとしてるんだ。動いちゃだめだ」と良一君が言うと、鞭を振り上げた。
 最初に軽く鞭をしならせて床を叩いた後、もう一度良一君が大きく鞭を振り上げた。
 良一君が百合ちゃんを鞭で叩こうとしたその瞬間に「だめよ、ぜったいだめ」と彩香ちゃんが大声で叫んだ。
 百合ちゃんが振り返って彩香ちゃんの顔を見つめると「彩香ちゃんも、叩かれたいんでしょう」と言い出した。
「そんなんじゃないの、絶対だめ」と彩香ちゃんがまた大声で叫ぶと良一君に駆け寄って鞭を取り上げようとした。
 良一君は一歩さがると、鞭を小さく手首を使ってくねるように動かした。
 鞭の先が彩香ちゃんの足首に絡みつくと、彩香ちゃんは足がもつれて四つんばいに床に倒れ込んだ。
 彩香ちゃんは慌てて立ち上がろうとしたが、すぐに良一君の鞭が彩香ちゃんのお尻に叩きつけられてきた。
「ヒィーーー」と声にならない叫びを上げて、彩香ちゃんは全身を震わせた。
 もう一度今度は軽く鞭の先が彩香ちゃんの太股をかするように触れると彩香ちゃんは腰が抜けたみたいに動けない。
「もっと気持ちよくしてやるぜ」と良一君が意地悪そうな口調で呟くともう一度鞭を大きく振り上げた。
 彩香ちゃんが四つんばいのまま這って逃げようとすると、良一君の鞭がまた彩香ちゃんのお尻に叩きつけられてきた。
「ウギャーーー」とうめき声を上げると、彩香ちゃんは痛みで顔が引きつって脂汗をかいてる。
 良一君がまた鞭を振り上げたとき、江実矢君が彩香ちゃんに駆け寄った。
 彩香ちゃんのお尻を隠すように江実矢君が彩香ちゃんの上に覆い被さるとセーラー服のスカートがめくれ上がって、アンダースコートが丸見えになった。
 良一君の鞭が江実矢君のお尻に振り下ろされると、江実矢君は痛くて体を震わせて声もでない。
 良一君が鞭の先を江実矢君のお尻の上に垂らそうとしたので、有紀は必死で後から良一君に抱きついた。
 江実矢君の大事な所を鞭責められたら、それこそ大変だ。
 なんとか有紀が良一君を止めるしか方法はない。
 良一君はすぐに有紀の体を押しのけると鞭の先を有紀の足首に絡ませて有紀を床に押し倒した。
 有紀のお尻にすぐに良一君の鞭が叩きつけられてくると、有紀は痛くて失神しそうになった。
「はやく、私を叩いてよ、気持ちよくさせてくれるんでしょう」と百合ちゃんが良一君にせがんだ。
 百合ちゃんが有紀や彩香ちゃんを助けようとして言ってるんだと思ったけど、そうでもないみたい。
 本当に百合ちゃんは自分も鞭で叩かれたいと思ってるらしい。
「だめよ、そんなことしたって幸せには成れないのよ、百合ちゃん幸せになりたいんでしょう」と彩香ちゃんが必死で百合ちゃんを止めた。
「幸せってなに、気持ちいいことでしょう」と百合ちゃんが彩香ちゃんに言い返したのを聞いて有紀は訳が分からなかった。
「気持ちよくても、幸せには成れないの、本当の幸せはそんな事じゃないの」と彩香ちゃんが必死で説得したけど百合ちゃんはやっぱり訳が判らない顔をしてる。
「こんな、薄暗い所に居たって幸せには成れないのよ、本当の幸せは明るく輝く太陽の下でないとだめなの」と彩香ちゃんがなんとか説明しようと言葉を続けた。
「明るい太陽なら知ってるよ」と横で聞いていた良一君が言い出した。
「本当」と彩香ちゃんははっとした顔で良一君に聞き直した。
 もしかしたらこの良一君地上にでる方法を知ってるのかもしれない。
「本当に明るくてまぶしい太陽の有る所に行ったことあるの」と彩香ちゃんが良一君にもう一度聞いた。
「うん、エレベータですぐいけるよ」と良一君が答えた。
 まぶしい太陽のある場所と言えば地上しかない。
 これでこのロボット実験場から逃げられると有紀は期待で胸が一杯になった。
 彩香ちゃんもこれで助かると思ってほっとしたらしくて表情が明るくなった。
 江実矢君はブラジャーがきついせいか、相変わらず息苦しそうな顔だ。
 彩香ちゃんはやっとの事で立ち上がると、江実矢君のスカートのお尻が捲り上がってるのを直してから有紀に抱きついてきた。
 鞭で打たれたのがよっぽど痛かったらしくて、彩香ちゃんの体は小刻みに震えてる。
 有紀は彩香ちゃんの気持が落ち着くまで背中を何度も繰り返し撫で続けた。
「そんなに気持いいなら、私も叩いて欲しかったのに」と百合ちゃんが不満そうに良一くんにこぼした。
 それを聞いて彩香ちゃんの目から涙がこぼれてきた。
 百合ちゃんが良一君に抱きついてキスしようとすると、良一君が百合ちゃんの体を押しのけた。
 百合ちゃんは不満そうにほっぺたを膨らませたが、良一君は江実矢君の事が気になるらしい。
 こうなると誰が誰を好きなのかさっぱり判らなくて三角関係どころか四角や、五角で訳が分からない。
 彩香ちゃんの体が次第に落ち着いてきたので良一君が「じゃあ、行こうか」と合図した。

城の塔に昇って太陽を確かめる

あらすじ
 良一君に案内されて行ってみると森の中の大きな城があった。だけどやはり太陽は偽物だった。帰り道の森の中で長い触手が一杯生えてる怪物に襲われた。怪物の触手から口の中に甘いゼリーを入れられると気持ちよくて逆らえない。

 みんなで出会い系喫茶ラブエンジェルの店を出ると、大通りには人影はない。
「じゃ、こっちだから」と良一君に案内されたのは、店の近くの小さな通りにある小部屋だ。
 前にエレベータに乗せられて最初に着いた部屋と同じ場所だ。
 やっぱりこの部屋のエレベータで地上に出ることができるらしい。
 だけどエレベータらしい扉は見当たらない。
 良一君が壁の隅を軽く何度か叩くと、小さなテンキーのボードが壁に表示された。
 良一君の指先が伸びて、テンキーを素早く押すと目の前で壁が左右に開いた。
 開いた壁の奥にエレベータがある。
 このエレベータは仕掛けがあって部屋の中からでも開けられたんだ。
 さっそく良一君が先に入ると、百合ちゃんもエレベータの中に入った。
 全員がエレベータの個室に入ると、良一君が一番上のボタンを押した。
 すぐにエレベータが動き出すと、急にガタガタと揺れながら勢いよく上昇を始めた。
 ずっと前にエレベータに乗ったときは物音もなく静かに動いていたはず。
 有紀はなんだか不安な気がしてきた。
 不意に体が浮き上がるような感触の後に急にエレベータが止まるとドアが開いた。
 彩香ちゃんは目の前の景色を見て思わず息を飲み込んだ。
 大きな森の中だ。
 今まで見たこともないような大木が枝を広げてすぐ目の前にそそり立ってる。
 木の枝が重なり合って葉っぱが大きな壁のように立ちはだかっていてその先は全然見えない。
 こんな凄い森がロボット実験場にあるわけない。
 これは絶対地上に出たに違いないと有紀は確信した。
 だけど彩香ちゃんはまだ不審そうな顔付きで辺りを見回してる。
 確かに大きな木が生えてるけど、木がじゃまになって太陽が見えない。
 木陰から太陽の光がさしてるのが見えるけど、やっぱり直接太陽を確かめて見ないことには本当の太陽かどうかはわからない。
 良一君が先頭になってしばらく森の中を進んでみたけど大きな木が並んでるだけで他には何もない。
 良一君の話ではこの先に大きな城があるらしいので行ってみることにした。
 森の木立の間をしばらく歩いて大きな広場に出ると、目の前に石造りの立派な建物がある。
 大きな塔が両脇にそそり立っていて、確かに西洋のお城みたいな感じだ。
 塔のてっぺんに太陽の日差しが照りつけて輝いてるのが見えた。
「そうだ。いいこと思いついた」と彩香ちゃんが頷きながら思いついたように口に出した。
「あの塔に登るのよ、そうすれば太陽が本物かどうか見れるはずよ」と彩香ちゃんが提案した。
 確かにそれは良いアイデアだと有紀も思った。
 塔の一番上に登れば太陽がはっきりと見えるはず。
 良一君の案内でお城に入ると、中庭がテニスコートくらいの広さがある。
 正面の階段をあがると広いテラスに出たので、周囲の景色を見回してみた。
 城の周囲は広い森だけど、その周りを高い壁がぐるりと取り囲んでる。
 空には青くて雲もあるけど、やっぱりなんだか変な感じだ。
 テラスの両脇に大きな塔があって塔の周りに螺旋階段がある。
 塔のてっぺんまで登れば太陽が見えるはず。
 右側の高い塔に登って見ることにした。
 螺旋階段を登って行くとだんだんと塔が細くなってきて一人づつしか階段を上れない。
 彩香ちゃんが先頭にたって塔の頂上に登ると手をかざして空を見上げた。
 太陽はやっぱり雲に隠れてよく見えない。
 塔の手摺りから身を乗り出して太陽をよく見ようとしたとき、手摺りが外れて彩香ちゃんの身体が塔の上で傾いた。
 あっと思った瞬間に彩香ちゃんの身体は宙に浮いて地面にめがけて落ち始めた。
 危ないと有紀が思ったけどもう助けようがない。
 次の瞬間に良一君が身を身を乗り出すと彩香ちゃんを追いかけるようにして空中に飛び出した。
 良一君は塔の手摺りを足で蹴って勢いをつけて彩香ちゃんに追いつくと、彩香ちゃんを抱きかかえて一緒に落ち始めた。
 あっと言う間もなく良一君は塔の壁を蹴りつけるとくるっと彩香ちゃんと一緒に空中回転してさっきのテラスにストンと着地した。
 さあ大変と有紀は江実矢君と一緒に大あわてで塔を降りてテラスに戻った。
 百合ちゃんはいつの間にか塔を降りて良一君のすぐ側で彩香ちゃんを介抱してる。
 百合ちゃんも良一君の後から塔を飛び降りて、テラスに着地してたらしい。
 彩香ちゃんはしばらく目が虚ろで、口を大きく開いたまま息が止まりそうな顔をしたまま。
 江実矢君が必死になって彩香ちゃんの背中を撫で続けると、今度は急に彩香ちゃんの身体が震えだして止まらなくなった。
 有紀も一緒になって彩香ちゃんの背中を撫でると、彩香ちゃんは江実矢君に抱きついてFカップの巨乳を江実矢君の身体にもがくように押しつけてきた。
 良一君と百合ちゃんはどうしていいのか判らずに側で見ているだけ。
 二人にはどうして彩香ちゃんがこんなに怖がっているのか理由が判らないみたいだ。
 彩香ちゃんは少しづつ気分が楽になったらしいけど、今度は涙が止まらない。
 しばらく江実矢君に抱きつきながら涙を流し続けると、やっと江実矢君の体を離した。
 江実矢君が立ち上がろうとすると、彩香ちゃんはいきなり江実矢君のスカートを捲りあげた。
 江実矢君が恥ずかしそうにアンダースコートを隠そうとすると、彩香ちゃんは江実矢君のアンダースコートを強引に膝まで降ろした。
 男の子の大事な物が可愛らしく小さいままで良一君や百合ちゃんの目の前に露わになった。
 とっさの出来事に江実矢君はどうしていいのか判らずに立ちつくしたままだ。
 彩香ちゃんは顔を江実矢君の股間に近づけると、舌を絡めて江実矢君の大事な物を嘗め始めした。
 ぴちゃぴちゃと音をたてて美味しそうに嘗める様子を見て有紀は困った事になったと思った。
 百合ちゃんと良一君の見てる前で、こんな事をしたら江実矢君が男の子だって事がすぐにばれてしまう。
 そうしたらもう江実矢君は四つ葉学園には居られない。
 今江実矢君と離ればれ何なったら、もう二度と会えないかも知れない。
 有紀は慌てて彩香ちゃんの顔を江実矢君の股間から押しのけようとした。
 彩香ちゃんは夢中になって江実矢君の大事な物を喉の奥まで飲み込んで止めようとしない。
 もう江実矢君が男の子だって事はばれちゃったんだから今更止めてもしょうがないと思って有紀は諦めて側で見てるしかなかった。
 彩香ちゃんの頭が前後に激しく動いたと思ったら急に動きが止まった。
 彩香ちゃんの顔付きは眉毛が歪んでうっとりとした顔。
 口を半分あけて舌先を嘗め回す彩香ちゃんの仕草を見て、有紀は江実矢君が我慢できなくて彩香ちゃんの口の中に出したんだとすぐ気が付いた。
 彩香ちゃんはゆっくりと立ち上がると有紀に歩み寄った。
 半分足元がふらつきながら、笑顔を浮かべて彩香ちゃんが有紀に顔を近づけてきた。
 彩香ちゃんが有紀の体を引き寄せると、口元を寄せて唇を重ねてきた。
 有紀の口の中に今出したばかりの江実矢君の香りが広がると有紀は目眩がして倒れてしまいそうになった。
 しばらく彩香ちゃんの口の中の余韻を楽しんでいると、江実矢君がアンダースコートをはき直して彩香ちゃんの手を引っ張った。
 今は口の中の香りを味わうより大事な事があるんだと有紀にも気が付いた。
 有紀が彩香ちゃんの体を押しのけると「どう、太陽はどうだったの」と聞いてみた。
 彩香ちゃんは口を曲げて残念そうに首を振った。
 有紀はやっぱりと思った。
 ここはロボット実験場の別の階だったんだ。
 良一君も地上には出たことがないらしくて、此処が地上だと思ってるみたいだけど此処もやっぱり変な世界の中なんだ。
 良一君と百合ちゃんの二人は見た目は人間そっくりだけど、普通の人間がこんな高い塔から飛び降りられる訳がない。
 二人ともロボットなんだ。
 それにあの四つ葉学園もロボット実験場の中の学園だったんだ。
 セーラー服を着た人間そっくりの女の子達もみんなロボットなんだ。
 有紀は百合ちゃんと良一君に江実矢君が男の子だとばれたと思って不安な気持ちで二人の顔を見た。
 二人は彩香ちゃんが目の前で江実矢君にフェラチオしたのを見てたはずなのに、まるで何も見なかったような顔で黙ってるだけ。
 二人ともフェラチオがなんだか理解できないらしい。
 江実矢君の事を最初から女の子だと思っていたので、男の子の大事な物がついてるのを見ても何なのか判らないみたいな様子だ。
 なんだか変な気がしたけど、当分はこのままなんとかごまかせそうな気がして有紀は一安心した。
 ここにいつまでも居てもしょうがない。
 取りあえずエレベータのある場所に戻ることにした。
 森の奥を進んでいくと、さっき有ったはずの場所にエレベータが無い。
 どうやら途中で道を間違えたらしい。
 森の中の木の間を歩いてきたので、何処をどう歩いたなんか思い出そうとしてもとても無理。
 良一君が道を覚えているというので、取りあえず途中まで戻る事にした。
 途中で曲がる道を間違えたはずだと良一君が言うので、さっきとは別の大きな木の陰の小道を入った。
 来るときは大きな木の間を通り抜けたはずなのに、何だか様子が変だ。
 先に進むとまるでジャングルのように木の枝が目の前を塞いでいてとても通れない。
 良一君が先頭にたって枝をかき分けて進もうとしたとき不意に細い紐が有紀の体に絡みついた。
 驚いて有紀が後に飛び退くと紐だと思ったのは蛇みたいにくねくねと動く生き物だ。
 あっと思ったとき他の場所からも蛇みたいな紐が何本も飛び出してきて良一君に絡みついた。
 良一君は膝を屈めて思い切りジャンプすると大きな木の枝に飛び移った。
 木の枝の間から丸いタコのような格好の頭が飛び出してきた。
 青紫色のヒョウタンの格好をした体から細い蛇の様な足が一杯四方に広がってる。
 タコにしては色も形もなんだか変だし、それに足が多すぎるし吸盤もついてない。
 こんな化け物見たことないけど、此処はロボット実験場だ。
 きっとあの研究所の所長が作り出した怪しげな生物に違いない。
 百合ちゃんの体にも木の枝の間から細い足がするっと伸びてきた。
 百合ちゃんがジャンプして木の枝に飛び乗ると、怪物の足はもう届かない。
 良一君と百合ちゃんはロボットだから木の枝に飛び乗るのは簡単だけど彩香ちゃんと江実矢君と有紀の三人はそんなことはできない。
 ここは逃げ出すかしないと思って、急いで来た道を逆戻りした。
 怪物が木の枝の間から、沢山飛び出してきて目の前を塞いだ。
 青紫色の頭の怪物は足をくねくねと四方に伸ばしていて、怖くてとても近づけない。
 良一君と百合ちゃんは地面に飛び降りて怪物の踏みつけると、怪物が潰れて青紫の液体が地面に広がった。
 他の怪物達が良一君と百合ちゃんに一斉に足を伸ばしたとき、二人はもう地面を飛び上がって木の枝に飛び移っていた。
 逃げるには今しかないと有紀は彩香ちゃんの手をとって青紫色の怪物の死骸の上を駆け抜けた。
 すぐ目の前には大きな木の枝が絡みついて行く手を塞いでる。
 道を間違えたらしいけど気が付いてももう遅い。
 どこに逃げようかと思って立ち止まった時枝の間からさっきの怪物達が一斉に飛び出してきた。
 青紫の頭の下から細い足がするすると伸びて有紀の足に絡み付いた。
 有紀が逃げようとして、振り向くと背後からも怪物の足が伸びてきた。
 あっという間に有紀の体に怪物の足が巻き付くと有紀は身動きができない。
 彩香ちゃんと江実矢君の体にも怪物の足が絡みついてがんじがらめになった。
 有紀の体が怪物達の足に持ち上げられて中に浮いた。
 こうなったらもう逃げようがない。
 怪物達は地面を足で這いながら、三人の体を頭の上に持ち上げて森の奥に進み始めた。
 しばらくして森の奥の広い庭のような場所に着いた。
 これからどうなるんだろう、手足をひっぱられてもぎ取られるんだろうかと思って見回すと大きな怪物が二体広場の中央に立ちはだかってる。
 有紀達三人を運んできた怪物の親玉らしくて、頭の大きさがさっき出会った怪物達の10倍もあるくらいの巨体だ。
 膨らんだ胴体の下から伸びる足は鈴木先生がいつも使ってる鞭くらいの長さがある。
 怪物の親玉が足で持ち上げている人影を見て、有紀は怖くて寒気がしてきた。
 さっきまで怪物達と戦っていた百合ちゃんと良一君の体に怪物の親玉の足が絡みついて高く抱え上げている。
 二人とも死んでしまったのかと思ってとてもまともに見てはいられない。
 怪物の足が百合ちゃんの胸をゆっくりと揉みながらくねくねと動くのが見えた。
 他の足は百合ちゃんの体を抱えたまま、脇の下を震えながら撫で続けてる。
 苦しそうに百合ちゃんが顔をしかめたけど、苦しい表情とは違う。
 口が半分開いて気持ちよくてうっとりしてる顔だ。
 なんで怪物の足が百合ちゃんの体を撫で回してるのか理由は判らない。
 怪物の胴体から細い足が三本伸びてきて、百合ちゃんの体に先端が軽く触れた。
 他の足は鞭みたいに長くて先端が細くなってるけど、この三本の足は根元から同じ太さで先端が丸くなってる。
 他の足とは違う足らしくて、あちこちにこぶみたいな膨らみが付いていて色も濃い紫色だ。
 足の先端が百合ちゃんの太股をまるで味見でもするように這い回ると、先端からぬっとりとした液体が溢れてきた。
 百合ちゃんの体を撫で回していた長い足が一旦離れると、百合ちゃんの両足をつかみ直した。
 左右に百合ちゃんの足が一杯に広げられると「助けて、」と微かに百合ちゃんが呻く声が聞こえた。
 百合ちゃんがまた何か言おうとしたとき百合ちゃんの口に怪物の紫色の足が入り込んで口を塞いだ。
 一旦喉の奥深くまで入り込んだ足がゆっくりと震えながら少しづつ出て行くのをみて有紀は目を見張った。
 百合ちゃんは目から涙をこぼして苦しがってるけど、気持ちいいらしくて体が繰り返し仰け反ってる。
 残り二本の紫色の足が、百合ちゃんの広げた足の下からパンティーの中に潜り込んでいくのが見えた。
 怪物の親玉の足が奥まで入り込んでいくのを見て、有紀は二本の足が何処にはいっていくのかすぐに判った。
 女の子の体で怪物の細長い足が入り込める場所は、女の子の大事な所とあともう一つの場所しかない。
 百合ちゃんの体は下から突き上げられて腰が震えて今にも体が壊れてしまいそうにくねくねと揺れだした。
 急に勢いよく紫色の足が震えるとゆっくりとした動きで出たり入ったりを繰り返してきた。。
 百合ちゃんの体は宙に浮いたまま激しく揺れ動くと何度も震えながら仰け反った。
 もう一匹の怪物の親玉が足を伸ばすと、まるで鞭のように百合ちゃんの体を叩きつけてきた。
 繰り返し足の先で叩きつけられて百合ちゃんの体は激しく痙攣をつづけた。
 もうやめてと有紀が思ったとき、不意に三本の足が小刻みに激しく震えると動きが止まった。
 急に百合ちゃんの体が灰色がかった紫色に変わったので有紀はびっくりした。
 ゆっくりと百合ちゃんの体から三本の足が離れると、丸みを帯びた先端から灰色がかった紫色の液体が漏れて溢れているのが見えた。
 怪物が百合ちゃんを地面に置くと、百合ちゃんは体を捩らせながら痙攣を続けてる。
 他の小さい怪物が百合ちゃんの周りを取り囲むと、大きい怪物と同じように胴体から小さい足をだした。
 百合ちゃんの次は良一君が責められる番だ。
 良一君の口にも怪物の足が押し込まれていて、良一君の手足が苦しそうにもがくのが見えた。
 三本の足が良一君を捕らえると、良一君の体は震えが止まらない。
 怪物の親玉の三本の足が繰り返し激しく痙攣すると、足の先端からさっきとおなじ色の液体が溢れてこぼれた
 良一君の体が動かなくなると体の色が灰色がかった紫色に変わった。
 次は彩香ちゃんの番だろうか、それとも江実矢君、それとも有紀が怪物の餌食になるんだろうかと思うと有紀は震えが止まらなくなった。
 怪物の親玉の長い足が伸びてきて、有紀の体に巻き付いてきた。
 有紀は怖くて体が凍り付いて身動き一つできなかった。
 あの先端が丸みを帯びた足が、有紀のすぐ目の前に近づいてきた。
 不気味な格好の先端は不思議な事に男の子の大事な物がおっきく成ったときにそっくり。
 先がおっきく膨らんでその下が小さくくびれていて根元に行くに従って太くなってる。 色も気持が悪くなるような赤紫色で、太い根元は青い筋が絡みついたように膨れてる。
 大きさだって江実矢君の大事な物がおっきくなったときより一回りも二回りも大きい。
 まるで経験豊富な中年の変態オヤジの持ち物みたいな逸品だ。
 こんな物が女の子の大事な所に奥まで入れられたらどんな気持になるのか怖くて想像もできない。
 喉の奥まで入れられたりしたら、苦しくて息ができなくて死んじゃいそう。
 有紀のすぐ鼻先に怪物の丸みを帯びた膨らみが近づくと真ん中の細い穴からヌルヌルした透明な液体がわき出てきた。
 何とも言いようのない、肉の腐ったような臭いが有紀の鼻につくと有紀は怖くて目をつぶった。
 先端が軽く有紀の唇に触れると、まるでねじ回しのように足が回りながら有紀の口の中に押し込まれてきた。
 舌先に変な苦みのある味を感じて有紀は思わず舌を引っ込めたが、甘ったるい香りが口の中に広がった。
 意外なことに甘ずっぱくて果物の香りが混じった柔らかいゼリーみたいな味だ。
 あまりの美味しさに有紀は思わず口の中に入ったゼリーを舌先で嘗め回すとそのまま飲み込んだ。
 甘い味のカクテルでも飲んだみたいに、有紀の胃袋が熱くなると体中が心地よい快感に包まれた。
 このまま喉の奥までいっぱいに飲み込んだらきっと天国に行ったみたいに気持ちいいに違いない。
 そのまま死んでしまう良いくらい気持ちいいなら、いますぐ此処で死んでしまった方がいいと有紀は思った。
 足の先が有紀の唇から離れると先端の膨らみが何度か有紀の唇に触れてきた。
 きっと喉の奥まで入ってくるはずと期待したけど何も起きない。
 目を開けてみると、先端が丸みを帯びた足は彩香ちゃんの方に向きを変えてる。
 彩香ちゃんの唇にもあの甘ったるいゼリーが触れたらしくて、彩香ちゃんは唇を嘗めながら口を開けた。
 こんどは彩香ちゃんが責められる番だと思っていると、足がまた向きを変えて江実矢君の顔の前に近づいていく。
 どうやら次の獲物をどれにするか、品定めをしてるらしい。
 怪物の足が江実矢君の体に巻き付くと、江実矢君の体が宙に浮いた。
 江実矢君が次の獲物に決まったらしくて、怪物の親玉の足が一斉に江実矢君の体に絡みついた。
 細い足が江実矢君の脇腹を撫で上げるように動き始めると江実矢君はもう諦めたらしく体の力を抜いて大人しくなった。
 怪物の足が江実矢君の胸に絡みついてブラジャーの上から胸をまさぐってきた。
 江実矢君は体を捩って苦しそうに顔を歪めた。
 ブラジャーがきついので怪物の足に胸を締め付けられると息ができないのだ。
 江実矢君の口元に怪物の足がすり寄ると、唇に軽く触れながらゼリーの様な液体を吹きだした。
 女の子だったらあの甘い香りを少しでも味わったらもっと欲しくて自分から口を開いてしまうのも当たり前。
 だけど男の子の江実矢君は必死で口を閉じて抵抗してる。
 怪物の足がまた江実矢君の胸を締め付けると江実矢君は半分気を失って口が微かにひらいた。
 怪物の太い足が江実矢君の唇を押し広げて甘いゼリーを流し込むのを見て、有紀はもう江実矢君はこれでおしまいだと思った。

怪物の触手から逃げて百合ちゃんの家に戻る

あらすじ
 怪物は江実矢君の男の子の大事な物がおっきくなってると怖くて近づいてこない。エレベーターの有る場所まで逃げると、エレベーターの中から久美ちゃんが出てきた。怪物から逃げてやっとの事で百合ちゃんの家に戻った。

 江実矢君が気を失いかけたとき、怪物の足が江実矢君のプリーツスカートの下に差し入れられた。
 江実矢君のプリーツスカートが捲りあげられて、アンダースコートの下に怪物の足が潜り込もうとして伸びてきた。
 大きく膨れあがった先端はさっきよりも大きさを増して、中央の細い穴から甘い液体が吹き出してこぼれた。
 怪物の足が大きく揺れながらアンダースコートの中深く潜り込んだとき有紀はあれっと思った。
 江実矢君は男の子だから入る場所がないはず。
 アンダースコートが大きく盛り上がったと思ったら急に怪物の足が引きつって止まった。
 次の瞬間に怪物の足が急に細くなると地面に落ちて動かなくなった。
 何が起きたんだろうと有紀は怪物の親玉の体の方に振り返って見た。
 驚いたことに怪物の親玉の体は空気が抜けたように潰れると、そのまま地面に横倒しになった。
 江実矢君を掴んでいた足も弱々しく力が抜けて地面に這い回るとそのまま動かなくなった。
 いったい何があったのかさっぱり判らない。
 もう一匹の怪物の親玉がが江実矢君の体に足を伸ばしてきた。
 江実矢君の体に巻き付いた足は、江実矢君の体を撫で回しながら締め付けてくる。
 苦しくて江実矢君が動けなくなると、江実矢君の体は空中に持ち上げられた。
 赤紫色の足が江実矢君のアンダースコートの下に潜ろうとしたときさっきと同じことが起きた。
 怪物の体は空気が抜けたように潰れて、横倒しになり足も地面の上に落ちて動かなくなった。
 他の小さい怪物達も、江実矢君を怖がって近づいて来ようとはしない。
 有紀の体に絡みついていた怪物の足もすぐに離れて有紀は自由に体が動かせるようになった。
 何があったのかは判らないけど、ともかくこれで何とか助かりそうだと有紀は思った。
 有紀が江実矢君そばに駆け寄ると、江実矢君はまだ苦しそうな顔をしてる。
 江実矢君の手を取って、良一君と百合ちゃんが地面に倒れている側に駆け寄ると小さな怪物たちが一斉に逃げ出した。
 なんとか良一君と百合ちゃんを助け起こすと二人とも体の力が抜けたように動けない。
 このまま二人を残したまま逃げ出すわけには行かない。
 彩香ちゃんが百合ちゃんの体を抱きかかえて起こすと、有紀は江実矢君と一緒に良一君の体を抱え起こした。
 すぐ目の前を小さな怪物達が群れをなして取り囲んでいるが襲ってくる気配はない。
 江実矢君が様子を見ながら良一君を抱えて有紀と一緒に前に進むと怪物達は後ずさりをして逃げ出した。
 江実矢君は怪物達が逃げる方に進めばいいと気が付いたらしくて、怪物達をどんどん追いかけて前へ進んだ。
 しばらくして怪物達が逃げるのを止めてまた細い足を伸ばしてきた。
 江実矢君の事を怖がってるようで、彩香ちゃんに抱きかかえられている百合ちゃんの足首を小さい怪物の足が絡みついた。
 百合ちゃんの体が地面に倒れると、小さな怪物達の足にひっぱられて引きずられて彩香ちゃんの手から離れた。
 彩香ちゃんが慌てて百合ちゃんを助けようとしたが、百合ちゃんの体はもう彩香ちゃんの手の届かない所に引きずられてしまった。
 江実矢君が百合ちゃんを助けようとして小さな怪物達の前に飛び出した。
 だけど怪物達はさっときは違って逃げようとはしない。
 見てる間に怪物達がすぐ近くまで押し寄せてくる。
 江実矢君の足首を狙って怪物の長い足が伸びてきた。
 四方から怪物の足が江実矢君の足首に絡みつくと江実矢君は立っているのがやっとだ。
 さっきまで怪物達が江実矢君をあんなに怖がっていたのにいったいどうなってるのか訳が分からない。
「そうだ、やってみるわね」と彩香ちゃんがなにかいいアイデアを思いついた様子。
 江実矢君の大事な物に唇を寄せて舌先で転がすように嘗め始めた。
 いつもだったらすぐにおっきくなるはずだけど江実矢君は緊張してるらしくなかなか大きくならない。
 彩香ちゃんが必死で舌先を震わせながら、タマタマの下に手をあてがって揺すり始めた。
 江実矢君の顔付きが次第に怪しげな雰囲気に変わるのが有紀にも判った。
 怪物の足が伸びてきて江実矢君の足に絡むと股の間に入って江実矢君の体を持ち上げようとした。
 アンダースコートの下に怪物の足が入ったとき急に怪物の足が稲妻に打たれたように痙攣すると、遠く離れた怪物の頭が風船が潰れたように小さくなった。
 江実矢君の周りを取り囲んだ怪物達一斉に飛び跳ねると蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
「やっぱりそうね」と彩香ちゃんが怪物達が逃げ出した理由を教えてくれた。
 江実矢君の大事な物がおっきくなってると怪物達は怖がって近づいてこないらしい。
 怪物達が逃げた方向に江実矢君が歩き出すと、またしばらくして怪物達が近づいてきた。
 すぐに彩香ちゃんが江実矢君の前に跪いて大事な物をおっきくするとまた怪物達が逃げ出した。
 しばらく怪物達を追いかけながら良一君と百合ちゃんを抱きかかえて進むとさっきのエレベーターが見えた。
 これでやっと逃げられると思ってエレベーターの前まで来たがドアの開け方が判らない。
 良一君なら開けられるはずだと思ったけど良一君は地面に座り込んで立ち上がれない。
 さっき大きな怪物に足を突っ込まれて電池のパワーを吸い取られちゃったみたい。
 彩香ちゃんがエレベーターを開けようとしてあちこちを押したり叩いたりしてみたけどやってみたけどやはり開かない。
 急に目の前に太い怪物の足がぴしっと音をたててエレベータのドアを叩いた。
 いつのまにか怪物の親玉が二匹すぐ近くまで来てたんだ。
 彩香ちゃんが必死になってまた江実矢君の大事な物をおっきくしようと頑張ったけどすぐには大きくならない。
 怪物の親玉がすぐ近くまで足を伸ばしてくるともう間に合わない。
 ぴしゃりと音がして怪物の足が彩香ちゃんのお尻を叩きつけてきた。
 あまりの痛さに彩香ちゃんは声もでない。
 彩香ちゃんが地面に座り込むと、怪物の足が地面を這って一斉に近寄って来た。
 もうとても逃げられないと思った瞬間に有紀は目眩がして地面にしゃがみ込んだ。
 もうだめと思った時エレベータの奥からガタガタと音が聞こえてきた。
 なんだろうと思って有紀がエレベータの方に顔を上げると目の前でエレベータのドアが開いた。
 中から出てきたのは四つ葉学園の制服を着た女の子。
 顔を確かめると、百合ちゃんの友達の久美ちゃんだ。
 久美ちゃんはエレベータを出ると、目の前で起きてることがすぐには理解できなくてきょとんとした顔をしてる。
「久美ちゃん助けて」と彩香ちゃんが弱々しい声で頼むと、久美ちゃんは素早い動きで彩香ちゃんに絡みついてる怪物の足を踏みつけた。
 怪物の足が一斉に遠くまで引き下がると、久美ちゃんを怖がってるのかすぐには近寄ってこない。
 久美ちゃんに手伝って貰って良一君の百合ちゃんを抱きかかえてエレベータに乗り込んだ。
 怪物の足がするするとエレベータに近寄ってくるのが見えて有紀は慌ててドアを閉めるボタンを押した。
 ドアが閉まるのと、怪物の足がドアの間をすり抜けるのが殆ど同時だ。
 ドアが閉まったときに怪物の足が二本ドアの間に挟まった。
 怪物の足がくねるように大きく揺れると、ドアの隙間をこじ開けた。
 ドアの隙間から怪物の足がするするとエレベータの奥まで入ってきた。
 二本の足は先にまるで目がついてるみたいに、エレベータの中を見回してる。
 足が狙ってるのは江実矢君らしい。
 怪物の親玉は江実矢君の両側から江実矢君の口を狙って左右に振れながら近づいてきた。
 江実矢君の大事な物に触れると怪物の胴体が潰れちゃうと判ってるから口を狙ってるんだ。
 そんなことになったら全員が怪物の餌食になって助からない。
 怪物の足の先がまるでドリルみたいにくるくる回ると激しくぶれながら江実矢君の口を狙って飛び込んできた。
 百合ちゃんがとっさに江実矢君の前に体をずらせると自分から足の先を口に入れた。
 舌先で転がすように百合ちゃんが足の先端を嘗め回すと、足の動きがゆっくりと大人しくなった。
 百合ちゃんが喉の奥に足の先を飲み込んで口をすぼめて息を吸い込むと、足を握りしめて前後にしごくように動かし始めた。
 有紀は百合ちゃんが目の前でしてることを見て思い当たることがあった。
 いつだったか彩香ちゃんが家庭教師の勇二さんにもらったと言って裏ビデオを見せてくれた事がある。
 人妻らしい女性が口に男の子の大事な物をくわえながら握りしめてる手の動きとそっくりだ。
 その時は彩香ちゃんが「これ、フェラチオっていうの。とっても気持ちよくて男の子は大好きなのよ」と裏ビデオを見ながら得意そうに教えてくれた。
 怪物の足も男の子の大事な物といっしょでフェラチオしてもらうと気持ちいいらしい。
 百合ちゃんの絶妙なフェラチオのテクニックで怪物の足も気持ちよく成っちゃったらしい。
 足の動きがぴたっと止まって大人しくなった。
 もう一方の足が江実矢君の口を狙ってさっとき同じように近づいてきた。
 先端の細い穴からは、甘いずっぱい香りがする透明な液体が染み出してこぼれてる。
 江実矢君の口の中にあの甘いゼリーが流し込まれたら江実矢君だって気持ちよく成っちゃうはず。
 そうなったらもう怪物に捕まってもう逃げられない。
 彩香ちゃんは目の前でゆらゆらと揺れてるも怪物の足の先を手でぐいと掴んで引き寄せて、口に入れるとすぐに舌先を震わせて嘗め始めた。
 彩香ちゃんのフェラチオのテクニックは相当すごいと同級生の女の子達が噂してるのを聞いたことがある。
 舌先の動かし方が抜群に上手らしくて、すぐに怪物の足の動きが大人しくなった。
 だけどなんだか彩香ちゃんの様子が変だ。
 半分笑った様な顔は、眉が歪んで口元もだらしなく半分開いたままだ。
 彩香ちゃんの口の中にあの怪物のゼリーがたっぷりと流し込まれているらしくて彩香ちゃんは美味しそうに喉を鳴らして飲み込んでる。
 このままじゃ彩香ちゃんもすぐに怪物の餌食になってしまう。
 なんとか有紀が江実矢君の大事な物をおっきくするしかない。
 急に目の前で百合ちゃんの体が激しく揺れ始めた。
 怪物の足が百合ちゃんの喉の奥まで入り込んで、胃袋まで届いてきたらしい。
 怪物の足が太さを増して百合ちゃんの口いっぱいにまで大きくなると百合ちゃんが急に動きを止めて倒れ込んだ。
 百合ちゃんの口からは青紫色の泡が吹きだしている。
 怪物が百合ちゃんの胃袋の中に甘いゼリーを一杯出したらしい。
 怪物の足は何度も太さを増しながら痙攣を続けてその度に、甘いゼリーを百合ちゃんの胃袋の奥に吐き出しているらしい。
 百合ちゃんの肌の色が、どす黒い灰色に変わるともう身動き一つしない。
 このままだったら彩香ちゃんは百合ちゃんと同じ目に遭うはず。
 怪物の足が彩香ちゃんの胃袋まで届いたらもう彩香ちゃんはおしまいだ。
 彩香ちゃんの口の中に入った怪物の足は気持がいいらしくて動きが鈍ってる。
 チャンスは今しかない。
 有紀は必死になって江実矢君の大事な物に舌を絡ませた。
 だけどどうやったら男の子が喜ぶのか有紀にはフェラチオの経験なんか無いから判らない。
 裏ビデオの場面を思い出して、なんとか必死で真似をして口でしゃぶりながら強く吸い込んでみた。
 思い切り息を吸い込みながら唇をすぼめて頭を前後に揺すってみると、少しだけ江実矢君の大事な物が大きくなった。
 もう少しと思って有紀が頑張って息を吸い込んで舌先を震わせると急に口の中で江実矢君の大事な物が大きさを増した。
 今だと思って有紀は怪物の足を掴んで彩香ちゃんの口から引き抜くと江実矢君の股間に近づけた。
 怪物の足の先端がくねくねと回りながら江実矢君の大事な物に絡みついてきた。
 江実矢君の大事な物に怪物の足の先端が触れると、急に怪物の足が引きつったように震えた。
 ぶるぶると震えながら、あんなに太かった怪物の足が見る間に縮まって細くなっていく。
 あっという間に怪物の足が糸みたいに細くなってエレベータのドアの間から引っ込んで消えた。
 閉じかけていたエレベータのドアがきっちりと締まるともう怪物は入ってこれない。
 有紀が急いでエレベータのボタンを押すと、ガタガタと音をたてながらエレベータが動き始めた。
 有紀はやっとこれで助かったと思ったが、百合ちゃんは体が灰色がかった紫色になって動く気配もない。
 良一君も僅かに目が動いてるだけでやはり身動き一つしない。
 久美ちゃんが良一君を抱きかかえると、良一君に顔を寄せてキスをした。
 唇をしっかりと重ねてずっとキスをし続けるのをみて有紀は久美ちゃんが何をしてるのか判らなかった。
 不思議な事に良一君の体がすうっと元の肌色に戻ると、ゆっくりとした動きで立ち上がった。
 久美ちゃんが良一君に口からエネルギーを注入したらしい。
 今度は良一君が百合ちゃんを抱きかかえてキスを始めた。
 だけど百合ちゃんの体はうっすらと灰色がかったまま元の肌色には戻らない。
 久美ちゃんが百合ちゃんのスカートを捲りあげると、パンティーを脱がして唇を女の子の大事な所に近づけた。
 しっかりと唇を押しつけて押し回すように動かしていると百合ちゃんの体が僅かに動いた。
 久美ちゃんがぎゅっと唇を強く押しつけると百合ちゃんの体が次第に肌色に戻っていった。
 エネルギーを注入するには、女の子の大事なところから注入したほうが効率がいいらしい。
 久美ちゃんが百合ちゃんのパンティーを元戻してスカートを直すと、百合ちゃんは次第に意識がはっきりしてきたみたい。
 良一君が百合ちゃんを抱き起こすと、まるで何事もなかったようにすくっと立ち上がった。
 やっとこれでみんな助かっと判って有紀はほっとして彩香ちゃんに抱きついた。
 良一君の話ではこのエレベータは他の階では止まらないらしくて、他にはどこにも行けないらしい。
 また歌舞伎町の町に戻るしかない。
 エレベータがまたしばらくガタガタと動くと、ドアがあいてまた元の小部屋に戻った。
 彩香ちゃんはエレベータの床に座り込んだまま腰が抜けたように動けない。
 良一君と百合ちゃんが両脇から彩香ちゃんを抱え上げて、エレベータから出すと彩香ちゃんは小部屋の中央に座り込んでしまった。
 有紀はさっき久美ちゃんが良一君にキスをしていたのを思い出した。
 もしかして有紀が彩香ちゃんにキスすれば彩香ちゃんが元気になるかもしれない。
 有紀は彩香ちゃんの横にしゃがみ込んで、彩香ちゃんの口に顔を近づけた。
 彩香ちゃんは半分口が開いたままで、舌には怪物が足の先端から出した甘いゼリーが絡みついている。
 有紀が舌を伸ばして、彩香ちゃんの舌と重ねると甘いゼリーの香りが有紀の口の中にも広がった。
 このゼリーのせいで彩香ちゃんが動けないんだと思って、有紀は彩香ちゃんの口の中からゼリーを吸い込んで自分の口に含んだ。
 甘い香りのゼリーは有紀の舌先には燃えるように熱く感じて有紀は思わず目眩がした。
 ほんの少しだけゼリーを飲み込むと、有紀の胃袋がかっと熱く燃え上がって体中が震えてきた。
 彩香ちゃんを助けるには有紀が彩香ちゃんの口からゼリーを飲み込むしかないと覚悟を決めて有紀は必死で彩香ちゃんの口の中を舌先で探った。
 たっぷりと甘い感触が有紀の体中に広がると今度は有紀が床に座り込んで立てなくなった。
 彩香ちゃんは少しだけ気分が落ち着いてきたらしくて、次第に顔色が明るくなってきた。
 有紀が床に座り込んでいるのに気が付くと今度は彩香ちゃんが有紀の口に舌をいれて吸い始めた。
 彩香ちゃんの唾と怪物の甘いゼリーの味が一緒になって有紀の口に広がると、有紀も次第に気分が落ち着いてきた。
 しばらく休んだ後にエレベータのある小部屋をでると、歌舞伎町の大通りにでた。
 夜の歌舞伎町は街灯の明かりがぼんやりと輝くだけで大通りには誰もいない。
 良一君が久美ちゃんを家まで送って行くことになって二人で先に歩き始めた。
 彩香ちゃんと江実矢君と有紀は百合ちゃんの家に泊まることにした。
 四つ葉学園の横を通って百合ちゃんの家に付くと、百合ちゃんが玄関を開けた。
 すぐに玄関に明かりが付いた。
 前来たときも誰もいなかったけど、今度も家の中には百合ちゃんの家族らしい人影はない。
 台所に行って冷蔵庫を開けてみると、ラブエナジーのパックが沢山入ってる。
 全然冷えてないけど、冷たくない方が飲みやすい。
 一人1パックづつ百合ちゃんが配ってくれたので、台所のテーブルの椅子に座って一緒に飲んだ。
「よかったら、お風呂に入ったら」と百合ちゃんがお風呂に誘ってくれた。
 このロボット実験場に来てからはまだ一度もお風呂に入ってないので有りがたい話しだ。
 お風呂場に案内されると結構広くて、三人一緒でも入れるくらいの広さだ。
 彩香ちゃんが江実矢君に「ねえ恵美ちゃん、一緒にお風呂にはいりましょう」と誘った。
 女の子二人と男の子一人で一緒にお風呂にはいるなんて、幼稚園の頃ならともかく小学生になってから一度もない。
 江実矢君はなんだか都合が悪そうな顔をしてるけど彩香ちゃんに誘われたら断れない。
 本当は彩香ちゃんと一緒にお風呂に入れるなんて喜んでるはずなんだけど、喜んでるなんて思われたくないらしい。
 彩香ちゃんが江実矢君のセーラー服の上着を脱がせると、ブラジャーが丸見えになった。
 有紀がブラジャーを良く調べると、ブラジャーのホックが三段になっていて一番奥のホックを外さないと取れないらしい。
 彩香ちゃんに手伝ってもらってブラジャーを外すと、江実矢君はやっと楽に息ができて気持良さそうに何度もため息をついてる。
 江実矢君がチェックのプリーツスカートを脱いぐと、アンダースコートの下がぽっこりと盛り上がってる。
 彩香ちゃんが江実矢君のアンダースコートを脱がすとその下は可愛らしいパンティーだ。
 レース模様の真ん中が上に向いて突き出してるのが見える。
 彩香ちゃんがパンティーの上からそっと手のひらを当てると、江実矢君は腰がピクンと震えた。
 彩香ちゃんが江実矢君のパンティーの腰に手をかけて脱がすと、江実矢君は恥ずかしそうに両手で前を隠した。
 彩香ちゃんが急いでセーラー服を脱ぎだしたので、有紀も慌ててセーラー服を脱いで丸裸になった。
 三人がみな揃って丸裸になるなんて、幼稚園の時に幼稚園の庭でビニールのプールで遊んだ時以来だ。
 江実矢君が真っ先にお風呂場に入ると、シャワーで体を洗い始めた。
 彩香ちゃんがすぐに江実矢君に寄り添うと、石けんをスポンジにつけて江実矢君の体を洗うのを手伝った。
 もちろん男の子の大事な所は特別に念入りに洗ってる。
 江実矢君が先に湯船に入ると、彩香ちゃんが体を洗い始めた。
 有紀も彩香ちゃんの後から体を洗うと彩香ちゃんはもう江実矢君の隣で湯船に浸かってる。
 有紀が江実矢君の隣で湯船に浸かると、彩香ちゃんが手を伸ばして江実矢君の大事な物を触っているのが目に入った。
 有紀も負けずに手を伸ばすと江実矢君の大事な物に指で探った。
 彩香ちゃんがまだ小さい先端を指先で包み込むようにして揉んでいるので、有紀はその下のタマタマを握りしめた。
 まだ毛が生えていない、柔らかい袋の中に小さな玉の感触がはっきりと伝わってきた。
 有紀が指で軽く玉を押さえつけると、玉が袋の中をするりと動き回って捕まらない。
 有紀は意地悪をして江実矢君の大事な玉を力をいれて指で押しつぶしてしまおうかとふと思った。
 そんなことをしたら肝心の男の子の大事な物が二度と大きくならなくなっちゃう。
 いつまたあの森の中の怪物が襲ってくるか判らないのに、そのとき江実矢君の大事な物が大きくなってくれなかったらそれこそ大変。
 有紀は今度は袋の中に指を押し込んで指先を震わせてみた。
 女の子だったら大事な所に指を入れられて指先を震わせてもらったら気持ちよくて死んじゃいそうになる。
 男の子だったらどうなるのかと試しにやってみると、男の子でも気持がいいらしい。
 江実矢君は腰をひくひくと引きつらせてもう我慢できないらしい。
 彩香ちゃんの手の中に収まりきれないくらいに大事な物が大きくなってるのが一目で分かった。
 お風呂をでると着替えのネグリジェが四つ葉学園のセーラー服の上に載せてある
 百合ちゃんが持ってきてくれたらしい。
 紫色やピンクのスケスケの生地が見える。
 彩香ちゃんが手に取ってみると、女の子用のネグリジェで丈が短い。
 他に着るもがないので、彩香ちゃんが試しに着てみた。
 紫色のネグリジェは胸元や裾にレースが模様になっていてお色気たっぷりだ。
 ネグリジェの下にはパンティーがきちんと畳んでおいてある。
 ネグリジェとお揃いで、可愛らしいデザインだ。
 有紀がピンク色のネグリジェを着ると、残ったの青い色のネグリジェ。
 男の子だから青ならよく似合うはず。
 江実矢君がしかたなく青色のネグリジェとパンティーを身につけると、大事なところがふっくらと盛り上がって見える。
 彩香ちゃんがおかしくて笑いそうになるのを堪えてる。
 部屋に戻ると三人でベッドに並んで明かりを消した。
 もちろん真ん中に寝るのは江実矢君だ。
 有紀は半分意識がぼんやりとしながら今日の出来事を思い出してみた。
 大変な一日だったけど、なんとか無事に過ごせて今日は幸せだったような気がした。

彩香ちゃんの家庭教師の勇二君が助けに来た

あらすじ
 百合ちゃんの後を付けて、歌舞伎町のラブエンジェルに行くと、久美ちゃんと勇二君がカラオケをしているのを見つけた。勇二君が彩香ちゃんを助けにロボット研究所に忍び込んできたんだ。百合ちゃんと久美ちゃんが決闘をして結婚相手の男性を選ぶことになったが、久美ちゃんが選んだのは犬のピーチ。

 翌朝になって起きてみるとベッドの枕元には真新しい四つ葉学園のセーラー服が用意してあった。
 昨日は怪物達に襲われて破れて泥だらけにたったセーラー服はもう着られないので、百合ちゃんが新しいセーラー服を用意してくれたらしい。
 百合ちゃんと一緒に四つ葉学園の正門をくぐると、他の女の子達も大勢登校してくるのが見えた。
 教室に座って鈴木先生が来るのを待っていると、チャイムが鳴った後に鈴木先生がプリントを持って教室に入ってきた。
 また数学のテストだ。
 時間割には社会や、国語や、理科とか彩香ちゃんの嫌いな科目が一杯書いてあるけど、鈴木先生は授業をちゃんとやるのが面倒くさいらしい。
 毎日最初の授業は数学のテストだ。
 テストのプリントを配ると鈴木先生はすぐに教室から出て行ってしまう。
 女の子達も慣れた物で、計算の得意な百合ちゃんが計算問題を全部解くと、江実矢君が応用問題を全部解く。
 それを残りの女の子達が書き写すと、あとは暇つぶしにおしゃべりをしてるだけ。
 鈴木先生が来る足音を聞いたら、一斉に席にもどってテストをやってる振りをするだけ。
 鈴木先生が黒板に模範解答を書くと、あとは採点は自分でやるだけだ。
 数学のテストの時間が終わると、次はビデオチャットの時間。
 鈴木先生は初めと終わりにちょっと顔を出すだけだから、あとは遊び放題だ。
 授業が済んだ後は、クラブ活動のチアリーディングのダンスの練習をすればそれで一日が終わり。
 毎日同じ事の繰り返しだけど女の子達と大勢で過ごすのは結構楽しい。
 女の子達のおしゃべりの話題と言えば、男の子の話ばかりだ。
 百合ちゃんが良一君と付き合ってるというのはクラスでも有名な話し。
 そのあとで、久美ちゃんも彼氏が出来たとの噂話が耳にはいった。
 でもこの世界に男の人はあの良一しかいないはず。
 良一君が百合ちゃんとも久美ちゃんとも付き合っていて三角関係という事らしい。
 だけど久美ちゃんには新しい彼氏ができて別れたらしいとまた噂が伝わってきた。
 百合ちゃんが久美ちゃんと良一君を別れさせるために、他の男を久美ちゃんと付き合わせたんだとか。
 だけどその男とも百合ちゃんが付き合ってる上に、良一も別の女と付き合ってるって話しだ。
 これじゃダブル不倫どころかトリプル不倫。
 良一君しか男の子がいないはずなのに不倫相手の男の子がこのロボット実験場に居るってのは何だか気になる。
 いつものようにクラブ活動のチアリーディングが終わって着替えて百合ちゃんの家に帰ろうとすると、百合ちゃんの姿が見あたらない。
 変だなと思って四つ葉学園の裏門に行ってみると、すぐ遠くからピーチが駆け寄ってきた。
 ピーチとはあのマンホールを上がるとき別れ別れになっちゃってたけど、ずっとこの世界にいたらしい。
 ピーチは何か言いたげにくんくんと鼻をならしてる。
 付いて来いと言ってるみたいなので、ピーチの後から三人で付いていった。
 ピーチが進んでいく先は歌舞伎町の裏通りで、すこし先に百合ちゃんの後ろ姿が見えた。
 電信柱の陰に隠れて何かを覗き込んでいるらしくてこっちには気が付かない。
 よくよく見るとその先に良一君が自動販売機の陰に隠れていて誰かを待ち伏せしてるらしい。
 しばらくして久美ちゃんがどっかの建物の裏口から中に入っていくのが見えた。
 久美ちゃんが入っていったのはあの喫茶店「ラブエンジェルズ」の裏口らしい。
 どうも変だ。
「表の入り口からあの喫茶店に入って中の様子を確かめてみるのがいいわ」と彩香ちゃんが言うのでピーチと一緒に表通りに回った。
 女の子の部屋には誰もいないけど、カラオケをしてる声が聞こえるので裏手の部屋のある廊下に行ってみた。
 薄暗い廊下から部屋の中を確かめてみると、小太りな女の子が久美ちゃんとカラオケをしてる。
 髪の毛が長くてセーラー服を着てるけど見たことがない女の子だし。それに声だって女の子にしては変だ。
 彩香ちゃんが有紀の脇腹をつっつきながら大変な事を言った「あれ、勇二君よ、私の家庭教師してる勇二君、セーラー服着てるけど勇二君は男よ」。
 彩香ちゃんに言われてみると、確かに学園祭で彩香ちゃんに紹介された家庭教師の勇二君のような気もしてきた。
 だけど勇二君がなんでこんな所で久美ちゃんと一緒にカラオケしてるのか訳がわからない。
「だいたい、なんで勇二君がセーラー服なんか来てるのよ、それも久美ちゃんと一緒にカラオケなんかして楽しそうにしてるなんてどうゆうこと」と言うと彩香ちゃんはドアを力一杯開けて部屋の中に飛び込んだ。
 勇二君は久美ちゃんと一緒にカラオケをしながら顔を上げると、驚いた顔で彩香ちゃんの顔を見つめた。
 勇二君の顔が今にも泣き出しそうに歪むと、彩香ちゃんもびっくりして勇二君の顔を見つめ直した。
 勇二君は彩香ちゃんを助けにきたらしい、彩香ちゃんの江実矢君と有紀の三人を探してわざわざセーラー服で女装をしてこの世界に来てくれたんだ。
 彩香ちゃんが思わず涙ぐんで、勇二君に抱きつこうとしたとき急に後から大声がした。
「久美ちゃんは俺の女だ、俺の女になにしやがるんだ」と言って入ってきたのは良一君だ。
「久美ちゃんと付き合いたければまず、俺が相手だ」と良一君が訳のわからない事をいいだした。
 良一君は顔付きは男だし着てる服も男物だけど、体つきはかなり小柄で久美ちゃんや百合ちゃんと殆ど同じくらいの背格好だ。
 一目見ただけでは、このカラオケルームの暗がりでは女の子に見えてもしかたない。
 勇二君もなんで久美ちゃんと付き合う為に、良一君と付き合わなければいけないのか訳が判らなくて困った顔をしてる。
 急に良一君が「君、優子ちゃんだろう、いつも僕とチャットしてた、僕が良一だよ、なんでこんな所にいるんだ」と言い出した。
 どうなってるのか余計判らなくなった。
 勇二君はこのロボット実験場のビデオチャットの回線にハッキングして良一君や久美ちゃんともビデオチャットしてたらしい。
 良一君とは女の子の振りをして「優子」の名前でチャットしていて、久美ちゃんとは男の振りをしてチャットをしてたって事らしい。
 それで良一君と久美ちゃんの仲を邪魔したんだ。
 なんでそんな事をしてたのか理由は判らないけど、彩香ちゃんを助けようと思ってしてた事に違いない。
 すると今度は百合ちゃんが良一君の後からすぐ部屋に入ってきた。
 百合ちゃんも部屋に久美ちゃんも良一君もいて、その上セーラー服を着た勇二君もいるので何がなんだか判らないらしい。
「勇二君たらなんでそんな格好してるの」と百合ちゃんが勇二君の顔を見て大声をだした。
 やっぱり勇二君は百合ちゃんともビデオチャットしてらしくて、勇二君はどう言い訳していいのか困った顔。
 勇二君は百合ちゃんと久美ちゃんと良一君の三人とビデオチャットをしてこの世界の様子を探ろうとしてたみたいだ。
 百合ちゃんは良一君が勇二君に言ってたことを外で聞いてたらしい。
「何よ、私はどうなるのよ、はっきりしてよね」と今度は百合ちゃんが良一君と勇二君に迫った。
「俺がこいつと決闘するんだ、そして勝った方が好きな女を選べばいい、それでいいだろう」と良一君が勇二君に向かって言い放った。
 どうやら良一君は勇二君に決闘を申し込むつもりでずっと、自動販売機の陰で久美ちゃんを待ち伏せしてたんらしい。
 いますぐ此処で良一君と勇二君が決闘をするというのが良一君の言い分だ。
 良一君が勝てば、良一君が久美ちゃんでも百合ちゃんでも好きな方を選んで結婚しするという条件だ。
 どっちにしろ、決闘の結果次第でカップルが二組できて二組とも結婚するという事になる。
 随分と勝手な話しだ。
 良一君はロボットだし、もともと戦闘用にタコイーカ財団が開発した戦闘用ロボットだ。
 喧嘩になれば、良一君の方がつよそうだし、勇二君が死んじゃうかもしれない。
 だけどまだ開発中だからバグもいっぱいある。
 もしかして勇二君が勝ったら、勇二君が百合ちゃんか久美ちゃんかどっちかのロボットと強制結婚させられちゃうことになる。
「ねえ、そんなの駄目よ、決闘で決めるなんて、絶対だめ」と彩香ちゃんが二人の間に割り込んで取りあえず二人を止めた。
「そうよ、決闘で決めるなんておかしいわよ」と百合ちゃんも言い出した。
 久美ちゃんも二人が傷つけ合うのを目の前でみるのは嫌らしい。
「だいたい、勝った方が好きな相手を選んでいいなんて、絶対変よ」と今度は久美ちゃんが百合ちゃんの味方をして口を挟んだ。」
「誰と付き合うかは、女の子に選ぶ権利があるはずよ」と久美ちゃんが言うのでなるほどそれもそうだと百合ちゃんも納得した顔。
「私と久美ちゃんが決闘をして、勝った方が決めるのよ、それしかないの」と百合ちゃんが言い出したので今度は良一君が驚いた顔をした。
 良一君はエレベータの中で、百合ちゃんとも久美ちゃんともキスしてる。
一度でもキスした相手とは結婚しなければいけないというのがこの世界のルールだ。
 だから百合ちゃんと久美ちゃんの二人とも良一君と結婚する権利があるから、百合ちゃんと久美ちゃんが二人が決闘してどっちが良一君と結婚するか決めればいいというのが百合ちゃんの理屈だ。
 確かに言われてみるともっともらしい気もする。
「先に肩を地面についた方が負けよ、それなら簡単でしょう」と百合ちゃんに言われてそれならたいした決闘でもないと良一君が納得すると、久美ちゃんも受けて立つ構えだ。
 勝った方が好きな相手にキスしていいという条件だ。
 まず良一君が部屋の中央に丸い土俵を書いた。
 この中から足が出たら負けというルールだと良一君が勝手に決めてしまった。
 狭い土俵なので、ちょっと押し出せばすぐ決着はついてしまいそう。
 久美ちゃんと百合ちゃんが向かい合わせに土俵の両方の端に立つと審判の良一君が間に入った。
 まず二人の間に良一君が右手を伸ばして差し出した。
「先に肩をついたほうが負け、土俵から足が出てもまけ、二人ともいいですね、じゃあ始め」と言って右手を持ち上げて、すぐ後に飛び跳ねた。
 二人とも間合いを保ったままですぐには動かない。
 しばらくにらみ合いを続けた後、百合ちゃんが少し前に踏み出した。
 久美ちゃんが右横に身体をずらしたので、百合ちゃんは出した足を引っ込めると、久美ちゃんとは逆の方向に身体を動かした。
 不意に久美ちゃんの身体が消えて見えなくなった。
 天井の真上で「カシャーー」と音がすると、真上から久美ちゃんが百合ちゃんめがけて飛び降りてきた。
 天井高く飛び上がった久美ちゃんが、天井を足で蹴飛ばして勢いをつけて百合ちゃんに体当たりしてきたんだ。
 狭い土俵だからちょっと押し合えば決着は付くと思ってたけど、二人ともロボットだ。
 高く飛び上がれば天井まで飛びつく事だって出来る。
 百合ちゃんもすばやく飛び上がると、横の壁に足を蹴りつけてって逆の方向の壁に飛び跳ねた。
 久美ちゃんも負けずと横に飛び跳ねると、もう何がなんだか判らない。
 二人の身体が部屋の中をもの凄い勢いで飛び続けて誰がどこに居るのかなんて見ていても判らない。
 勇二君は二人が部屋の中で飛び跳ねてるのを見ても何だかよく判ってないらしい。
 土俵の中央を見つめたままポカンとしてるだけ。
 彩香ちゃんの足元で「クアアン」と犬の鼻音が聞こえた。
 ピーチがいつのまにか彩香ちゃんの足元に来ていて、のろのろとした足取りですぐ目の前の土俵に歩み寄った。
 危ないと思ったとき、百合ちゃんがピーチを避けようとして着地を間違えて一歩だけ土俵の外にでてしまった。
 百合ちゃんの足が出たのに気が付いて久美ちゃんもすぐに着地すると、百合ちゃんの両肩を軽く押した。
 これで決闘で勝ったのは久美ちゃんて事になる。
 ピーチが鼻先をならしながら久美ちゃんの足元に近づいた。
 久美ちゃんがピーチを抱き上げると「なに、これ」と彩香ちゃんに聞いた。
「ピーチよ、ピーチは犬なの」と彩香ちゃんが言うとピーチが久美ちゃんの鼻先をぺろりとなめた。
 この世界には犬はいないらくして、百合ちゃんも良一君も不思議そうな顔でピーチを見つめてる。
 ピーチがまたクーンと鼻をならすと今度は久美ちゃんが舌先をピーチの舌先と重ねた。
「私ピーチと結婚するの、キスしたから結婚しなきゃいけないの、それが決まりだから」と久美ちゃんが言いだした。
 いくらなんでも女の子が犬とキスしたからって結婚なんか出来るわけがない。
 だけどこの久美ちゃんはもうピーチと結婚すると決めたらしくてピーチを抱きかかえたまま離そうとしない。
 こうなると良一君と勇二君の二人のどちらかをを百合ちゃんが選ぶという事になる。
 百合ちゃんが勇二君を選ぼうとしてキスしようとした時、勇二君は急に身体を避けて一番近くにいた江実矢君にキスをした。
 キスをしたということは結婚するって事だとこの世界では決まってる。
 彩香ちゃんはびっくりして目を丸くしてるけど、もうキスしちゃったのは仕方ない。
 百合ちゃんは勇二君と結婚したかったらしくて、まだ悔しそうな顔をしてるけど残ってるのは良一君しか居ない。
 百合ちゃんがそっと唇を差し出すと、良一君が申し訳なさそうな顔でキスをした。
 これでカップルが同時に三組誕生して丸く収まったけど、どうも変な感じ。
 久美ちゃんはピーチと一緒に仲良さそうに帰っていった。
 百合ちゃんは良一君と二人っきりに成りたいと出した。
 結婚したから一晩二人っきりで過ごすのは決まりだからと良一君もすっかりその気になってる。
 この際二人の邪魔をするのも野暮な話しだ。
 勇二君は男だから良一君の気持ちもよく分かるらしくて、うんうんと頷いて納得した顔。
 それはそれで良いとしても勇二君を連れて帰る場所がない。
 取りあえず彩香ちゃんと江実矢君それに有紀と勇二君の四人で百合ちゃんの家に戻ることにした。
 歌舞伎町の端にある門をくぐると、四つ葉学園前の公園に出た。
 公園の中を通って百合ちゃんの家に戻ろうとすると木陰から四つ葉学園のセーラー服を着た女の子が二人出てきて道をふさいだ。
 手にはあの黒い短剣を持っていて、睨みつけるような厳しい目つきだ。
 勇二君を捕まえようとして待ちかまえてるのに間違いない。
 勇二君がいきなり女の子の方に走り出した。
 体当たりして逃げ出そうというつもりらしい。
 勇二君はここでは見かけない不審者だ。
 うっかり捕まったら大変だし、彩香ちゃんや江実矢君や有紀と知り合いだとばれたらそれこそもっと大変なことになる。
 だからここは一人で逃げた方がいいと思ったらしい。
 だけどこの四つ葉学園の女の子は皆忍者の九の一みたいに身軽だ。
 勇二君が体当たりしたくらいで刃が立つ相手ではない。
 目の前で女の子が身を寄せ合って勇二君の進む道を塞いだ。
 勇二君が身体を横にして肩から女の子の間に突っ込んだとき、女の子の身体がふと見えなくなった。
 素早い動作で身体を沈めて、勇二君の突進を避けたんだ。
 別の女の子がまたすぐ目の前で勇二君の道を塞ぐと、勇二君は前後を挟まれた。
 勇二君が全力で駆け出してまた体当たりをしようとすると、女の子が勇二君の周りをくるくると回転しながら走り出した。
 チアリーディングの練習の時やってた「フォーメーション、サークルG」だ。
 誰かが「トウー」かけ声をかけるとに女の子達が一斉に細い縄を勇二君に投げた。
 あっというまに勇二君の体に縄が絡みつくともう逃げられない。
 女の子達には縛り上げられて勇二君は諦めたらしく大人しくなった。
 勇二君を取り囲んだ女の子達は、不思議そうな顔で勇二君を眺め回していた。
 セーラー服を着た男の子はどう見ても怪しげだ。
 勇二君はすぐに四つ葉学園女の子達にどこかに連れ去れれてしまった。
 彩香ちゃんと江実矢君と有紀は公園の木陰に隠れていて、難を逃れたがもうとても百合ちゃんの家には戻れない。
 しかたなくさっきの歌舞伎町の喫茶店に戻った。
 奥の部屋で少し休もうとベッドの上に寝ころんでいると、すぐ隣の部屋が少し明るいのに気が付いた。
 あの変な形の十字架の置いてある部屋が、マジックミラー越しにこちらの部屋から丸見えになってる。
 薄暗くてよくは見えないけど、百合ちゃんと良一君が二人で抱き合ってる。
 そういえばさっき百合ちゃんと良一君は結婚するから二人っきりになりたいとか言ってた。
 結婚して二人っきりになったりすれば男と女ならやることは決まってる。
 良一君はしきりに腰を前後に動かしてるけどなんだか変だ。
 それに二人は言い争いを始めると、百合ちゃんは泣きながら部屋を出て行ってしまった。
 なんだか変だと思ったけど、彩香ちゃんにはその理由が判ったみたい。
 有紀にもすぐ何が変なのか気が付いた。
 百合ちゃんと良一君の身体が二人ともそっくり同じなのだ。
 良一君は顔は男の子だけど、身体は二人とも同じ女の子の身体なんだ。
 これじゃあいくら結婚したって男と女がすることなんかできやしない。
 良一君はしばら一人だけで腰を動かし続けていたが、やがてバタンと動きが止まった。
 故障かなと思ったら、一人で泣いてる見たい。
 しばらく泣き続けると良一君は百合ちゃんを捜しに部屋から出て行った。
 疲れが出たのか、江実矢君が彩香ちゃんの隣で寝息を立て始めた。
 彩香ちゃんは江実矢君の頬をしばらく撫でていたけどいつの間にか三人とも寝ていた。

捕まって牢獄に監禁さた勇二君を見つける

あらすじ
 久美ちゃんとピーチと一緒に手伝って貰って牢獄に捕らわれていた勇二君を助けた。ロボット実験場から逃げ出して地上に戻ろうとしたがだめ。一つ上の階に上がって以前良一君に案内されて来た森の中の城にでただけ。森の中で怪物に襲われるが勇二君の活躍で何とか逃げる。

 朝になって有紀が目を覚ますと彩香ちゃんは心配そうな顔をしてる。
「昨日勇二君が四つ葉学園の女の子達に捕まってしまったので、もう四つ葉学園には行かない方がいいと思うの」有紀が言うと彩香ちゃんも同じ意見だ。
 鈴木先生は四つ葉学園の女の子達に歌舞伎町には行かないようにと指導してたはず。
 この出会い軽喫茶に居ればしばらくは安心だ。
 しばらくぼんやりと部屋で過ごしていると、くんくんと鼻を鳴らす音が聞こえた。
 ピーチが戻ってきたんだ。
 久美ちゃんの家には食べる物がないから戻ってきたに違いない。
 彩香ちゃんがピーチを抱き上げると、すぐに久美ちゃんがピーチを探しに来た。
 彩香ちゃんは慌ててしゃがみ込んでピーチを四つ葉学園の制服のスカートの下に隠すと、知らん顔で微笑んだ。
「ねえ、ピーチきてますよね」と言われて彩香ちゃんが「知らないけど」と言った瞬間にピーチが彩香ちゃんのスカートの下で「ワン」と一声ほえた。
 これじゃあしょうがない。
「私、ピーチとここから出て地上に出たいんです」と久美ちゃんがピーチの頭を撫でながらいった。
 久美ちゃんがどうして地上の事をしってるんだろうと有紀は不思議な気持ちになった。
「ピーチが、教えてくれたんです、地上には青いそらと太陽があるって」
「幸せになるには、青い空と、真っ赤な太陽の下でないと、幸せにはなれないんだって」
「私、ピーチと二人で幸せになりたいんです」と久美ちゃんが言うので、有紀はあれっと思った。
「でも、どうやって」と有紀が半分言いかけると、久美ちゃんは「ピーチが地上に通じてる通風口の出口を知ってるんです、そこを通れば地上に出られるってピーチが教えてくれたんです」と久美ちゃんが言い出した。
 どうも話しが変だと思ったけど、久美ちゃんはピーチと話しができるらしい。
 久美ちゃんはロボットなんだから、犬語が理解できる機能もついてるってことは十分あり得る話しだ。
 この世界から地上に出られる方法は判ったけど、勇二君を置き去りにする訳にはいかない。
 勇二君が何処に連れて行かれたかは判らないが、久美ちゃんがいいアイデアをだしてくれた。
 ピーチに探させれば良いのだ。
 ピーチは犬だから、勇二君の匂いを辿れば勇二君が何処に連れて行かれたか跡をたどれば判るはず。
 さっそく勇二君が連れ去られた場所にみんなで行ってみることにした。
 四つ葉学園前の公園に行ってみると、今は授業中らしくて女の子達の姿は見当たらない。
 久美ちゃんが「くわん、くわん、うう、ゆうう、、ぐーー、すいっちょー」とピーチに話しかけるとピーチはすぐに勇二君の匂いを探し始めた。
 やっぱり久美ちゃんは犬語が話せるらしい。
 彩香ちゃんも目を丸くしてる。
 しばらく公園の中をぐるぐる歩き回った後、ピーチは勇二君の匂いを見つけたらしくて鼻を地面に近づけながら歩き始めた。
 だけど、ピーチが辿りついたのはさっきの喫茶店の裏口だ。
 きっと彩香ちゃんか有紀か、それとも男の子の江実矢君の匂いと間違えたに違いない。
 彩香ちゃんも心配になって「ねえ、間違えたんじゃないの」と久美ちゃんに聞いてみた。
 久美ちゃんがまた犬語で「くく、くええ、わんぐー」とピーチに聞いてみると間違いじゃないとピーチが言ってるらしい。
 裏口から喫茶店にはいってみると、ちょうど変な十字架の置いてある部屋にでた。
 もしかして勇二君は十字架に縛り付けられてるのかと思って彩香ちゃんが十字架に駆け寄ったが誰もいない。
 部屋の周りには鉄格子がついた部屋が幾つも並んでいるのが見えた。
 ピーチが匂いを嗅いで確かめたが、鉄格子の部屋には入った様子はない。
 ピーチがさっきの十字架の所まで来てまた勇二君の匂いを見つけたらしい。
 十字架のすぐ裏手の壁に鼻先を近づけるとピーチが「うわん、、くーー、わん」と鳴いた。
「この壁の先に勇二君がいるってピーチが言ってるの」と久美ちゃんが突然大声で叫んだので彩香ちゃんは驚いた顔で青ざめた。
 もしかして勇二君がこの壁の中に塗り込められちゃったのかもしれない。
 だとすれば生きてる訳がない。
 有紀が試しに壁をそっと押してみると、すっと奥に開いた。
 ピーチが先に中に入ってみると、壁の奥は少し広くなっていて上に登る階段が見えた。
 彩香ちゃんは思い過ごしだと判ってほっとした顔で階段を見上げた。
「きっとこの上ね」と有紀が彩香ちゃんに声を掛けると彩香ちゃんはすこし気持ちが落ち着いたのかゆっくりと息を吐いた。
 ピーチを先頭に螺旋階段を登っていくと薄暗い通路に出た。
 通路の両脇には鉄格子のはまった部屋が沢山ならんでいる。
 有紀は耳を澄ませて部屋の様子を伺った。
 しんと静まり返って、物音一つしない。
 ピーチが床に鼻をすりつけるようにして先に進んでいくと、微かに寝息らしい音が聞こえてきた。
 彩香ちゃんが確かめてみると、鉄格子の奥で寝ているのは確かに勇二君だ。
 だが彩香ちゃんは困った顔をしてすぐ横を向いた。
 勇二君は裸で寝てるらしい。
 だけどそれだけじゃあない。
 彩香ちゃんが顔を赤くしてるのを見て、有紀もすぐに勇二君の様子が変なのに気がついた。
 男の子の大事な物がおっきく真上にそびえるように立ってるのだ。
 これじゃあ、恥ずかしくてとても女の子には近寄れない。
 久美ちゃんはまだ男の子の事をよく知らないらしくて、平気な顔で鉄格子に近づいた。
 鉄格子には鍵が掛かってるけど、暗証番号で開ける暗号式の鍵だ。
 久美ちゃんが適当に押してみたがすぐには開きそうにない。
 諦めたのか久美ちゃんは一旦鍵から指を離すと、今度は指を揃えて鍵の上に置いた。
 いきなり指が凄い勢いで一斉に目にも止まらない早さで動き出した。
 全部の組み合わせを片端から押してるらしくて、しばらく待っても何も起こらない。
 だけど急にカチッと音がしたと思うと久美ちゃんの指が止まった。
 鍵が開いちゃったんだ。
 さっそく勇二君を助け出そうと思ったけど、勇二君は裸だ。
 この際仕方ないと、江実矢君に制服のスカートを脱がせた。
 江実矢君はアンダースコートが丸見えになって、恥ずかしそうにしている。
 久美ちゃんが江実矢君のスカートを持って、檻の中に入ると勇二君に着せて出てきた。
 どう見ても女子高生には見えないが、ちょっと太めの女子高生だと言われたらそう見えないこともない。
 勇二君の話しでは、ここはタコイーカ財団の地下の実験場でロボットのテストをしてるらしい。
 地上の世界とそっくり同じ世界を地下に作って、ロボットを生活させてそれで上手く動くかテストする計画らしい。
 女の子達の部屋にはみな、ビデオチャット用のパソコンが置いてあって、そのパソコンはインターネットにつながってる。
 地上のパソコンにもつながっていて、それでビデオチャットの練習もしてるらしい。
 普通の女の子の振りをして、地上の普通の男の子達と話しをしてるって訳だ。
 勇二君は偶然、百合ちゃんとビデオチャットしてこの地下の実験場に気がついたらしい。
 勇二君が百合ちゃんのパソコンにウィルスを送って、それで百合ちゃんのパソコンをハッキングして、パソコンのデータを盗んで調べたんだ。
 そしたら百合ちゃんの設計データがパソコンにはいっていて、百合ちゃんがロボットだ判ったらしい。
 百合ちゃんのパソコンを経由して、タコイーカ財団のメインコンピュータにウィルスを送り込んで、この実験場のデータを盗んだんだと勇二君が得意そうに話してくれた。
 地下の実験場からは、排気口がいっぱい地上につながっていて、地下の世界に空気を送ってる。
 ロボットは空気が無くても生きていけるけど、地下の実験場には本物と同じ木や草も植えてあるから空気が無いと困るんだ。
 ピーチは偶然猫を追いかけて排気口に迷い込んだらしい。
 彩香ちゃんの匂いが排気口から微かに流れてきたので、ピーチは彩香ちゃんを捜して地下まで降りてきてしまったらしい。
 ピーチには迷子防止のためにGPS首輪がついてるから、勇二君にはピーチの居所がわかったんだ。
 勇二君の話を聞いて大体の事情は分かったけど今はともかくここから逃げ出すしかない。
 排気管は途中が幾重にも折れ曲がっていてあちこちに枝分かれしてるから、地上に上手く逃げ出すのはなかなか難しいらしい。
 犬のピーチが道順を匂いで覚えてるので、ピーチなら道が判ると久美ちゃんが教えてくれた。
 ピーチと犬語で話しが出来るのは、ロボットの久美ちゃんだけだ。
 久美ちゃんも一緒に連れて行くしか、地上に上手く辿り着く方法はない。
 すぐに檻をでようとしたが、久美ちゃんがピーチとなにか話してる。
「くーー、くぃんくあんんん」とピーチがうなると久美ちゃんが「タンポポの匂いが遠くからしてくる」と通訳してくれた。
 この檻は地下の牢獄らしくて、上まで登れば地上にでられるに違いない。
 さっきの螺旋階段まで戻ろうとすると、急にすぐ横のドアが開いた。
 黒いリクルートスーツの胸が大きく飛び出してる格好は鈴木先生だ。
「あんた達、なにやってるの」と鈴木先生に言われて、久美ちゃんは立ち止まって動けなくなった。
 鈴木先生が持ってる鞭を見て、有紀も恐くて震えてきた。
「さっさと檻に戻るのよ」と鈴木先生の甲高い声が聞こえたが、勇二君はひるまない。
 女の子が危ないときには男の子が守るのが男の役目だと勇二君にも判ってるんだ。
 胸を張って両手を広げて前に出ると、鈴木先生の前に立ちはだかった。
 鈴木先生の腕がすばやく動いた。
 鞭の先がすっと伸びると、ぐんと伸びてしなった。
 勇二君のおでこめがけて鞭の先がしなって伸びた瞬間に、有紀はもうだめだと思って身体が震え上がった。
 鞭の先が勇二君のおでこにぶつかる瞬間に、勇二君の身体が少しだけ後に仰け反った。
 そんなことで鞭が避けられるわけ無い。
 すると鞭の先が手前で上に跳ね上がるとぴんと音を立てて天井のパイプを叩いた。
 天井のパイプがグアンと音を立てて響くと、今度は鞭の先が跳ね返って床を叩いて跳ねた。
 あの鈴木先生が鞭の扱いを間違えるなんてとてもあり得ない。
 だけどこの地下室は天井が低くて狭いので鈴木先生でも鞭が上手く使えないらしい。
 もう一度鈴木先生が鞭を手元にたぐり寄せて、勇二君のおでこをめがけて打ち付けようとした。
 今度も勇二君は少しだけ後に身体をずらせただけだが、それでも鞭の先を空を切って天井のパイプを叩いただけ。
 鈴木先生はいつもの鞭の振り上げ方では鞭が上手く使えないと気づいた様子。
 鞭の取っ手を短く持ち替えると、腕の振りを小さくしてもう一度勇二君めがけて叩きつけた。
 だが今度は鞭の先が勇二君の手前でストンと床に落ちてしまった。
 勇二君にもっと近寄らないと、鞭が上手く当たらないと判って鈴木先生は少しづつ様子を見ながら勇二君に近づいた。
 勇二君は今度はわざと前に身を乗り出して、鈴木先生の前に立ちはだかった。
 すると今度は鈴木先生が怯えた様子で後に下がった。
 鈴木先生がいつも強気なのは鞭が使えるからだ。
 鞭が使えないとなると、やっぱり女。
 男の人が恐いらしい。
 勇二君がさっきの檻の入り口近くまで進むと、急に履いていたスカートを脱いで床においた。
 タータンチェックのプリーツスカートは勇二君の足元で丸い花びらみたいに重なって広がってる。
「ちょっと、その短剣こっちによこしなさい」と鈴木先生が泣きそうな声で叫んだ。
 いったい何が起きてるのか有紀には判らなかったけど、鈴木先生の視線が勇二君の腰の前に注がれてるので有紀はなるほどと思った。
 この世界には男はあの良一君しかいない。
 その上良一君には男の大事な物がついていない。
 鈴木先生は本物の生身の男の子を見たことがないから、勇二君の腰についてるが何だか判らないのだ。
 勇二君は鈴木先生に見せつけるように腰を前後に大きく振った。
 ぶるんぶるんと鈴木先生の目の前で大事な物が大きく揺れると鈴木先生は「何よ、何なのよ、やめてよ」と今度は泣き出しそうな声。
 勇二君が調子に乗って、今度は腰を大きく上下に揺さぶりながら鈴木先生の目の前まで歩み寄った。
「いい気になるんじゃないわよ」と鈴木先生が大声を張り上げると、思い切り鞭を振り上げて勇二君の腰のすぐ前に打ち付けた。
 だが距離が近すぎるし、すぐ近くに牢獄の鉄格子が並んでる。
 振り上げた鞭が壁に当たると、鞭の先が跳ねて牢獄の鉄格子にぶつかった。
 鉄格子の間を鞭の先が通り抜けると、床を叩いて天井に跳ねてまた戻ってきた。
 ちょうど鉄格子を一回りして鞭の先が勇二君の目の前で床に落ちた。
 素早い動きで、勇二君が鞭の先をつかむと力任せにいっぱいに引っ張った。
 鞭が鉄格子を一回りして、今度は鈴木先生の身体を引っ張った。
 鈴木先生は思わぬ事の成り行きにびっくりしたのか、必死で鞭を握りしめて離さない。
 鞭を持ったまま鈴木先生の身体が床に倒れ込んだ。
 勇二君は鞭をたぐり寄せて、思い切りぐいぐと引っ張り寄せた。
 鈴木先生の身体が鞭ごと、牢獄のなかに引っ張り込まれた。
 慌てて鈴木先生が鞭から手を離して、牢獄の入り口から出ようとしたが足がもつれて立ち上がれない。
 鈴木先生が両手を牢獄の鉄格子に延ばして立ち上がろうとした時、勇二君が鞭をたぐり寄せて大きく鈴木先生の目の前に打ち下ろした。
 びしゃっと大きな音がして、鈴木先生の目の前の床を鞭の先が叩きつけられた。
「服を脱ぐんだ」と勇二君が大声で怒鳴りつけた。
 鈴木先生は目を大きく見開いて勇二君を睨みつけたが、勇二君が鈴木先生の目の前に鞭を振り上げると俯いて「だめ」と小さく呟いただけ。
「さっさと脱ぐんだ、痛い目に遭いたいのか」ともう一度勇二君が怒鳴ると、鈴木先生も観念したらしくて「許してと」小さく呟くと、リクルートスーツの上着を脱ぎ始めた。
 真っ白なブラウスはスケスケで下のに着た黒いブラジャーが浮き上がって見える。
 鈴木先生は勇二君の顔色を伺いながら、ブラウスも脱ぐとお尻にぴったしと張り付いたようなデザインのパンツも脱いだ。
 黒いレース模様のパンティーはお色気たっぷりで、勇二君は思わず口元をすぼめて微笑んだ。
「ブラジャーも脱ぐんだ」と勇二君が鈴木先生の目の前に鞭を垂らして脅すと鈴木先生は仕方なくブラジャーのホックを外した。
 ブラジャーの肩紐を外すと、あれっと有紀は目を丸くして鈴木先生のブラジャーを見つめた。
 おっきく膨らんだブラジャーはパッドが入れてあって、鈴木先生の胸はぺったんこだ。
 鈴木先生はずっと巨乳だとばかり思ってたけど実は胸にパッドを入れてあるだけだったんだ。
 裸になった鈴木先先生の体をよくよく見ると、体つきは百合ちゃんや久美ちゃんとそっくり同じ。
 ハイヒールを履いてるから背が高く見えるけど、四つ葉学園のロボットの女の子達とそっくり同じ体つきだ。
 この鈴木先生、タコイーカ財団の研究所の職員だとばかり思っていたけど、鈴木先生もロボットだったみたい。
 ビデオチャットで男の人とチャットして三次元画像でフェラチオの真似事なんかしてたけど、本当の男性とは付き合った事がないらしい。
 勇二君が鞭の先で鈴木先生を脅しながら、鈴木先生が脱いだ服の折り重なった床に歩み寄った。
 鈴木先生は「だめ、いやん、もうだめ、ゆるして、そんな」と訳の分からない言葉を繰り返すだけでまともにしゃべれない。
 両足を勇二君の方に向けて大きく開いて、腰を持ち上げた格好で震えてる。
 勇二君から逃げようとしてるのか、それとも勇二君になにかしてもらいたいのか見ていてもどっちなのか判らない。
「どうして欲しいんだ、何をして欲しいか言ってみろ」と勇二君がわざと意地悪そうな口調で鈴木先生に言葉を掛けた。
「いやん、そんなの、早くして、もう、だめ」と鈴木先生は訳の分からない言葉を繰り返すだけで答えにならない。
 勇二君が鈴木先生の開いた足の間に立つと、鈴木先生の腰が震えながら上下に激しく揺れ始めた。
 なんだか訳がわからないけど、ロボットのプログラムがバグで故障した時みたいな変な動きだ。
 勇二君が屈み込むと、鈴木先生のブラジャーを手に持った。
 いやらしい顔付きで、ブラジャーの臭いを確かめてるけど勇二君の顔付きはどうも変だ。
 勇二君は手に取ったブラジャーを自分の胸に当てると、背中に手を伸ばしてホックを留めた。
 男の子なのにブラジャーをするなんていったいなんのつもり何だろうとと思ってると、勇二君は手早く鈴木先生の服に着替え始めた。
 鈴木先生のリクルートパンツはきつくてぴっちぴちだけど伸び縮みする生地なので、勇二君が着てもぴったしだ。
 これなら遠くから見れば鈴木先生に見えないこともない。
 勇二君は得意顔で、彩香ちゃんの前でくるりと一回りしてみせるとポーズを取った。
 だけど今はそんなことして遊んでる暇はない。
 鈴木先生の居る牢獄のドアを閉めて鍵を掛けると、鈴木先生はまだ床に寝そべったまま腰を震わせてる。
 早くここから逃げ出さないとまた、誰が来るか判らない。
 彩香ちゃんが急いで牢獄の横の階段に駆け寄った。
 江実矢君は慌てて、勇二君が脱いだスカートをはき直してる。
 ピーチがくんくんと鼻を鳴らしながら螺旋階段を登り始めた。
 勇二君が鞭を持ってピーチのすぐ後から、階段を上がった。
 長い螺旋階段は登っても登っても階段がずっと続いてる。
 ピーチは階段を登るのに疲れたのか座り込んで動けなくなった。
 久美ちゃんがピーチを抱え上げると先頭に立ってまた階段を登り始めた。
 しばらくして螺旋階段の上の方から明るい光がさしてきた。
 やっと階段の出口に着くと、広い広間に出た。
 古いお城みたいな建物は、石造りで冷たく冷え切ってる。
 高い天井を見上げると窓から青い空が見える。
 すがすがしい空気が窓から入ってきて急に息が楽になった。
 部屋の中を歩いてみたが、あちこちに通路があって何処が出口だか判らない。
 ともかく出口を探すしかないがピーチにも何処が出口なのか判らないらしい。
 どこでもいいから行ってみるしかない。
 正面の大きなドアを開けて、廊下を進んでみると行き止まりで左右に部屋が並んでる。
 部屋の窓から外を見ようと思って、部屋に入ってみたが窓がない。
 仕方ないからもとの大広間に戻って、他の通路に出てみたがやはり部屋が並んでるだけ。
 この城は何処を歩いても、出口が見あたらない。
 こうなったら天井近くにある窓から出るしかない。
 勇二君が鞭を振り上げて、うまく窓の金具に通すと鞭の先を下まで降ろした。
 鞭をしっかりと掴んで窓をめがけて昇り始めた。
 窓から身を乗り出すと外の景色が見えたらしい。
 勇二君が嬉しそうな顔で手を振ってる。
 まず彩香ちゃんが鞭を掴んで先に登って、次に有紀が登って最後に久美ちゃんがピーチを抱えながら登った。
 窓の外は大きなテラスになっていてタンポポが植えてある。
 だが空を見上げて彩香ちゃんが「やっぱりだめよ」と呟いた。
 有紀も空を見上げてみたが、太陽の色が変だとすぐ気がついた。
 一応は赤く輝いてるけど、本当の太陽ならまぶしくて直視はできないはず。
 あらためて城をよく眺めてみると、見覚えがある。
 ちょっと前に良一君と百合ちゃんが案内してくれたお城のある森だ。
 こないだ来たときに登った塔も、タンポポの植えてあるテラスの両脇にそそり立ってる。
 地上に登ったと思ってたけど、実際には実験場の一つ上の階に上っただけ。
 これじゃあしょうがない。
 ピーチの話しではやっぱりさっきの喫茶店の中からしか、地上に出る通路はないらしい。
 また今来た道を戻るのはとても無理だ。
 前来たときにはエレベータで登ってここに来たはずだ。
 エレベータで喫茶店のある歌舞伎町に戻れば、そこからはピーチが地上にでる通風口の道順を知ってると久美ちゃんも通訳してくれた。
 他に地上に戻る方法はあるかもしれないが、ピーチが知ってる道順を辿るしか今の所方法はない。
 だけどエレベータの有る場所までは森の中を通り抜けなければいけない。
 森の中にはまだあの変な怪物達がいるはず。
 怪物に捕まったら大変なことになる。
 エレベータまでの道はピーチが知ってるらしいので、ピーチを先頭に勇二君が鞭を構えて用心しながら歩き出した。
 この前きたのと同じ、森の中の道を抜けていくと何だか様子が変だ。
 シュルシュルと紐の擦り合うような音がすぐ近くから聞こえてくるけど怪物の姿は見えない。
 彩香ちゃんは不安そうに眉を寄せて、勇二君の後にぴったりと寄り添った。
 急にシュルシュルと有紀の背後で大きな音がした。
 有紀が振り返ると、江実矢君のすぐ後の木陰から怪物の足が伸びてくるのが見えた。
「恵美ちゃん危ない」と有紀が大声をだすと、江実矢君が慌てて飛び退いた。
 怪物の足がすっと伸びてきて空を切ると、また木陰の影に隠れて見えなくなった。
 勇二君が江実矢君の側まで来ると、鞭を構えて用心しながら怪物の居る方に歩み寄った。
 左右からまた怪物の足が伸びてきたが、勇二君が鞭を叩きつけるとすぐに引っ込んだ。
 勇二君が数歩前に進んで鞭を構えると、少し離れた木陰から怪物の大きな頭が見えた。
 以前見たときよりも一回りも大きくなった怪物の頭は、大きく膨らんだり縮んだりを繰り返して気持ち悪い。
 勇二君が怪物の頭を狙って鞭を叩きつけると、怪物は後に飛び退いた。
 鞭を怖がっているらしくて、すぐには近寄ってこない。
「今の内にエレベータに急いで逃げるんだ」と勇二君が鞭を振り回しながらみんなに声を掛けた。
 エレベータはこの先すぐにあるはずだから、勇二君が怪物を脅かしている隙に逃げ込めばなんとか成るはず。
 ピーチがエレベータの方向に走り出すと、久美ちゃんもすぐピーチの後を追いかけて走り出した。
 彩香ちゃんが「いそぐのよ、早く」と大声で叫ぶと有紀も江実矢君と一緒に必死で駆け出した。
 森の中の小道を走って右手に曲がると、すぐにエレベータのある建物が見えた。
 これで助かったと思って有紀は必死の思いで勢いをつけて走りつづけたが、久美ちゃんと彩香ちゃんの姿が見えない。
 どうしたんだろうと思った瞬間に、左右から怪物の足が伸びてきて有紀の手足に絡みついた。
 うまく怪物達の作戦にはまってしまったらしい。
 小さな怪物達の足に持ち上げられて有紀は森の奥まで連れていかれた。
 大きな広場には、怪物達が大勢待ちかまえていて、有紀の体に触手を絡ませてきた。
 前に来たときよりも怪物達の数が相当増えていて、彩香ちゃんや久美ちゃんの体にも数え切れないくらいの触手が絡みついてるのが見えた。
 不意に「彩香ちゃーん、どこにいるんだ」と勇二君が大声で叫ぶのが聞こえた。
 勇二君が助けにきてくれたんだ。
 勇二君の鞭が怪物達を叩きつけると、怪物の足がちぎれて飛んで紫色の血を流して地面にはね回っている。
 大きな怪物が、ピーチの体に触手を絡ませて抱え上げると勇二君の前に立ちはだかった。
 鞭を使おうにもピーチが人質になっては、とても使えない。
 勇二君が怪物のすぐ目の前に立ちつくすと、どうしていいのか判らずに怪物を睨みつけた。
 不意に木の上から大きな網が落ちてくると、勇二君の体に絡みついた。
 勇二君が鞭で網を払おうとしたが、大きな網はもう勇二君の体に巻き付いて解けない。
 怪物が木の枝を勇二君の鞭に絡めると、くるくると枝を廻して鞭を絡め取ってしまった。
 こうなると勇二君は手も足もでない。
 網の上から怪物の足が勇二君の体に巻き付いてブラジャーの上から勇二君の胸を締め付けようとした。
 その時、怪物の足がいきなり痺れたように震えて飛び跳ねた。
 何があったのか判らないが、勇二君が身につけたブラジャーには怪物を撃退する力があるらしい。
 怪物の大きな胴体がどさっと真横に倒れて地面に横になった。
 怪物の触手から自由になったピーチがすばやく木の枝に巻き付いた鞭の取っ手を口でくわえると、勇二君に駆け寄った。
 勇二君がピーチの口から鞭を取り上げて立ち上がろうとすると、勇二君の前に怪物が立ちはだかった。
 一番大きな怪物で、怪物の親玉らしい。
 怪物が勇二君の目の前に彩香ちゃんの体を抱え上げると、勇二君の顔色つきが変わった。
 彩香ちゃんの体は怪物の触手が絡みついて、足を左右に一杯に広げさせられた格好で震えてる。
 怪物の親玉はは彩香ちゃんの後で体を屈めて隠れてるので、これでは鞭が使えない。
 怪物の足が彩香ちゃんの口の中に入ると、彩香ちゃんが顔を歪めて苦しそうにしてる。
 彩香ちゃんの広げた足の丁度真ん中に怪物の足がくねくねと入り込むと彩香ちゃんの体中が痙攣を始めた。
 不意に彩香ちゃんの顔が気持ちよさそうな微笑みを浮かべた。
 瞼が半分開いたまま白目になって、口から涎を垂らす顔付きは普通じゃない。
 彩香ちゃんの体の中に怪物があの甘いゼリーを流し込んでるんだと有紀は気が付いた。
 このままだったら彩香ちゃんはもう怪物の餌食になって逃げられない。
 勇二君もこのままどうしていいのか判らないらしくて立ちつくすだけ。
 今にも泣き出しそうな顔で勇二君が顔を歪めると、鞭を地面に落とした。
 もうどうなってもいいと勇二君が覚悟を決めたらしい。
 次の瞬間に勇二君が彩香ちゃんめがけて両手を広げて全速力で駆け寄った。
 怪物の足がするすると地面を這うと、勇二君の足に絡みついた。
 胸を狙うと弾き飛ばされるのが判っているから勇二君の足を狙ってるんだ。
 怪物が勢いよく勇二君の足を引っ張ると、勇二君が仰向けに倒れた。
 こうなったら勇二君はもう絶対絶命。
 怪物の足がするすると勇二君の履いたリクルートスーツのパンツの裾に入り込んだ。
 リクルートスーツのパンツが盛り上がると、怪物の足が勇二君の股間まで届いてきた。
 もうだめと思った瞬間にいきなり怪物の体が震えると小さく縮ながら横に倒れた。
 勇二君の男の子の大事な物に怪物の足が触れたらしい。
 江実矢君の大事な物に怪物の足が触れたときも同じ事が起きたけど、勇二君は江実矢君のより大人で男の子の大事な物も一回りも大きさが違う。
 怪物があっというまに倒れちゃうのも納得できる話し。
 それに彩香ちゃんの恥ずかしい姿態を見せられて、勇二君の大事な物がおっきくなっちゃってたんだ。
 大学生の男の子の大事な物がおっきくなったりしたら、大変な大きさだ。
 それだけ威力も凄いってことだ。
 彩香ちゃんの体に絡みついていた怪物の足も糸みたいに細くなってちぎれて飛んだ。
 勇二君が起きあがると、目の前で怪物が倒れて居るのを見て何がなんだか判らないらしい。
 急いで勇二君が鞭を掴んで振り上げると、怪物達は一斉に逃げ出した。
 勇二君が彩香ちゃんに駆け寄ると、彩香ちゃんを抱きかかえて持ち上げた。
 彩香ちゃんも勇二君に必死で抱きついたが口から涎を垂らして眼も虚ろだ。
 ピーチがエレベータの方角に走り出した。
「急ぐんだ」と勇二君にせかされて、みんなでいっせいにピーチの後を追いかけた。
 エレベータまで辿りついたが、暗証番号が判らないとドアが開かない。
 さっきと同じに久美ちゃんの指がすばやく動くとしばらくしてドアが開いた。
 エレベータのドアがしまって動き出すと有紀はこれでやっと大丈夫だと思った。

通風口から脱出して地上に戻る

あらすじ
 ピーチの案内で、通風口を通って地上に脱出しようとしたけど、途中で道が判らなくなっ。百合ちゃんと良一君が後から追いついてきて、一緒に逃げたいと言い出だした。みんなで一緒に力を合わせて何とか地上にでた。

 エレベータで降りていくとドアが開いて見覚えのある場所に出た。
 小部屋をでると目の前は大通り。
 すこし先が神社で、その先には喫茶店があるはずだ。
 近道をして神社の中を通りすぎて、大通りに出ようとすると左右から女の子が二人飛び出してきて道をふさいだ。
 四つ葉学園の制服を着た小柄な身体の女の子の顔には見覚えがある。
 江実矢君に数学の応用問題の答えを写させてもらっていた女の子達だ。
 いつもは楽しそうな笑顔しか見たことがないけど、二人とも顔が引きつって強ばっている。
 きつい眼差しで睨みつけられて、勇二君は足を止めて二人の様子を確かめた。
 手にした短剣はに刃の先がこちらに真っ直ぐと向けられている。
 勇二君が後ずさりをして引き返そうと振り返ったとき、公園の反対側の出口からも女の子が両側から飛び出してきた。
 同じ四つ葉学園の制服を着た女の子だ。
 神社の中を見まわしてみると、出入り口には女の子が二人ずつ組になって道をふさいでる。
 勇二君は手にした鞭を大きく廻しながら少しずつ先に進んだ。
 女の子達は鞭が恐いのか近づいては来ない。
 神社の中央まで来ると女の子達が周りを取り囲みながら近寄ってきた。
 このままだと「フォーメーション、サークルG」の餌食になる。
 勇二君は彩香ちゃんと有紀と江実矢君それに久美ちゃんが固まって身構えてる周りを回りながら鞭を上下に揺さぶって振りはじめた
 まるで新体操の縄の演技のように、鞭が波打つと女の子達の姿がふと消えた。
 今がチャンスと思って神社の出口に進むと、狛犬の手前で女の子が左右の木から降ってきて目の前でジャンプして反対側の木に飛び移った。
 消えたと思った女の子達は、神社の木の枝に飛び移っていたんだ。
 勇二君が今度は左右に鞭を振りながら狛犬の前に歩み寄った。
 不意に勇二君の手が止まって鞭が動かなくなった。
 鞭の先が鳥居の横の狛犬の口に引っかかっちゃったんだ。
 勇二君が鞭をひっぱろうとして力をいれると、今度は勇二君の手から鞭が落ちて跳ね飛んだ。
 今がチャンスとばかりに、女の子が一人勇二君の目の前に突進してきた。
 短剣が勇二君の胸に突き刺さったと思ったとき、短剣が跳ね返されて飛び跳ねた。
 さっき勇二君が鈴木先生から奪って胸に付けているブラジャーのせいらしい。
 特別製のブラジャーで、短剣の刃を跳ね返してしまうすごい性能の戦闘用ブラジャーなんだ。
 女の子は短剣がはね飛ばされるとは思っていなかったらしく、すとんと勇二君の目の前で尻餅をついてしまった。
 女の子のすぐ横にさっきまで勇二君が持っていた鞭の取っ手が飛び跳ねてるのを見て女の子は手を伸ばして鞭を掴もうとした。
 鞭を奪われたらもうとてもこの女の子達には勝ち目はない。
 ピーチがすばやく飛び出すと、女の子が掴もうとした鞭を口で挟むと勇二君の所に戻ってきた。
 女の子が立ち上がろうとしたとき、勇二君が鞭をひっぱると、ちょうど女の子の股間に鞭の先があたった。
 女の子は急にぴくんと飛び跳ねると、地面に倒れ込んでそのまま手足が震えてる。
 ロボットの股間は充電プラグになっていて、そこが急所らしい。
 勇二君が用心深く鞭をそっと振るわせると、鞭の先端が女の子の股間をくすぐるように動いた。
 ぴくんと女の子の体が仰け反ると、足を大きく開いた格好で腰を上下に振り始めた。
 なにが起きたのかは判らないが、この鞭には特別に女の子の体を気持ちよくする機能が付いてるらしい。
 勇二君が試しに鞭を振って波のように動かすと、女の子の体が上下に震えて止まらない。
 まるで故障したロボットみたいで見ていても怖くなってきちゃう。
 他の女の子たちは、勇二君の鞭を怖がってもう近寄ってこない。
 逃げるなら今だ。
 勇二君を先頭に素早くみんなで神社の中を駆け抜けた。
 後を振り返ると他の女の子達は神社の中央で倒れた女の子を助け起こしてどこかに運んでいなくなった。
 これなら女の子達が追いかけてくる心配はない。
 大通りの先の喫茶店の前まで来ると、今度は自動販売機の横から誰かが飛び出してきた。
 黒い短剣を手にしているのは良一君だ。
 良一君は勇二君が彩香ちゃん達を助けに来たことを知ってるはず。
 なんだか面倒なことに成りそうだと有紀は心配になった。
 良一君もさっきの四つ葉学園の女の子と同じで勇二君の持ってる鞭を用心してすぐには近寄ってこない。
 勇二君はさっきの出来事でブラジャーが短剣を跳ね返すのを知っている。
 わざと鞭を地面にたらして良一君に隙を見せた。
 良一君が低い姿勢で突進してくると、短剣の先が勇二君の胸に触れた途端に跳ね返された。
 後ろ向きに良一君が尻餅をついたとき、すばやく勇二君は良一君の股間を鞭で叩いた。
 さっきの四つ葉学園の女の子と同じように、良一君は身体を上下に揺すりながら震えだした。
 良一君が苦しくて泣き出しそうな目で勇二君を見上げてる。
 なんでこんな事になるのか理由は判らないが、この鞭には特別な機能があるらしい。
 すぐには立ち上がれない様子なので、すばやくみんなで良一君の横を通り過ぎて喫茶店の前まできた。
 入り口から入ろうとすると、すぐ目の前に鞭が飛んできてびっくりして有紀は尻餅をついた。
 喫茶店の前に鞭を持った鈴木先生が立ちはだかっているのが見えた
 鈴木先生が待ち伏せしてたんだ。
 慌てて勇二君が大通りの反対側まで飛び跳ねるように逃げた。
 彩香ちゃんに助けられて慌てて有紀が立ち上がると勇二君の側に駆け寄った。
 鈴木先生はさっきの牢獄からここに先回りし待ち伏せしてたんだ。
 さっきは勇二君に服を脱がさせて丸裸にされたけど、今度は鈴木先生は前よりも胸がづんと大きく突き出てる。
 着てる服も黒い皮の衣装にに金具が取り付けてあってまるで鎧みたい。
 体にぴったりとした衣装からは胸やお尻が突き出して見えて妙な大人の色気がある。
 両手に太い鞭を持ってるけど、勇二君が持ってる鞭よりも長くて太い。
 鈴木先生が喫茶店の入り口から大通りにゆっくりとした足取りで一歩づつ近づいてきた。
 勇二君が思いきり手を伸ばして鞭の先を鈴木先生の胸に叩きつけたが、鞭の先は跳ね返されるだけで何の効果もない。
 鈴木先生が着けているブラジャーもやっぱり鞭をはね飛ばす高性能の戦闘用ブラジャーらしい。
 鈴木先生は自信たっぷりな態度で鞭を持った手を左右に広げながらゆっくりと勇二君に近づいて来た。
 有紀は思わず鈴木先生の顔を見つめた。
 怒り狂っているようにも見えるがどこか楽しそうな顔で、勇二君を虐めるのが楽しくてしょうがないらしい。
 久美ちゃんがピーチと何か話しをしてるらしくて「くーんくんんんー」とピーチのうなる声が聞こえてきた。
 久美ちゃんの話ではこの裏にうまく逃げ込める店があるらしい。
 勇二君と一緒に鈴木先生の前から逃げ出すと、鈴木先生はすぐには追いかけてこない。
 ピーチの後から裏通りの細い道に入ると焼鳥屋みたいな小さい店が並んでる。
 店の奥にトイレがあるので、用具室をドアを開けた。
 狭くてとても全員は入れないが、床にマンホールみたいな穴がある。
 ピーチの話しではこのマンホールが通りの向こうの喫茶店のトイレに通じてるらしい。
 みんなで順にマンホールに入ると狭い穴を這って通り抜けた。
 狭い穴から何とか抜け出すと、喫茶店の中にあるあの変な形の十字架のある部屋に出た。
 ピーチの話しでは、さっきと別の場所に通風口の出入り口があるらしい。
 さっき有紀が開けた壁の近くを押すと、また別の入り口が開いた。
 通風口らしいけど、中の壁にはハシゴがあって上に続いてる。
 さっそく勇二君が先頭になって、ハシゴを昇り始めた。
 狭い通路をやっとのことで登っていくと、途中で勇二君が進むのを止めた。
 真上が左右に分かれ道になっていてどっちに行けばいいのかわからないらしい。
 ピーチをみんなで手渡しで真上まで運んで、臭いで通路の方向を調べてもらうと右の方向らしい。
 しばらくしてまた上に登る階段があり、その先を進んでみるとまた分かれ道だ。
 またピーチに臭いで調べて貰って今度は左に進んでいくとその先は下りの階段がある。
 途中登ったり降りたりを繰り返しながら進んでいくと、ピーチが「くーぅぅん」と鼻をならすだけで道が判らなくなった。
 いつの間にか同じ場所にでてしまったらしい。
 どっかで道を間違えたらしいが、どこで間違えたのか判らない。
 ともかくさっきと別の道をいってみるしかない。
 しばらく細い送風口を這って進むと、遠くから物音が聞こえてる。
 誰かが地上から降りてきたらしい。
 これで助かったと思って、彩香ちゃんが大声で「ここにいまーす」と叫んだ。
 返事が全然ないので「ここにいます、助けて」と今度は勇二君が大声で叫んだ。
 階段を降りてくる物音が近づいてくるけど返事がない。
 キンコンキンコンと金具がぶつかるような音がするのも変だ。
 彩香ちゃんが様子を見ようとして、音のする通風口に近寄って上を見上げた。
 上から近づいてくる人影を見つけたらしくて、彩香ちゃんの顔が一瞬綻んだがすぐにまた引きつった。
 地上から助けに来たと思った人影は、四つ葉学園の制服を着てる追っ手の女の子達だ。
 キンコンと音がするのは腰に付けた短剣の音だ。
 こんな狭い場所であんな物騒な女の子達の相手なんかとてもできるわけがない。
 慌てて彩香ちゃんが逃げて戻ろうとしたとき、足を滑らせてパイプの間に挟まった。
 必死で足を抜こうとしてるが慌ててるせいでなかなか足がはずれない。
 勇二君が急いで彩香ちゃんの近くまでパイプの中を這って進んだがもう遅い。
 すぐ目の前に四つ葉学院のスカートの裾から出た足が見えた。
 勇二君が鞭をもって身構えたが、こんな狭い所で鞭なんか使えるわけがない。
 もう逃げられないと思ったとき、女の子の顔が見えた。
 最初に顔を見せたのはあの百合ちゃんだ。
「彩香ちゃん、やっと見つけた」と百合ちゃんに言われて、彩香ちゃんももう駄目だと観念して座り込んでしまった。
 百合ちゃんのすぐ後から姿を見せた四つ葉学院の制服を着た女の子はなんだか顔が変だ。
 女の子の格好をしてるが、あの良一君だ。
 なんで良一君が四つ葉学園の制服で女の子の格好をしてるのか訳が分からない。
 百合ちゃんは、彩香ちゃんの手を掴むと「お願い、私達もいっしょに連れて行って」と必死な顔で叫んだ。
「私達、ここから逃げたいの」と百合ちゃんに言われて彩香ちゃんにも事情が分かって着た。
 百合ちゃんと良一君は逃げ出した有紀や彩香ちゃんそれに勇二君と久美ちゃんを捕まえにきた訳ではなかったみたい。
 一緒に逃げたくて後を追いかけてきたんだと判って一安心。
 良一君も逃げ出す時に目立たないように四つ葉学園の制服をきて女装したらしい。
「だめよ、あなた達なんかに逃げる理由なんかないでしょう」と久美ちゃんがいきなり百合ちゃんと良一君に食ってかかった。
「あなた達、結婚して二人で幸せになればいいのに、なんで逃げなきゃ行けないのよ」と久美ちゃんが言うのももっともだ。
「私達本当の愛が知りたいんです、本当の愛は体験しなきゃ判らないんです」と百合ちゃんが言い出したので今度は勇二君が目を丸くした。
 いくらロボットが人間そっくりだからって、愛を体験するなんてできっこない。
 だいたい男と女が恋をして結婚するというのも、子供を作って育てるというのが一番大事な仕事。
 愛なんて大げさに大事な事みたいに持ち上げてるけど、子供が作れなければ愛なんて成立する訳がない。
「私にも、良ちゃんにも、本当にふさわしい相手が必ず居ると思うんです、いろんな人とおつきあいすれば自分にふさわしい人を見つけられるはずなんです」
「でもその為にはいろんな人と、おつきあいしてみないと駄目なんです」と随分とロボットの癖して一人前な事を言うのでさすがに彩香ちゃんも何も言えない。
 有紀は良一君を見ていて変な事に気がついた。
 以前良一君を見かけた時は、男の子の服をきていたから男の子だと思ったけど、こうして百合ちゃんと同じ四つ葉学園の制服を着てると、体つきが良一君も百合ちゃんもそっくり同じだ。
 それだけじゃなく、久美ちゃんだって鈴木先生だって体つきは全部一緒。
 この世界はまだベータテストだって鈴木先生も言ってたけど、ロボットは顔が違うだけで身体は全部一緒みたい。
 だとすると良一君は顔は男の子だけど、身体は他の百合ちゃんや久美ちゃんと一緒の女の子だってことになる。
 そうだとすればいくら良一君が百合ちゃんと仲良くなったって女の子同士でしかない。
 お互いに恋人同士で愛し合うなんて事はできるわけがない。
 良一君もそれに気がついてるのかもしれない。
 だから良一君が四つ葉学園の制服を着て女の子の格好をしてるんだとすれば納得のいく話しだ。
 いきなり彩香ちゃんが良一君のスカートを捲りあげた。
 彩香ちゃんも有紀と同じ事を思ったらしい。
 膝より少し上までしかないプリーツスカートが宙に舞って良一君のはいてる下着が丸見えになった。
 真っ白なレース模様のパンティーは、スケスケでお色気たっぷりだ。
 男の子が女の子の格好をするだけなら、こんなパンティーを履いたりするわけがない。
 良一君が自分は女の子だと思ってるから、下着まで女の子の格好をしたかったのに違いない。
「ねえ、あなた、隠してることがあるでしょう」と彩香ちゃんが良一君のスカートの裾を持ったままきっぱりと言った。
 隠し事を白状させるにははっきりと言った方がいい。
 逃げ隠れしようなんて気持ちが起きないように迫った方が効果的だ。
「あなた、まだ言いたいことがあるんでしょう、いいなさいよ、言った方が気持ちがすっきりするわよ」と彩香ちゃんが強引に迫った。
 良一君はスカートの裾を押さえようとしたけど、彩香ちゃんは手に力を込めてひっぱり上げた。
「話しますから、お願いゆるして」と良一君がまるで女の子みたいに泣き出したので彩香ちゃんはやっと手を降ろした。
 良一君はスカートの裾を恥ずかしそうに押さえながら「私、勇二さんのこと好きなんです」と小さい声でささやくと、俯いて泣き出した。
「お願い、私を幸せにして下さい。私を本当の女にしてください」と良一君が言うと勇二君困った顔で彩香ちゃんの方を見た。
 勇二君の鞭はこの通風口では狭くてとても使えない。
 良一君の機嫌を損ねて、ここで乱闘にでもなったらどんな事になるのか見当も着かない。
 良一君と百合ちゃんを追い返せば、四つ葉学園の女の子達に居場所を知らせる事になる。
 ともかくなんとか良一君と百合ちゃんの機嫌を損ねないようにして、しばらくは一緒に行動するしか方法はない。
 勇二君が大きく息を吸い込んでから「大丈夫。僕が幸せにするよ」と良一君をなだめた。
 これでなんとか良一君が納得してくれるといいんだけどと思って有紀は不安な気持ちで良一君の返事を待った。
「幸せってどんな気分なんですか」と良一君に聞かれて勇二君はもう一度大きく息を吸いこんでから「とっても良い気分なんだ、最高に気持ちが良いんだよ」と答えた。
 良一君が嬉しそうな顔で微笑んだので、これでなんとか成ったと有紀は一安心した。
 急に良一君が勇二君に抱きつくと、二人の体が狭い通風口の床に重なって寝そべる格好になった。
 勇二君はここで良一君の機嫌を損ねるとやっかいな事になるのがよく判ってるらしい。
 勇二君の両手が良一君の背中をそっと撫でると、良一君も体を捩って自分の胸を良一君の胸に押し着けてきた。
 勇二君が良一君の口に唇を重ねると、良一君の腰がくねくねと前後に動き出した。
 どうも変だと思ってよくよく見ると、良一君はさっき勇二君に鞭で叩かれたときと同じ半分笑ったような変な顔をしてた。
 きっとコンピューターの回路が壊れたんだと有紀は思ったけど、うっかり口には出せない。
「さあ、ともかくここから出るんだそうしないと、僕たちは幸せにはなれないよ」と勇二君が良一君を説得すると、良一君も納得したのか大人しく頷いた。
 なんとか全員で、ここを脱出しようと話しはまとまったが、道が判らない。
 一回りして同じ場所に戻ってしまったということは、きっとどこか別の道が有るはず。
 もう一度同じ道を通って、別の分かれ道を探せばきっと地上に出られるはずだと久美ちゃんがアイデアをだした。
 確かにそれもそうだ。
 ピーチが地上からこの地下の実験場に降りてきたんだから、どっかに登る道は有るはず。
 ピーチを先頭にしてまたしばらく通風口を這って進むと、急にピーチがうなり声をあげて立ち止まった。
 さっきも通った場所だが、天井がすぐ真上にここだけ高くなってる。
 これはなにかあると、さっそく久美ちゃんがピーチに話しを聞いてみた。
 ピーチのうなり声を久美ちゃんが通訳してみんなに教えてくれた。
 ピーチの話しではこの天井から下に降りてきた事があるらしい。
 前はハシゴがあったけど、今はもう取り外して見つからない。
 勇二君も、たしかここにハシゴがあって上から降りてきたはずだと言ってる。
 このすぐ真上に、上に通じるドアがあるに違いない。
 だけど天井はここだけ高くなっていてとても届かない。
 また久美ちゃんがアイデアをだした。
 チアリーディングのピラミッドを組めば天井まで届くはず。
 さっそく勇二君が一番下に立つと、両脇に彩香ちゃんと良一君が並んだ。
 三人の肩の上に、百合ちゃんと久美ちゃんが並んで立つと、その上に江実矢君が上手いこと百合ちゃんの膝と肩に手をかけて登った。
 しゃがみ込んだ姿勢から、ゆっくりとバランスを取りながら江実矢君が立ち上がると三段ピラミッドの完成だ。
 チアリーディグでは三段ピラミッドはよく演技でやるけど、バランスを取るのが難しくてなかなか上手にはできない。
 さすがに江実矢君は身軽で、男の子なのに立志館学園のチアリーディグクラブのラブファイターズに誘われただけの事はある。
 ピラミッドは出来上がったけど天井はまだそれより高くて、江実矢君が背伸びをしてもすぐには届かない。
 下で江実矢君の足を支えてる、百合ちゃんと久美ちゃんが江実矢君の足を下から手で持ち上がると、江実矢君の身体がまた少しだけ上に持ち上がった。
 江実矢君の手がやっと天井に届くと、叩きながら開く場所を確かめてみた。
 確かに天井の上は、空間があるらしくて叩くと音が響く。
 天井を手で上に押してみたが、動かない。
 試しに下にひっぱってみると、すっと天井がずれて開いた。
 江実矢君の手が天井の板からはずれると急に手の力が行き場を失って、江実矢君のバランスが崩れた。
 少しだけ江実矢君の身体が斜めになっただけだけど、ピラミッドの頂上では少しでもバランスを崩したらとても立ってなんか居られない。
 あっと思う暇もなく江実矢君の身体が真っ逆さまにピラミッドから落ちてきた。
 だけどくるりと江実矢君の身体が一回転すると、天井を吊す鎖に足をひっかけて上手くつり下がった。
 そのまま上手く身体を支えながら、天井に這い上がると江実矢君は上手く扉を開けて上に登った。
 どうやら上手くいったらしくて、江実矢君は扉の間から下に手を振って合図をしてきた。
 今度は久美ちゃんが百合ちゃんの肩に上がると、するりと手を伸ばして江実矢君の延ばした手を掴んだ。
 すると今度は、下の段で良一君が一人で百合ちゃんと久美ちゃんの身体を支えた。
 良一君と百合ちゃんと久美ちゃんが縦にならんでまるでハシゴみたいに身体を支えてる。
 普通の男の子や女の子だったらこんなこと出来るはずがないけど、ロボットだからこのくらい全然平気なんだ。
 最初に身の軽い有紀が、三人の作ったハシゴを登ると、次は彩香ちゃん、最後に勇二君が上まで登った。
 だけど、この後は残った良一君、百合ちゃんと久美ちゃんが全員上まで上がるのは無理そうだ。
「ちょっと離れてて」と久美ちゃんが言うと「いち、にっ、さん、しゃー」と久美ちゃんがかけ声を掛けた。
 三人の身体がまるで巻き尺みたいに巻き付きながら天井まで上がってくると、ぴょんと飛び上がって床に転がった。
 まるでドラム缶みたいに巻き上がった三人の体が、目の前で解けるのをみて有紀はびっくりして目を丸くした。
 こんなこと普通の人間じゃ出来るわけ無いけど、タコイーカ財団の開発したロボットは本当に凄い性能だ。
 細い通路はしばらく上に続いていたが行き止まりになっていて横に開くドアがある。
 ピーチの話しではこれが地上に開いているドアらしいが、どこに出るかはピーチにもわからないらしい。

地上に出ると出会い系喫茶の店の中

あらすじ
 地上にでたけど、通風口の先は出会い系喫茶。勇二君が先に外にでて外の様子を確かめると間違いなく地上らしい。出会い系喫茶でモシモシ倶楽部の三人とビデオチャットして店まで迎えに来て貰うことになった。

 うっかり外にでて誰かに待ち伏せでもされていたら元の黙阿弥だ。
 勇二君がそっとドアを開けて外に出ると、周りの様子を確かめてから「大丈夫誰もいないから」と声を掛けてきた。
 順に狭いドアから外にでてみると、すぐ目の前に変な格好をした十字架が見えた。
「あれ」と有紀は思って周りを良く見回してみた。
 ロボット実験場にあったあの喫茶店とそっくりそのまま同じ部屋の作りだ。
 階段で上に登ったつもりだけど、いつのまにか同じ場所に戻ってしまったらしい。
 彩香ちゃんも不思議そうな顔をして部屋の中を見回してる。
「ねえ、同じ場所に戻っちゃったんじゃないの」と有紀は恐る恐る勇二君に聞いてみた。
 勇二君もやっぱり変だと気が付いたみたいだが、ピーチは此処が間違いなく地上だと言ってる。
 ピーチに言わせると「臭いが違う」らしい。
 もしもロボット実験場の喫茶店に戻ったとしたら、マジックミラーのある女の子の部屋があるはず。
 十字架の置いてある右側の奥にあるのがどうやら女の子の部屋に通じるドアらしい
 ドアから女の子の部屋を覗いてみると、勇二君は驚いたような顔をして彩香ちゃんに合図した。
 彩香ちゃんも勇二君の後から女の子の部屋をちらっと覗いてみてびっくりして口が半分開いたままた。
 勇二君が先に女の子の部屋に入ると、順にみんなで女の子の部屋に移動した。
 有紀も彩香ちゃんの後から部屋にはいると、彩香ちゃんがびっくりした理由が判った。
女の子の臭いが部屋の中いっぱいに立ちこめていて、まるでお香を焚いたように鼻につんと来た。
 ピーチが「臭いが違う」と言ったのはこのせいだと有紀も納得した。
 部屋の中では大勢のセーラー服を着た女の子達が座ってビデオチャットをしてる。
 着ているセーラー服は四つ葉学園の制服ではなくて一人一人着てる制服が違う。
 体つきも一人一人みんな違うし座り方だってばらばらだ。
 四つ葉学園のロボットの女の子達とは全然違う。
 マジックミラーの鏡の前にカウンター席が並んでるのは、地下の実験場と同じだ。
 地上にあるのと同じ建物をそっくり地下のロボット実験場にも作ってたらしい。
 だけど外に出てみないと、本当に地上に戻ったのかは判らない。
 ここがあのロボット実験場の喫茶店と同じ作りなら、トイレから男の子の部屋に入れるはず。
 試しに勇二君がトイレの中を通って男の子の部屋に入ってみた。
 彩香ちゃんがパソコンの前に座って待ってるとすぐに勇二君からビデオチャットの誘いが来た。
 男の部屋からはこちら側がマジックミラーで丸見えになってるらしい。
「やっぱりここは地上みたいだ、ここにいるのはロボットじゃない」と勇二君が興奮して彩香ちゃんにビデオチャットで報告してる。
「本当に地上にでたの、本当なの」と彩香ちゃんが勇二君に確かめてるけど、彩香ちゃんはまだ信じられない様子。
 彩香ちゃんと勇二君がビデオチャットしてる間にも、勇二君の横から誰か他の男の人が話しかけてきた。
「君可愛いね、この店には良く来るの」と男の声が、パソコンのスピーカーから聞こえてきた。
 勇二君は胸に鈴木先生のしてたブラジャーをしてるから巨乳に見えるらしい。
 それに着てる服も鈴木先生から脱がした女性用のパンツスーツだ。
 伸び縮みする生地は身体にぴったしで、デザインも女の子の身体に合わせてある。
 出会い系喫茶の店の中では照明が暗いから女の子に見えちゃうのもしかたない。
 部屋には他にも男の人が大勢いるらしくて、女の子とチャットする声がスピーカーからも聞こえてくる。
 取りあえず勇二君が店から出て、外の様子を確かめてくるという事になった。
 もしかしてここはまだあのタコイーカ財団の地下の実験場かもしれない。
 だとすると店の外にはあの、四つ葉学院の女の子達や鈴木先生が待ちかまえているってことも十分あり得る。
 だが外に出て確かめない事にはここにずっと居ても仕方ない。
 勇二君が席を立ってチャットの画面から消えていった。
 だけど勇二君が他の男の人としゃべる声がまだ続いてる。
 勇二君は誰かにカラオケに誘われてるけど勇二君は必死で断ってる声が聞こえた。
 男の人に手を掴まれて、すぐには店から出られないらしい。
 彩香ちゃんはもうすぐにでも本当に地上に戻ったのか知りたくていらいらしてる。
「いいから、さっさとカラオケでもどこでも行ってきなさいよ」とつい大声をだしてしまった。
 するとさっきまで勇二君が座って居た席に、別の男の子が座った。
 勇二君が店を出たらしくて、もう勇二君の声は聞こえなくなった。
「ねえ、君、この店にはよく来てるの」とビデオチャットで男の子の声がパソコンのスピーカから聞こえてきた。
 パソコンの画面に映ってる男の子は、よく見ると眉毛も左右がすこし歪んでるし鼻もちょっと曲がってる。
 顔の輪郭だって口元がちょっと曲がってる。
 ロボットだったら左右が完璧に対称な顔をしてるはずだから、彩香ちゃんに話しかけてきたのは本当の人間らしい。
 だけどもしかして、良くできてロボットかもしれない。
 タコイーカ財団が開発した新型のロボットだって事も十分あり得る話しだ。
「ねえ、136かける23はいつくになるか答え判りますか」と彩香ちゃんがいきなり思いついて男に聞いてみた。
 ロボットなら暗算は得意なはず、答えなんか彩香ちゃんにだってわかんないけどすぐに答えられたらこの男の子はロボットだ。
「なんの話しかな、それより、君学校はどこ」と男の子に聞かれた。
「四つ葉学園です」と彩香ちゃんはうっかり答えてしまった。
 四つ葉学園はあの地下のタコイーカ財団のロボット実験場にある学校だ。
「あ、そうなの」と男の子が答えた。
 四つ葉学園なんて名前は何処にでもありそうな名前だから、男の子は本当に近くにある学校だと思ったらしい。
「担任の先生は鈴木先生なんです」と試しに彩香ちゃんが言ってみた。
「いつも黒いスーツを着ていて、ブラジャーはDカップなんですよ」と試しに言ってみると「それは凄いな、でも君も胸は凄いよね、ブラジャーのカップはいくつなの」と逆に聞き返された。
 彩香ちゃんは恥ずかしそうに「Fカップなんです」と答えた。
「君はまだ中学生、すごいね中学生でFカップなんだね」と男の子が急に目を輝かせて声の調子も変わった。
「はい」とだけ答えたけど、彩香ちゃんは何を話したらいいのか言葉に詰まって何も言えなくなった。
「男の子と付き合ったことあるの」と男の子が聞いてきた。
 江実矢君だったら誕生会にも何度も呼んでるし、一緒に原宿に買い物にだって良くいってるから付き合ってると言えば付き合ってる。
「はい」とまた彩香ちゃん答えると。「Aかな、Bかな、それともC」と男の子に聞かれた。
 彩香ちゃんはクラスがC組だからうっかり「C」ですと答えてしまった。
 だけどすぐに男の子があのことを聞いてるんだと気がついて彩香ちゃんは顔が赤くなった。
 とてもこんな話ししてられないと彩香ちゃんはビデオチャットを切ろうとしたけど、こちらからはチャットを止められない仕組みになってるらしい。
 勇二君が外の様子を確かめるまでは、しばらくこの男の子の相手をするしかない。
 エッチな話しばかりが延々と続いてうんざりだけどなんとかはぐらかして時間を稼いでいると、勇二君からのビデオチャットの画面がパソコンに開いた。
 携帯かもらビデオチャットに接続してきてるらしい。
 勇二君の顔が薄暗い夜の街を背景に上下に揺れながらパソコンに映った。
「外の世界だ間違いない、星空も、月も本物だ」と勇二君が興奮した口調で話すと、携帯のカメラを夜の月に向けた。
 たしかに丸いお月様がビデオチャットの画面に映ったけど、本物の月かどうかなんてパソコンで見たって判らない。
 勇二君が言うんだから本当の月に違いない。
 急に勇二君のカメラに男の姿が映った。
 さっき勇二君と一緒にこの店をでた男達らしい。
 男達はは無理矢理に勇二君をカラオケ店に連れ込もうとしてる。
 勇二君が必死で手を振り解こうとすると、今度は男が勇二君に抱きついてきた。
 するとチャットの画面に飛んでもない物が映った。
 勇二君はまださっきの鈴木先生の戦闘用ブラジャーをしていたんだ。
 そのブラジャーの胸がいきなし飛び跳ねて動くと男の顔をまるでボクシングのグラブみたいに一瞬でノックアウトしてしまった。
 鈴木先生のブラジャーは短剣の刃を防ぐだけだと思ってたけどこんな凄い機能もついてたんだ。
 勇二君は男達からにげだすと、一安心したのか顔付きも落ち着いた様子だ。
「僕はこれから研究所に戻るから、君たちもすぐその店を出るんだ」とビデオチャットで勇二君が言うと画面が閉じた。
 さっそく店を出ようと思って、席を立って出口まで言ってみたが店員に止められた。
 この店では男の子と一緒でないと店をでられないらしい。
 しかたなく席に戻ってチャットの相手を捜したが、さっき話しかけてきた男の子はもう別の女の子とチャットを始めてる。
 店には女の子の方が男の子より人数が多いらしくて、しばらく待ってみたけど話しかけてくる男の子はいない。
 ようやくビデオチャットの画面が開いて男の顔が見えた。
 モシモシ倶楽部のトンキーさんだ。
 トンキーさんとは、テレビドラマの収録で最近紹介されたばかりだ。
 トンキーさんはすぐには彩香ちゃんの顔に気がつかなかったらしくて「可愛いね、学校はどこ」とか言ってる。
「私のこと覚えてないんですか」と彩香ちゃんが怒った顔で言い返すとトンキーさんは「あ、クラブロザンナの芳恵ちゃんだったよね、あれ違った、ローズガーデンの沙織ちゃんだ、御免間違えて」と全然彩香ちゃんの事を覚えてない。
 他メンバーもいて「こないだ、一緒にドラマの収録した彩香ちゃんだろ、なに言ってんだお前」とすぐ横から口を挟んできた。
 三人とも一緒で、近くのゲーム喫茶に収録で来てるらしい。
 いますぐモシモシ倶楽部の三人に迎えに来ててもらえばここから逃げ出せる。
 だけど彩香ちゃんと江実矢君と有紀の三人がたった今、地下のタコイーカ財団のロボット実験場から逃げ出してきたなんて話しをしたって信じてもらえるわけがない。
「これから、一緒に遊びませんか」と彩香ちゃんがトンキーさんに頼んでみた。
 普通だったら女の子からお誘いを断る男の子なんかいない。
「僕たちね、ちょっとこれから収録があるんだ」トンキーさんは随分とそっけないので彩香ちゃんはがっかり。
 モシモシ倶楽部の三人は人気のお笑いタレントだ。
 女の子から一緒に遊びませんかなんて誘われるのはしょっちゅうだから、誘われたってそのたび相手なんかしてたら身体が幾つあっても足りない。
「私寂しいの、誰か側にいてくれないともう死んじゃう」と彩香ちゃんが身体をくねらせてわざとFカップの巨乳が揺れてトンキーさんに良く見えるにと身体を前に乗り出した。
 トンキーさんだって男だ。
 彩香ちゃんの巨乳を見たら男だったら涎を流すはず。
 だけどトンキーさんは彩香ちゃんの巨乳を目の前に見せられても別に何も感じないらしい。
 テレビタレントの女優さんには巨乳を売り物にしてるグラビアアイドルが一杯いる。
 身体を使って自分を売り込むなんて芸能界では当たり前だ。
 トンキーさんも巨乳なんかしょっちゅう見慣れてるし、巨乳のグラビアアイドルからのお誘いなんてしょっちゅうに違いない。
 これじゃあいくら誘っても上手くなんかは行くはずない。
 有紀はふと横で見ている江実矢君を見て良いことを思いついた。
 江実矢君は四つ葉学園のセーラー服を着てるし、ブラジャーで胸も膨らませてる。
 トンキーさんがテレビの収録で江実矢君と会ったときもトンキーさんは江実矢君を女の子だと思ってた。
 トンキーさんが妙に江実矢君に愛想がいいのを何だか変だとそのとき有紀は気がついた。
 トンキーさんは江実矢君がお気に入りに違いない。
 だったら江実矢君が誘えば、トンキーさんは絶対に断れないはずだ。
「ねね、恵美ちゃんと替わったら」と有紀は彩香ちゃんに言ってみた。
 彩香ちゃんは最初は、有紀の言ってる意味が分からずに怪訝な顔をしてるだけ。
 身体を左右にゆすって胸を揺らせてトンキーさんの気を引こうとしてるけど、いくらやっても駄目。
「恵美ちゃんの方が良いから」と有紀がもう一度言ってみると急にトンキーさんが「恵美ちゃん、一緒に来てるの」と聞いてきた。
 彩香ちゃんが「恵美ちゃんの方がいいんですか」と試しに聞いてみるとトンキーさんは急に顔を手で覆ってから変な格好で開きながら「こんばん、にゃんこ、恵美ちゃーん、だいちゅき」とギャグのつもりらしくて甲高い調子の声で叫んだ。
 トンキーさんのお気に入りが江実矢君だと彩香ちゃんも気がついたらしくて、すばやく席を立つと江実矢君をパソコンの前に座らせた。
 江実矢君はいきなりトンキーさんが映ってる画面を目の前にしてすぐには言葉がでない。
「恵美ちゃん、ずっとトンキーさんに会いたがってたんですよ、会えなくて寂しいんだって」とすぐに有紀が横からマイクに話しかけた。
 彩香ちゃんも「恵美ちゃんは、トンキーさんが大好きで、いつもトンキーさんの話しばかりいつもしてるんです」と調子を合わせて横から勢い込んでトンキーさんに話しかけた。
 まだ江実矢君が何も言い出さないので、今度は彩香ちゃんが横から江実矢君のお尻をつねった。
 江実矢君が思わず「あ、ぁ」と小さな声をだすと、トンキーさんの眉がぐぐっと動くのが見えた。
 これなら上手くいきそうと思って今度は有紀が江実矢君の膝頭を指先でくすぐってみた。
 江実矢君は思わず体を捩らせて、椅子に座ってる足が開いた。
 彩香ちゃんがつかさず、江実矢君の腿に手をあてがうと江実矢君の足を無理矢理いっぱいに開かせた。
 彩香ちゃんが江実矢君の足を押さえている間に、有紀が指先で江実矢君の腿の内側をそっと撫で上げた。
 江実矢君はたまらずに何度も体を捩ったが、その度に四つ葉学園のセーラー服のスカートの裾が捲れ上がった。
 ともかくトンキーさんに気に入られるには出来る事は何でもするしかない。
 有紀が江実矢君のスカートの下に手を入れて、大事な所をそっと指先でくすぐった。
 江実矢君はさすがに我慢できなくて、足が震えながら左右に大きく広げたり閉じたりを繰り返した。
 トンキーさんも口から涎をたらして思わず江実矢君に見とれてる。
 ここで一押しすればきっとトンキーさんも江実矢君を誘うはず。
 有紀が指先を小刻みに振るわせると、江実矢君の目つきが怪しげな雰囲気で白目になった。
 江実矢君の口が半分開いたとき、有紀は今度はマイクの横で「今すぐ会いたいのお願い」と江実矢君の口調で呟いた。
 トンキーさんはもう我慢できないらしくて目を何度も大きく見開くと「今すぐ行くから、ううん、いますぐ行っちゃうから」と大げさな仕草でギャグみたいに叫んだ。
 トンキーさんが他のモシモシ倶楽部のメンバーと一緒に三人でこれから迎えに来てくれると話しがすぐにまとまった。

ナンパされて神社の境内に連れ込まれる

あらすじ
 モシモシ倶楽部の三人が迎えに来てくれないので、他の男性にナンパされて出会い系喫茶の外に出た。神社の暗がりの中に連れ込まれて逃げられない。

 これで上手くいったと彩香ちゃんはすぐに出口に歩き出した。
 しばらく受付の前で待っていたけど、なかなかトンキーさんは迎えに来ない。
 どうしようかと思ったけど、さっきはテレビドラマの収録があるとか行ってたからすぐには来れないのかもしれない。
 それとも近くまで来て、他の女の子にでも声をかけられちゃったのかもしれない。
 モシモシ倶楽部は人気のお笑いタレントさんだから、三人で歩いてたら目立つしファンに取り囲まれちゃうなんてのもしょっちゅう。
 随分と待って見たけどモシモシ倶楽部の三人が迎えに来る様子はない。
 どうしようかと思ったけど、この店を出るには誰か男の人に迎えに来てもらわないと出られない。
 もう一度ビデオチャットで誰かいい相手を見つけるかそれとも、勇二君に頼んで迎えにきてもらうしかない。
 諦めてまた店の中に入ろうとしたとき、ちょうど男の人が二人連れで店に入ってきた。
 有紀は二人の服装に見覚えが有るのにすぐ気がついた。
 さっき勇二君をカラオケ店に誘った男に違いない。
 勇二君の携帯のカメラに写ってた服装がちょうど目の前に居る男と同じだ。
 有紀が顔をそらせて、店の中に戻ろうとしたとき男が「君たち、今暇かな」と話しかけてきた。
 彩香ちゃんは二人がさっき勇二君を誘った男だとは気がついていない様子。
「あ、暇です、全然暇です」と彩香ちゃんが答えてる。
「三人とも可愛いね、いつもこの店に来てるの」と聞かれて「あ、はい、たまにきてます」と彩香ちゃんが適当に答えた。
「じゃあ、いつも遊んでるんだね」と男に言われて有紀はこれは不味いことになりそうだと心配になった。
 男は二人とも有紀や彩香ちゃんのお父さんより年上くらいだ。
 茶とグレーの混じった色のズボンにジャンパーみたいな上着をきてる。
 体つきも横幅があって、肩幅ががっちりしていてお腹はお相撲さん見たいに大きくでっぱってる。
 おでこやほっぺたの肌もどす黒くて薄汚い感じだし、唇が変に分厚い。
 普段見慣れてる同級生のお男の子なんかとはまるで別の生き物みたいに気持ち悪い。
 こんな年をしてる男性が中学生や高校生の女の子と遊びたがるなんて有紀にはとても信じられない。
 こんな唇にキスなんかされたら気持ち悪くて死んじゃいそうになると思って有紀は身震いした。
 彩香ちゃんが大げさな仕草で「そうなんです、もう今日は遊びたくて、暇してるんです」と甘えたしゃべり方で答えてる。
 こんな事を言ったらまるで誘って下さいと言ってるようなものだ。
「それはちょうどよかった。これからどっか遊びに行かないか」とさっそく男に誘われた。
 愛想笑いのつもりか男がにやけた顔で笑ったが、口元がいやらしくて下心丸出しだ。
 どうしようかと有紀は彩香ちゃんの顔を見て男に気づかれないように目で合図した。
 もう一度店に戻るというのが一番良さそうだが、そうなると今度はいつまた男に誘って貰えるか判らない。
 彩香ちゃんは店を出られるなら今男一緒に行くのも仕方がないと思ったらしい。
 ちょっと不安な様子で口をすぼませて身体をちょこっとしゃがませて「うん」と返事をした。
 店の受付を出て歩き出そうとすると、すぐに男が江実矢君の両脇に近寄って手を取った。
 三人の中では江実矢君が身体が小柄で一番年下に見える。
 江実矢君を捕まえてしまえば、他の二人も逃げられないと踏んだらしい。
 歩きながら彩香ちゃんが江実矢君のそばに近寄ろうとすると、男が素早く手を伸ばしてきた。
 有紀も彩香ちゃんの後から江実矢くんを追いかけようとしたが、すぐにもう一人の男に手を握られた。
 もうこれで店から出たら絶対に逃がさないつもりらしい。
 男の手は、大きくて分厚くてしっかりと手を握られると指が押しつぶされそう。
 年上の大人の男性に手を握られるなんて、初めてなので有紀はドキドキして心臓が潰れちゃいそうになった。
 店の前を歩き出したとき彩香ちゃんが頭を上げて空を見上げた。
 月を探してるんだと有紀にもすぐ判った。
 東京の夜空は星なんか殆ど見えないから、本物の空かどうかなんか判らない。
 天井に電球を付けてあるだけで、ここのまだ偽の世界かもしれない。
 有紀も空を見上げて見ると、歩きながらビルの谷間から月がちらっと見えた。
 一目みた感じは確かに本当の月。
 さっき勇二君が携帯で写真を撮って送ってくれたのと同じ月だ。
 だけど太陽なら絶対に偽物なんか作れないけど、月なら適当に月の絵を描いても遠ければ見分けなんかつかない。
 ここが本当の世界だとは、はっきりと決まった訳じゃない。
 神社の横を通って裏通りに入ると、暗い夜道は狭くて歩いていてもなんだか怖くなった。
 男達が急に立ち止まったので、有紀は前につんのめりそうになった。
「カラオケ好きだろう」と男に言われてカラオケに誘うつもりなんだと有紀にも判った。
 すぐ目の前に紫色の看板が出ていて「御休憩」の文字が見える。
「カラオケできます」と張り紙がしてあるけど、どうみても普通のカラオケ店じゃあなさそう。
 場所だって暗い裏通りで、近くにある店もなんだか変な看板ばかり。
 ここがさっき勇二君が連れ込まれそうになったカラオケ店だと有紀は気がついた。
 こんなカラオケ店に連れ込まれたらどんなことになるのか判ったものじゃない。
 江実矢君もやっぱりおかしな店だと感づいたらしくて、しきりに男の手を振り払おうとしてるが上手くいかない。
「君たちカラオケ大好きなんだろう、歌を聴かせてくれないか。踊りながら歌うんだろう最近の娘は」と男がしつこく誘いをかけてくる。
 男達は何がなんでも三人をこのカラオケ店に連れ込むつもりらしくて三人の手をしっかりと握って離してくれない。
「私歌下手なんです、それに踊りなんかできません」と彩香ちゃんが必死で断ろうとしたけどだめ。
「いや、この店のカラオケだったら誰でも上手に歌えるんだよ」と男が言い返してきた。
 何て言って断っていいのか、有紀にも上手い口実が思いつかなかった。
 男達は彩香ちゃんと江実矢君と有紀の手をしっかり掴んで、強引にカラオケ店の入り口にひっぱって連れ込もうとした。
 近くにいる人に助けを求めようとして辺りを見回したが、暗い夜道には通りかかる人は誰もいない。
 男の力にはとても敵わないと諦めて有紀はカラオケ店に入ろうとした。
 急に「グーーー」と彩香ちゃんのお腹が大きな音で鳴った。
 男達が彩香ちゃんの顔を見て、なんだか不気味な笑いを口元にうかべた。
「いや、御免カラオケなんかに誘って悪かった、その替わりに何か旨い物食わしてやる」と男が急に態度を変えたので有紀はびっくりした。
 作戦を変えたという訳でもなく、彩香ちゃんがお腹を空かせてるからカラオケを嫌だと言っていたのだと思い込んだみたい。
「何でも好きな物食わしてやる、何が食べたいんだ」と男に言われて彩香ちゃんは「私ローストビーフが大好物なんです」とうっかり答えてしまった。
「ローストビーフだったら美味しい店を知ってるよ、うん、今すぐ食べたいだろう」と男がすぐに誘ってきた。
 こんな中年男に変な所に連れて行かれちゃったりしたら大変だけど、ローストビーフお美味しい店が、変な店なはずはない。
 今度は有紀のお腹が「ぐぐーぐーーー」と大きな音で鳴った。
 あの地下のロボット実験場ではゼリーみたいなエネルギーパックしか食べてない。
 もうお腹がすいてとても死にそうなのは、彩香ちゃんも有紀も同じだ。
「本場のイタリアのシェフが作った、ローストビーフを出す店なんだ。日本で一番旨いローストビーフだよ、いや世界で一番旨いローストビーフを出す店なんだ。一度食べたら他のローストビーフはもう食べられないぜ」と男が随分と調子のいい言葉を並べてる。
 有紀はそれを聞いていて大変な事に気がついた。
 もしここがまだあの地下のロボット実験場なら本場のイタリアのシェフなんているわけないし、本場のローストビーフなんてあるわけない。
 ロボットは充電式だから食べ物なんか食べない。
 もし本当にローストビーフが食べられるなら、本当に本当の地上に戻って来たという証拠だ。
 彩香ちゃんも同じ事に気がついたらしい。
 少し変な顔をして男の話を聞いていたけど彩香ちゃんは心を決めたらしく「私お腹すいちゃった、すぐ食べたい」と男の手を引っ張った。
「じゃ、行こうか。うん、このすぐ近くだ」と男に手をひっぱられて元きた道を引き返した。
 途中で近道だというので神社の境内に入った。
 神社の入り口には狛犬が並んでいて、ロボット実験場にあった神社にも同じ狛犬があったのを有紀は思い出した。
 もしかして四つ葉学園の女の子達が木の上から飛び降りて襲ってくるのではと有紀は心配な気持になった。
 夜空を見上げて見ても、大きな木の枝が風で揺れて葉っぱが擦り合うザワザワという音しか聞こえてこない。
 大丈夫そうだと思ったけど、やっぱり何だか不安な気持ちが拭えない。
 薄暗い神社の境内にはカップルがベンチに座って抱き合ってるのが見えた。
 男達は平気な顔で気にしてる様子もない。
 神社の中央まで来ると、街灯の下でカップルが抱き合ってるのが見えた。
 唇を重ねてキスをしてるけど、男の手が女の子のスカートを捲りあげてパンティーが丸見えになってる。
 有紀は慌てて眼をそらせたが、すぐ横のベンチのカップルが目に入って有紀はびっくりしてしまった。
 男の子が座った腰のあたりに女の子が顔を寄せて、男の子の大事な物をしゃぶってるのが丸見えだ。
 この神社は大胆なカップルが集まるところらしいと気が付いて有紀は慌てて眼をそらせて自分の足元を見てあるいた。
 こんな所に連れて来られたら何をされるか判らないと有紀は不安な気持ちになった。
 男達はどんどんと神社の奥に進んでいく。
 目の前には大きな木が並んでいて、その下は街灯の光も届かなくて真っ暗だ。
 さっきは上手いローストビーフを食べさせるとか男に言われたけど、男達は最初からこの神社に連れ込むのが目的だったらしい。
 きっとさっきのカップルみたいに口でやらせるつもりなんだ。
 騙されたんだと有紀は思ったがもう遅すぎる。
 あの出会い系喫茶はビデオチャットで遊ぶ店だという建前だけど実際に援助交際の店だ。
 三人とも四つ葉学園の制服のセーラー服を着てるから女子高生だと思われてるに違いない。
 中年の男が女子高生と援助交際するなんて事になったらやる事は決まってる。
 江実矢君は男の子だけど、女の子だと思われてたら江実矢君まで口でやらせられちゃう。
 そんなこと絶対させられないから、いざとなったら彩香ちゃんと有紀が男の相手をするしかない。
 男のおっきな物を口に入れて下でしゃぶるのを想像して有紀は足が震えてきた。
 男達は奥の大きな石造りの建物の前まで連れ込むと、三人の手をしっかり掴んで逃げられないように木の幹に押しつけた。
 男の体が前から有紀の体に押しつけられてくると、有紀は背中を木の幹に押し当てて動けなくなった。
 男の指先が有紀の脇腹をくすぐりながら撫で上げてくると、有紀はうっとりとした気分になって目を閉じた。
 何度も繰り返し男の指先が有紀の脇腹を撫で上げると、今度は有紀の胸を下から持ち上げるように揺すってきた。
 気持ちよい感触が体中に広がると、有紀はもう自分が何処にいるのかも判らなくなった。
「いつも、してるんだろう、大好きな事させてやるぜ」と男が有紀の耳元で囁いた。
 有紀には男が何を言ってるのかすぐには判らなかった。
 彩香ちゃんが「私しゃぶるの大好きなの、いますぐしゃぶらせてお願い」とかすれた声でお願いする言葉が有紀の耳に聞こえてきた。
「何をしたいのかちゃんと言わないとやらせてあげないよ」と男が意地悪そうに彩香ちゃんを虐めてる。
「フェラチオさせて下さい、お願いします」と彩香ちゃんが答えたが、男はまだ納得しない。
「フェラチオってなんの事なのかな、聞いたこと無いな。何の事か教えてくれないか」とまた意地悪な事を言って彩香ちゃんをからかうのが聞こえた。
「口でしゃぶるんです、男の子の大事な物を口に入れてるんです」と彩香ちゃんがやっとの事で答えると涙ぐんで泣き出してしまった。
 男が有紀の体から離れると、ズボンのベルトを外してズボンを膝まで降ろした。
 真っ暗ななかで、男がトランクスを降ろすと薄ぼんやりとだけ黒い茂みが見えた。
 大きく上を向いてそそり立ったものが有紀の顔に向かってピクンと震えるのが見えて有紀は心臓が飛び上がった。
「いつもやってるんだろう」男に言われたらとてももう逆らえない。
 有紀がもし断ったら、江実矢君が口でやらさせることになっちゃう。
 そんなこと絶対にさせられないから勇気をだして有紀が頑張るしかない。
 有紀は膝を曲げて腰を屈めると、男の前にひざまずいた。
 すぐ目の前に不気味な形の先端が近づいてくると、有紀の唇に微かに触れた。
 もうやるしかないと、有紀は心を決めて唇を大きく開いた。
 舌先を突き出して、軽くくすぐるように舌先を震わせると、男が腰を前に突き出してきた。

SM倶楽部でショーの舞台に出る

あらすじ
 飯を食わせると男に騙されてSM倶楽部に連れ込まれた。舞台ではトンキーさんが女子高生のコスプレで女王様に鞭で打たれてる。男から逃げ出すため三人はSMショーの舞台に上がる。彩香ちゃんがパンティーを脱いでトンキーさんの頭に被せ、その隙に逃げ出す作戦だ。

 有紀のお腹が急に大きな音で「グググー、グー」と鳴った。
 まるで調子を合わせたように、彩香ちゃんと江実矢君のお腹が「グググー」と鳴ると、男達は急に体を離した。
「飯を食わせるって約束だったな」と男の一人が言うとズボンを直し始めた。
 せっかく男の人の大事な物をしゃぶらせて貰えると思ったのに、なんだか残念な気もするけど仕方ない。
 神社の裏側から出て、細い裏道を進んだ。
 少しあるいて角を曲がると大通りにでて店のネオンが輝いてる。
「ここだ」と男が言って立ち止まった。
 けばけばしいネオンの看板の店がその「世界で一番美味しいローストビーフをだすレストラン」らしい。
 まるでお城か洞窟みたいな入り口の両脇には古くさい鎧が飾ってある。
 レストランにしては何だか店の入り口の作りが変な気がする。
 よっぽど高級なレストランなんだろうと思ったけど、やっぱり何だか変だ。
「さあ、ここで旨い物いっぱい食わせてやるぜ」と男に言われて、彩香ちゃんも不安そうな顔付き。
 大通りの横の裏通りには変な看板の店が見える。
 この店に入るのを断ったら、今度はどんな店に連れて行かれるか判らない。
 それに「本場のシェフの作ったローストビーフ」がどんな味なのか今はそれを確かめるのが先だ。
 彩香ちゃんのお誕生会の日には、いつも彩香ちゃんのお母さんがローストビーフを作ってくれる。
 彩香ちゃんの友達も大勢呼んで、彩香ちゃんがローストビーフをみんなに配るのが恒例だ。
 本当は江実矢君も一度はローストビーフを食べてみたいらしいんだけど、江実矢君はいつも遠慮して他の女の子に譲ってる。
 彩香ちゃんの話では、江実矢君はローストビーフより添えてあるパセリが好きなんだという事だけど、もちろんパセリの好きな男の子など居るわけ無い。
 正面の玄関から店の中に入ると、中は随分と広くなっていてテーブルが沢山並んでる。
 うるさいくらいの大きな音で、スピーカーから音楽が流れて来て耳が潰れそう。
 壁や天井は全部薄暗い茶色のレンガ造りで、あちこちに古くさい飾り物が置いてある。
 高級レストランなんて来たこと無いから全然知らないけど、もしかしてここはもの凄く高級なレストランかもしれない。
 ちょうど空いてる席に案内されたけど、壁の隅の席だ。
 江実矢君が最初に一番隅に押し込められるように座らされた。
 江実矢君の横に男性を座らせる訳にはいかないので、有紀と彩香ちゃんが江実矢君の両脇に座った。
 男がその両隣に座ると、三人はソファーに閉じこめられてしまった格好になってもう勝手には立ち上がれない。
 ソファの反対側の壁際には小さなステージがあって、何かショーをやってるらしい。
 男がテーブルの上のメニューを取って彩香ちゃんに見せてくれた。
 見たこともないような料理の名前が並んでいて、彩香ちゃんは目をぱちくりさせてる。
「ここのローストビーフは本当に絶品でね」と男が言うと彩香ちゃんは「絶品」の意味が分からなかったらしくて「それは大変ですね」と訳も分からず返事をしてる。
 男が適当に飲み物を注文するとしばらくしてウェイターがお皿を持ってきた。
 ローストビーフが来たと思って、お皿を見たがお皿の上には何もない。
 いったいどうなってるんだろうと思ってると、別のウェイターが今度は大きなお皿をすぐテーブルの中央に置いた。
 最初に配ったのは取り皿で、こんどのお皿がローストビーフらしい。
 随分と大きなお皿の中央にローストビーフらしい物が盛りつけてあるのが見えた。
「本場イタリアのシェフが作った絶品のローストビーフ」が目の前にあると思うとそれだけでも有紀は箸を持つ手が震えてきた。
 お皿の大きさの割には載せてあるローストビーフは随分と少ない。
 また別のウェイターが来ると今度は飲み物を置いた。
 グラスの中には見たこともないような赤と青の縞模様になった液体が入ってる。
「じゃあ、乾杯」と言ってさっそく男が、飲み物に口を付けた。
 有紀も喉が渇いていたので、すぐにグラスを口に近づけて一気に飲み込もうとしてむせかえった。
 口の中が焼けるように熱くなって、無理して飲み込むと今度は胃袋が火傷しそうに熱くなった。
 彩香ちゃんも少し試しに飲んでみたけど、とても飲めなくて途中で止めてしまった。
 この飲み物の味は、タコイーカ財団の研究所で最初に飲まされた飲み物に似た味だ。
 まるでロボット用の燃料みたいな飲み物はとても飲めない。
 飲み物は諦めて、彩香ちゃんがローストビーフに箸を延ばそうとして途中で手を止めた。
 以前レストランで食事をしたときに「一番目上の人が、最初に料理に手を着けるのがマナーだ」とか言われて叱られた事があるからだ。
 有紀もうっかり勝手にローストビーフに箸を着けたら何を言われるか恐くてとても手が出せない。
 しばらく箸を手にしたまま三人とも凍り付いたように動けなくなった。
 男が気を利かせてくれて手を伸ばして三人に一枚ずつローストビーフを配ってくれた。
 男性と食事をするときにはいろいろとマナーがあるらしいけど、そんなこと誰にも習ったことはない。
 どうしていいのか判らないけど、ローストビーフの味を確かめないことにはこの世界が本物かどうか判らない。
「頂きます」と言ってから彩香ちゃんがローストビーフを箸で掴んで一口食べてみた。
 有紀もさっそく食べようとしたがその前に彩香ちゃんがローストビーフを口から出してしまったのが見えた。
「なにこれ」と途中まで言いかけて、彩香ちゃんはあわてて「これ、すっごく美味しい」と言い直した。
 店の中は照明が暗くて良くは見えないけど、有紀はローストビーフを箸でつまんでよく見てみた。
 いつも彩香ちゃんのお母さんが作ってくれる柔らかそうな桃色の肉とは全然別物。
 ひからびた焼き豚みたいな肉の欠片は、中学校の給食で出てくる安物のハムみたいな代物。
 これが「絶品のローストビーフ」なんて訳は絶対ない。
 ここはやっぱりタコイーカ財団の地下の実験場で、この男もさっきのウェイターもやっぱり全部ロボットなのかもしれない。
 上手く逃げ出したつもりでも結局実験場に戻ってきてしまっただけなのかもしれないと有紀はがっかりした気分になった。
 横から男の手が伸びてきて、目の前のグラスを掴むと有紀の口元に押し当てて「さあ、もっと飲みなさい、美味しいよこのジュースは」と甘ったるく囁いてきた。
 有紀は頭を横に振って断ろうとしたが「美味しいから飲みなさい」と強引にグラスを唇に押し当てられた。
 このグラスに入ってる飲み物が、普通のジュースなんて訳はない。
 男が酒を飲ませるのは、エッチな下心があっての事に間違いない。
 強いお酒を飲ませて酔わされて、歩けなくなったら今度こそ何処に連れ込まれるか分かったものじゃない。
「いや、」と彩香ちゃんが顔を背けながら、小さく叫んだのが有紀の耳にも聞きこえて来た。
 彩香ちゃんも無理矢理に強いお酒を飲ませれそうになってるに違いない。
 有紀はお酒を飲んだ振りをすれば上手く行くかもしれないとふと思いついた。
 わざと口を半分あけて酔った振りをして、目を半分とじてソファーに寄りかかった。
 口が回らない振りをして「もうだめ、もうらめー」と有紀が呟くと男の手が有紀の膝の上に載せられてきた。
 男の指先が有紀の膝頭をくすぐりながら有紀の足をひらさせると、スカートの奥まで入ってきた。
 微かに震えながら動き続ける男の指先からは気持ちが良い電流が有紀の体に流し込まれてきた。
 不意に男の指先が有紀の一番感じる所を捕らえて、ゆっくりと押し回してきた。
 有紀の体は一気に熱く燃え上がると、頭の中が熱くなってもう何をされても逆らえない気分になった。
 男は有紀の反応を確かめながら、感じる所を探るように指先を割れ目にそってなぞり上げ続けた。
 不意に有紀の腰が震え出すと、熱い噴流が有紀の体を突き抜けて沸き上がってた。
 有紀の体は男の指先に操られて震えが止まらなくなると、男が有紀の手をとって熱く盛り上がった物にふれさせた。
 火傷しそうな感触が有紀の指先を襲うと、有紀は気絶しそうになった。
 何とか逃げ出さないと大変な事になると思ったけど、どうやって逃げ出せばいいのかアイデアが浮かばない。
 急にピシャと大きな音が有紀のすぐ耳元で響いた。
 有紀が驚いて顔をあげると、今度はと「ウエーーー」と言ううめき声が店の奥から聞こえてきた。
 有紀が声のした方を確かめると店の中央に小さな舞台があってそこにセーラー服をきた女の子が縛られてる。
 そのすぐ横に鞭をもった女性が立ってる。
 黒い皮のぴっちりした上着に、黒い皮のズボンを履いてる姿はまるで女王様みたいだ。
 衣装には銀色の金具が一杯付いていて、照明に照らされてキラキラ光ってる。
 女王様が手を大きく振り上げると今度は鞭の先が彩香ちゃんのすぐ耳元まで飛んできた。
 彩香ちゃんが驚いて顔を上げると、鞭のさきがすばやく反転して行き先を変えると女の子のお尻にぴしゃりと命中した。
「グエーー」と声にならないうめき声を上げると、女の子が体中を引きつらせて仰け反った。
 まるでカエルが踏みつけられたような仕草を見て、店の客が下品な笑い声を上げるのが聞こえた。
 有紀はもしかして、セーラー服を着た女の子が一緒に地下の実験場を逃げてきた百合ちゃんか久美ちゃんか、それとも良一君かもしれないと思ってはっとした。
 だとすると鞭を持っているのはあの鈴木先生だ。
 鈴木先生が居るってことは、ここはやっぱりまだ地下の実験場なのだろうか。
 それとも鈴木先生が逃げたロボット達を追いかけてここまで来たんだろうか。
 また鞭の音が鋭く響いて鞭の先が有紀の座っているテーブルのすぐ横まで飛んできた。
 鈴木先生の使っていた鞭とは音が違う気がして有紀は目を凝らせて宙を舞う鞭の先をよく見た。
 鈴木先生の使っていた鞭は先が細くて長さもかなり長かったけど、今目の前で床に落ちてる鞭の先は太くて先が幾重にも別れてる。
「あたしに、逆らう奴は容赦しないよ」と大声を張り上げると、女王様は食事をしながら見ている観客のテーブルの間を歩き始めた。
 お腹の底から響かせるような太い声は、やっぱり鈴木先生とは違う。
 高いハイヒールを履いてるけど、それでも鈴木先生よりはずっと背が高い。
 近くのテーブルに座っていた女子高生が二人女王様に何か言われて立ち上がった。
 こんな店にセーラー服姿の女子高生が来てるのは何だか変な気がしたけど、男にナンパでもされて連れてこられたらしい。
 髪の毛が背中まで垂れていて、スカートの丈も短いけどなんだか歩き方が女子高生にしては変な気がする。
 女子高生は二人とも舞台にあがって縛られている女子高生の前に立ちはだかった。
 女王様に鞭を渡されて、今度は舞台に上がった女子高生が縛られている女子高生を鞭で叩くらしい。
 お尻をこっちに向けて縛られている女子高生はスカートが半分めくれてるけど、下に履いてる下着が何だか変だ。
 青色の男物のトランクスみたいな下着だ。
 何かか大声で叫びながら、二人の女子高生が縛られている女子高生のお尻を交互に鞭で叩き始めた。
 本気で力一杯叩いているらしくて、鞭の鋭い音が有紀の耳にも痛いくらいに響いてきた。
 縛られている女子高生は鞭で打たれるたびに体を震わせて、涙声の混じった悲鳴を上げてる。
 有紀はその時になって、この光景はいつか見たことがあるのに気がついた。
 ずっと前にテレビの撮影の時に間違ってナンパされて来た店でやってたショーと同じだ。
 なんでこんなおかしなショーをやってるのか訳が分からないけど、男の人はこうゆうのが好きらしい。
 こんなショーを見ながらよく食事なんかをしたりできると思ったけど、ここはそうゆう店らしい。
 そういえば女王様役の女性もあの時の女王様役の女性と同じみたいだ。
 あちこちの店に出張してショーをやってる、女王様らしい。
 これならなんとか助けて貰えそうだと有紀は気が付いた。
 有紀が彩香ちゃんの顔を見ると、彩香ちゃんも同じ事に気がつたらしい。
 急に彩香ちゃんがテーブルの席から立ち上がると「私にもやらせて下さい」と大声で女王様に声を掛けた。
「私鞭が上手なんです、大好きなんです、鞭打ちマニアなんです」と彩香ちゃんが適当に思いついた言葉を並べた。
 有紀もすぐに彩香ちゃんのアイデアに気がついた。
 三人で舞台に上がってしまえばあとは、なんとかしてこの店から逃げ出せるかもしれない。
 たとえ上手くいかなくても、このまま何もしないでお酒を飲まされるよりはましだ。
 女王様は彩香ちゃんの声に気がついて鞭を振りながらすぐ近くまで歩み寄った。
「鞭で打たれたいのは、お前からか」と女王様が芝居がかった口調で大声を上げた。
 仮面を被っていて、女王様の顔はよく判らないけどやっぱりあの時の女王様と同じ女性に間違いない。
「はい、お願いします。叩くのも叩かれるのもどっちも大好きです」と彩香ちゃんが精一杯の大声で答えると女王様も機嫌良く大声で「は、はっはーーー、はーーーー」と笑った。
 男達は仕方ないと思ったのか席を立って三人を舞台まで行かせてくれた。
 正面の舞台に上がると、女王様もずっと前に店から追い出した三人だと判ったみたい。 明るい照明で彩香ちゃんと江実矢君と有紀の三人の顔がはっきりと見えたらしい。
 女王様はちょっと困った顔で「また、あんた達か、もうやめてよね」と小声で呟いた。
 有紀は女王様に鞭を渡されて、縛られている女子高生の前に立った。
 女子高生を鞭で打とうとしてその顔をみると、大変な事に気がついた。
 縛られている女子高生はモシモシ倶楽部のトンキーさんだ。
 トンキーさんが、女子高生のセーラー服を着てこんなショーに出てるなんて訳が分からない。
 それにさっき舞台にあがった二人の女子高生もモシモシ倶楽部のメンバーだ。
 セーラー服で女装してお化粧もしてるけど、二人ともモシモシ倶楽部のメンバーに間違いない。
 どうしようかと思ってると、さっきまで一緒に食事をしていた男達も舞台に上がってきた。
 男は女王様から鞭を受け取ると彩香ちゃんのすぐ後に近づいてきた。
 男の視線を見て彩香ちゃんを鞭で叩くつもりらしいと有紀は気が付いた。
 不味いことになったと有紀は思った。
 これじゃあ逃げられない。
 急に彩香ちゃんがしゃがみ込むと、セーラー服のスカートの下に手を入れてパンティーを脱いだ。
 まだ肌の暖かみがあるパンティーをなんと彩香ちゃんはトンキーさんの頭に被せてしまった。
 トンキーさんは目を丸くして大げさな素振りで身体を震わせた。
「このドヘンタイのドスケベ女、あんたなんかこうしてやるわ」と怒鳴ると彩香ちゃんは握り拳を作ってトンキーさんの頭を何度もぐいぐいと押しつけるようにして叩いた。
 トンキーさんは、いきなり「ああん、いやん、だめーー」と大声を出して腰をくねらせ始めた。
 なんでトンキーさんがそんな変な声をだしたのか店にいる見物客は何がなんだかわからない。
 トンキーさんは熱いお湯をかけられたり、熱いおでんをお腹に押しつけられたりする時の熱がる演技が得意なので有名だ。
 彩香ちゃんに責められて興奮しちゃってる演技をしてるんだと有紀にも判った。
 ステージに上がった男達は変な顔をしてトンキーさんの腰の動きを見つめてるが、事情が分からないらしくて戸惑った顔。
 女王様の顔を見て、どうしようかと迷ってる様子だ。
 逃げ出すには今がチャンスだ。
 彩香ちゃんが逃げだそうと舞台の裾に歩み寄った。

SMショーで本番中出輪姦調教

あらすじ
 SMショーの舞台で本番中田し調教されたあと、客席でも潮吹き本番輪姦中田し調教しされる。名犬ピーチが男の子達の急所に噛みついてやっとのことで逃げ出す。

 有紀も江実矢君の手を引いて彩香ちゃんの後から逃げ出そうとしたが「逃げるんんじゃない」と女王様が大声で怒鳴った。
 女王様の鞭が飛んでくる前に舞台から降りようとしたが間に合わない。
 有紀の耳元に鞭の音が「ピシッー」と響いた。
 そのすぐ後に鞭の音が足元の床に響いたと思うと鞭の先が有紀の足に絡みついた。
 有紀が尻餅を着くと床に倒れ込んだ。
 江実矢君が慌てて有紀を助け起こそうとしたがまた鞭の音が足元近くに響いた。
 床にたたきつけられた鞭が江実矢君の足にも絡みついて江実矢君の体が有紀の上にそのまま重なって倒れた。
 江実矢君が立ち上がろうともがいたとき江実矢君の手が有紀の足に絡みついた。
 有紀がもがこうとすると、江実矢君の腕が有紀の足を持ち上げて恥ずかしい格好になった。
 まるでプロレスのエビ固めみたいな格好で有紀のすぐ頭の上に江実矢君のアンダースコートが丸見えだ。
 江実矢君が立ち上がろうとしたとき、また女王様の鞭が飛んできた。
 今度は有紀のお尻にぴしゃりと鞭の先が命中した。
 有紀が「ヒイィー」と大声で叫ぶと江実矢君に必死で抱きついた。
 もう一度鞭の音が響くと、江実矢君が激しく体を震わせて「グウァァーーー」と呻いた。
 女王様の鞭が江実矢君の急所に命中したらしい。
 もう一度鞭が江実矢君の急所めがけて飛んできた。
 これは大変な事になると彩香ちゃんが江実矢君の上にのし掛かるように体を重ねた。
 彩香ちゃんのお尻に鞭が叩きつけられて彩香ちゃんが「ヒィー」と呻いた。
 なんとか江実矢君の急所だけは守らないと、江実矢君は鞭で打たれたら死んじゃうかもしれない。
 彩香ちゃんは大きく足を広げて、江実矢君の大事な所をなんとか守ろうと必死で江実矢君に抱きついた。
 三人の体が舞台の上で重なると、有紀のすぐ顔の上に江実矢君のアンダースコートが押しつけられてその上に彩香ちゃんの恥ずかしいところが丸見えになった。
 彩香ちゃんのスカートが捲れ上がって、恥ずかしい所が舞台の照明の中で客席からもくっきり浮き上がって見えた。
 女王様の鞭がまた鋭い音を立てると、彩香ちゃんの恥ずかしい所にまともに命中したらしくて、彩香ちゃんが気絶しそうな声で「ヒィーーー-----」と叫んだ。
 痛がってるはずなのに彩香ちゃんの恥ずかしい所が汗をかいてるように濡れて愛液がしたたるのが有紀にもはっきりと見えた。
 男の一人が彩香ちゃんの足元に近寄ると、彩香ちゃんの花園を指で左右に開いた。
 明るい照明の中で、彩香ちゃんのピンク色の花園が丸出しになって店の客からは丸見えだ。
 男は中指先を彩香ちゃんの花園に押し込むと小刻みに手首を震わせ始めた。
 裏ビデオで見たことがあるけど、彩香ちゃんに「潮吹き」させるらしい。
 初めて裏ビデオで潮吹きを見たときは本当にびっくりして、彩香ちゃんと一緒に「あんなの全部嘘よね」と話したのを思い出した。
 有紀の顔のすぐ上で、彩香ちゃんが腰を震わせてもだえる格好を見て、有紀は裏ビデオが嘘じゃなかったんだとすぐ判った。
 ねっとりした愛液があふれ出して、有紀の顔に滴り落ちて止まらない。
 よっぽど気持ちいいらしくて、彩香ちゃんの声は半分泣き出しそうにかすれてる。
 彩香ちゃんが何度も背中を仰け反らせて体を震わせると、男は指を抜いて濡れ具合を確かめてる。
「たっぷり濡れてやがるぜ、この牝犬」と男が台詞がかった大げさな口調で大声を上げた。
 もう準備オッケーだと思ったのか男はをズボンを膝まで降ろした。
 すっかり大きくなった物が真上を向いて、ピクンピクンと震えるのが見えて有紀は寒気がした。
 赤紫色の太い竿が反り返りながら先端が細くなって、その先に大きく傘が開いている
 傘の周囲には丸い粒のような膨らみがいっぱい並んでいてまるで孫悟空の如意棒みたい。
 青紫色の太い血管が、ドクドクと脈打ってるのがはっきりと見えた。
 男が腰を屈めて位置を確かめてから、ゆっくりと彩香ちゃんに入ってきた。
 彩香ちゃんの花園は、男のおっきなものをすっぽりと奥まで納めると入り口がきゅっと引き締まって何度も震えた。
 男がまたゆっくりとした動きで腰を引きながら奥まで入れた物を抜き出そうとすると、彩香ちゃんの花園が男の物に吸い付いたように離れない。
 途中で何度か小刻みに前後に動かしながら、先端が彩香ちゃんの花園に引っかかるまで抜き出すと今度は腰を丸く廻すように動かしてきた。
 思いがけない腰の動きに彩香ちゃんは、喉の奥から喘ぎ声が漏れるのが止まらなくなった。
 もう一度奥まで男の物が押し込まれるとまた今度もゆっくりとした動きで引き抜いてくる。
 彩香ちゃんの腰が震えたように小刻みに震えて両足の筋肉がぴくぴくと動くのが見えた。
 男が腰の動きを変える度に彩香ちゃんが江実矢君に震えながらしがみついてくるので、江実矢君も興奮してきたみたい。
 有紀のすぐ顔の上で江実矢君のアンダースコートの前がぷっくりと膨れるのが目に入った。
 彩香ちゃんが苦しそうな声で呻くと、男の腰が前後に動き出した。
 勢いよくぐいぐいと押し込んだかと思うと、不意に力を抜いてゆっくりと前後に揺するテクニックはまるで裏ビデオの男優さんみたいに上手だ。
 次第に男の腰の動きが早くなると、彩香ちゃんが突然金切り声で「アァァァーー」と大きく叫んだ。
 裏ビデオでも見たことがあるけど、男の腰の動きはこれから中田しする時の腰の動かし方だ。
 彩香ちゃんが中出しなんかされたら、他の男だってその後に中田しするに違いない。
 そんな事になったら、店中の男に彩香ちゃんと有紀が中田しされて江実矢君まで廻されちゃう。
 もうこうなったら諦めるしかないと思ったとたん有紀は体の震えが止まらなくなった。
「勝手なことするんじゃない」と突然女王様が大声で男を怒鳴りつける声が聞こえた。
「中田しなんかするんじゃない。誰の許しでそんな真似してるんだ」と女王様が厳しい口調で男を叱りつけた。
 いくらショーでも本番中田しで女の子の恥ずかしい所が丸見えになっちゃうのはさすがに不味いらしいと有紀にも判った。
 ぴしゃっと鞭の音が響くと、今度は女王様の鞭が男の足元に絡みついた。
 男が堪らずに床に倒れ込むと、女王様の鞭が立て続けに男の急所を責め立てた。
 こうなるといくら男でも女王様にはかなわない。
 舞台の上で様子を見ていたもう一人の男が素早い動きで女王様の背後に回ると、女王様の鞭を取り上げた。
 あっという間に女王様の姿が見えなくなって、有紀は目を見張った。
 女王様がハイヒールを履いたまま飛び上がって壁を蹴り、空中で宙返りをして男の背後にストンと立ったのだ。
 男の背後から首を締め上げようと女王様が腕を巻き付けたが、男の太い首はびくともしない。
 男は女王様の腕を獲ると、逆に柔道の背負い投げの格好で女王様を投げ飛ばした。
 女王様の体が大きく宙を回って舞台の中央に落ちると、腰を打ち付けたらしくてすぐには起きあがれない。
 女王様に鞭で急所を打たれて倒れ込んでいた男が立ち上がると、女王様の持っていた鞭を床から拾って女王様の背中をぴしゃりと鞭で叩いた。
 女王様の体が仰け反って、床の上をのたうち回るのを男達は面白そうな顔で見てる。
 男達が女王様の両脇に立って交互に鞭を叩きつけると、女王様は痛くて声を出せない。
 不意に「トヤーーー」と大きな叫び声が舞台の横から聞こえてきた。
 トンキーさんが女王様を助けようとして、男を殴りかかろうと飛び出して来たんだ。
 だけど男達が鞭を振り上げてトンキーさんを叩こうとするとトンキーさんは舞台の上を逃げ回るだけ。
 トンキーさんが男達の注意を引きつけている間に他のモシモシ倶楽部の二人が女王様を舞台の袖まで床を引きずって運んだ。
 彩香ちゃんが女王様の方に歩み寄ったとき、女王様が舞台の袖のカーテンを引っ張って軽く頷いた。
 前と同じに女王様がこっから逃げろと合図してるみたい。
 逃げるなら今しかないと、彩香ちゃんは一目散に舞台の袖に駆け寄った。
 有紀も江実矢くんの手をひっぱって大あわてで、彩香ちゃんの後を追った。
 すばやく彩香ちゃんが幕がわりのカーテンの裏に隠れるとまるでマジックのショーみたいに三人の姿が舞台から消えた。
 舞台の照明がうまく三人の身体をかくして、男達が居る場所からはもう見えない。
 これは上手くいきそうだとそのまま三人でカーテンに隠れたまま舞台の袖に回った。
 舞台の上では、男二人とモシモシ倶楽部の三人が乱闘を始めた。
 モシモシ倶楽部の三人は「トワーーー」とか「トエーーー」とか大きな声で叫ぶだけで逃げ回ってばかりだが、しばらくは時間が稼げそう。
 これなら上手く逃げ出せそうだと有紀は出口を探した。
 客席の奥に正面の入り口らしいドアが見える。
 客席のテーブルの間を四つんばいになって歩けばなんとかなりそうだ。
 三人で四つんばいになって犬みたいな格好で彩香ちゃんが先頭になって、その後から有紀がつづいて最後は江実矢君だ。
 狭いテーブルの間を進んでいくと有紀の目の前で急に誰かが彩香ちゃんのスカートを捲りあげた。
 彩香ちゃんはさっきパンティーを脱いでトンキーさんの頭に被せたから、スカートの下には何も履いてない。
 制服のミニスカートが腰の上まで捲られると、恥ずかしい所が丸見えになってとんでもない格好になった。
 彩香ちゃんはびっくりして身体が凍り付いてる。
「こんな所に雌犬が居るぜ」とすぐ頭の上からいやらしい声で男の子が呟くのが聞こえてきた。
 テーブルに座っている客の男の子の誰かに見つかっちゃったらしい。
「おい、お前雌犬なんだろう、俺の足嘗めろ」と男の子が靴を脱いで、汚らしい靴下を彩香ちゃんの顔の前に押しつけた。
 彩香ちゃんが嫌がって顔を背けると「雌犬の癖に生意気だぜ」と怒った口調で男の子が呟いた。
 他の男の子が彩香ちゃんのお尻を手のひらでぴしゃりと叩きつけると、彩香ちゃんは「うぇ」と声にならない叫びを上げて体が仰け反った。
 うっかり大きな声を出せば、舞台の上で鞭で鞭を持ってるナンパ男達に逃げ出そうとしてるのがばれてしまう。
 そうなったら今度はナンパ男達に何をされるか判らない。
 彩香ちゃんは必死で声を出さないように歯を食いしばってる。
 男の子の手が本気で力一杯に彩香ちゃんのお尻を何度も叩きつけると彩香ちゃんは痛くて気絶しそうになってる。
 それでも彩香ちゃんが必死で声をださないように頑張ってると今度は男の子の指先が彩香ちゃんの花園を撫で上げてきた。
 彩香ちゃんはもう我慢できなくて体をよじって、小さく「ぁ、あ」と喘ぎ声をあげた。
 男の子はすっかり調子に乗って彩香ちゃんの一番感じる所を指先で押し回してきた。
 彩香ちゃんが腰をくねらせて声がでそうになるのを必死でこえると、男の子は指先を花園の奥まで押し込んできた。
 有紀のすぐ目の前で彩香ちゃんの花園にすっぽりと男の指が入ると、、男の子は手首全体を揺すって彩香ちゃんを責め始めた。
 さっき舞台でナンパ男にやられたのと同じ「潮吹き」だ。
 彩香ちゃんの体が仰け反りながら震えると、「あ、ぁぁぁ、」と喉の奥からあふれ出す喘ぎ声が止まらない。
 男の子が指先をしっかりと彩香ちゃんの花園の中で押し回すように動くと、ねっとりした愛液が彩香ちゃんの花園から溢れて垂れてきた。
 こうなったら彩香ちゃんはもうここに置き去りにして有紀と江実矢君だけで逃げるしかない。
 有紀が別のテーブルの間に四つんばいで這って進もうとしたととき、有紀のスカートがいきなり後から捲りあげられた。
 他のテーブルに座った男の子が面白がって今度は有紀のパンティーを股の所で掴んで引っ張り上げてきた。
 舞台では怪しげなショーをやっているけど、この店はそれだけじゃないみたい。
 彩香ちゃんや有紀が床を這ってるのも何かの余興だと店の客が思ってるらしい。
 モシモシ倶楽部の三人は客席で有紀や彩香ちゃんが大変な目になってるのを全然気が付いてないらしくて、あいかわらず大声で叫びながら舞台の上を走り回ってる。
 照明が舞台の方に向けられているので、舞台からは客席で何が起きてるのか判らないんだ。
 有紀は必死で這って逃げようとしたが、パンティーを引っ張り上げられると足が宙に浮いて歩けない。
 有紀の後からはすぐ江実矢君が四つんばいになって後から付いてくる。
 有紀が男の子達に逆らった今度は江実矢君が何をされるか判らない。
 江実矢君は四つ葉学園のセーラー服を着ていてスカートはミニスカートだ。
 男の子達が江実矢君を女の子だと思い込んでどんな目にあわせるか思っただけでも寒気がする。
 江実矢君がアンダースコートとパンティーを脱がされたらいくら暗くて良く見えなくても男の子だとすぐに判っちゃう。
 そんなことに成ったら江実矢君はもっと大変な目に遭わされるに違いない。
 江実矢君が無事に逃げるまでは、だまって男の子の言いなりになるしかないと有紀は覚悟を決めた。
 有紀が抵抗する素振りを見せないのを良いことに、男の子はパンティーを掴んだ手を震わせてきた。
 割れ目にきつく食い込んだパンティーが敏感な所を刺激して、有紀は体中が震え上がった。
 すぐ目の前で男の子が二人席を立つと四つんばいになってる彩香ちゃんの前と後に膝をついた。
 ズボンのベルトを緩めると、履いてるトランクスの前がおっきくなってるのが薄暗がりの中でぼんやりと見えた。
 トランクスを膝の下まで降ろすと、男の子は彩香ちゃんの顔に逞しくそそりたった物を擦り寄せてきた。
 彩香ちゃんが顔をそらせようとすると、男の子の手がしっかりと彩香ちゃんの髪をつかんで離さない。
 無理矢理口の中にいれられて彩香ちゃんは息がくるしいらくして呻き声を上げた。
 有紀のパンティーを掴んでいた男の子も席から立ち上がると、有紀の足元にしゃがみ込んだ。
 男の子の指が有紀のパンティーを掴んで膝まで降ろすと、男の子が有紀の恥ずかしい所に顔を寄せた。
 舌先が敏感な所を嘗め上げる感触が有紀の体を捕らえた。
 恥ずかしくて死にそうな気分になって有紀の体は一気に熱くなった。
 舌先が微妙に動いて有紀の花園の奥に届いてくると中で震えながら感じる所を探りあてた。
 思いもよらない感触に有紀は目眩がして、体から力が抜けていった。
 男の子の舌先が何度も繰り返し有紀の敏感な所を責め続けると、有紀は体中が熱くなって愛液が溢れて止まらなくなった。
 男の子が顔を上げると片手で有紀の胸を掴んで揉みながら、もう一方の手を花園に押し当ててきた。
 指先を擦りつけるようにして花園を撫で回していた手は、今度は一番敏感な花芯をくすぐるように指先で押し回してきた。
 有紀はもうとても我慢できずに、体を仰け反らせて大きく息を吐き出した。
 男の子の指が有紀の花園の奥まで差し入れられると指先を敏感な所に押しつけながら震わせてきた。
 あっという間もなく有紀の花園から愛液が溢れ出て腿を伝って滴り落ちた。
 男の子の手首が激しく動くと有紀は喉の奥から喘ぎ声が漏れそうになるのを必死で堪えた。
 いままで経験したことのない感触が有紀の体を捕らえると体中が宙に浮いたように軽くなった。
 男の子の指先が繰り返し有紀の敏感な所を巧みに責め上げると有紀は体が宙に浮いたまま震えて止まらなくなった。
 もうとても我慢できなくて有紀は喉の奥から喘ぎ声が沸き上がるのを止められなかった。
 有紀が「ああ、ぁ--」と甲高い叫び声を上げると、男の子はやっと有紀の花園から指を離してくれた。
 男の子が有紀の腰を両手でしっかり掴むと、両膝を着いて後から腰を押しつけてきた。
 逞しく盛り上がった感触が有紀の花園に押しつけられて、有紀の花園は痺れて熱く震えた。
 有紀のすぐ目の前に男の子がしゃがみ込む後姿が見えて有紀は顔を上げた。
 逞しく盛り上がったお尻と両足の太い筋肉をすぐ目の前にして有紀はまぶしくて目が眩んだ。
 男の子が足を開いて屈み込む股間に大きく反り返った物が揺れている。
 腰を少し下に下げながら、男の子が腰を突き上げるような格好で前に押しつけた。
 男の子の逞しい物が彩香ちゃんの花園を押し分けて奥まですっぽり入るのが目の前に見えた。
 彩香ちゃんの花園の入り口が大きく開いてまるで自分から男が欲しがってるように男の子の逞しいものを飲み込んでる。
 彩香ちゃんがいまどんな気持なのか有紀にも羨ましいくらいによく判った。
 薄黒くくすんだ男の子の玉が目の前で前後に揺れながら、彩香ちゃんの花園にぶつかるのがはっきりと見えた。
 男の子の腰がぐいぐいと激しく彩香ちゃんに押しつけられるたびに、パンパンと紙袋をたたき割る様な大きな音が聞こえきた。
 彩香の花園からまるで水鉄砲の様に愛液だ吹きだしてきて有紀の顔に飛び跳ねた。
 男の子が一旦動きを止めるとわざと焦らすように一休みしてからまた一気に腰の動きを激しくしてきた。
 男の子のお尻の筋肉がきゅと引き締まると、すぐ目の前でピクピクと動くのが見えた。
 彩香ちゃんは男の子のテクニックに翻弄されて花園が痺れて震えが止まらなくなってる。
 有紀は彩香ちゃんが羨ましくて、男の子の逞しいものを入れて欲しくて自分からお尻を後に突き出した。
 すぐに男の子が太くて逞しいものを有紀の花園に押し入れてきたので有紀は思わず涙ぐんだ。
 有紀は好きでもない男の子に無理矢理犯されてるはずなのに気持ちいいんだと思うと情けない気持ちで一杯になった。
 こんなことで女の子が幸せになれるはずないのに、男の子が奥まで押し込んでくるたびに嬉しくて涙がこぼれてきちゃう。
 悔しい気持と嬉しい気持が混ざり合った不思議な気分が有紀の体を熱く燃上がらせた。
 ロボット実験場で怪物の触手が奥まで入ってきたときは確かに経験したことがない気持ちよさで、天国にいってるみたいな気分だった。
 だけど本物の男性に奥まで突かれる悦びはやっぱり本物の愛の悦びだ。
 本物の愛のほうが偽物の愛なんかより気持ちいいのは絶対間違いない。
 これだけ気持ちよくしてもらえるってことは、ここが本当に地上でこの店に居る男性は本物の生きた生身の男性だってことに絶対間違いない。
 これでやっと本当に助かったんだと思うと、有紀の胸の中は嬉しさでいっぱいで胸がはち切れそうになった。
 有紀が何度も背中を仰け反らせていると、男の子の腰の動きが急に強くなって有紀の花園を奥まで一杯に突き上げてきた。
 男の子のおっきい物が有紀の胃袋を突き破って喉から飛び出してきそうな感触が有紀の体を突き抜けた。
 すぐ目の前でも彩香ちゃんを責める男の子の腰の動きが一気に早くなるのが見えた。
 ぷるんぷるんと男の子の玉が袋に入ったまま激しく揺れて、有紀の顔にぶつかりそうになった。
 有紀の体をいままで体験したことのない激しい快感が突き抜けると有紀は雌犬に成りきって腰を振った。
 勢いよく男の子の腰が突き出されて、これが中田しのきつい一撃だと有紀が思ったときと急に有紀の目の前の男の子が「ギャー」と悲鳴を上げて倒れた。
 いったい何があったのか判らないが、すぐに有紀を犯していた男の子が「ウギャーー」と悲鳴を上げて後ろ向きに倒れ込んだ。
 有紀の体が急に楽になると思わず体から力が抜け有紀は床に腹這いになった。
 彩香ちゃんの足元に倒れ込んだ男の子の股間からは血が出ているらしくて、男の子が痛さのあまりに手足をばたつかせている。
 他の客達はこれも余興だと思ったらしくて、笑って見ているだけで誰も助けようとしない。
 不意に有紀の鼻先をぺろぺろと舌先で嘗める感触があった。
 男の子の舌先のぬっとりとした感触とはちがって、冷たくてくすぐるような感触だ。
 有紀はピーチが有紀の鼻先を嘗めてるのに気が付いてびっくりした。
 出会い系喫茶に辿り着いた後はピーチの事はすっかり忘れていたけど、いつのまにかこの店にも着いてきたらしい。
 ピーチが男の子の急所に噛みついて、彩香ちゃんと有紀を助けたらしい。
 ともかくさっきのカーテンの裏に逃げて戻るしかない。
 慌てて四つんばいのまま後ろ向きで舞台の袖まで戻ると、ピーチがくんくんと鼻をならしてる。
 久美ちゃんがいないのでピーチが何を行ってるのかは判らないが、近くに抜け道があるらしい。

神社の境内のトイレでアナルレイプ

あらすじ
 江実矢君が男の子だと言うことが男達にばれてしまった。江実矢君を助ける為には彩香ちゃんと有紀が男達と付き合うしか方法はない。神社の境内に連れ込まれて生フェラの後トイレでバックからアナルレイプされる。

 ピーチの後を着いていくと、舞台のカーテンの裏に小さいドアがある。
 そっとドアを開けてみると倉庫みたいな部屋の奥に外に出る非常口らしいドアが見える。
 ピーチと一緒にまっすぐ奥の非常口のドアまで進んでいくと急に彩香ちゃんが床に座り込んだ。
 これで逃げられたと思って安心して体に力が入らなくなってしまったらしい。
 有紀が彩香ちゃんの体を抱きかかえて起こそうとすると、彩香ちゃんが有紀の体を引き寄せて来た。
 有紀が彩香ちゃんに抱きつく格好で彩香ちゃんの横に倒れ込むと、彩香ちゃんが唇を寄せてきた。
 有紀の唇に彩香ちゃんの唇が重なると、すぐに彩香ちゃんの舌が有紀の唇の間に入ってきた。
 彩香ちゃんの舌が有紀の舌に触れた瞬間に、男の生の香りが有紀の舌先に痺れるように伝わってきた。
 有紀は思わず舌を引っ込めたが、すぐに思い直した。
 ここがまだあの地下のロボット実験場なら、彩香ちゃんの口の中に男の子が出したのはあの怪物の触手が出したのと同じ甘いゼリーなはず。
 もし本当に彩香ちゃんの口の中にあるのが本物の男の味がすれば、間違いなくここは地上ってことだ。
 有紀は勇気をだして、彩香ちゃんの舌に自分の舌を絡ませた。
 もしかしてあの怪物の甘いゼリーの味だったらがっかりだと思いながら、有紀は彩香ちゃんの舌を吸い込むようにして舌を重ねて味を確かめた。
 生臭くてちょっと苦みがあって、それでいてしょっぱい味もする感触が有紀の舌に広がって有紀は嬉しくて胸が熱くなった。
 やっぱり本物の男の生の味に間違いない、絶対絶対間違いないと判って有紀は急に体が宙に浮き上がったように嬉しくて堪らない気持になった。
 彩香ちゃんはさっき男の子に口の中に中田しされてたんだ。
 もしやと思って有紀はとっさに彩香ちゃんのミニスカートの下から花園に中指を差し入れた。
 花園の奥を擦るように指先を動かすと、ねっとりした感触が指先に触れてきた。
 やっぱりと有紀は思った。
 さっき四つんばいの姿勢で彩香ちゃんは口と花園の両方に中田しされててたんだ。
 それも濃いのをたっぷり中田ししてもらったんだと気が付いて有紀は急に彩香ちゃんが羨ましくて胸が熱くなった。
 有紀だって男の人に前と後から同時に中だしされたら、死んじゃうくらい気持ちいいに違いない。
 彩香ちゃんだけ気持ちよくしてもらえるなんて、なんだか悔しくて腹が立ってくる。
 有紀は彩香ちゃんの口から舌を引っ込めると、すぐに体を起こして彩香ちゃんの足元にしゃがみ込んだ。
 両手で彩香ちゃんの膝を左右にいっぱいに開かせると、彩香ちゃんは嫌がる素振りも見せずに体を捩った。
 彩香ちゃんの花園からはこぼれてはみ出してる白い液体がはっきりと見える。
 有紀がすぐに顔を寄せて彩香ちゃんの花園に舌を入れて嘗め回して味を確かめるとやっぱり男の本物の生の味。
 舌先に僅かに触れただけでも有紀の体中が一気に熱く燃え上がった。
 有紀は必死になって彩香ちゃんの花園を口で吸い込んで男の生の味をたっぷりと味わった。
 口の中で舌先で転がすように味わうと、男の生の味が口いっぱいに広がって有紀は目眩がしてきた。
 さっき彩香ちゃんの口の中で味わったのとはまた違う苦みと香りに有紀は戸惑った。
 男一人が中田した生の味じゃない。
 何人かの男性の生の味が混じり合った不思議な感触が有紀の口の中に広がった。
 たっぷりと熟成した大人の苦みのある味にお酒の香りのような芳醇な味わいが絡み合ってヨーグルトを口にしたような甘みもある。
 さっきSM倶楽部の舞台で彩香ちゃんはナンパ男に中田しされそうになったのを女王様に助けてもらった事を有紀は思い出した。
 あの時は中田しされる前に助けてもらったとばかり思ってたけど実際は彩香ちゃんは男に何度も中田しされてたに違いない。
 入れたまんまで何度も中田ししちゃうなんて、よっぽど精力が絶倫の男でなきゃ出来るわけがない。
 あんなに彩香ちゃんがよがり狂ってたのも、何度も中田しされたからだと気が付いて有紀は彩香ちゃんが羨ましくて堪らなくなった。
 有紀が夢中になって彩香ちゃんの花園を嘗めては吸い続けると、彩香ちゃんの腰がくねくねと上下に震えだした。
 有紀の舌先の感触がよっぽど気持ちいいらしくて、彩香ちゃんの腿が左右に開いて腿の筋肉の震えが止まらない。
「お願い、恵美ちゃん、ちょうだい、今すぐ入れてちょうだい」と彩香ちゃんが江実矢君に甘えた声でおねだりした。
 江実矢君もさっきから有紀と彩香ちゃんがしてることを見ていて興奮してきちゃったみたい。
 ミニスカートの下に履いたアンダースコートの中で大事な物がおっきく成っちゃってるのがはっきりと判る。
 すぐに江実矢君はアンダースコートを膝まで降ろすと、その下に履いた白いレース模様のパンティーの前が大きく張り出しているのが見えた。
 レースの薄い生地を突き破りそうに大きく突き出してるのを見て彩香ちゃんは口から涎を出して江実矢君の顔を見上げた。
 江実矢君がパンティーをアンダースコートに絡ませるように膝まで降ろすと、おっきくなった男の子の大事な物がくっきりと有紀の目の前に露わになった。
 有紀が気を利かせて彩香ちゃんの広げた股の間から退くと、江実矢君はすぐに彩香ちゃんの体の上にのし掛かった。
 体の位置を確かめてから江実矢君が腰を屈めると、彩香ちゃんも自分から腰を前に突きだして江実矢君を迎え入れた。
 江実矢君も彩香ちゃんも二人とも四つ葉学園のセーラー服姿だから、二人の様子を見ているとまるで仲良しの女の子のレズっ娘同士がふざけて抱き合ってるみたいに見える。
 二人とも有紀が目の前で見てることなど全然気にもしていない。
 江実矢君は我慢しきれなくて、すぐに激しい動きで腰を動かし始めた。
 だがすぐに腰の動きが止まって、ゆっくりと腰を引きつけながら腰を大きく廻し始めた。
 もう終わっちゃったのかと思ったけど、そうじゃない。
 さっきのSMショーで見た精力絶倫の大人の男の腰使いのやり方を真似してるんだ。
 ゆっくりと動かしたかと思うと、小刻みに腰を震わせるテクニックで江実矢君に責められて彩香はもう我慢できない。
「恵美ちゃん大好きーー」大声で叫ぶと両手で強く江実矢君の体に抱きついて体を捩った。
 江実矢君が彩香ちゃんを焦らすように何度も繰り返し責め続けると彩香ちゃんは「ああ、逝っちゃうーー」と絶叫を繰り返した。
 江実矢君の腰の動きが激しさを増すと、最後の一撃だと有紀にも判った。
「アアアァァァーーーー、逝っちゃううーー」と彩香ちゃんが叫ぶと急に静かになった。
 江実矢君が腰をなんどか震わせると、まるで最後の汁を搾り出すように下半身に力を入れて震わせてる。
 有紀は江実矢君の腰の動きを見ていて、まるで自分が中田しされてるような気持に襲われた。
 女の子が一番幸せな時がこの中田しの瞬間だ。
 女の子は男の子に中田ししてもらうために生まれてきたんだと思うのは女の子だったら当たり前。
 江実矢君がゆっくりと立ち上がると、中田ししたばかりの男の子の大事な物がまだ上を向いてる。
 有紀はもう自分の気持ちを抑えられなくて夢中で江実矢君の腰に顔を寄せた。
 口の中にすぐに江実矢君の男の生の香りが広がると、有紀は嬉しくてたまらない。
 すぐに舌をからませて、江実矢君の大事な物をしゃぶりながら吸い込んだ。
 たった今中田ししたばかりの江実矢君の大事な物は有紀の口の中でまたすぐ大きくなるとしっかりと硬くなった。
 有紀は口を離すと、江実矢君の顔を見上げた。
 いつもだったら女の子みたいに可愛らしいはずの江実矢君の顔が、今は男らしく誇らしげに有紀の目を見つめ返してきた。
「お願い、私にもちょうだい」と有紀は小さな声で江実矢君にお願いした。
 江実矢君もすぐに有紀の気持が判ったらしく、目の前で江実矢君の大事な物がピクンと跳ね上がった。
 有紀は自分から足を広げて背中を後に倒した。
 江実矢君がミニスカートをたくし上げながら有紀の上に体を重ねてきた。
 有紀の両膝を江実矢君の両手があてがわれて、高く掲げられた。
 恥ずかしい格好をさせられて有紀は体が熱く燃え上がった。
 江実矢君がゆっくりと有紀の中に入ってきたとき、有紀は嬉しくて涙がこみ上げてきた。
 江実矢君の腰のリズムが有紀の体を次第に至福の楽園に導いていくと、有紀は繰り返し喉の奥から叫び声を上げた。
 不意に彩香ちゃんが有紀の手をぎゅっと握りしめてきた。
 彩香ちゃんは有紀のすぐ横で自分で指を使いながら腰を上下に揺すってる。
「有紀ちゃん一緒に逝って」と彩香ちゃんが有紀の耳元で叫ぶと、腰を激しく振って背中を何度も仰け反らせた。
 有紀が「彩香ちゃん大好きー」と大声で叫ぶと彩香ちゃんも「有紀ちゃん大好きー、大好きよ」と何度も繰り返した。
 最後の一撃で江実矢君が終わったとき、有紀は体中が幸福感で一杯になり涙が止まらなくなった。
 彩香の手が有紀をしっかり握りしめたまま震え続けてるのを見て、江実矢君はもう一度彩香ちゃんの上に体を重ねようとした。
 彩香ちゃんは有紀の手を離すと、江実矢君にしっかりと抱きつきいた。
 彩香ちゃんのFカップの巨乳が江実矢君のブラジャーのパッドで膨らませた胸と重なって押しつぶされて潰れるのが見えた。
「おい、騙しやがったな、女の格好してるけど、男じゃねえか」と男の太い声がすぐ有紀の背後から聞こえてきて、有紀の体が凍り付いた。
 振り返って見ると、さっきまで一緒だったあのナンパ男の二人がカーテンの後からこっちを見ている。
 いつから男が見ていたのかは判らないが、三人がしてたことは全部見られたみたいだ。
 男達は出会い系喫茶で声を掛けてきたときから、江実矢君の事を女の子だと思ってたに違いない。
 江実矢君は顔付きは女の子よりも可愛いいし、肌の色も白くて足だって細い。
 四つ葉学園のセーラー服を着たら誰が見ても女の子にしか見えない。
 男からみたらテレビのアイドル歌手みたいに可愛く見えるのは当たり前。
 あんなにしつこくナンパしてきたのも江実矢君が目当てだったに違いない。
 江実矢君は慌てて白いレースのパンティーとアンダースコートをはき直すと、スカートの襞を整えたけどもう遅い。
 江実矢君が男の子だとばれたらどんな目に遭わされるのか判らない。
 ピーチならナンパ男の急所に噛みついて助けて貰えるととっさに有紀は思った。
 だけどピーチは何処に行ったのか近くには見当たらない。有
 紀は必死で体を起こして逃げようとしたが、足がもつれて立ち上がれない。
 彩香ちゃんはなんとか立ち上がって外にでる非常口のドアに駆け寄ったが、ドアが開かない。
 男が江実矢君を捕まえようとして両手を広げて抱きつこうとしてきた。
 江実矢君が素早く身をかわして逃げたが、男二人に囲まれて部屋の隅に追いつめられた。
 男が江実矢君の足元をすくおうと体ごと飛び込んできたとき、ふと江実矢君の姿が消えた。
 江実矢君がとっさに飛び上がって宙返りをして男の背後に回り込んだんだ。
 江実矢君の体がもう一度天上近くまで高く飛び上がると今度は後から男の頭を足で蹴りつけた。
 男は体が前のめりになって転びそうになったが、平然とした顔で江実矢君に向き直った。
 もう一人の男が江実矢君の背後から飛びかかってきた。
 危ないと思ったとき、江実矢君の体がまた宙に浮くと前と後を殆ど同時に蹴りつけた。
 前と後の男の顎に江実矢君の踵がまともに入ったが二人ともびくともしない。
 男達は素早い動きで江実矢君の足を掴むと、思い切り力を込めてひっぱった。
 江実矢君の足が前後に開いたままの格好で宙に浮くと、体が一回転して下向きになった。
 ミニスカートが腰の下に垂れ下がって、アンダースコートのヒラヒラのレース模様が丸見えになった。
 男達が江実矢君の体を上下に揺すると、江実矢君は苦しそうにもがいた。
 そのまま男達が手を離すと江実矢君の体は頭から床にたたきつけられた。
 打ち所が悪かったのか、江実矢君はうめき声を上げただけでもう動けない。
 男が江実矢君のスカートを捲りあげると、アンダースコートの上から江実矢君の大事な物をギュッと握りしめた。
 江実矢君はあまりの痛さに体を震わせて涙ぐんでる。
「どうしてやろうか、女の子になりたいんだろう。俺たちが女してやるぜ」と男がいやらしい口調で江実矢君を怒鳴りつけた。
 江実矢君は男の子だ。
 その男の子を「女にしてやる」ってなんの事なんだろうと、有紀は怖くなった。
 男の子の大事な物をとっちゃうんだろうか、それとももっと他に有紀に思いつかないような凄いことをしちゃうんだろうか。
 江実矢君が大変な目に遭わされちゃうってことだけは確かだけど何をされるのか想像もつかない。
「お願い、恵美ちゃんは助けてあげて」と彩香ちゃんが怯えた声で男に頼んだ。
「私だったら、何でもします、だから恵美ちゃんは許してあげて」と彩香ちゃんに言われて男達が彩香ちゃんの方に顔を向けた。
 有紀もとっさに「私も何でもします、本当です」と男に頼み込んだ。
「本当になんでもするんだな」と男に念を押されて彩香ちゃんは「ここじゃ、いや」とわざと拗ねた口調で言い返した。
 彩香ちゃんと有紀が男達とすることを江実矢君には見られたくないのは有紀も同じだ。
「それじゃあ、一緒に来てもらおうか、何でも言うことを聞くなら、こいつは助けてやるぜ」と男が言い出したので有紀はこれで何とかなったと一安心した。
 男は床に転がっている江実矢君を後手にしばりつけると、口に白いボールで出来た猿轡を噛ませた。
 江実矢君には可愛そうだけど、今は江実矢君をこのまま置き去りにするしかない。
 男が非常口のドアを開けると、有紀は彩香ちゃんと一緒に男に連れられて裏通りにでた。
 きっとこのままラブホテルに連れ込まれて、朝までたっぷりオモチャにされるに違いない。
 でも江実矢君を助けるにはそれしかない。
 江実矢君が女の子にされるよりはよっぽど良い。
 たとえどんなことをされても我慢して男の言うなりに成るのしか今は方法がない。
 裏通りをしばらく歩くと、さっき来た神社の裏手にでた。
 ラブホテルまで近道だからと男に言われて四人は神社の中に入った。
 境内に入ると両側に並んだベンチにはカップルが一杯並んで抱き合ってるのが見えた。
「しゃぶるの大好きなんだろう、しゃぶらせてやるぜ」と男に言われて有紀は何をやれば良いのかすぐに気が付いた。
 男は境内の中央の明るい街灯の下に立って、ズボンを膝まで下げた。
 カップルが座ってるベンチの目の前で、こんな所でフェラチオなんかしたら丸見えだ。
 だけど江実矢君を助けるためにはやるしかない。
 有紀が夢中になって男の大事な所に舌を絡ませると、彩香ちゃんもすぐ横で舌を使い始めた。
 不意に男の大事な物が明るく輝いたので有紀はあれっと思った。
 どこかから懐中電灯でてらしてるらしい。
 変だと思って左右を確かめると少しさきの茂みの中から懐中電灯がこちらに向けられている。
 どうやらここの神社の茂みにはカップルを覗き見している痴漢男が隠れているらしい。
 それも一人だけじゃなくてあちこちに懐中電灯らしい灯りが見えて有紀はびっりした。
 有紀は見られていると思うと急に体が熱くなって頭がくらくらしてきた。
 痴漢によく見えるように有紀は顔を上に上げてわざと口を大きく開いて舌先を男の先端に絡ませた。
 男の大事な物がどんどん固さを増して、大きくそそり立ったので有紀は嬉しくなった。
 有紀の耳元で「ピチャピチャ」と舌の音が聞こえてきたので、有紀は横目で彩香ちゃんの様子を確かめた。
 口の中に唾を溜めて息を吸い込みながら音を立ててるらしい。
 彩香ちゃんはフェラチオのテクニックにかけては有紀よりずっと凄い腕前だ。
 有紀も彩香ちゃんの真似をして口に唾を溜めてピチャピチャと音をたてようとやってみた。
 最初はうまく出来なかったけど、工夫して舌先を丸めて口の中を吸いながら動かすと彩香ちゃんと同じに「ピチャピチャ」と音が出たので有紀は嬉しくなった。
 顔をちょっとだけ上に向けて、男の顔を見上げると男と視線が遭った。
「なかなか上手じゃないか、凄いぜ」と男が言ってくれたので有紀は夢中になって舌を動かした。
 男の腰がピクンピクンと何度か震えると、有紀の口の中の男の物が急に喉の奥に押しつけられてきた。
 口に出して貰えるんだと有紀が期待で胸が熱くなったのと同時に喉の奥に弾けて飛ぶ感触があった。
 有紀は嬉しくて体中が宙に舞い上がったような気分で幸せを噛みしめた。
 男が体を離すと、有紀は彩香ちゃんの様子を確かめた。
 彩香ちゃんは得意の秘術を繰り出して男を責めてるけどすぐに終わりそうにない。
 男の様子を確かめようと、彩香ちゃんが上を見上げて男の弱いポイントを掴んだみたい。
 一気にフィニッシュをかけると男はもう我慢しきれ無くて腰を震わせて、前に突き出した。
 彩香ちゃんの顔が嬉しそうに微笑むと、至福の表情のまま口を開けた。
 口元から滴りおちそうになるのを舌で嘗め回してる顔は本当に幸せ一杯で夢心地の表情だ。
「おい、こっちに来るんだ」と男にせかされて有紀は彩香ちゃんと一緒に神社の門の方に向かって歩き出した。
 狛犬のすぐ横からセーラー服を着た女子高生らしい姿がちらっと見えた。
 有紀は女子高生の着ている制服が四つ葉学園の制服に似ているのであれっと思った。
 そう言えばこの地上には四つ葉学園の女の子二人と良一君も一緒に逃げてきたはず。
 出会い軽喫茶でビデオチャットをしたあとは、すっかり忘れていた。
 四つ葉学園の女の子達だったら戦闘訓練を受けているからこんな男なんかすぐにやっつけちゃうはず。
 有紀が狛犬の方に手を振ろうとしたとき、女の子の姿が見えなくなった。
「おい、こっちだぜ、こっちに来るんだ」と男が有紀の手を引っ張った。
 男達が連れ込んだのは、神社のトイレだ。
 古くて薄汚いトイレは、臭いがして気分が悪くなりそう。
 男が彩香ちゃんの手をひっぱって奥の女子トイレの個室に引っ張り込んだ。
 有紀も隣に女子トイレの個室に男に背中を押されて入った。
 こんな所で何をするつもりなんだろうと有紀は不審に思った。
 洋式のトイレは蓋が無、白い陶器の面が汚れているのが見えた
「おい両手を前に突くんだ、そこだ」と言われて有紀は便器の端に両手をついて前屈みになった。
「じっとしてろよ、動くんじゃねえぞ」と男が言うと、有紀のお尻に手をあてがって中指の先を花園に押し込んできた。
 そんな事をされたって気持いい訳無いのにと思うと有紀はなんだか情けない気分になった。
 男達は彩香ちゃんと有紀に良い思いをさせるのは上手だけど、結局は自分たちが楽しみたいだけなんだ。
 今は何をされても逆らえないのが悔しくて有紀は思わず涙がこみ上げてきた。
 男の指先は花園を押し回しながら少しずつ奥に入ってくると、場所を変えながら指先を震わせてきた。
 何をしてるのかすぐには判らなかったが、どこか場所を探してるらしい。
 不意に男の指先が触れた所から電流が流し込まれたように、有紀の体を突き抜けて通った。
 男のは今度は指先を強く押さえつけるようにしてきつく手首全体を激しく動かしてきた。
 激しい電流が続けざまに有紀の体を突き抜けると、有紀の背中が震えて体全体が上下に揺れて止まらなくなった。
 有紀はさっきSMショーで彩香ちゃんが悶絶したあの「潮吹き」を男が今やってるんだと気が付いて急に嬉しくて胸が一杯になった。
 彩香ちゃんだけ気持ちよくしてもらうなんて絶対ずるい。
 有紀も彩香ちゃんと同じ体験をして気持ちよくしてもらえるなんて本当に嬉しくて堪らない。
 壁を隔てた隣の個室から彩香ちゃんが「ぁ、ああ、-」と大きな声を出すのが聞こえてきた。
 彩香ちゃんも男に同じ事をされているらしいと判って有紀は彩香ちゃんに聞こえるように「ああーー、ぁん」と甘えた声をだした。
 きっとトイレの外の茂みに痴漢男が隠れてるこっそり盗み聞きしてると思って有紀はわざと「凄いの気持ちいい、本当に凄い」と大声を出した。
「そんなに気持いいのか」と男がいやらしい口調で有紀を責めながら呟くと有紀は恥ずかしくて顔が火照った。
「もっと気持ちよくしてーーー」と有紀がまた痴漢に聞こえるように大声をだすと男は嬉しそうに微笑んだ。
 すぐに男の指先がまた場所を変えて感じる所を探り始めた。
 さっきより激しい電流が男の指先から流れ込むと、激しい快感の渦が有紀の体を突き抜けた。
「あああぁぁーー」と有紀が大きく叫び声を上げると、今度は自分の声が恥ずかしくなって体が熱くなった。
 男の手首が激しく動いて有紀の敏感な所は責め立てると有紀は自分でも愛液が溢れ出すのが判った。
「そろそろ、準備が出来たかな」と男が呟くと、男の指先が花園から離れて有紀のアナルの周りを揉み始めた。
 有紀は男は今度は何をするつもりなのか判らなくて当惑して頭を上げた。
 アナルの周囲のきつく張りつめた筋肉を柔らかく揉みほぐすと、男の指先がアナルの中に滑り込むようにして入り込んだ。
 アナルを押し広げるように内側から揉みながら押し回してくる指の動きは随分と手慣れてる。
 何度も繰り返しアナルを内側を揉みほぐしてから男の指先が離れた。
 これでやっと終わったと有紀が一安心したとき、アナルに太くて柔らかいものが触れてきた。
 男の大事な物の先端が触れたのだと有紀はすぐに気が付いた。
 そんな所に入れられたって気持が言い訳が無い。
 これは飛んでもない事になりそうだと有紀が思ったとき、男が腰に力をいれて前に押し出してきた。
 揉まれて柔らかくなった入り口を押し広げて先端が中に押し込まれると、有紀のアナルは男の大事な物をすっぽりと飲み込んだ。
 有紀はお腹の奥でなんだか変な感触が胃袋の上まで届いてきて苦しくて額に汗が浮かんだ。
 すぐ隣の個室からも「そこじゃないの、だめ、そこはだめ」と彩香ちゃんが大きな声を出すのが聞こえてきた。
 彩香ちゃんも男に同じ事をされてると判って有紀は少しだけ気分が楽になった。
 男がゆっくりと腰を回しながら、すこしづつ前後にゆするとくすぐったいような感触がアナルの筋肉に伝わってきた。
 繰り返し男が腰を使うと何だか有紀は変な気持になって、思いがけない感触が有紀の体を突き抜けた。
 こんなことされても気持ちいいはずないのに、なぜか理由が判らないけど有紀の体は鋭い快感に酔いしれて熱く震えはじめた。
 有紀の反応を確かめながら男が巧みに腰を使うと、有紀の体は天国に羽ばたく天使のように宙を舞った。
 繰り返されるリズムの中で有紀は快感の渦に巻き込まれて次第に気が遠くなっていった。
 半分夢の中で「お願い私を女にして、本当の女にして」という女の子の声が遠くから微かに聞こえた気がした。

痴漢に捕まってラブホテルに連れ込まれる

あらすじ
 気が付いたときトイレに男達の姿はない。男達を探してラブホテル前までいってみると、良一君が男達にナンパされてラブホテルに連れ込まれてるのを目撃する。ラブホテル前で痴漢男に捕まった。逃げるにはフェラチオするしかない。

 有紀が気が付いたときトイレの個室には誰もいなかった。
 ドアの外を確かめてみたがトイレの中は物音一つシーンと静まりかえっていて人の気配はない。
 隣の個室のドアを開けてみると彩香ちゃんが便器に俯せになって半分気を失ったように突っ伏してる。
 制服のチェックのミニスカートが腰まで捲れ上がってお尻が丸出しになりピンク色のアナルが濡れてるのが見えた。
 彩香ちゃんも有紀と同じ目に遭わされたんだとすぐに判った。
 有紀が彩香ちゃんを抱き起こすと、彩香ちゃんは必死になって有紀に抱きついてきた。
 男に抱き上げられたと勘違いしてるらしい。
「彩香ちゃん、私よ」と有紀が声を掛けると、彩香ちゃんは少しだけ気分が落ち着いたらしくて「ここはどこなの」と有紀に聞いた。
「トイレよここはトイレの中」と有紀が言うと彩香ちゃんは「四つ葉学園の学校のトイレなの」と不安そうに有紀の目を見つめた。
「地上よ、地上に戻ったのよ」と有紀が彩香ちゃんの肩をゆすりながら言うと彩香ちゃんも次第にここで何があったのか思い出したみたい。
「これからラブホテルに連れて行かれるのよね、私達」と彩香ちゃんが言うので有紀も頷いて答えた。
 きっと男達はトイレの外で待って居るんだと有紀も思った。
 このトイレから出たら、すぐにラブホテルに連れ込まれて朝までたっぷりと可愛がって貰えるんだと思うと有紀はなんだか嬉しい気分になった。
 ラブホテルの中だったらもっと凄いプレーだっていっぱい出来るはず。
 きっと裏ビデオで見たような信じられないような凄いプレーで責められて朝まで寝かせてなんか貰えないはず。
 そう思うともう居ても立ってもいられない。
 有紀は彩香ちゃんと一緒にトイレをでて男達の姿を探した。
 トイレの前に待ってるはずだと思って辺りを見回して見たが男の姿はない。
 きっと神社の入り口の前にいるはずだと思って彩香ちゃんが狛犬の前まで見に行ったがやはり誰もいないみたい。
 もしかして置き去りにされたのかと有紀は思ったけど、勝手に逃げ出したりしたらどんな目に遭わされるのかそれこそ大変な事になる。
 神社の入り口の狛犬の間を抜けて、通りの角を曲がるとラブホテルの前に男の姿が見えた。
 やっぱりラブホテルの前で待っててくれたんだと思って、有紀は急いで男の居る方に歩み寄ろうとした。
 だが彩香ちゃんが有紀の手を掴んで引き留めた。
 確かにラブホテルの前に男が二人居ることはいるけど、男達の間にセーラー服を来た女子高生が立ってる。
 男の陰になってよく見えないが、セーラー服は四つ葉学園の制服によく似てる。
 男二人とその女子高生がなにやら言い争いをしてるらしいがはっきりとは判らない。
「私を本当の女にしてくれるって約束でしょう。私を女にして」と女子高生が大声を張り上げるのが聞こえた。
 どっかで聞いたことのある声だと思ってよくよく思い出してみると、あの良一君だ。
 そう言えば良一君が「本当の女になりたい」とか要っていたのを有紀は思い出した。
 良一君の正面に立った男がいきなり一歩前にでると手を振り上げて良一君の顔をひっぱたこうとした。
 男の手が良一君の頬に叩きつけられる瞬間に、すばやい動きで良一君が頭を後にずらすと男の手が空振りして宙に舞った。
 良一君は目にも留まらぬ早業で腰に着けたナイフを抜くと、男の喉元に突きつけた。
 男は良一君のすばやい動きに思わず腰が引けそうになったが「本当の女に成りたいんだろう、そんなオモチャはすてるんだな」と太い声で良一君を怒鳴りつけた。
 良一君はそれを聞いてゆっくりとした手つきでナイフを足元に捨てると俯いて涙ぐんでる。
 男にまた何か言われたらしくて、良一君がチェックのミニスカートの下に手を差し入れてパンティーを脱いだ。
 良一君は男に白いレース模様の可愛らしいパンティーを手渡すと、両膝に手を付いて前屈みの姿勢になった。
 良一君の背後からもう一人の男が良一君のお尻に屈み込んで指先でなにやら探ってるのが見えた。
 良一君が本当に女なのかを確かめてるらしい。
 良一君は男の子のロボットだけど、ロボット実験場のロボットは全部同じ体の女の子だ。
 いくら心が男の子のロボットでも体が女の子のロボットだというのは隠しようがない。
「この女もう濡れてやがるぜ、びちょびちょになってやがる」と男が言うと笑いながら指先を奥まで入れながら動かし始めた。
 さっき有紀がされたのと同じ「潮吹き」をやってるんだと有紀は気が付いた。
 良一君はロボットなのに生身の女の子と同じ潮吹きで気持ちよくなっちゃうのかしらと有紀は不思議な気がして良一君の反応をじっと見続けた。
 男の手首が良一君の股間の奥まで差し入れられて激しく上下に動き始めると、良一君の背中が何度も仰け反った。
 良一君の足が震えて体ごと倒れ込みそうに成るのを男の手が支えているのが遠くからでもはっきり見えた。
 よっぽと気持がいいらくして良一君の口から漏れる喘ぎ声は次第に大きくなっていくばかり。
 頃合いだと思ったのか良一君の前に立った男がズボンの前を下げると、良一君の顔の前に突きだした。
 良一君の髪を掴んで頭を上げさせると、男の腰が突き出されて良一君の口元に吸い込まれた。
 遠くからでも「ピチャピチャ」と良一君が舌を使う音が聞こえてきて有紀はびっくりした。
 やっぱりさっきの神社で狛犬の陰で盗み見していたのは良一君だったみたい。
「どうだ、今夜たっぷり女にしてやるぜ」と男に言われて、良一君は顔を上げて男に頷いた。
 不意に有紀のお尻を後から擦りあげるような感触があって有紀は思わず後を振り返った。
 いつの間にか有紀の後に男が立っていて、有紀のお尻を手のひらでくすぐるように動かしてる。
 彩香ちゃんの後にもぴったりと男が立っていて、男の手が彩香ちゃんのスカートの下から差し入れられているのが見えた。
 男の手には懐中電灯が握られていて、さっき神社で覗き見していた痴漢達らしい。
 すぐ先のラブホテルの前では良一君がナンパ男達にフェラチオしてる真っ最中だ。
 うっかり大声を出せばナンパ男達に見つかってしまう。
 これでは痴漢男から逃げようと思っても逃げようがない。
 有紀のスカートが後から捲りあげられると、男の指先がパンティーの中に入ってきた。
 痴漢の冷たい指先が有紀のお尻を手でしっかりと掴んで揉み始めた。
 最初は軽くくすぐるように指先を震わせながら軽く揉むだけだが、有紀が抵抗しないのを良いことにだんだんと動きが大胆になってきた。
 有紀の胸にも痴漢の手が伸びてくると、ぎゅっと掴んでもみ上げてきた。
 我慢するしかないと思って有紀は必死の思いで立ち続けた。
 痴漢の唇が有紀のセーラー服の襟元から直に肌に触れてきた。
 有紀は気持ち悪くて寒気がして思わず体が震え上がった。
 有紀のお尻を揉んでいる痴漢の指先が今度は有紀のアナルに届いてきた。
 さっきナンパ男にアナルレイプされたばかりの有紀のアナルは、半分開いて濡れたままだ。
 痴漢男の指先がするりと有紀のアナルを押し広げて中にはいると、有紀は思わず足が震えた。
 さっきナンパ男に奥までいれられた感触が有紀のアナルによみがえると有紀は体中が熱くなった。
 不意に有紀の目の前に別の痴漢男が立ちはだかった。
 痴漢男は有紀に体を押しつけながら、スカートの下に手を差し入れてきた。
 まるで地下鉄で痴漢にあってる見たいに有紀の胸は前と後から体を押しつけられて潰れそうになった。
 痴漢男の指先が有紀の花園に直に入ってきたとき有紀はびっくりして死にそうになった。
 有紀は中学生になってから地下鉄に乗ったとき何度も痴漢に遭った事がある。
 最初に痴漢にあったときは、軽くお尻を触れる位でそんなに嫌な気分でもなかった。
 だけど一度だけ満員電車で周りを痴漢に取り囲まれた時がある。
 そのときは痴漢の手が有紀の胸やお尻を触りまくって悔しくて涙を流した。
 だけどいくら何でも痴漢に前と後から直に指を入れられちゃうなんて体験は今が初めてだ。
 痴漢の指先がアナルと花園の間の粘膜を隔ててぶつかり合うように動くと、有紀は本当に死んでしまいそうな気持になった。
 すぐ先のラブホテルの前では相変わらず、良一君がフェラチオをしている真っ最中で「チュユパチュパ」と音が聞こえて来る。
 有紀はこのままずっと痴漢の餌食になって居なければいけないのかと思うと気が遠くなった。
「おい」と有紀のアナルに指を入れていた男が不意に声をだした。
 有紀の前に立ちはだかっていた男が、後を振り向いた。
 良一君がナンパ男とラブホテルに入るのが見えた。
 痴漢の男達が有紀の体から離れると、有紀の体を背中から押して歩かせようとした。
 どこかに連れ込むつもりらしい。
 これ以上痴漢の餌食になっている訳にはいかないと有紀は彩香ちゃんに「逃げるのよ」と声を掛けた。
 彩香ちゃんが体当たりして男を突き飛ばしたのを見て有紀も体ごと痴漢の男にぶつかった。
 男の体は少し揺れただけでびくともしないが、有紀の体からは手が離れた。
 逃げるには今がチャンスだ。
 すぐに駆け出して逃げようとしたがすぐ目の前に別の痴漢の男が立ちはだかった。
 有紀はさっき良一君が四つ葉学園の制服のベルトに吊したナイフを取りだしたのを思い出した。
 ナイフを使えば痴漢相手にだって何とか戦えるかもしれない。
 有紀は必死でベルトの鞘からナイフを取り出すと、目の前の痴漢に向かって突き出した。
 彩香ちゃんも有紀がナイフを取り出したのを見て、ベルトの鞘からナイフを抜いて身構えた。
 ナイフは高機能炭素繊維で出来ていて色が黒いし、柄もオモチャみたいな真っ赤なルビーの飾りが付いてる金ぴかだ。
 痴漢男達は有紀と彩香ちゃんが持っているのがオモチャのナイフだと思って平気な顔をして近づいてくる。
 このナイフはあのタコイーカ財団の研究所で開発した超高性能のナイフだ。
 もし本当にナイフが痴漢男達の体に触れたら、あっという間に血だらけに成って死んじゃうに違いない。
 有紀は痴漢男にナイフがぶつからないように、痴漢男の目の前でめちゃくちゃにナイフを振り回した。
 痴漢男が手を伸ばして有紀の振り回しているナイフを掴もうとしたとき、痴漢男のジャンパーの袖がナイフに振れた。
 裁縫ハサミで切り取ったように袖の端が着れて飛ぶのをみて痴漢男達は目つきが変わった。
 彩香ちゃんも痴漢男の前に歩み寄って脅かすようにナイフを振り回した。
 痴漢男はすっと後に引き下がると有紀と彩香ちゃんを遠巻きに取り囲んですぐには近寄って来ない。
 彩香ちゃんがナイフを振り回しながら前に進もうとしたとき、痴漢達が懐中電灯で彩香ちゃんの目を照らした。
 彩香ちゃんは眩しくて何も見えなくて、足が止まった。
 これじゃあ先に進もうにも進めない。
 有紀の目にも懐中電灯の明るい光が入ってきて眩しくて何も見えなくなった。
 あっという間に痴漢男達が有紀と彩香ちゃんの背後から襲いかかると、ナイフを取り上げてしまった。
 痴漢男は有紀の手をねじり上げながら有紀の喉元にナイフが突きつけられてきた。
 こうなったらもう痴漢男達に逆らえない。
 痴漢男達にこれからどんな目にあわされるのか有紀は怖くてとても想像できなかった。
 ラブホテルの入り口を通って、部屋に連れ込まれると二人はベッドの上に押し倒された。
 俯せに寝かされて腕を後に捻りあげられると動こうにも動けない。
「お願い口でやらせて、私フェラチオ大好きなの」と彩香ちゃんが苦しそうな声で男に訴えた。
 このままだったら痴漢男に何をされても逆らえないけど、フェラチオしてるときなら男に隙ができるはず。
 それを狙って彩香ちゃんが口でやらせてと男にお願いしてるんだと有紀はすぐに気が付いた。
 痴漢達はさっき神社の境内で有紀と彩香ちゃんがわざと周りから見えるようにフェラチオしたのを見てるはず。
 フェラチオさせてとおねだりすればなんとかこの場を切り抜けられるかもしれない。
「お願い、しゃぶらせて、私オチンチンしゃぶるの大好き」と有紀も大声で叫んだ。
 男は二人の腕を捻りあげたまま、すぐには離そうとはしない。
 有紀の後に男がしゃがみ込むと、プーンという音が聞こえてきた。
 不意に有紀の花芯に激しい電流が流し込まれたような感触が襲いかかって、有紀は思わず体を震わせた。
 すぐに彩香ちゃんが「だめーー」と大声をだして、有紀と同じように体を震わせて仰け反った。
 有紀が彩香ちゃんの様子を横目で見ると、男が手にしてるのはバイブらしい。
 紫色をした変な形のバイブは、男性の形を真似して作ってあるけど随分とグロテスクだ。
 こんな物を花園に押し込まれたら、本当に気持ちよくなるんだろうかと有紀は不思議な気がした。
 先端が大きく傘のように開いて、根元にかけて反り返っていて気持ち悪くなるような形だ。
 男の手が動くと有紀の花園にまた激しい電流が流れてたような感触が襲ってきた。
 男がバイブの先端を有紀の花芯にそっと軽く触れさせてきたんだと判って有紀は怖くなった。
 先端を軽く触れさせただけで、こんなに気持ちが良いなら花園の奥まで押し入れられたら大変なことになる。
 もう普通の男性のオチンチンじゃあ満足できない体になんかされたらそれこそ大変だ。
「お願い許して、早くしゃぶらせて」と彩香ちゃんが必死で男にお願いしてる。
 急に彩香ちゃんが「あ、--、-ぁぁ、-」ととぎれなく喘ぎ声をあげて苦しそうに顔を歪めた。
 男が手に持ったバイブの先端を彩香ちゃんの花園に少しだけ挿入してから、ゆっくりと押し回して入り口を広げてる。
 よっぽど気持ちいいらしくて彩香ちゃんの顔が歪んで唇を震わせながら涙ぐんでるのが見えた。
 有紀の花園にもすぐにバイブの先端がちょっとだけ押し込まれると、小刻みに前後にゆすりながらゆっくりと押し回されてきた。
 ここちよい感触が花園全体に広がると、熱い奔流が有紀の体を包み込むようにして溢れ出した。
 男は有紀の反応を確かめながらゆっくりとバイブを奥まで押し込んできた。
 バイブの先端がくねくねと回りながら有紀の胃袋を押し上げると激しく震えだした。
 胃袋がひっくり返りそうになって、有紀は苦しくて体を捩らせて大きく息を吐いた。
 奥まで一杯に押し込んだバイブを今度はゆっくりと抜き出そうと男の手が動いた。
 バイブの先端の膨らんだ縁が有紀の花園にぴったりとはまって、震えたままくねくねと動くと有紀の花園から熱い奔流が沸き上がって体中にひろがった。
「お願いしゃぶらせてー」と彩香ちゃんが大声で叫ぶのが聞こえた。
「その前にやって貰うことがあるからな」と男が冷たい口調で言い放すと、バイブから手を離した。
「自分でバイブを使うんだ、その方が気持ちいいだろう」と言うと有紀を責めていた男もバイブから手を離した。
 後から有紀の手を捻り上げていた男の手が離れると、有紀は彩香ちゃんの横で仰向に寝かされた。
「バイブの柄を掴んで自分で回すんだ、言う通りにしないとしゃぶらせてやらないぜ」と男に言われて有紀は仕方なく自分でバイブの柄を握りしめた。
 有紀は男に指示された通りにバイブの柄を押し回すと、腿の筋肉が震え出してお腹が上下に波打って止まらなくなった。
「奥まで思い切り突くんだ、もっと奥まで入れろ」と男に怒鳴られて有紀は仕方なくバイブを花園の奥まで押し込んだ。
 思いがけない感触が有紀の花園を包み込むと、有紀は我慢できなくて体を仰け反らせて何度も喘いだ。
「こんなドスケベ女みたことないぜ、オナニーして本気で感じてやがる」と男がいやらしい口調で言い放つと、他の男達も一斉に笑い声を上げた。
 有紀は恥ずかしくて体中が熱くなると、バイブを繰り返し奥まで突くのが止められなくなった。
 体中が激しく引きつって震えると、有紀は急に体の力が抜けて動けなくなった。
 男がバイブを抜いたらしい。
 彩香ちゃんバイブを抜かれてベッドの上に力無く寝そべってる。
「おい、しゃぶらせてやるぜ」と男に言われても有紀はすぐにベッドから起きあがれなかった。
 彩香ちゃんが先にベッドから起きあがって床に座り込んだ。
 男が二人彩香ちゃんの目の前に立つとズボンとトランクスを脱いで立ちはだかった。
 有紀は部屋の中を見回して痴漢の男が全部で四人だと確かめた。
 有紀と彩香ちゃんが二人づつ相手をすれば、なんとか成りそうだ。
 彩香ちゃんが左右に立った男の股間に手をあてがって、下から持ち上げながら手の平を揺すり始めた。
 まだ下を向いていた物がすぐに大きくなってぴんと真上に立ち上がった。
 有紀も慌てて彩香ちゃんの真似をして、左右に立った男の股間に手をあてがった。
 柔らかくて冷たい感触が有紀の手に伝わってきて、何だか気持ち悪いけどやるしかない。
 手のひらをそっと揺さぶってタマタマを軽く転がすように指先で揉むとすぐに男の大事な物が大きくなってきた。
 有紀は嬉しくなって、指先をくすぐるように動かし続けた。
 すぐ目の前に男の大事な物が二本並んでるのを見て、有紀は左右に目を配りながら見比べてみた。
 同じように見えても色も形もちょっとづつ違っていて、なんだか見ていても楽しくなる。
 彩香ちゃんも目の前におっきな物が二つ並んでるのをみて嬉しそうな顔。
 男が腰を前に突きだして大事な物の先端が彩香ちゃんの頬に押しつけられてきた。
 彩香ちゃんが口を開いて唇の間に大事な物を挟み込んだので有紀はびっくりした。
 せっかくフェラチオをやらせて貰えるチャンスなんだから、彩香ちゃんはやりたくてうずうずして気持が押さえられないんだと有紀は一瞬思った。
 だがよく考えてみると男の気持に隙ができるのは、生で出す瞬間だ。
 彩香ちゃんはきっと男が一番油断する瞬間を狙っているんだと有紀にも気が付いた。
 左右に首を振りながら彩香ちゃんが舌を使い始めると、彩香ちゃんの表情が変わった。
 目が半分泣きじゃくったように細くなって眉毛が変な形でつり上がった。
 彩香ちゃん得意のフェラ顔だ。
 女の子はフェラチオが好きでも、フェラチオをしてるとき楽しそうな顔をしてたらいけないんだと彩香ちゃんがいつも言ってた。
 フェラチオしてる時の女の子の顔が楽しそうな笑顔だったら男の子にしてみれば興ざめだ。
 フェラチオを無理矢理やらせれて、いやなのに感じてきちゃった女の子の顔を見るのが男の楽しみなんだ。
 鏡を見て練習して上手くフェラ顔ができれば男の子にもモテモテだ。
 有紀の頬にも男の大事な物が両側から押しつけられてきた。
 有紀は彩香ちゃんの真似をして左右に首を振りながら男の先端を嘗め続けた。
 最初は舌先を震わせながら軽く触れるように嘗めるのがポイントだ。
 男の反応を確かめて男の腰が微妙に震えてきたら今度は唇をすぼめて吸い込むように出し入れする。
 有紀が男の顔を見上げて確かめると、口元が歪んで眉がつり上がってる。
 男が気持ちよくなってるのが男の表情から見て取れた。
 有紀も彩香ちゃんの真似をして必死でフェラ顔をしながら、舌を使い続けた。
 男の物は次第に固さと大きさを増して、有紀の口の中で反り返って震えるのを繰り返した。
 こうなったらあとは最後のフィニッシュに持ち込むだけだ。
 有紀は男の大事な物を唇で吸い込みながら喉の奥まで飲み込むと、唇を絞って吸いながら先端まで嘗め上げた。
 男の腰の動きが次第に早くなって前後に揺すりながら前に押し出すように迫ってきた。
 今がチャンスと有紀は思った。
 男の急所はタマタマだ。
 タマタマを握りしめたらどんな男だって痛くて悶絶しちゃうはず。
 男の大事な物が有紀の口の中でピクピクと動くのが有紀の舌先に伝わってきた。
 有紀は彩香ちゃんの様子を見ながら、タマタマを握りしめるタイミングを狙った。
 彩香ちゃんも巧みに舌を使いながら、男の顔を見上げて反応を確かめてる。
 だらしなく口元のゆるんだ男の顔が何度も引きつると、唇が震えるのが見えた。
 あと一息で発射寸前だ。
 彩香ちゃんが有紀に目で合図をしてきた。
 男の先端から生の飛沫が飛び出すのと、彩香ちゃんがタマタマを握りしめるのがほぼ同時のタイミングだ。
 有紀の顔に男の生が飛び跳ねた瞬間に有紀も男のタマタマを両手で握りしめた。
「ウェーー」と男達が次々にうめき声を上げると、床に倒れ込んだ。
 逃げるなら今だ。
 有紀はすぐに立ち上がってドアに向かって走り寄った。
 彩香ちゃんもすぐに後から付いてきた。
 有紀は部屋を出ると、大急ぎでエレベータの前まで駆け出した。
 エレベータのボタンを押して開いたドアの中に飛び込んでドアを閉めるとこれで一安心。
 彩香ちゃんの顔に男の生の飛沫がぶっかけられてるのを見て、有紀はおかしくて思わず笑みを浮かべた。
 有紀の顔にも同じように男の生の飛沫が飛び散っているのを見て今度は彩香ちゃんが笑った。
 これでやっと逃げ出せたと一安心したのか、彩香ちゃんは嬉しそうな顔で目を大きく見開いた。
 エレベータが動き出すと彩香ちゃんがいきなり有紀に抱きついてほっぺたを有紀の顔に押しつけてきた。
 二人のほっぺたは男の生の飛沫でヌルヌルしてるけど何だか気持ちよくて有紀は嬉しくなった。
 エレベータがラブホテルの受付前に止まると、有紀は彩香ちゃんの手を引っ張って必死で逃げ出した。
 ラブホテルの前の通りを駆け抜けて横の路地に入ればもう男達に追いかけられる心配はない。
 少し休んで息が楽になってから「これから、どうしようか」と有紀は彩香に聞いてみた。
「ともかく、恵美ちゃんを助けるのが先ね」と彩香ちゃんが言うので二人はさっきのSM倶楽部の裏口に戻ることにした。

神社の境内で輪姦調教

あらすじ
 神社の境内を通り抜けようとすると、男の子達に捕まって輪姦される。そのあとさっきの痴漢男達にも捕まってまた輪姦されてしまう。SM倶楽部に戻ると、江実矢君も男の子達に乱暴されたのを見つける。

 神社の前まで来て、近道をしようと神社の境内に二人は進んだ。
 だけど何だか変だと有紀はすぐに気が付いた。
 さっきまでベンチに一杯いたカップルの姿が一人も見当たらない。
 神社の裏口まで来ると、いきなり目の前に男の子が二人飛び出してきて行く手を塞いだ。
 睨みつけるような怖い顔はなんだか変な雰囲気で、このまま通して貰えそうにはない。
 有紀が彩香ちゃんに目で合図して、境内の中央に戻ると今度は狛犬の両側から男の子が飛び出してきた。
 さっきの男の子の仲間らしい。
 前と後を男の子に挟まれてこれでは逃げようがない。
 境内の隅のトイレからも男の子が数人出てくると、有紀と彩香ちゃんの周囲を取り囲んだ。
 男の子達は左右のに両手を広げながら、ゆっくりと二人を囲む輪を縮めてきた。
「さっきのお礼をしてやるぜ」と男の子の一人が呟くのが聞こえた。
 その時になって、有紀はこの男の子達がさっきSM倶楽部でピーチが噛みついた男の子の仲間らしいと気が付いた。
 このままだったらどんな目に遭わされるか判らない
「口でやるから、許して」といきなり彩香ちゃんが大声をだした。
「私大好きなんです、フェラチオ大好きなんです、本当なんです」と彩香ちゃんが怯えた声で必死になって言い続けると、男の子達の表情が変わった。
 フェラチオするだけで許して貰えるなら、その方がよっぽど良い。
 有紀も彩香ちゃんに調子を合わせて「私もフェラチオ得意です、大好きなんです、今すぐやらせて下さい」と大声で叫んだ。
「じゃあ、やってもらおうか、好きなだけしゃぶらせてやるぜ」と男の子が一人、彩香ちゃんの前に立ってズボンの前を開けた。
 有紀の目の前にも男が歩み寄ると、ズボンの前を開けて立ちはだかった。
 男の子の大事な物はまだ小さいままで見た目は可愛らしい。
 他の男の子達もズボンを下げて有紀の周りを取り囲んだ。
 男の子達の人数が多すぎて、さっきみたいにタマタマを握りつぶす手は使えない。
 こうなったらやるしかない。
 有紀が口をあけて舌を出すと、男の子が腰を前に押し出してきた。
 男の子の先端を舌先でくすぐるように嘗め回すと、すぐにおっきくなってきたので有紀は嬉しくなった。
 相手が大勢なのでともかく早く出して貰わないといつまで経っても終わらない。
 有紀は必死になって秘術をくりだして、男の子の大事な物を舌で嘗め回した。
 男の腰の動きが早くなって、有紀の口の中で大きな物が何度も反り返った。
 すぐに口の中に弾ける感触があって、有紀は男の生の味を確かめた。
 お酒を飲んだ後らしくて、まろやかな香りが有紀の口の中に広がった。
 一人が終わると、また次の男の子が有紀の前に立ちはだかった。
 順番にひとりづつ全員が終わった頃には有紀の口の中は男の子の生の味で一杯になった。
 色んな男の生の味が口の中に混じり合い、変な味がして有紀は口から吐き出そうとした。
 横から男の手が伸びてきて有紀の口を押さえると、喉を指で押さえてつよく何度も撫で上げた。
 喉が強制的に生の味を飲み込むと、有紀は胃袋の中が熱く燃え上がって目眩がした。
 彩香ちゃんはよっぽど生の味が好きらしくて舌先で何度も味わっては少しづつ飲み込んで幸せいっぱいな顔をしてる。
 もうこれで許して貰えると思って有紀が立ち上がろうとすると、男の子が後から有紀の体を抱きかかえた。
 有紀の体が中に浮くと、有紀は前に立った男の子にだっこされる形でいきなり下から男の子の大事な物が突き上げてきた。
 あまりの事に有紀は何がなんだか判らなくなって男の子の体に必死になってしがみついた。
 繰り返し上下に揺さぶられながら、下から突き上げられて有紀は宙に舞ったように体が浮き上がった。
 男の子は境内を歩き回りながら、調子にのって有紀の体を上下に揺さぶって遊びはじめた。
 体が上下に揺れるたびに、男の物が有紀の奥まで届いてきて有紀の胃袋を突き上げてきた。
 もうだめと思ったとき、男の子が有紀の体を抱きかかえながら地面に降ろした。
 有紀の体は地面に寝ころんだ男の子の上に載せられると、ほかの男の子達が有紀の足を掴んで両足を広げさせた。
 上下に繰り返し揺すられると、奥までいっぱいに届いてきて脳みそが飛び出ちゃいそうなくらいの衝撃だ。
 男の子達がかけ声をかけて有紀の体を上下に激しく揺すると、有紀の体は宙に舞い上がりながら狂ったようによがり続けた。
 有紀が体を反らせて、何度も悦びの声をあげると男の子達はやっと動きを止めてくれた。 休む間もなく有紀の後に男の子が立つと、有紀の背中を押して有紀の体を前のめりにさせた。
 後からアナルを責められて、有紀は思わず大声で叫び声を上げた。
 花園とアナルを同時に突き抜ける衝撃がするどい快感になって有紀の体を襲った。
 別の男の子が有紀の目の前にたつと、有紀の口に男の子の大事なものを押し込んできた。
 一度に三カ所に男の子の大事な物を挿入されて、有紀は脳みそが吹き飛んで気が狂いそうになった。
 繰り返されるリズムは永遠の時を刻んで、終わりのない快楽の世界に有紀を引きずり込んだ。
 彩香ちゃんが大声で叫ぶ声が有紀の耳に微かに届いた。
 有紀の周りの世界は暗黒に支配され、望を失った有紀の体は何度も引き裂かれた。
 有紀は次第に気が遠くなって、地面に寝そべったまま動けなくなった。
 明るい光が有紀の目を照らすのに気が付いて有紀は目を開けた。
 懐中電灯の光が有紀の周りから近寄ってくるのを見て有紀は何とか立ち上がろうした。
 ようやく手をついて体を起こしたとき、有紀のすぐ目の前にはさっきの痴漢が懐中電灯を持って立ちはだかった。
 さっきラブホテルに一緒に行った痴漢達がずっと覗き見してらしい。
 逃げようと思ったがすぐに有紀の両手が痴漢の男に掴まれて縛り上げられた。
 さっきタマタマを握りしめられたのを用心して真っ先に両手を縛り上げたんだ。
 彩香ちゃんの両手もすぐ有紀の横で縛り上げられて身動き出来ない。
「さっきは、よくも酷い目に遭わせてくれたな」と痴漢の男が有紀の上に跨りながら大声で怒鳴りつけてきた。
 こうなったらもう逃げられない。
 痴漢の男はさっき有紀と彩香ちゃんから取り上げたナイフが握られている。
 黒い高機能炭素繊維のナイフが有紀の喉元に突きつけられて有紀は怖くて体が震えた。
 いったいどうしたらいいのと思ったとき彩香ちゃんが「お願い早く入れて、お願いもっと欲しいの」と甘えた声を出した。
 有紀はそれをきいて彩香ちゃんは気が狂ったと一瞬思った。
 男の子達に輪姦されてもう頭がおかしくなっちゃったに違いない。
「早く気持ちよくして、お願い」と彩香ちゃんがまた甘えた声でおねだりすると、自分から足を大きく開いて腰を上に持ち上げた。
 彩香ちゃんが足を大きく広げて廻すように動かしながら腰をくねらせて上下に揺するのを見て有紀は彩香ちゃんの意図に気が付いた。
 どうせこの痴漢男達に酷い目に遭わされるなら早く済んだ方がいい。
 てっとりばやく済ませてしまった方が痛い目にも遭わずに済むし全然楽だ。
 有紀も彩香ちゃんの真似をして、足を大きく開いて腰を上下に振ってみた。
「気持ちよくして、お願い早くして」と精一杯の甘えた声でおねだりすると有紀は自分が飛んでもない淫乱女になった気がして体が熱くなった。
 有紀の足元に痴漢男が立つと、有紀の両足を掴んで思い切り上に引っ張り上げた。
 懐中電灯の光が有紀の花園を明るくてらすと痴漢男がいやらしい声で笑うのが聞こえた。
「もうぱっくり開いてるぜ」と痴漢男が吐き捨てるように言うと男達は一斉に大声で笑った。
「早くして」と有紀がもう一度甘えた声でお願いすると痴漢男はさっそくズボンを下げて腰を屈めた。
 有紀が腰を前に突き出すと、痴漢男の手元からプーンという微かなうなり声が聞こえた。
 痴漢男がまたバイブを使おうとしてるのだと気が付いて有紀は寒気がした。
「お願い、オチンチンいれて私オチンチン大好きなの」と有紀が大声で叫ぶと彩香ちゃんも「オチンチン大好き、本当に大好き」と大声を上げた。
 痴漢男達はまた一斉に大声で笑うと、有紀のアナルにバイブの振動が伝わってきた。
「だめ、そこだめ、そこは違うの」と慌てて有紀が叫んだが、痴漢男は有紀のアナルにバイブを押し込んできた。
 激しい快感が有紀のアナルを突き抜けて頭のてっぺんまで通り過ぎた。
 有紀は堪らずに縛られた両手を激しく振り動かし背中を繰り返し何度も仰け反らせた。
「大好きな物入れてやるぜ」と痴漢男が有紀の耳元で囁くと、有紀の中に男の大事な物をゆっくりと押し込んできた。
 アナルと花園を隔てる薄い膜を挟んでバイブの振動が男の大事な物を激しく震わせてきた。
 まるで稲妻にうたれたような激しい快感が有紀の花園から沸き上がると、脳天をぶち割るような衝撃が有紀の体を貫いた。
 男が腰を動かすたびにバイブの振動が男の大事な物に絡みつくように広がると、花園全体が引きつって震えだした。
 有紀の目に涙がこみ上げてくると大粒の涙が有紀の頬を伝って流れ落ちた。
 苦しくて体を捩ろうとすると、そのたびに有紀の花園にバイブの振動が襲いかかって有紀は天国の空を舞いながら女の悦びに体をゆだねるしかなかった。
 あっというまに男の動きが激しくなると有紀の花園の中に生の飛沫がいっきに吐き出された。
 男が腰に力を入れて絞るように男の大事な物を引き抜くと、有紀は一気に体の力が抜けて動けなくなった。
 次の男がもう有紀の花園に入ってきたとき、有紀の体はもういちど天国の空を舞いながら震え続けた。
 暗黒の儀式が繰り返し有紀の体を引き裂くと、有紀は体を突き抜ける快感に身をゆだねた。
 有紀が気が付いたとき、痴漢の男達はもう神社の境内には誰もいなかった。
 彩香ちゃんが立ち上がると縛り付けられた両手をなんとかしようとしてベンチの裏手に回った。
 柵の尖った先端に縄の結び目をねじ込んでなんとか縄を解くと、すぐに戻ってきて有紀の縄を解いた。
 彩香ちゃんは目にいっぱい涙を浮かべていて目も虚ろだ。
 有紀はなんとか彩香ちゃんを慰めようと思ったけど何て言って良いのか言葉がすぐには思い浮かばない。
「私達あのロボット実験場から逃げだしてきたのよ、それだけでも幸せだと思わなきゃだめ」と有紀は言うだけ言ってみた。
「あのロボット実験場の怪物の餌食になるよりは、今の方がずっと良いと思わなくちゃ」と有紀と彩香ちゃんを慰めると彩香ちゃんも納得した顔で何度か頷いた。
「そうよね、良い思いを一杯させてもらったんだから私も有紀ちゃんも幸せよね」と彩香ちゃんが言うので確かにそれもそうだと有紀は思った。
 普通の女の子だったら一生体験できないことを一晩の内にいっぱい経験しちゃったのは幸せなのかも知れない。
 彩香ちゃんが何とか泣きやむと、有紀も立ち上がって捲れ上がったスカートとブラウスを直した。
 こんなところにはいつまでも長居はしていられない。
 ともかくさっきのSM倶楽部にもどって江実矢君を助けるのが先だ。
 二人は薄暗い夜道を戻ってSM倶楽部の裏口まで来た。
 不安な気持ちでそっと裏口のドアを開けると、部屋には江実矢君が縛られて口に猿轡をかまされているのが見えた。
 部屋に入って江実矢君の側まで来ると、江実矢君の様子がなんだか変だ。
 四つ葉学園の制服が泥だらけに汚れているし、江実矢君の膝が擦りむけて血が出てる。
 有紀は慌てて江実矢君の口にはめられた猿轡を外した。
 江実矢君の口から涎が垂れてるけど臭いが変だ。
 もしやと思って有紀は江実矢君の口の中に舌を入れてまさぐってみた。
 やっぱりと有紀は思った。
 有紀の舌に絡みついてきたの男の子の生の味だ。
 彩香ちゃんが江実矢君を縛っている縄を解くと、江実矢君のアンダースコートを脱がせた。
 白いレース模様のパンティーには血がにじんだあとがある。
 彩香ちゃんが江実矢君のパンティーの下に指を入れて確かめると、指先にはやはり男の生の味がたっぷりと絡みついてきた。
 江実矢君のすぐ横にはバイブも床に転がっていて、微かに血の跡がある。
「江実矢君ごめんなさい」と言うと彩香ちゃんがいきなり泣き出した。
「女にするって、こうゆう事だったのね、可愛そうな恵美ちゃん。女にされちゃったのね」と彩香ちゃんが泣きながら江実矢君に抱きついた。
「江実矢君を守ってあげられなくて、本当にごめんなさい」と彩香ちゃんが謝ったが江実矢君は表情一つ変えずに黙ったまま。
 有紀にも江実矢君が何をされたのかすぐに見当がついた。
 さっき有紀と彩香ちゃんを襲った男の子達は、神社の境内に来る前にここで江実矢君を襲ったらしい。
 縛られて猿轡をされた江実矢君が大勢の男の子相手にして抵抗出来るわけがない。
 男の子なのにフェラチオをさせられて、アナルで責められちゃうのが「女の子にする」って事だったんだ。
 彩香ちゃんが江実矢君のパンティーを脱がせて、男の子の大事な物を確かめてみた。
 もしかして男の子達が江実矢君の大事な物をちょん切っちゃったかも知れないと心配になったらしい。
 彩香ちゃんがよくよく確かめてみると江実矢君の大事な物はまるで赤ちゃんの物みたいな大きさに縮こまってる。
 二つあるはずのタマタマも何処に消えたのか見つからない。
 男の子達によっぽど酷い目に遭わされたせいで、もう男の子の機能はなくなっちゃったんじゃないかと有紀は心配な気がした。

ファンの男の子に追いかけられSM倶楽部に逃げ戻る

あらすじ
 江実矢君を助け出したあとマクドナルドで一休みしてると、ピンクタイフーンのファンの男の子達に見つかって追いかけ回された。SM倶楽部に逃げ込むと舞台の上では良一君が鞭で打たれてる。

 ともかくこのSM倶楽部からでて、安全な場所に行くのが先決だ。
 彩香ちゃんが江実矢君を抱きかかえるようにして裏道を歩き出した。
 すこし先の大通りにでると、ネオンの灯りで輝く街角が見えた。
 すぐ目の前の大通りを車が通りすぎていくのが見えて、これでやっと地上に出られたんだと判って一安心だ。
 歩道には大勢人が歩いていて、これなら男の子達に襲われる危険もない。
 途中でマクドナルドを見つけたので、シェークを飲んで一休みする事にした。
 正面のカウンターで彩香ちゃんがシェークを三人分頼んで、ちょうど空いていた窓際の席に座った。
 地下の実験場ではエネルギー飲料した飲めなかったので、久々にシェークを飲むと美味しくて生き返ったような気分。
 彩香ちゃんは疲れが出たのか、窓際の席でスカートの足を広げたまま居眠りをはじめた。
 あの地下の実験場から逃げ出すのも大変だったし、そのあとも飛んでもない目にあった。
 疲れて眠くなっちゃうのは仕方ない。
 有紀はしばらく彩香ちゃんが居眠りをするのをそばで見守っていた。
 ふと気がつくと窓の外に男の子達が集まってきて変な雰囲気だ。
 男の子達は携帯を手にしていて、窓際の彩香ちゃんに向けてる。
 彩香ちゃんが足を広げて居眠りしてるスカートの奥を携帯で盗撮してるんだ。
 有紀も彩香ちゃんも何度も男達に襲われてスカートの下にはパンティーを履いていない。
 その上大勢の男の子に中だしされたばかりで、男の生の滴が花園から溢れてる。
 これは大変だと慌てて有紀は彩香ちゃんの肩を揺すって起こした。
 彩香ちゃんは窓の外に男の子達が大勢押しかけていて、携帯をこちらに向けているのに気がついてびっくりした顔。
 ともかくこの店を出て逃げ出すしかない。
 店を出るとすぐに男の子達が一斉に彩香ちゃんに駆け寄ってきた。
 慌てて三人で駆け出したが、少し先からまた別の男の子達の一団がこっちにめがけて押し寄せてくる。
「居たぞー、ピンクタイフーンの三人だ、そこだー」と大きな声で男の子が叫ぶ声がきこえた。
 確かに彩香ちゃんと有紀と江実矢君の三人でピンクタイフーンというグループで歌手デビューしたことになってるけど、あれはディレクターが思いつきでやったこと。
 本当に人気アイドルになってたなんて、そんなこと有るわけとは思ったけど本当だったらしい。
 大通りの前と後から挟み撃ちになって逃げられない。
 このままだと男の子達に捕まって何をされるか判らない。
 男の子達がすぐ目の前に押し寄せて来たとき、突然彩香ちゃんが歌いながら踊り出した。
 有紀も慌てて一緒に踊り出すと、江実矢君も真似して彩香ちゃんの隣で踊りだした。
「うふふん、うふふん、ラブラブ天使、虹の光に誘われて」とピンクタイフーンの新曲を歌いながらゆっくりと後にさがると、男の子達は三人の目の前で足を止めてそれ以上は近づいてこない。
 なんとかしようと思ったけど大通りの向かい側の駅の方からも大勢男の子が押しかけてくるの。
 とりあえず逃げる場所がないと思って見まわすと、すぐ横のビルの間に細い路地がある。
 急いで路地に逃げ込むとビルの間を通り抜けてさっきの神社の裏手に出た。
 神社の先にさっきのSM倶楽部の看板が見える。
 このままだとすぐ男の子達に見つかってしまう。
 さっきのSM倶楽部に一旦も戻るしか他にいい手が思いつかない。
 慌ててSM倶楽部の正面の受付を通り抜けると、すぐにトイレに駆け込んだ。
 トイレは狭くて三人が入るともう一杯だ。
「これじゃあ、しょうがないわね」と彩香ちゃんが諦めた顔でしゃがみ込むと江実矢君が携帯をいじってる。
 地下の実験場に居たときは携帯は繋がらなかったけど、ここは地上だから携帯はつながるはず。
 江実矢君が携帯で勇二君と連絡が出来たと教えてくれた。
 勇二君は大学の研究室に無事戻ったというので、これでこの世界が本物だというのは間違いない。
 勇二君の話では、さっきのマクドナルドで男の子が彩香ちゃんの写真を盗み撮りしてそれをピンクタイフーンの掲示板に投稿したらしい。
 それでボードを見た男の子達が大勢集まってきちゃったって訳だ。
 他にもSM倶楽部でショーに出た時の動画や、神社の境内で男の子達に襲われた時の動画も投稿されてるらしい。
 これじゃあうっかり大通りを歩く訳にもいかない。
 勇二君がワゴン車でこの近くまで迎えに来てくれることになった。
 だけどこの店の周りには男の子達がいるからからうっかり店には入れない。
 身代わりに三人組のロボットを連れてくるから、それをおとりに使えばいいと勇二君がアイデアを出してくれた。
 しばらく店のトイレで待っていると「すぐ店の近くまで来てる」と、勇二君が江実矢君の携帯に連絡してきた。
 ロボットの三人には四つ葉学園の制服と似たセーラー服を着せてあるからちょっと見ただけでは見分けは着かないはず。
 彩香ちゃんは良いアイデアがあると言って江実矢君がもってる携帯を手に取った。
「これから大通りで踊りますからみなさん見に来て下さいね」とピンクタイフーンの掲示板に書き込むと、ついでに彩香ちゃんの写真も載せた。
 これで上手くいくはずと勇二君に知らせると、ロボットが大通りで踊りを始めたと折り返し連絡がきた。
 掲示板を確かめると男の子が写真を撮ってロボットが踊る様子がつぎつぎと投稿されてる。
 勇二君がロボットを駅前の大通りに向かって移動させた。
 男の子達も一斉にロボットの周りを取り囲んで一緒に駅前に動き始めた。
 ロボットはさっきのマクドナルドまで踊りながら歩いていく手はずだ。
 男の子達はいっせいにロボット周りを取り囲んで奇声を上げてる。
 もう大丈夫だと勇二君からメールが来たので有紀は彩香ちゃんと江実矢君と一緒にこっそりと店を抜け出した。
 勇二君が待っているワゴン車らしい車がすぐ先で止まってる。
 これで助かったと思って、すぐ近くまで周りに注意しながら近づいた。
 もうすぐだと思ってワゴン車をよく見たけど、ワゴン車の前で待ってるはずの勇二君がいない。
 江実矢君がもう一度携帯で勇二君と連絡しようとした。
 だけど勇二君が「大変なことになってる」メールが帰ってきただけ。
 慌ててもう一度掲示板で様子を確かめると、ロボットを誘拐しようとしてる人達が来てファンの男の子達と一騒動起きてるらしい。
 よくよく目の前のワゴン車を見ると、どこかで見たマークが着いてる。
 あのタコイーカ財団のマークだ。
 タコイーカ財団が彩香ちゃんと有紀と江実矢君そっくりのロボットを誘拐しようとしてまた来てるらしい。
 携帯で勇二君にいま居る場所を知らせると、勇二君のワゴンはすぐ近くらしい。
 大通りの少し先のワゴン車から降りた勇二君がこっちに近づいてきた。
 勇二君はあの鈴木先生から奪ったリクルートスーツを着たままで、胸も大きく膨らんだ格好は地下の実験場から逃げてきた時と同じ格好だ。
 すぐ目の前のタコイーカ財団のマークの着いたワゴン車からも誰かが出てきてこっちを向いた。
 黒い皮の鎧のような服を着てるのはあの鈴木先生だ。
 鈴木先生は、両手に鞭を持って勇二君の前に立ちはだかった。
 勇二君は鈴木先生に気が付いて一瞬ひるんだが、男らしく勇気を奮い立たせて鈴木先生に体当たりをして鞭を奪おうとした。
 鈴木先生は身体を沈めながら勇二君の足を払うと頭の上から勇二君の股間めがけて鞭を振り落とそうと腕を振り上げた。
 すぐにセーラー服を着た女の子が二人、勇二君の前に飛び出してきた勇二君を守った。
 百合ちゃんと久美ちゃんだ。
 勇二君が危ないと思って助けに来たんだ。
 だが鈴木先生が鞭をすばやく振り回すとあっという間に二人とも道路に倒れ込んだ。
 二人ともすぐにタコイーカ財団のワゴン車に連れ込まれてしまった。
 鈴木先生はもう一度腕を振り上げて勇二君に鞭を叩きつけようとした。
 あっと思った瞬間にピーチが飛び出すと、鈴木先生の手に噛みついた。
 鈴木先生の手から鞭が落ちると、鞭の先が跳ねて大通りを越えた。
 彩香ちゃんが鞭をつかもうとして身を乗り出すと「いたぞー、そっちが本物だ」と男の子が大声が聞こえた。
 これは不味いことになった。
 有紀は慌てて勇二君に駆け寄って抱き起こすと、すぐに男の子達が大勢押し寄せてきた。
 ビルの間の路地を通って裏道に抜けるとさっきのSM倶楽部に戻るしか逃げ場がない。
 非常口を通って壁際のカーテンをくぐって、SM倶楽部の中に入った。
 ちょうど店の中はショーの最中らしくて、舞台には女王様の姿が見えた。
 逃げる場所はないので舞台の横のカーテンの陰にしゃがみ込んで隠れていると女王様が「この女子高生、気持ちよくて泣いてやがるぜ」と鞭を振りながら大声を張り上げてるのが聞こえた。
 変に抑揚をつけた芝居がかった声に有紀は思わず笑いそうになった。
「男が欲しいんだろう、毎晩男に可愛がられたいんだろう、」とまた女王様が大声を張り上げた。
「そんなことありません」と言い訳する声を聞いて、有紀は聞き覚えのある声だと思って舞台をよく見た。
 セーラー服姿の女子高生は、よくみるとあの四つ葉学園の制服。
 顔をよくよく確かめると縛られているのは良一君だ。
 なんで良一君がこんな所に縛られているのか訳が分からない。
 勇二君も何でこんなことになってるのか判らずにカーテンの陰から身を乗り出して、良一君の様子を確かめようとした。
 良一君が舞台の下から見上げてる勇二君を見つけると「タスケテー」と泣きそうな声をだした。
 女王様に鞭で叩かれて目に涙を浮かべてる。
 なんでこんなことに成っちゃってるのか訳が分からない。
 ナンパ男にラブホテルに連れ込まれた後、この店に連れてこれらたらしい。
 だけど良一君はロボットなんだから鞭で叩かれたってどうだって良いはず。
 地下のロボット実験場で勇二君に鞭で叩かれたとき、良一君の回路が故障しちゃったに違いない。
「私が好きなのは、勇二さんだけ、本当なの、私には勇二さんしかいないの」と良一君がまた勇二君に泣きながら訴えた。
「私、女の子だから勇二さんに幸せにしてもらいたいの。私を本当の女にして」と良一君が言葉を続けようとすると女王様が「何、言ってやがる、この生意気な女」と怒鳴り声を上げた。
 女王様も舞台の袖から勇二君が良一君を見上げてるのに気がついたらしい。
 わざと勇二君に見せつけるように、良一君の目の前に立ちはだかると大きく鞭を振り上げた。
 勇二君は良一君を助けようと思ったらしくて、急に舞台に駆け寄ると体当たりしていきなり女王様を突き飛ばした。
 女王様は尻餅をついて倒れたけど、わざと倒れた振りをしただけらしくて平気な顔だ。
 すぐに左右から中年の男が近寄ってくると勇二君の身体を押さえつけてきた。
 さっきの中年のナンパ男がやっぱり良一君をこの店に連れてきたんだ。
 男達は勇二君の身体を押し倒して縛り上げようと掴みかかってきた。
 勇二君は男の子だけど身体は小柄で髪の毛は長い。
 胸にはまだ鈴木先生のブラジャーをしてるし、服も鈴木先生の女物のパンツスーツだ。
 薄暗い照明の舞台では勇二君が女の子に見えちゃうのも仕方ない。
 だが勇二君が身につけているのはタコイーカ財団が開発した戦闘用ブラジャーだ。
 男達が勇二君を捕まえようとしても、ブラジャーが勝手に暴れて男の邪魔をして上手く行かない。
 勇二君が男の手を押しのけて抵抗をしている最中に、鞭をもった女性が店の入り口から姿を見せた。
 鈴木先生が勇二君を追いかけてこの店に乗り込んできたんだ。
 両手に鞭をもって黒い皮の鎧を着ている姿は、舞台の上の女王様そっくりだ。
 女王様は怒った顔で鈴木先生を睨みつけたが鈴木先生は平然とした顔で舞台に近寄った。
 鈴木先生が両腕を振り上げると、長い鞭の先が舞台までするっと飛んできた。
 勇二君を押さえつけているナンパ男が鈴木先生の鞭で叩かれて床に倒れ込んだ。
 勇二君を助けようとしてるわけじゃない、鈴木先生は勇二君を捕まえようとしてるだけだ。
 もう一度鈴木先生が鞭を振り上げると、今度は勇二君の顔のすぐ目の前に鞭の先が飛んできた。
「ぴしゃ」と目の前で鞭の音がすると勇二君は必死で、四つんばいになりながら舞台の袖に逃げようとした。
 鈴木先生が勇二君を追いかけて舞台の袖まで歩み寄ると、今度は女王様が鈴木先生の邪魔をして鞭を振り上げてきた。
 女王様の鞭が鈴木先生の鎧で跳ね返されると、鈴木先生が怒った顔で両手の鞭を女王様に叩きつけてきた。
 鈴木先生の長い鞭がするすると伸びて女王様の体を叩きつけられたとき、女王様が素早い身のこなしで鞭を避けた。
 鈴木先生が続けざまに左右の手に持った鞭をするどく叩きつけてきた。
 だがその度に女王様は巧みに身体を避けて鈴木先生の鞭は何度も空を切るだけだ。
 鈴木先生が女王様と鞭で戦っている間に、勇二君はこっそりと四つんばいで逃げると、縛られてる良一君の縄を解いた。
 良一君はよっぽど嬉しかったのか目に涙を一杯に浮かべてる。
 女王様が鈴木先生と鞭で戦い続けているけど、鈴木先生の着てる鎧が強力で女王様の鞭を全部跳ね返してしまう。
 女王様が負けそうになったとき、急に鈴木先生の身体が宙に浮いて天井近くまで持ち上げられた。
 鈴木先生は手足をばたばたさせたけど、太い縄で四方にひっぱられてもう動けない。
 さっきのナンパ男が投げ縄で鈴木先生の手足を縛って宙に釣り上げてしまったんだ。
 女王様の鞭が鈴木先生の手から鞭をたたき落とすと、鞭は二本とも舞台の上に転がった。
 こうなるともう鈴木先生はいくら鎧を着てても手も足もでない。
 鈴木先生の手から床に落ちた鞭を良一君が拾った。
 良一君は勇二君に鞭を渡そうとして手を差しだすと何か言ってる。
「これで私をぶって。お願い。私を幸せにして。本当の女にして」と有紀の耳には聞こえた。
 良一君は勇二君に鞭で叩かれたいらしい。
 なんてこったと有紀は思った。
 良一君はロボットの実験場の世界しか知らない。
 男の子と女の子がお互いに好きになって恋をするってどうゆうことか知らないんだ。
 だから女の子は恋をすると男の子に鞭で叩かれて気持ちよくて幸せなんだと思いこんじゃってる見たい。
 だいたいロボットが恋なんか出来るわけないんだと有紀は思ったけど良一君にそんなこと判るわけがない。
 ちょうど正面の入り口から三人の女の子が入ってきた。
 四つ葉学園とよく似たセーラー服を着てるけど、何だか動きがぎこちない。
 勇二くんが大学から持ってきたロボット三人組だ。
 男の子達に追いかけ回されて逃げ出して来たらしい。
 良一君は三人のロボットとすぐ舞台の下の有紀と彩香ちゃんと江実矢君の顔を見比べたまま凍り付いたように動かなくなった。
 思い詰めたような良一君の顔を見て見、実際に良一君が何を思ってるのかは有紀には判るはずもない。
 もともとロボットの三人組は、勇二君の研究室で三次元スキャナーを使って型を取って作ってある。
 ちょっと遠くから見たらとても見分けがつかないくらいにそっくりな出来だ。
 ドアから三人のロボットを追いかけてきたピンクタイフーンのファンの男の子達が一斉になだれ込んできた。
 男の子達も皆オタクばかりで、見た目にはみな勇二君と似たような背格好の男の子達ばかりだ。
「おいこっちにもいるぞ」と男の子が叫ぶのが聞こえた。
 三人がカーテンの裏に隠れているのが見つかってしまったんだ。
「どっちが本物なんだ」と男の子がまた大声で叫んでる。
「ロボットなんだから両方とも本物に決まってるだろう」とまた別の男の子が大声で叫んだ。
 彩香ちゃんが逃げようとしてトイレの方向に駆け出したがすぐ男の子達に行く手を遮られた。
 大勢の男の子達に取り囲まれてもう逃げられない。
 男の子が有紀の目の前でズボンを膝まで降ろすと、トランクスを腰から下げた。
 有紀の目に入ったのは女の子みたいに真っ直ぐな割れ目。
 あれっと思って有紀は男の子の顔を確かめたが、やっぱり顔も体はどう見ても男の子だ。
 何で男の子なのに、あそこだけ女の子なんだろうと思って有紀は男の子の腰をよく確かめた。
 やっぱり女の子の割れ目があるだけで、男の子の大事な物は陰も形もない。
 他の男の子達も一斉にズボンを脱いだけど、股間に有るのは女の子の割れ目。
 男の子の大事な物がなければ、女の子に乱暴な事なんかできるわけない。
 彩香ちゃんも不思議な顔をして、すぐ目の前の男の子の股間に手を伸ばした。
 指先を割れ目の間に入れると、彩香ちゃんの指先にぬっとりとまとわりついてくる液体がある。
 彩香ちゃんが指先を震わせて「潮吹き」の手つきで手首を震わせてみた。
 男の子の腰が震えると、液体が溢れるように割れ目から滴り落ちてくる。
 甘酸っぱい香りがする液体はヌルヌルしていて、溶けたゼリーみたいな感触だ。
 彩香ちゃんが指先をもっと奥まで押し入れようとしたとき、いきなり彩香ちゃんの指先が割れ目から押し出された。
 割れ目の間から細長い蛇らしいものが顔をだすと、するりと伸びてきて彩香ちゃんの手首に絡みついた。
「あれ、」と彩香ちゃんが小さく叫んだとき、他の男の子達の股間からも蛇の頭のような物が飛び出してきて。
 あっと言う間に有紀の体には、四方八方から蛇みたいな触手が絡みついてきた。
 有紀の口に触手の先端が入り込んできたとき口の中に甘いゼリーの味が広がった。
 ドロドロとした粘りのある液体の感触が有紀の舌に絡みついてくる。
 有紀はこの触手があのロボット実験場の怪物の触手だと気が付いた。
 甘いゼリーの味は、ロボット実験場で怪物達に襲われたときに体験したのと同じ味だ。
 怪物の触手が江実矢君のアンダースコートの下に入ると、男の子の大事な物に吸い付いた。
 有紀はこれで助かったととっさに思った。
 怪物は江実矢君の男の子の大事な物に触れたら、縮んで小さく成っちゃうはずだ。
 怪物の足はアンダースコートの中で江実矢君の大事な物を絞り上げるようにして絡みついた。
 有紀は怪物がすぐに小さくなると期待して、江実矢君のアンダースコートを見つめた。
 だが怪物の足は太さを増すだけで、縮んで小さくなる気配はない。
 江実矢君は男の子達に乱暴されて女の子にされたせいで、男の子の大事な物が怪物をやっつける威力がもう無くなっちゃったんだ。
 怪物の足がぶるんと動いた時、江実矢君のアンダースコートの下で信じられない事が起きた。
 足の先端が江実矢君の大事な物を吸い取るようにして噛みきると、その後には女の子みたいな細い割れ目が残っただけ。
 血もでずに噛みきられちゃうなんてどうなってるのか判らないが、目の前で起きてる事は疑いようもない。
 江実矢君はこれで本当の女の子にされちゃったんだと思うと有紀は江実矢君が本当に可愛そうな思いがこみ上げてきた。
 怪物の触手がするすると江実矢君の割れ目の中に入ると、急に太さを増して割れ目一杯に広がった。
 繰り返し痙攣を続けながら太さを増していくと足の色が気味の悪い赤紫色に変わった。
 他の男の子達の股間からも怪物の足が伸びてきて、江実矢君の口とアナルに入り込んだ。
 怪物の足の先端からは甘いゼリーが江実矢君の体に流し込まれて、江実矢君は気持ちいいらしくて目が虚ろだ。
 怪物の足が急に太くなったり細くなったりを繰り返しながら江実矢君の体の中に奥まで入るのが見えた。
 江実矢君に怪物の子供を生み付けようとしてるらしい。
 良一君には目の前で起きてることが理解できないらしい。
 急に良一君の目が大きく見開いて、まるで般若の面のような顔になった。
「女になるってその事だったのね。騙したのね。女の幸せなんて全部嘘だったのね」と良一君が呟くと、手にした鞭を勇二君の股間を叩きつけようとして振り上げた。
 不意に女王様が鞭を振り上げて良一君の鞭を持つ手を狙って勢いよく叩きつけてきた。
 勇二君が良一君をかばおうとして立ちはだかると女王様の鞭が勇二君の背中に当たった。
 勇二君が体毎どさっと床に倒れると女王様がもう一度良一君めがけて鞭を振り上げた。
 ピーチ飛び出してきて女王様に走り寄るのが見えた。
 背中を低く構えてうなり声を上げると、ピーチは女王様を睨みつけた。
 ピーチが飛び上がって女王様に噛みつこうとしたとき、女王様の腕が素早く動いた。
 ピュンと鞭の音が鋭く部屋に響くと、ピーチの首が身体から離れて飛び上がった。
 彩香ちゃんが床に転んだピーチの首を見て、驚いた顔で動けなくなった。
 ピーチの首からは、電線や骨組みのアルミ板がはみ出して見える。
 ずっと本物の犬だとばかり思ってたけど、ピーチはロボットだったんだ。
「何するんですか」と彩香ちゃんが女王様に駆け寄ったとき、もう一度女王様の鞭がすばやく動いた。
 ビュンと鋭い音がした瞬間に彩香ちゃんの首が打って落とされた。
 くるりと回りながら落ちていく彩香ちゃんの目が、首のない自分の胴体を見つめて不思議な顔をしてる。
 彩香ちゃんの胴体は立ちつくしたままで、首から電線と骨組みのアルミ板がはみ出してる。

学園祭のお化け屋敷の中で彩香ちゃんが目を覚ます

あらすじ
 彩香ちゃんが目を覚ましてみると、学園祭のお化け屋敷の中。全部夢だったんだ。

「彩香ちゃん、しっかりして」と有紀の声を聞いて、彩香ちゃんは目を開けた。
 目の前には江実矢君の顔が見える。
 江実矢君が彩香ちゃんの身体を抱きかかえて何度も揺すると彩香ちゃんが目を見開いて当たりを見回した。
 彩香ちゃんの両側には、更衣室のロッカーが並んでいて、木の枝があちこちにくくりつけてある。
 勇二君が窓際の暗幕を開けると、すぐ外の体育館が見えた。
 彩香ちゃんはすぐには自分が何処にいるのか判らなくて何度も江実矢君の顔を見つめては窓の外や部屋の中を見直してる。
 彩香ちゃんの腕の中には首の取れた犬の縫いぐるみが転がり込んでる。
 すぐ横の床に居ぬの縫いぐるみの頭が落ちているのを見て彩香ちゃんは思わず悲鳴を上げた。
 犬の首からは赤い血らしい物が見えたので彩香ちゃんが驚いたんだと有紀にも気がついた。
「だいじょうぶこれは赤い布を縫いつけてあるだけなんだ」と勇二君が縫いぐるみの首を手にとって赤い布を広げて見せた。
 彩香ちゃんは大きく息をつくと、やっと自分が学園祭のお化け屋敷の小屋にいると気がついたみたい。
 彩香ちゃんを抱きかかえている江実矢君はさっきチアリーディングのパフォーマンスをした時に着ていたチアガールの真っ赤な衣装のままだ。
 彩香ちゃんが手を伸ばして江実矢君のアンダースコートの上から男の子の大事な物を掴もうとした。
 江実矢くんはとっさに飛び退こうとしたが、彩香ちゃんの指が江実矢君の大事な物をしっかり掴んで離さない。
 彩香ちゃんの指の中で江実矢君の大事な物がおっきく成るのがはっきりと有紀にも見えた。
「私、夢を見てたの、ずっとずっと夢を見てたのね」と彩香ちゃんは嬉しそうな声で呟いた。

                      完

彩香スペシャル~三姉妹監禁志願

七度柚希

第五回エンターブレインゲームコンテスト伊集院光特別賞「官能小説自動生成ソフト七度文庫」作者。

ホームページ http://homepage3.nifty.com/yuki_nanotabi/home_page/

ケータイコミック原作
「彩香スペシャル~恋の必殺技」
「恵美ちゃんはblogアイドル」

彩香スペシャル~三姉妹監禁志願

この小説は官能小説自動生成ソフト七度文庫が自動生成したシナリオを元に書き下ろした長編小説です 有紀と彩香ちゃんと江実矢君そっくりのロボットを作ったけど故障で動かない。仕方なく三人がロボットの振りをして大騒動。タコイーカ財団に誘拐されてロボット実験場に閉じこめられて逃げられない。

  • 小説
  • 長編
  • ファンタジー
  • 青春
  • SF
  • 成人向け
更新日
登録日
2012-12-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 学園祭のお化け屋敷
  2. 三次元スキャナーで身体測定
  3. ロボットダンスコンテスト
  4. テレビのドキュメンタリー番組に出演
  5. 喫茶店でビデオチャット
  6. SM倶楽部で強制調教
  7. メイド喫茶でアルバイト
  8. タコイーカ財団に拉致される
  9. ロボット実験場に監禁
  10. 良一君はセックス専用ロボット
  11. 盗撮カメラで覗かれて
  12. 名犬ピーチと出会う
  13. マンホールから地上にでる
  14. 四つ葉学園に入学
  15. ホームルームの後は数学とパソコン実習
  16. チアリーダー部は戦闘集団
  17. 本当の幸せは太陽の下
  18. 城の塔に昇って太陽を確かめる
  19. 怪物の触手から逃げて百合ちゃんの家に戻る
  20. 彩香ちゃんの家庭教師の勇二君が助けに来た
  21. 捕まって牢獄に監禁さた勇二君を見つける
  22. 通風口から脱出して地上に戻る
  23. 地上に出ると出会い系喫茶の店の中
  24. ナンパされて神社の境内に連れ込まれる
  25. SM倶楽部でショーの舞台に出る
  26. SMショーで本番中出輪姦調教
  27. 神社の境内のトイレでアナルレイプ
  28. 痴漢に捕まってラブホテルに連れ込まれる
  29. 神社の境内で輪姦調教
  30. ファンの男の子に追いかけられSM倶楽部に逃げ戻る
  31. 学園祭のお化け屋敷の中で彩香ちゃんが目を覚ます