はれもの

さようならを全部聞く前に電源を落とした
それが僕のすべてだと指さされ嘲笑われた気がした
愛想笑い したつもりは ないけれど
たぶん心のどこかでは微笑んでいた
あの時までは

ありがとうを食べさせる前に誰かに食べられていた
それが僕の運命だと指さされ嘲笑われた気がした
傷跡が 臭いなと 香水をかける
あれもこれも愛も恋も憎しみも
あのときの今日

肉声を耳元で受け取るまで臭いままなんだろう
香る かおる
君の顔 また少し滲んできて 忘れたな

儚い夢の夢の中 また一人きり

はれもの

はれもの

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-10-26

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