虫取り

ある月の晩
子供が虫を取つてゐた
リイリイリイリイ鳴きながら
脚が一本取れてしまつた

子供はそれを目で追つて
(すすき)の根元に隠れるのを見て
脚のない虫を離してやつた

虫は芒の根元に辿り着けずに
木兎(みみずく)によりさらわれて行つた

子供はそれに気付きもせずに
月の()かりで虫を探す

虫取り

虫取り

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-10-22

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