兄さん お赦しにならないで
兄さん
わたしをお赦しにならないで
わたしをお赦しにならないで
兄さん
あなたはわたしを責めたてることでしょう、
ああ わたしにはそれが夢みるような音楽です、
あなたがわたしを責め、打ち、憎悪の火をむけることは
ああ わたしにはそれが魂を海と満たす光です。
兄さん
あなたはわたしをお嫌いでしょう、
あなたはわたしになんか軽蔑の眸をむけることでしょう、
せめて わたしが死したのち、
はらはらと砂が毀れて往くように
冷たい虚空を眺めるような視線を落としてくれればそれでいい、
「自殺なんて」というあなたの軽蔑は、
わたしには火のような官能をどっと投げ込まれるような心地、
理不尽──わたしはそれに情欲がこみあがる、
兄さんに打たれることで、魂の鎌首 肉食獣さながら踊り昇る、
お赦しになんかならないで、兄さん 久遠に憎んでください、
久遠の火を その暗みの籠る荒んだ眸に宿していて 美しいから。
なぜ赦されたくないかって、わたし、
兄さんに憎まれることで──戦えるから。ただ、それだけよ。
兄さん
あなたは、わたしを戦わせ、現実への発情を引き起こす
ポルノです。
兄さん お赦しにならないで