無駄ない方々

無駄指数という数値は何を基準に求めればいいでしょうか?

「うちのカミさんはようできた人だ。」

青い海を前にして、2人の男性が釣りをしながら話をしていた。

「何がなんだ?」

右の男性が尋ねる。

「俺が釣ってきた魚を刺身にするんだが、残った頭や骨はあら汁にしてしまうんだ。
こんな無駄のない料理を知っているうちのカミさんは大したもんだ。」

左の男性は胸を張って答える。

「それを言うならうちのカミさんだって魚の唐揚げをよく作るんだが、背骨の部分だけ素揚げにして骨せんべいにしてしまうんだ。あれには感心したよ。何より酒に合う!」

男性2人の会話を聞いていた通りすがりの男の子が口を挟んだ。

「僕も使った消しゴムのカスはよくねりけしにして遊んでるよ。無駄ないでしょ?」

男性達は口々に

「ちげいねえ!」

やら、

「やるなあ、坊主!」

と褒め称え、男の子も笑顔になる。
無駄かそうでないかを決めるのは自分自身である。
少なくともその日一時とはいえ、彼らにつながりの輪ができたことは無駄ではないと思いたい。

無駄ない方々

無駄ない方々

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-10-09

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted