香風

香風
目を閉じて
断片的な映像を映す
うっすら残る古く騒がしい記憶

あの時は
ただ若いだけで
楽しかっただけではなくて
逃げたいほどの辛さもなくて
根拠のない自信を可能性と呼んで

窮屈で退屈な日々
うずうずした気持ちが蘇る
力を持て余していた私たち
飛べるのに飛び方を知らない鳥のように
空を見上げていた日々

飛び立てた悦びに夢中になり
振り向きもせず
ただただ進み流され続けた今
ふとあの頃を思い出す

友よ何処で何をしている
忘れ物をしてきたようだ
何処かから運ばれてきた
香風

香風

香風

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-10-08

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