夜空と都会

「ライト。爆音。星。葉。信号。風。あっ!」
     ──太宰治「ダス・ゲマイネ」

 夜空と都会が くるりとひっくりかえります、
 銀の街から群青の夜へ、するする衣擦れさながら墜ちて往きます、

 着飾る女性、銀に照るビル、光のうつろい、電線と鳥、
 ありとあるもの わたしの横を 追憶の翳と過ぎ往きます、

 わたし 夜の虚空をゆら揺れる身であります、
 わたしのいない、わたしの不在の時代を生きていたいのです、

 銀の星々とおくで光って、おりましたけどもやがて消え、
 不在のなかの不在の外部を、くるくるくると浮遊し──失墜、

 ああ すべての安息に祈りの夜を、幾夜の祈りに安息の幾夜を、
 ちかと光ってわたしは消え往く。生れる。過行く。歌う。消える。あっ!…

夜空と都会

夜空と都会

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-10-05

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