シモーヌ お赦しにならないで

わたしを愛してくださるのは母だけであるから──
わたしは母に背をねじって向ける、冷たく燦爛な義母の元へと走る、

わたしを愛した母は硝子盤の拒絶に似ているから──
わたしはわが身拒む世界を愛する、わたしの裡でしかない世界を。

わたしを愛してくださるのは母だけであるから──
ほかのすべての女性は星と美化される、男達に揶揄を受けた。

わたしを仮で愛してくださるのは義母だけであるから──
わたしは彼女に縋る、虚無という名のひらかれた硬い胸に。

 *

シモーヌ 今夜のわたしの自己憐憫をお赦しにならないで、
シモーヌ 誰をも愛したがゆえに誰も愛していない貴女よ。

シモーヌ お赦しにならないで

シモーヌ お赦しにならないで

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-10-03

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