dolce

どこからかほのかに香る
金木犀のありかは
知らない方がいい

夢ならば覚めない方がいい
遠い日は甘いうつつのままで
夕空が永遠をかたっている

あなたを忘れない、と言ったのは
あなたを忘れられない、の間違いだった

足元に重くのしかかる
花の香りに夏を忘れて
やさしい嘘が胸から離れずに

dolce

dolce

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-09-29

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