生誕

あおい はる

 くるしいときのことを、わすれるために、真夜中、アイスクリームをたべる。バニラがいい。チョコレートや、ストロベリーよりも、バニラ。ひばりが、幸福のために跪く、暁の頃に、あたらしいバケモノが産声をあげて、わたしたちの母性に、波風を立てる。だれもいない、静かな部屋で、ひとり、なにがかなしかったのか、わからなくなるまで泣いた日を、美化して、まるで、絵画のように額に入れて、たいせつに飾っているあいだにも、星の内部は、腐っていくばかりで、救いようがないよねと、あのこは嗤う。

 おわるとき。
 左手には、ひばり。
 右手には、うまれたばかりでなにもしらない、バケモノ。

生誕

生誕

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-09-24

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