ば ら ば ら

 おわりが、はじまりだと気づいたとき。夏はもう、すぐそこで虫の息。はんぶんにんげん、はんぶんけものの、あのひとが、ぼくらのために祈るという行為をおぼえて、夜ごと、海のほとりで祈っている。そのあいだに、改造されて、傷つかないからだとなった、ぼくらは決して、かわいそうないきものなんかではなく、ふてぶてしく、やわらかい肉体だった頃よりも、ずうずうしく、にんげんだけにあたえられたものを駆使して、ひとつの生命として、星の一部としてのあらゆる営みを、純粋に愉しんでいる。
 歪み。
 齟齬であふれる、現代。
 しにかけのひまわりに、キスをするということ。
 月がとろけてゆらめく、海面から、ぼくだけのオルカがときどき、かおをのぞかせて、いろいろと心配しているよ、と言ってくれる。なんとなく憂鬱な、九月の夜のこと。

ば ら ば ら

ば ら ば ら

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-09-20

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