せなか
先輩のせなかのまるみは
こころのまるみ
ひとが一度に
うまれないことの
こうふくが
せなかにかいてある
うたをうたうことに
おわりはないが
ひとが絶滅すれば
うたはおわる
わたしがうまれたのは
先輩がうまれてから
たった百四十六日後
先輩の後輩として
うたをうたうことの
こうふくが
わたしがわたしとして
うたをうたうことの
こうふくが
わたしのせなかにもかいてあるのかと思うが
わたしの目ではじかに見ることができない
それでも
うたうために
息をするとき
せなかのふくらみを感じている
そうやって
わたしのせなかもだれかの先輩になるといい
せなか