せなか

先輩のせなかのまるみは
こころのまるみ
ひとが一度に
うまれないことの
こうふくが
せなかにかいてある

うたをうたうことに
おわりはないが
ひとが絶滅すれば
うたはおわる

わたしがうまれたのは
先輩がうまれてから
たった百四十六日後

先輩の後輩として
うたをうたうことの
こうふくが
わたしがわたしとして
うたをうたうことの
こうふくが
わたしのせなかにもかいてあるのかと思うが
わたしの目ではじかに見ることができない
それでも
うたうために
息をするとき
せなかのふくらみを感じている

そうやって
わたしのせなかもだれかの先輩になるといい

せなか

せなか

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-09-20

Copyrighted
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