真紅のロリヰタとは闘いである。
気づいてください。
彼れは真紅の少女のその瞼、眼鏡の向うで耀ってる。
その瞼、さながら果敢なき桃のうすかわでできている、されば仄かに淡い夜の火を、華奢な暗みも曳き伴れて、壮麗純粋に照らし映す。星空には、幾星霜の死と愛が、まるで幻想の焔とゆら揺れ睡っている。
されどその繊細さにとり眞昼の劇しく炎ゆる火に、鋭く腫らして了うのも、その繊細な瞼なのだった、すれば少女、視るもの等撰び抑制・思慮に沈み、雨音やむ如く瞼そっと降ろすのである。大理石に雨の打つ音、硬質な短調、眼鏡の装着完了。
戦闘、開始。
*
「ところで、かのSimoneは、嘗てこんなことを云ったのだわね、穢れをじっとみつめうる眼差の注意力が 魂の純粋さを守護するのですって。
Simoneは野暮な眼鏡を掛けていたわ、して美貌を隠してたんですって。男がいいそう、そんな言説わたし信じない。彼女、眞昼の火を抑制し、幽玄の美と善、狭きせまき深きふかき遥かな彼方な領域を、一途な光を、眸で徹し清ませようともしたのだわ──」
して、まっさらに澄むしろい瞼──さながら魂のそれの如く──神経的にひりつかせながら、真紅のロリヰタを永遠の少女武装とわが身を縛り、美しく着付けした少女、悪の暗みのどぎつい花、善の真白の無辜を一身に背負い、きんと雨音を眼鏡に反映。少女の魂と無縁は安寧。すと衣装を負う背は端麗。
戦闘、同意。
「穢れなければ、生きては不可ない、自分を裏切るのが大人」
真紅のロリヰタを着付した眼鏡の少女、淋しいほど澄むあどけない声、周囲と調和しないふるえで反駁──”Non”
ではみなさん、穢れたわたしを凝視め抜き、わたしの「わたし」を生きましょう、理不尽に墜ち、穢れを瑕に洗い落し、水晶 清楚へ剥ぎ落し、青薔薇へと剥きましょう。
*
あんなにも色彩のとおい、シモーヌとシャルルは星空で手を握ってる、何故って、ふしぎと口を揃えてわたしに教えてくれたのです。
──与えられた世界から堕ちよ、魂・知性・言葉をまっさらに剥ぎ落せ。されば武装し酔い信じ、「お前」がたたかいたい闘いを、「お前」が愛するうごきで闘え。
真紅のロリヰタとは闘いである。
これはあなたを定義づけるものではなく、あなたにインスピレーションを受けたヒロインの独白の散文詩です。