正午の事件

虚構の海に溺れていく
そうでもしないと耐えられない
給食室 その香りを抑えてくれ
僕は楽しくもないその時間を待っている
雲を食べて満足した空を見つめている

狭い机の上 地図をなぞって旅に出る
外国のなんて口に合わないんだ
この国に生まれてよかったのはそれだけ
それだけ

荒れ果てた庭に転がるローストチキン
動く 動く 走る 走る 鳴く
それは鳴く 体内時計は狂っている
広がる空を泳ぐ綿菓子
ふわり ふわり 甘い雨を降らす
それは甘い雨を降らす

脂の乗った肉が手を挙げて問う
赤ん坊が暴れて音を立てる
ミルクの時間だよ、さあはやく
そして鳴る 音が 鳴る

僕の嫌いなその時間が始まる
時間を侵食する時間が始まる
休みを捕食する時間が始まる
生命を獲得する時間が始まる

そしてまた、大きな音が、した

溢れた液体 零れた液体
シュプレヒコール
割れた食器がガチャガチャと笑い
阿鼻叫喚の地獄絵図
豚は死んだ 白目を剥いて死んだら
一際大きな断末魔を上げた

正午の事件

正午の事件

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-09-18

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