承認欲求

微かな春の匂いは毎年訪れる
去年も今年も同じように時間が消費されて
それでも同じ時間は存在しない
いつだって何かが変わっている
そういう変化の中に僕らの言葉も加えてほしくて
白い紙を何色かに染めて指を滑らせる
伝えるための手段



承認欲求。



「あなた」なんて都合よくいないし
満たしてくれる人間もいない
作品はあくまで作品だから人を生まない
それでもこの世界では表現することが許された


承認欲求。


作り手の存在がある意味正しい行く末で
僕らみたいな社会不適合者も社会に招かれる
そんな広い海の中で溺れながらも
僕は形を保ち続けることを辞めない

承認欲求。

自身の生存権を得る道すがら
窓に映る熟れた果実
シンナーとアルコールが混ざり合い
誌面に子供が大きく映ったのを見た
僕はそして宿願を果たしたのだ



承認。

承認欲求

承認欲求

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-09-18

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