海遊

指一本で生み出された分身が
僕らとどこかの人間を繋ぎ合わせた
時代はネットの海を泳ぐ
ロベリアの花畑に埋もれて寝転んだ

いつか既読がつくと信じて
メッセージの横をずっと眺めていた
気付いたら日が沈んでいて
電源だって落ちていた
もう付けたくなかったんだ

だから僕らは何度でも消えようとした
だけど生まれ落ちてしまったから
もう消えることなんてできないや

分裂した意識
家にかけた南京錠
下らない花言葉
内包された心と虚心

それでも僕は、やっぱり電源を入れた。

海遊

海遊

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-09-18

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