統制と鉄道路線

僅かな情報だけがそのすべてだ
密室に閉じ込められて生きるしかないから
誰かが認めた心だけが正しいと見なされる

他人のことなんて測れないから
公にされた僅かなものを全体像とする
本質なんて半分も示してないものが
その本質であると半ば決めつけるように
僕らを勝手に値踏みして僕らにした

誰かに決められた価値だけを是として
僕らを描いた者を僕らと錯覚させる
そこでは誰かに貼り付けられた心が
悲鳴を上げさせられていた

世界は切り取られた性質を押し広げて
その性質を偏った方に捻じ曲げた
そんな価値を押し付けられた僕らは
声もなく泣き叫んでいる

検閲 削除 改竄 罪
現象 目隠し 罰 階級

社会にふさわしいものだけが残り
それ以外は淘汰されてできた社会
伝えたい言葉は別にあったけれど
本質を無理矢理変えられたものだけが
そこに存在する権利を与えられる

僕らは規制された誌面に生きているから
話の中で与えられた役割を機械的にこなしていくだけだ
僕らは脱線することができないから
敷かれた道の上を疑問も持たずに進み続けるだけだ

そうしなければ否定されてしまうから
そうしなければ排除されてしまうから

駅前で演説していた若者が担がれていった
その行く末は誰も知らないし知ろうとしない
諦観だけが僕の生きる道だと言えよう
傍観だけが心の逃げる道だと言えよう

何も知らずに生きていく
何も、知らずに。

統制と鉄道路線

統制と鉄道路線

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-09-18

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