四月の雨

 まっさらな光の中で小雨が降っていて、濡れる桜が鮮やかに舞い散る。僅かな憂愁は泡のように膨らんでは消えて、ずっと遠くまで続く記憶を覗き込む。全ては生きて散る華のごとく、季節はゆっくりと廻っていく。君の瞳には桜の散る一瞬の儚さが永遠に繰り返されていて、どんなに激しい雨のなかでも絶えることのない日向がそこにある。

四月の雨

四月の雨

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-09-15

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