老女アリスの約束

Twitterで僕の詩が好きだと言ってくれた、話したこともないひとへ。

睡る水晶の守護──幾星霜の瑕を生きぬいた、
老年のアリスは 今宵も亦、炎ゆる真紅のロリヰタを着付する、
嗚 うら若き頃、どぎつく少女性が映え立昇るようだったそれが、
いま しんと紅い彗星曳くようなしずけさ、それは一つの風景。

老女の眸は青春の不連続性に照り燦き、
星々との晩年の連続性に 月影をまるで沈ませているよう。
「わたしたちは約束をしたね」 と──
壮麗な少女衣装、薔薇色のロリヰタへ語り掛けるのだった、

「わたしの『わたし』を、ぜったい裏切らないということ」
せつな──するすると真紅の少女服は滑りおち、
老年アリスの、世にもまれに磨かれた背骨がさらされる、

「雪の衣装を背に負ったあの頃、ニ十歳、
わたし 幾たびも約束への守護の意思揺らいだわ、
だから貴女を纏ったの。少女にだって、Dandyismはあることよ」

老女アリスの約束

気づいてください。僕はほんとうに嬉しかったのです。

老女アリスの約束

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-09-11

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