晩夏の幻
ララ。骨まで焼くような灼熱の夏は、あきらかな終息をはじめている。
わたしたちがみていた十四時は、むなしいくらいにからっぽで、その表皮の裏で、腐っていたのは生まれたときから清純なものだった。だれもが、うつくしい花を愛でているあいだに、からだのなかの、濾過できない澱みが、透明な炭酸をも汚して、それでも、無垢になりたい。
真昼の月に祈る。ララが、わたしいがいの生命体を、裁かないために、やわらかな糸で、くちびるを縫いあわせて。
晩夏の幻
ララ。骨まで焼くような灼熱の夏は、あきらかな終息をはじめている。
わたしたちがみていた十四時は、むなしいくらいにからっぽで、その表皮の裏で、腐っていたのは生まれたときから清純なものだった。だれもが、うつくしい花を愛でているあいだに、からだのなかの、濾過できない澱みが、透明な炭酸をも汚して、それでも、無垢になりたい。
真昼の月に祈る。ララが、わたしいがいの生命体を、裁かないために、やわらかな糸で、くちびるを縫いあわせて。
晩夏の幻