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骨をひろっているあいだにも、星は、なにかを訴えていた。声にならない声は、窓ガラスを、爪で引っ掻いた音に近い。鼓膜が、ひめいをあげて、殺人的な太陽熱とあいまって、自然というものは、にんげんに、それ相当の恨みを抱いているのだろうと、密かに思う。
あらゆることがらを監理された世界で、あのこが、本意ではない行為を強要されて、いつわりの、にせものの、恋愛、とかいうなまえの体裁の、ただのむなくそわるい強者による、弱者への侵略をゆるしてしまう、ぼくもふくめた、にんげん、という星からすれば横暴な生命体への天罰だと、誰だか知らない誰かの骨をあつめながら、かんがえる。ここさいきんの星は昼夜問わず、こちらの気が狂いそうな奇声を発していて、あのこは目を開けたまま、終わらない夢を見続けている。ときどき、きまぐれに、ぼくの好きなひとが、エレクトリック・ベースを掻き鳴らし、テレビのなかには果たして、どこにそんざいしているのか、やさしいだけの世界がひろがっている。
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