危険なつばさ第8章

危険なつばさ第8章

 
僕の知らない世界が始まる。山も林も深く無い、空も。、青くない。僕は、話かけたんだよ、
全く知らないスズメに。目から、ウロコって、言葉があるよね、
今、卵が割れて、ヒッヨコリ、首を上げたばかりなら、僕はどんなによかったろう

箱は、すぐに、僕のフンで よごれる。 
毎日、取り替えてくれる。その時、僕の胸は痛む。
僕が、夜中に、「チュン。」と鳴くと、ジムニーは、頭を持ち上げて、箱の中をのぞく。
「ありがとう。」、とおもいながら、僕は、ジムニーを見上げる。
うかつに、声を出しちゃあいけない。ジムニーの朝は、早いのだ。急がしい、仕事が、待っている。
トムがやって来る。
僕を、覗き込んで笑う。「元気か。」という。僕は、
敷物の上に座っている。
トムは、僕を手の平に抱き上げる。
「僕は、住家を 見つけたのか。」何日過ぎたかは知らない。僕は立って羽場たくようになった。
「めずらし、鳥が、いるそうだな。」
船の中で、話題になった。
トムが、僕を、肩に乗せて、自慢する。手の平に乗せてパンをくれる。
僕は、得意のポーズをする。太陽が、キラキラ光る。周りの人達が笑う。僕は、船乗りの一人になった。
        六                 「さあ;休日だぜ。陸へあがるんだ。久しぶりだ。:海はいい でも、退屈な時だってあるんだ。これから、俺さまは、まちに出る。 楽しいぞ、酒を飲むんだ。
船では 食べられなかった、この港にしかない、おいしいものを腹いっぱい食べて、劇場へだっていくぞ。踊りも見る。 ワツハツハツ笑えてくるよ。
お前はその間、留守番だ。お前も町を、見物に言ってもいいぞ。夜は、ここへ戻ってくるんだ。このパンを食べろ。夜遊びするんじゃないぞ。お前は迷子になるかもしれん。
何しろ、この休みは、短いほんの三日間だ。嵐が着たからさ、みんなつかれている。船も、しゅうりしなくちゃならんところがある。
嵐がこなかったら、こんな休日は なかったんぞ。俺は平気さ。どこの、港も慣れたもんだ。
夜遊びもするぞ。この船に戻ってこない日もあるぞ。わっかたな、スパロー。」
 「アーそうするよ。楽しいね。」ジムニー。ジムニーは、ノツシ ノツシと出て行った。
僕は、船の一番上に上がってあたりを見た。「僕も上陸するんだ。僕だって休日だよ。」
陸の上を飛んだ。ひどく懐かしかった。
お菓子みたいな、いろとりどりに塗られた家がならんでいた。
庭には、シバフ、があり、まわりは生垣で仕切られていた。僕は、茂った葉の中にもぐりこんだ。久しぶりの地面だ。
いつも、海と空、ばかりみていた。船は絶え間なく波に合わせてゆれていた。
木の枝にとまった。それまで平べたい、船の甲板の上ばかりだったからね。 
木のにおいがした。葉が、かぜにゆれた。光が葉の間からぼくを、照らし、葉がぼくをかくした。
 僕は、ウツトリと、ボンヤリと、ユツタリと
風にふかれていた。からだは、波にゆられているような、感触がまだのこっていた。 
僕は、山を おもいだした。そう大きな木が茂ったところ。枯葉や草が、地面をおおっているところ。僕は、、探しに出かけた。そして、山のなかに、はいった。
何日たたかは、わからない。 ジムニーの船に、帰らなければいけない。 僕は、港を探した。「船はどこだ」。僕は探し回った。海は、みえなかった。 空を飛び回る。そして、出会ったんだよ。 二匹のスズメに 二匹は チュンチュン 騒いでいた。これから、 どこかへ、いくらしい。僕は、いつも、めだたなくしている。知らないスズメに声を掛けたりはしない。そんな事は、いってられないんだ。思いきってたずねてみた。
「ねえ、ジムニーの船を知らない。」ニ匹は顔をみあわせた。「君はだあれ。」「どこに住んでいるの。」 「どうしてここにいるの。」「これからどこへいくの。」
 矢次早に、 質問のこうずいだ。 「船できたのっさ。ジムニーの船、港はどっち。」「ずらしね。」「赤い線が、はいってるね。」 「めずらしね。」
「港って知ってるかい。」 「知らない。」 
「きみたちは、どこへいくの、なんだか、ウキ、ウキしてるね。」
僕は他のスズメにこんな事をいったことはない。
 絶対絶命って、言葉があるよね。今がそうさ。
頭の中に、わきあがって来る事を、とめる、ことができないんだよ。
         七 
「これから、これから、ぼくらは、畑へいくんだよ。」
 お爺さんの畑さ。 物知りスズメの、 おばさん 、にきいたんだよ。「雨はいつ降るの。」
「あしたふるよ。」「どうしてわかるの。」
「雨の匂いがするよ。風の、なかに、もう、霧よりも、 もっと小さい雨粒を感じないかい。ようく風に溶け込んだごらんよ。」
二匹は、めをつむってかんがえた。二匹のスズメは目を明けた。
子スズメたちには、わからなかったのだ。
「おじいさんは、しってるね。」
「うん、知ってるね。」そして、きのう、雨が降った。
だからいっしよにとんできた。
工場の音が、きこえる まちのほうへ。                                         
          

危険なつばさ第8章

 

危険なつばさ第8章

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-21

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