空想革命
蛇を、抱いていた。はじまったばかりの朝が、はやくもおわりを告げるとき、ひとりぼっちだった誰かの胸に、ちいさな火が灯り、さみしさが蝋のように溶けていった。
(なまえをわすれてしまったの?)
アロワナが泳ぐ、長方形の水槽に、わたしはひたいをつけて、なにかを祈っている。ヘイワ、とか、コウフク、とか、そういうもののようで、実際の中身は異質な、なにか。
金星からの交信。あのこたちを断罪する、向日葵の化身。空中から俯瞰する、なにをあたえてくれるでもない、ただ泳いでいる、すこしばかりおおきな魚に、なにかを訴えているみたいな、わたし。
蛇はおとなしく、抱かれていた。溶けたさみしさは、けれど、次第にかたまり、結局はさみしさのまま、そこに残っていた。
ねむっているのは、破壊衝動だけだった。
空想革命