失明

噓のような空に旎く、
噓のような雲。
何を重ねようが虚しいだけ、私の眼は
虚しさを映しつづけるだけ。
私には帰る場所がなかった、外部にも
内部にも。傷害と治癒の反復が、
反復だけが人生なのだとしたら、
私は生きたことがないことになる
死産されていたことになる、私は
物言わぬ、底なしの
忘れられていく不在。
嘗て私は愛を愛していたはずだった。
昨日の空を覚えている者などいない、
と、ある者は言った。だが私の眼は
私以外の眼にも映されたこれまでの
あらゆる空を映すことができた。

失明

失明

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-25

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