ヒステリック サマー ヌード

(ねむいね)テレパシーみたいに、からだのなかからきこえる、だれかの声と、おわりかけのひまわり。横たわり、そのまま、土に還ってゆくのだろう。ここさいきんの、かなしいというきもちをかきあつめて、燃やして、灰にして、きみが、海に撒いた。ふつりあいな、七センチのヒールを砂に沈めて、きみが、なにかを叫びながら、海に撒いた。空には、未確認飛行物体的な、光が、ときどき、瞬いた。むかし好きだったひとが弾いていた、ギターの音色を思い出すとき、心臓はいつもかってに、ふるえている。ビーチサンダルをぬいで、わたしは、もう、かげもかたちもない、たくさんのかなしみの感触をたしかめるように、波を蹴り、飛沫を立てた。

 夜明けのバケモノが、わたしたちをみている。

ヒステリック サマー ヌード

ヒステリック サマー ヌード

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-20

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