匿名の歌

 おんなじお歌をうたいましょう、
 おんなじお歌をうたいましょう、
 心に睡る水晶の 駆け墜ちるような短調の、
 翳曳く音韻重ねましょう、光と香気は昇るでしょう、

 おんなじお歌をうたいましょう、
 おんなじお歌をうたいましょう、
 ほら 古いお石に刻まれてる、みんなに睡る無個性な歌
 まるでぼく等のお歌に似てる、おんなじメロディ喉から昇る。

 さて ぼく等、ましろいお花畑に墜落しました、
 銀の蜘蛛の巣 青みのゆらめき うつろう陰翳のアイボリー
 真白のアネモネの淋しさは ぼく等のお歌に磨かれました、

 おんなじお歌をうたいましょう、
 おんなじお歌をうたいましょう、
 駆け墜ちるように歌っては、翔べない翼をはたはたしましょう。

匿名の歌

匿名の歌

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-19

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