BREAK9

「本日のメインでございます」
「あら、かわいい」皿の中央の濃緑を鮮やかなオレンジ色の結晶が取り囲んでとても綺麗だ。
「国産の最高級ピーマンに赤ワインでじっくり煮込んだ子羊の脳を詰めてグリルした、”私をピーマンて呼ぶんじゃねぇよ”で、ございます」
「……ピ-マン、なのに?」
「左様で。こちらの特製デミグラスソースをたっぷり掛けてお召し上がりくださいませ」
 そう言って下がったウェイターが示した、少しとろみのついたソースを垂らしながら、ヘンな料理名の意味を考える。
「ああ…」と向かいに座る彼が苦笑した。どうやら分かったらしい。
 自分の頭をちょんちょんと指差している。
 それで分かった。
「ああ、そういう事かぁ」

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-18

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