沈澱

太陽だけの空
(距離に反比例して発熱する光で毎夜うなされる。夜は数が多すぎる。)
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理念が浮遊する
(夢には座標の軸がない。ただ不可逆に遠ざかるだけで飛んでなどいない。)
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わが頭上を漂う
(濾過しては捨てるを繰り返して明晰になったつもりの脳内で思索の対象を探せない。)
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生活が落ちていく
(思い出が嵩張ってあらゆる棚が膨張する。食器がつぎつぎに割れていく。)
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街は遥か下に
(地球とは遠心分離機である。われわれの身体の上澄みは空にある。)
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プレートは沈み込む
(軽きは高くに、重きは深くに、天国にはなにが、地獄にはなにが?)
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幾つもの横顔
(福音は微かにどこからか聞こえる。周波数をたしかめて指先がさまよう。)
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血の底にて
(手を繋ごう。等しく出逢えるところがあるなら終わりゆく肉でいい。)
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沈澱

沈澱

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-18

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