奇怪な孤独の貌
わたしが淋しさを奇々怪々に足踏みしていたら、
友の来たるあしおとは いつのまにやら鳴りやんだ、
ふいに 戸を叩く音がしたと思い扉をあけると、
まっさらで 石膏のようにざらついた、淋しい風景があった、
わたしが颯爽と友へ逢いにいこうと戸をあけると、
うすぼんやりと伸びるまっしろな路があり、
周囲にひろがるのは 毛足のそろわない畝の森、
律義に路上をあゆんでいけば、気づけばずっと独りであった。
わたしは遅刻をしているのか、早退をしているのか、
どちらともいえぬのだけれども、のっぺりと濁ったわが視力、
ひとは犬だというものを、打ち棄てられ張る孤独に視える、
わたしが淋しさを奇々怪々に足踏みしていたら、
来たる友のあしおとは消え、足元に奇怪な陰翳の凹凸があった、
わたしは踏まれるそれを友だと想った、引き吊る淋しい貌のそれを。
奇怪な孤独の貌