乖離していく夏



首元を指で押さえる
痛みの根本を探すように
はっきりしない 言葉を裏返す
夜は更けて
夜は更けて


「また明日、あの世界で。」



花の色は多様化し
色彩が分からない私だけが
空間の海で漂い続ける

待って 後少しだけ側にいて
この気温がどうか どうかもう少しだけ
長く続きますように


目が覚めてひとりきり
乖離(かいり)していく夏
僕らの変わり身はいつも心だった
心を犠牲に笑窪(えくぼ)(さら)
乖離していく
段差みたいな星たちの中で
一番暗く輝くのはいつでも君だ



「また明日、あの世界で あの世界の果てで。」



殺めた(はず)の心臓も
時が経てば鼓動を鳴らす
真っ白な僕らの記憶

ずっと泣いていた ひとりにしないで
灼熱(しゃくねつ)を呼び込んで 抱き抱える
長く笑えますように



さようなら 僕らの焦燥
乖離していく夏
(せめ)ぎ合う風が残した火炎だった
痛みが疑問に変わっていく
乖離していく
繋ぎ目がちぐはぐになった時に
隠していた気持ちが暴れ出す


冷たくても動いていたんだよ
言葉を傘に 雨を弾いて

気を狂わせてそれでも
痛みの元を 知りたくて


「また明日、君の世界で。」



陽炎(かげろう)だって飲み込むよ
unimpressed life

陽炎だって飲み込むよ
will you touch our hearts

陽炎だって飲み込むの
freedom that began

陽炎だって飲み込むの
i love you even if i'm bored



離れ離れになったとしても
繋ぎ合わせたあの星の下で
隠していた気持ちが暴れ出す


抑えきれない衝動、身を曝け出して


空は(だいだい)
透き通る陽炎
言葉の海原
今を知る前に動き出す
あの夏は乖離する
誰の目にも止まらないスピードで


飽和(ほうわ)していくスピードで。

乖離していく夏

乖離していく夏

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-13

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