サーカス
天のあおさに、沈みこんでいたものが浮上して、かるくなる。からだ。夏だ、という感慨。呼んでいるのは、オルカ。わたしだけの十字架、など、そんざいしていなかったように。肉体は質量をうしなったように。
にせものたちが歌い、踊り、演じる。夜の部。
冷房の効きがわるい、アイスクリームやさんで、わたしと、ネオと、ゆうれいが、みんな、揃いも揃って、おなじアイスクリームをたべている。モカ。お店のひとが、ときどき、あの、アイスクリームをすくう、丸いやつをもてあそんで、がしょ、がしょ、と音を出す。真夏の二十時は、いつも、どこにいても、なんだか空気が、よどんでいる気がするの。
七日後にやってくるサーカスに、きみがいる。
うつくしいのに、つくりものみたいな、わたしのしらない、きみが。
サーカス