末永く、呼吸。だれかの夢のなかだけで、夏がうまれて、しんでいく。シャチがはしゃぐように泳いでいる、満月の夜に、雲雀の心だけが光ってる。眠れないならば、ふたりで、ドーナッツをたべようと思う、音のない部屋で、ちいさなこどもみたいにひろってきた、飴色の、蝉の抜け殻を照明にかざして。愛だけが正義みたいな思想の、あのこたちの創造した庭が朽ち果てる頃に、また、あなたが迎えにきてくれればいいのに。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-03

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