不完全燃焼

私には大きすぎる 膨らんでゆく入道雲

眩しいと翳した左の甲は小麦色に染まる

滴る汗は不味い 反射を忘れた水溜り

午後五時半 割れた夕の音が鳴り響く

鷹揚とした不格好なヒールの音

偽調律された靴音は目眩の旋律を奏でる

「ヒト」を大好きになっては大嫌いになり

わたしの感情は忙しく 私の身体は静寂を打つ

あの日の滑稽な感情は熱射に殺された

夏の忘れもの 海馬の不完全燃焼

不完全燃焼

不完全燃焼

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-03

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