SS54 オムライス
お気に入りのアニメのオープニングを口ずさみながらダイニングに到着し、自分の椅子を引こうとしたらテーブルの上に何やらその場にそぐわないモノが置かれていた。
「ねぇ、ママ。この紙は何かな?」
「何って、見ればわかるでしょ。漢字の書き取り問題よ」目を細めながら、右手が私の前に料理を盛り付けたワンプレートを置いた。
「それは分かってるけど、今は必要ないでしょう?」
「何言ってるの。はい、これ」
「………」強引に掌に握らされたケチャップが異様に重い。
「さあ、始めて。早く回答しないと冷めちゃうわよ」
ママの鬼。
心の中でそう叫んだ時、お腹がぐぐぐぐと音を立てた。
SS54 オムライス