あんぱんに黒ごま
孤独な犬たちのよせあつめみたいな街で、夜空を転写したグラスを落として、割ったら、あふれた。たぶん、星々に寄生していた、生命。ていねいに、ひろいあつめてね、と、あの子はいう。ツインテールの少女。エヌ型という一種の人類と、恐竜時代からいる先住民の共存を謳う国家めいた機関が、ある朝、とつぜん、フレンチトーストしか食べなくなった先生のことを実験体にして、ぼくは、あらゆる生きとし生けるものをゆるせなくなった。なぜだろう。昆虫すらも。
ツインテールの少女が、あんぱんをむしゃむしゃしているあいだに、ぼくはなまえも、かおもしらない、だれかの破片をひろいあつめる。ひとつずつ、だいじに。表面はつめたいけれど、ふしぎと、芯の方はあたたかい気がする、それらを。
あんぱんに黒ごま