土のところ

ミミズです
暑い熱いアスファルトの上で
干からびて死にました
よくある死です
土のところで死にたかったです
我々が土を離れるのには
いろいろ理由がありますが
私の場合はなんとなく
少し遠くへ行きたくて
土のところを離れました
最初は涼しかったのに
だんだん暑くなってきて
そろそろ戻らなくてはと
頭ではわかっていたのですが
なにぶん私には目がないもので
方向がつかみづらいのです
仲間がそばにいるのかも
わからないまま死にました
のたうち回って死にました
土のところに帰りたい
土のところが懐かしい
人間のみなさま
あなたがたは
ちゃんと
土のところで
死ねてますか

土のところ

土のところ

詩誌『月刊ココア共和国 2022年8月号』に「投稿詩傑作集Ⅰ」の内の一篇として掲載された詩作品です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-07-28

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