焼き場-住職-

荼毘供養のために寺の住職が、柩をのせた霊柩車が来るのを待っていた。
若く何らかの事情で自死した方で家族は葬儀をひっそりと行う事になっているようだった。
「この葬儀は金にならないんだよね。
みんな、まるでやる気がないんだよ。
こんな葬儀を、この葬儀社は、もって来て俺にやらせるんだよ。」
現実、地獄の沙汰も。
お寺の経営も昨今は、大変なんだろうとも思うけれど。
火葬は別にしても、
葬儀は、
例えば国でやればドンだけ大きなものになるのやら?
名もなく幼い子供を残して自死して、お寺の住職からは、
やる気がないと呟かれ、このウイルスの閉塞感の中で、骨になって行く。
どんな死に方をしたにしろ、誰かに殺されようと、
自らに殺されようと、
テロに屈しないということよりも、
幼い子供を残しても死ななければならなくなるような事情を社会から消さなくちゃならないことが先決なんじゃないかと?

そんな格差あるいは、社会的な事件によるものより、
社会の底辺で誰からも知られずに葬られる人々の方にこそ政治家や総理ってものは、目を向けるべきなんじゃないの?

焼き場-住職-

焼き場-住職-

  • 小説
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • ホラー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-07-16

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