アフリカの仮面
昔 私が仏蘭西の路上で、怪しげな男から購入した、
深紅の色と奇怪の線に塗りたくられ、衝動の儘に描かれたような
アフリカの仮面を被るなら、わが肉体の内奥 まるで裏がえって、
火のようなアフリカを闊歩する、わたしの本性 剥かれ昇るよう、
私はアフリカの大地で、褐色の肌 太陽のように晒して、
血色の好い頬で野生の儘に踊り、歓び、怒り、ワンワンと泣き、歌う。
──雄叫びながら後退りする儀式だ、酒をもってこい、音楽を鳴らせ、
なるたけ官能的なグルーヴがいい、乱痴気の墜落に 天へと跳ぶ想いさ。
されば私、浴びるようなアルコールに酩酊、どっと寄せる睡魔、
泥のように沈み寝て、黎明の光が、昨夜の躁がしい歌責めたてる、
土製のアフリカの仮面、床に転げ割れている、瓶割れた酒流れてる、
わたしは咽び泣きながら、双に割れた仮面をくっつけるも、
片方は毀れた酒に穢れて黝い、私はわが身がこの秩序にあること想い、
整列世界に抛られ蹴り跳ばれる、されば黝い私、此処にありつづける。
アフリカの仮面