死に損ない宣言
僕も死にたいです。
聴け、笑うな。
──ぼくは、生きる。
わが死骸をズタ袋に入れ ズルズルと後ろ髪の如く引き摺って、
背に雪の衣装──片側だけの死装束背負い、ぼくはぼくを生き抜く。
何故君は生きるか? 諸君、そんなことぼくのほうが解らない、
どうして生きる? なんの意味がある? 教えてくれ。
死んだほうが合理的で、生きるほうがバカじゃないのか、
意味なぞではない、意欲だ、生が美しいから生きる、花抱き締めたいのだ、
ぼくの生の意味は生そのものなのだから、その問いがナンセンスだ。黙れ。
聴け、笑うな。
──ぼくは、詩を書く。
その意味なぞ知らぬ、価値ってなんだ? 金ピカするキライなニオイだ。
何故書くか? いわせているのか?──いいだろう、
あなたを愛しているから、あなたの「あなた」を愛しているからだ。
唯それだけの理由で、ぼくはぼくを投げ遣って、ぼくを生き、
詩を書きつづける、まるで生きるうごきのように俗悪で奇怪なそれで。
聴け、笑うな。
──ぼくは、死ぬまでを生きる。
死に損ないの躰引き、疎外に泣く幾夜を跳ぶ、毎夜転ぶが知るもんか、
ぼくは生きる、月照る惨憺な路上に斃れる かの犬死の夜までを!
死に損ない宣言
生き抜こうね。