死に損ない宣言

僕も死にたいです。

 聴け、笑うな。
 ──ぼくは、生きる。
 わが死骸をズタ袋に入れ ズルズルと後ろ髪の如く引き摺って、
 背に雪の衣装──片側だけの死装束背負い、ぼくはぼくを生き抜く。
 何故君は生きるか? 諸君、そんなことぼくのほうが解らない、
 どうして生きる? なんの意味がある? 教えてくれ。
 死んだほうが合理的で、生きるほうがバカじゃないのか、
 意味なぞではない、意欲だ、生が美しいから生きる、花抱き締めたいのだ、
 ぼくの生の意味は生そのものなのだから、その問いがナンセンスだ。黙れ。

 聴け、笑うな。
 ──ぼくは、詩を書く。
 その意味なぞ知らぬ、価値ってなんだ? 金ピカするキライなニオイだ。
 何故書くか? いわせているのか?──いいだろう、
 あなたを愛しているから、あなたの「あなた」を愛しているからだ。
 唯それだけの理由で、ぼくはぼくを投げ遣って、ぼくを生き、
 詩を書きつづける、まるで生きるうごきのように俗悪で奇怪なそれで。

 聴け、笑うな。
 ──ぼくは、死ぬまでを生きる。
 死に損ないの躰引き、疎外に泣く幾夜を跳ぶ、毎夜転ぶが知るもんか、
 ぼくは生きる、月照る惨憺な路上に斃れる かの犬死の夜までを!

死に損ない宣言

生き抜こうね。

死に損ない宣言

自殺したい人に読んでほしい詩です

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-07-10

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