ペットボトル

私が見たものは
滲んだ彼岸花で
笹の音に揺れて やってきた

非常識者が お触れを出し
困惑し つまらぬ言葉がやってくる
それは 非情である

一生に一度しかないであろう 七夕
黒い背景に 白い斑点
不気味な夜空が 浮いている
月は 影に遮られる

真っ直ぐな水平線が宙にも見えたらいい
そうしたら
ではそれでは
いや
見えないものがあるのが人間だろう

知らないが 今日は地平線よりも水平線を見たい日だ
風に髪をなびかせて
優しさに 憂いた顔をして

水を飲もうとして
その 空っぽの容器に
人知れず 惜しさを覚える

頑固に騒ぐ アナウンス放送に
冷たい水をかけた

ペットボトル

ペットボトル

詩。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-07-09

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