情緒散舞
生きているひとびとに、惜しみない雨と、えいえんの愛を。朽ち果てた、あのひとたちのかたわらで、あたしは心を捧げるふりをして、笑む。おわったんだね、すべて、という、なんだか陳腐なアニメ映画の、儚げな美少年がつぶやいてそうなセリフとともに、目が眩むほどのスポットライトを浴びている、きみを、想い描いた。サーカスの終幕みたいなもの。
(あのさぁ、もう、夏なんだって)
(とにかく、あたしも、きみも、腐らないように気をつけようよ)
だいすきなアイドルグループの、コンサートの円盤をフラゲしたのに、なんとなくまだ、観ていないし。たえまない、ニュース速報をしらせる音に、ビビってるし。べつに、そんなにおなかすいていないのに、コンビニで、たべたいものをかたっぱしから買って、後悔するときが月に何度かあって、そういうときはただの夕焼け空にも感動して、泣きそうになるのだ。
せみのぬけがらをみつけて、郷愁めいたものに耽ってみたりとかも。
情緒散舞