半夏生

 あい、なんてものが飽和して。空中分解する、機械人形のきみと、百合の花に埋もれて横たわる、うつくしいけものが、なかよくダンスしている国で、わたしのためだけに呼吸をしている。あのひと。いいえ、やさしさが溶けたときにはじめて、この街は覚醒して、うごきだすものがある。プラスチックでできた、だれかのいのち。テレビのなかで、かってにもりあがっている、ひとびと。日に日に青くなってゆく、海。七月、ということばの、どことなく浮ついた感じ。

半夏生

半夏生

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-07-06

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