召喚士と十二の召喚石【美咲の消失】

召喚士と十二の召喚石【美咲の消失】

なかなか話が進まない。


 「え」
 目の前に人間バージョンのアクセリアが心配そうに顔をのぞいている。いつの間にか自分ちの玄関で寝転がっていたらしい。
 「おー起きたな。なかなか起きひんから心配してしもうたよ。」
 「うー・・・」
 むくっと起きると眼をこすりながら尋ねた。
 「さっきの・・・っ!?」
 ゾッとした。”岬”はいないが”岬の服”がボロボロの状態で悠の目の前に落ちている。
 「ななな、なにこれぇっ!?」
 「あぁこれな・・・ナイトメアは”躯”から逃げたみたいやな。」
 「殺したの!!??」
 顔を真っ青にしながらアクセリアに聞くが、アクセリア自身は緊張感全くなし。
 「や、殺してはいない。”存在”は死んだけどな。」
 「・・・・どーゆー意味???」
 「それよりはよどっかいかんとお前の母親が来るで。」
 「そ、そっか。」
 アクセリアを抱き上げ、ドタドタ音を上げて階段を上った。急いで部屋に駆け込む。
 「そ、それでっ?さっきのどーゆー意味だったの?」
 「あぁ。さっきのは悠は岬を殺してないけど、存在を消してしもうたんよ。」
 「???」
 「えー簡単に言うとナイトメアが岬の魂を喰らい、悠がナイトメアを岬の躯から追っ払ったから魂のない抜け殻になったんよ。悪魔はこの世にいてはいけない。よって、自動的になぜかこの世から存在そのものは抹消されるんや。」
 「・・・だいたいは分かった。けどさ、じゃあ福島さんの存在を知っている人間はどうなるの?」
 「ナイトメアの魔力はハンパじゃないさかい、記憶から引っこ抜かれるんよ。あ、さっきの”存在”が消えるゆーた原因の一つが、これなんや。明日、学校で聞いてみ。みーんな『知らない』って答えるにきまっとるから。」
 ふわぁ、っとあくびをし、一瞬で指輪に戻った。
 (ほんと、ありがとね・・・)
 さっきの助けてもらった事を思い出し、心の中でお礼を言った。アクセリアが来なければ死んでいたかもしれないのだ。
 「さ、ご飯食べよっか。」
 悠はそのままリビングへ向かった。

召喚士と十二の召喚石【美咲の消失】

次の話は「七つの大罪」の悪魔が一人、出てきます。

召喚士と十二の召喚石【美咲の消失】

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-04-25

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